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公開番号2024150014
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-10-23
出願番号2023063219
出願日2023-04-10
発明の名称蓄放熱材料
出願人株式会社デンソー,国立大学法人 東京大学
代理人弁理士法人あいち国際特許事務所
主分類C09K 5/14 20060101AFI20241016BHJP(染料;ペイント;つや出し剤;天然樹脂;接着剤;他に分類されない組成物;他に分類されない材料の応用)
要約【課題】蓄放熱酸化チタンをλ相からβ相へ相転移させるためのエネルギを低減可能であり、蓄放熱酸化チタンに蓄えられた熱を効率よく取り出すことのできる蓄放熱材料を提供する。
【解決手段】蓄放熱材料は、蓄放熱酸化チタンの結晶粒2の集合体1からなる。放熱酸化チタンは、λ相とβ相との間で相転移するのに伴い蓄熱又は放熱する五酸化三チタン系材料であり、結晶粒2は、微粒結晶が配向性を有して集合している配向粒構造を有する。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
蓄放熱酸化チタンの結晶粒(2)の集合体(1)からなる蓄放熱材料であって、
上記蓄放熱酸化チタンは、λ相とβ相との間で相転移するのに伴い蓄熱又は放熱する五酸化三チタン系材料であり、
上記結晶粒は、上記蓄放熱酸化チタンの微粒結晶(20)が、配向性を有して集合している配向粒構造を有する、蓄放熱材料。
続きを表示(約 440 文字)【請求項2】
上記結晶粒は、特定の一方向又は二方向に配向性を有する、請求項1に記載の蓄放熱材料。
【請求項3】
上記集合体は、双晶構造の上記結晶粒を含む、請求項2に記載の蓄放熱材料。
【請求項4】
双晶構造の上記結晶粒は、対をなす複数の結晶子(3)が層状に配列して構成される、請求項3に記載の蓄放熱材料。
【請求項5】
上記結晶粒は、上記微粒結晶が配向性を有して連なる連結粒形状を有する、請求項1又は2に記載の蓄放熱材料。
【請求項6】
上記微粒結晶は、滑らかな表面を有する、請求項5に記載の蓄放熱材料。
【請求項7】
上記結晶粒は、後方散乱電子回折像法による結晶方位解析に基づく面積基準の平均粒径が、50μm以上である、請求項1又は2に記載の蓄放熱材料。
【請求項8】
上記集合体における上記蓄放熱酸化チタンの含有量が、90質量%以上である、請求項1又は2に記載の蓄放熱材料。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄放熱酸化チタンを含む蓄放熱材料に関する。
続きを表示(約 2,500 文字)【背景技術】
【0002】
蓄熱と放熱とを繰り返す蓄放熱材料として、セラミックス系の蓄熱材料である蓄放熱酸化チタンが知られている。蓄放熱酸化チタンは、λ相とβ相との間で相転移する五酸化三チタン(すなわち、Ti
3

5
)系の材料であり(例えば、非特許文献1~4参照)、β相からλ相への相転移に伴って潜在的に熱を蓄え、λ相からβ相への相転移に伴って蓄えている熱を放出する性質を有する。蓄放熱酸化チタンを含む蓄放熱材料は、固相から固相への相転移を利用することから取り扱いが容易であり、システム排熱等の熱エネルギを効率よく保存可能であることから、各種システムの熱交換部への応用が期待されている。
【0003】
蓄放熱酸化チタンは、β相にあるときに加熱されると、λ相へ直接相転移し又はα相を経由してλ相へ相転移し、λ相に相転移した後は、圧力や光といった外部刺激を受けない限り、その状態を維持する。このようなλ相の蓄放熱酸化チタンは、例えば、二酸化チタン(すなわち、TiO
2
)のナノサイズ粒子を原料とし、水素雰囲気下で還元焼成することによって、製造できることが知られている。また、特許文献1には、β相を含む五酸化三チタン粒子の粒径を、3μm以上の適宜のメジアン径D50に調整することにより、吸熱特性を改善することが提案されている。具体的には、化学反応等によって合成された塊状の五酸化三チタンを粉砕して、所望の粒度分布の五酸化三チタン粒子とすることにより、粒径に応じた相転移温度や吸熱量吸熱特性が得られ、例えば、メジアン径D50が15μm以上であると、吸熱特性がより安定することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開2021-8390号公報
【非特許文献】
【0005】
“Synthesis ofa metal oxide with a room-temperature photoreversible phase transition” Nature Chemistry, vol.2, p.539-545 (2010)
“Externalstimulation-controllable heat-storage ceramics” Nature Communications vol.6,7037 (2015)
“Ultrafastdynamics of photoinduced semiconductor-to-metal transition in the opticalswitching nano-oxide Ti3O5” Physical Review B 90, 014303(2014)
“Electronicstructure and correlation in β-Ti3O5 and λ-Ti3O5studied by hard x-ray photoelectron spectroscopy” Physical Review B 95, 085133(2017)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
蓄放熱材料を蓄放熱デバイスへ応用する場合には、蓄放熱酸化チタンの特性を活かして、周囲の熱を吸収して蓄える機能と共に、任意のタイミングで圧力等の外部刺激を加えることにより、蓄えた熱を効率よく放出する機能が求められる。ところが、従来は、特許文献1のように、吸熱特性に着目した提案はなされているものの、蓄放熱酸化チタンの放熱特性については、必ずしも十分な検討がなされていない。また、ナノサイズ粒子よりも大きいミクロンサイズの原料粒子を用いると、製造コストの低減に有利になるが、得られる蓄放熱酸化チタンの相転移に必要な圧力が比較的高くなり、実用化に際して、より低い圧力での相転移を可能にすることが望まれている。
【0007】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、蓄放熱酸化チタンをλ相からβ相へ相転移させるための相転移エネルギを低減可能であり、蓄放熱酸化チタンに蓄えられた熱を効率よく取り出すことのできる蓄放熱材料を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様は、
蓄放熱酸化チタンの結晶粒(2)の集合体(1)からなる蓄放熱材料であって、
上記蓄放熱酸化チタンは、λ相とβ相との間で相転移するのに伴い蓄熱又は放熱する五酸化三チタン系材料であり、
上記結晶粒は、上記蓄放熱酸化チタンの微粒結晶(20)が、配向性を有して集合している配向粒構造を有する、蓄放熱材料にある。
【発明の効果】
【0009】
上記蓄放熱材料は、五酸化三チタン系材料である蓄放熱酸化チタンの結晶粒の集合体からなり、蓄熱状態で圧力等の外部刺激が加わると、λ相からβ相へ相転移して放熱する。このとき、集合体を構成する結晶粒が配向粒構造を有し、結晶粒内において微粒結晶の向きが揃うように集合しているので、圧力伝播が効率よく行われて相転移が進行しやすくなる。これにより、相転移に必要なエネルギの低減が可能になると推測される。
【0010】
以上のごとく、上記態様によれば、蓄放熱酸化チタンをλ相からβ相へ相転移させるための相転移エネルギを低減可能であり、蓄放熱酸化チタンに蓄えられた熱を効率よく取り出すことのできる蓄放熱材料を提供することができる。
なお、特許請求の範囲及び課題を解決する手段に記載した括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものであり、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
(【0011】以降は省略されています)

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