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公開番号2025052707
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-04-07
出願番号2023161557
出願日2023-09-25
発明の名称層状酸化物へのTBAカチオンの導入法、その方法で用いる非水溶媒とTBAカチオンの組み合わせ、及び酸化物ナノシート
出願人国立大学法人信州大学
代理人弁理士法人MTI特許事務所
主分類C01G 23/04 20060101AFI20250328BHJP(無機化学)
要約【課題】非水溶媒中で原料からナノシートを得ることを可能にする、層状酸化物へのTBAカチオンの導入法、その方法で用いる非水溶媒とTBAカチオンの組み合わせ、及び酸化物ナノシートを提供する。
【解決手段】層状酸化物に対して、アセトニトリルとメタノールからなる非水系の混合溶媒中で第四級アンモニウムカチオンをインターカレーションする方法である、層状酸化物へのTBAカチオンの導入法により上記課題を解決する。このとき、混合溶媒は[アセトニトリル]/[アセトニトリル+メタノール]の体積分率が20%~80%の範囲内であり、層状酸化物が層状チタン酸であることが好ましい。
【選択図】図1



特許請求の範囲【請求項1】
層状酸化物に対して、アセトニトリルとメタノールからなる非水系の混合溶媒中で第四級アンモニウムカチオンをインターカレーションする方法である、ことを特徴とする層状酸化物へのTBAカチオンの導入法。
続きを表示(約 550 文字)【請求項2】
前記混合溶媒は、[アセトニトリル]/[アセトニトリル+メタノール]の体積分率が20%~80%の範囲内である、請求項1に記載の層状酸化物へのTBAカチオンの導入法。
【請求項3】
前記層状酸化物が層状チタン酸である、請求項1に記載の層状酸化物へのTBAカチオンの導入法。
【請求項4】
前記層状酸化物及び前記第四級アンモニウムカチオンは、その一方又は両方が水に不安定な物質である、請求項1に記載の層状酸化物へのTBAカチオンの導入法。
【請求項5】
層状酸化物へのTBAカチオンの導入に用いる組み合わせであって、アセトニトリルとメタノールからなる混合溶媒と、第四級アンモニウムカチオンとを含む、ことを特徴とする非水溶媒とTBAカチオンの組み合わせ。
【請求項6】
前記混合溶媒は、[アセトニトリル]/[アセトニトリル+メタノール]の体積分率が20%~80%の範囲内である、請求項5に記載の非水溶媒とTBAカチオンの組み合わせ。
【請求項7】
請求項1~4のいずれか1項に記載の層状酸化物へのTBAカチオンの導入法を含む方法で得られてなる酸化物ナノシートである、ことを特徴とする酸化物ナノシート。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、非水溶媒中で層状物質からナノシートを得ることを可能にする、層状酸化物へのTBAカチオンの導入法、その方法で用いる非水溶媒とTBAカチオンの組み合わせ、及び酸化物ナノシートに関する。
続きを表示(約 2,200 文字)【背景技術】
【0002】
層状化合物を剥離して合成するナノシートは、アスペクト比が非常に大きく高い二次元異方性をもつため、さまざまな機能性構造体を形成するビルディングブロックとして着目されている。様々な元素種においてナノシートは合成されており、導電性や半導体的性質など元素由来の性質を生かした活用が知られている。層状化合物からナノシートを合成する方法は物理的手法と化学的手法に大別される。物理的手法は、溶液中で層状化合物に超音波を照射することで、層状化合物が破砕される形で剥離する手法である。これは、ナノシートと溶媒の相性によって分散度合いが変わり、大量合成が可能であるが厚さやサイズを均一に合成することは難しい。化学的手法は、層状化合物の層間に剥離誘発剤となる分子やイオンをインターカレートさせ、ホスト-ゲスト相互作用を弱めることで剥離できる。この方法は単層のナノシートを合成する手法として優れているため、ビルディングブロックとして使用する際に多く用いられている。
【0003】
酸化物ナノシートは、導電性を示すことや半導体的性質を持つことから光触媒や、電極材料などへの利用を目的とした研究が多く行われている。層状酸化物を剥離する際には、第4級アンモニウムであるテトラブチルアンモニウムヒドロキシド(TBAOH)が用いられている。水溶液中で電離したTBA

(「TBAカチオン」ともいう。)が層間のプロトンと陽イオン交換反応によってインターカレートし、立体障害によってホスト-ゲスト相互作用を弱める。また剥離の前段階として、層間と水溶液間の浸透圧によって層間に水が入り膨潤することが分かっている。
【0004】
有機溶媒中での酸化物ナノシートの合成は、水中で作製したナノシートを回収し有機溶媒に再分散させる方法や、ホスト層表面を疎水的に変質することで溶媒を導入し有機修飾ナノシートを合成する方法が報告されている(非特許文献1,2、特許文献1~3)。
【0005】
非特許文献1の論文では、一度水溶媒中で剥離して得たチタン酸ナノシートコロイドを再積層させ、非水溶媒に分散させることでナノシートコロイドを得ることが報告されている。非特許文献2の論文では、層状酸化物に対し長鎖アルキルアミンを反応させて有機無機複合体を作製した後、非水溶媒に分散させることでナノシートコロイドを得ることが報告されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
W. Sugimoto, O. Terabayashi, Y. Murakami and Y. Takasu, Electrophoretic deposition of negatively charged tetratitanate nanosheets and transformation into preferentially oriented TiO2(B) film, J. Mater. Chem., 12, 3814(2002).
M. Honda, Y. Oaki and H. Imai, Hydrophobic Inorganic-Organic Composite Nanosheets Based on Monolayers of Transition Metal Oxides, Chem. Mater., 26, 3579(2014).
【特許文献】
【0007】
特開2008-174431号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記した従来技術では、一般的にナノシートの合成は水溶液中で行われており、機能性構造体を形成する際にも水という溶媒の制限を受けている。例えば、ナノシートを修飾する反応では加水分解を使用する反応は使えず、電気泳動堆積膜を作成する際は水の電気分解による影響を除去することは難しい。また、合成プロセス中で水溶媒が使用されるので、水中で溶解するなど水に不安定な層状物質やインターカーラントは適用できない。有機溶媒中でナノシートを作成することができれば、これらの問題は解決され、無機有機複合体も均一に分散させることも可能になるため、これまでとは異なる構造の形成が期待できる。また、従来技術では、水溶媒と有機溶媒の両方が必要なプロセスが多く、非水溶媒だけを使用したワンポットでの合成は実現できていないの。
【0009】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、非水溶媒中で原料からナノシートを得ることを可能にする、層状酸化物へのTBAカチオンの導入法、その方法で用いる非水溶媒とTBAカチオンの組み合わせ、及び酸化物ナノシートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(1)本発明に係る層状酸化物へのTBAカチオンの導入法は、層状酸化物に対して、アセトニトリルとメタノールからなる非水系の混合溶媒中で第四級アンモニウムカチオンをインターカレーションする方法である、ことを特徴とする。
(【0011】以降は省略されています)

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