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公開番号
2024157397
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-11-07
出願番号
2023071744
出願日
2023-04-25
発明の名称
冷却試料ステージ装置
出願人
国立大学法人 東京大学
代理人
弁理士法人ドライト国際特許事務所
主分類
G01N
23/2204 20180101AFI20241030BHJP(測定;試験)
要約
【課題】試料の冷却に適した冷却試料ステージ装置を提供する。
【解決手段】冷却試料ステージ装置10は、チューブユニット12に設けた支持チューブ22の先端に試料台ユニット22が固定されている。試料台ユニット14は、熱伝導性及び導電性を有する試料台31、サファイア板32、熱伝導性及び導電性を有する金属板33を重ねた構造である。各熱伝導線束37は、一端が金属板33に、他端が冷却管21の先端部21aにそれぞれ取り付けられている。熱伝導線束37は、熱伝導性が高く、かつ柔軟性を有する複数本の熱伝導線から構成される。
【選択図】図1
特許請求の範囲
【請求項1】
熱伝導性を有し、試料を保持する試料台ユニットと、
先端が前記試料台ユニットから離して配され、内部に形成された流路に冷媒を通すことにより先端が冷却される冷却管と、
熱伝導性と柔軟性を有し、一端が前記試料台ユニットに他端が前記冷却管の先端に固定されて前記試料台ユニットと前記冷却管の先端とを熱的に接続した複数の熱伝導線で構成される熱接続部と
を備えることを特徴とする冷却試料ステージ装置。
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【請求項2】
先端に前記試料台ユニットを支持するとともに、中空な内部に前記熱接続部と前記冷却管の先端を含む部分とが配された支持チューブと、
前記冷却管の基端を固定した冷却管固定部材及び前記支持チューブの基端を固定した支持チューブ固定部材を含むチューブ固定部と、
前記冷却管固定部材と前記支持チューブ固定部材とを振動絶縁して相互に固定する防振部材と
を備えることを特徴とする請求項1に記載の冷却試料ステージ装置。
【請求項3】
前記支持チューブ固定部材と観察装置との間に設けられ、前記支持チューブ固定部材を移動することにより、前記観察装置に対して前記試料台ユニット及び前記冷却管を移動するマニュピレータを備えることを特徴とする請求項2に記載の冷却試料ステージ装置。
【請求項4】
前記試料台ユニットは、
前記試料を保持するとともに電源に接続されて前記試料に電源電圧を印加する熱伝導性と導電性を有する試料台と、
熱伝導性を有し前記試料台に密着させて熱的に接続されるとともに前記試料台と電気的に絶縁されたユニット絶縁部と
を有し、
前記支持チューブは、先端に前記ユニット絶縁部が固定されることで前記試料台ユニットを支持し
前記複数の熱伝導線は、一端が前記ユニット絶縁部に固定されている
ことを特徴とする請求項2または3に記載の冷却試料ステージ装置。
【請求項5】
前記ユニット絶縁部は、熱伝導性を有する電気的な絶縁材で形成された熱伝導性絶縁部材を含み、前記熱伝導性絶縁部材が前記試料台の1つの面に密着して設けられて前記試料台と電気的に絶縁されていることを特徴とする請求項4に記載の冷却試料ステージ装置。
【請求項6】
前記熱伝導性絶縁部材は、サファイア板であることを特徴とする請求項5に記載の冷却試料ステージ装置。
【請求項7】
前記ユニット絶縁部は、前記サファイア板の前記試料台と反対側の面に密着して設けられ、前記試料台との間で前記サファイア板を挟持する熱伝導性を有する取付部材を有し、
前記複数の熱伝導線は、一端が前記取付部材に固定されている
ことを特徴とする請求項6に記載の冷却試料ステージ装置。
【請求項8】
前記支持チューブの周囲に、前記支持チューブの軸方方向について少なくとも前記試料台ユニット及び前記冷却管の先端を含む範囲に設けられ、前記冷却管に熱的に接続された熱伝導性を有する遮熱チューブを備え、
前記冷却管は、冷媒を先端に向けて流す内管と、前記内管との間に形成する流路に前記内管によって先端に供給された冷媒を基端に向けて流す外管とを有する二重管構造である
ことを特徴とする請求項2または3に記載の冷却試料ステージ装置。
【請求項9】
試料を保持するとともに電源に接続されて前記試料に電源電圧を印加する熱伝導性と導電性を有する試料台と、
前記試料台の1つの面に密着して設けられたサファイア板と、
前記サファイア板に取り付けられ、前記サファイア板を介して前記試料台を冷却する冷却部と
を備えることを特徴とする冷却試料ステージ装置。
【請求項10】
前記冷却部は、前記サファイア板の前記試料台と反対側の面に密着して設けられ、前記試料台との間で前記サファイア板を挟持する熱伝導性を有する取付部材と、
前記取付部材に熱的に接続され、内部に形成された流路に冷媒を通されることによって前記取付部材及び前記サファイア板を介して前記試料台を冷却する冷却管と
を有することを特徴とする請求項9に記載の冷却試料ステージ装置。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷却試料ステージ装置に関する。
続きを表示(約 1,600 文字)
【背景技術】
【0002】
例えば、仕事関数以上のエネルギーを有する光を試料に照射することで放出される光電子を電子レンズを通し拡大、結像する光電子顕微鏡(PEEM:Photoemission Electron Microscope)が知られている(非特許文献1を参照)。この光電子顕微鏡では、電子レンズ系の初段のレンズと試料との間には、試料側をマイナス電位として数kV~数十kVの高電圧が印加される。通常は、試料を載置ないし保持する試料台が電源に接続され、この試料台を介して試料に高電圧が印加される。このような光電子顕微鏡では、20nm程度にも達する空間分解能が得られている。また、例えば冷媒として液体ヘリウム(He)を用いて、試料を数十K程度にまで冷却した状態で、光を試料に照射する光電子顕微鏡も提案されている。この場合には、光電子顕微鏡内にて試料を冷却する冷却試料ステージ装置が用いられる。冷却試料ステージ装置は、例えば液体ヘリウムが通されるトランスファーチューブに設けた冷却管を試料台に固定して試料台を介して試料を冷却する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
木下豊彦, 春山雄一 "光電子顕微鏡" 日本放射光学会 放射光 第13巻 第4号 (2000年): 292-297
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の光電子顕微鏡等に用いられる冷却試料ステージ装置では、試料台と冷却管との熱抵抗を低くして熱的に接続することによって試料を十分に冷却するのと同時に、冷却管に対して高電圧が印加されないように電気的には絶縁しておく必要がある。さらには、空間分解能の低下を抑制するために、冷却管の振動等が試料台に伝達されないようにする必要があった。このような問題は、光電子顕微鏡に限らず、試料に高電圧を印加するのと同時に試料を冷却する、例えば光電子分光装置、クライオSEM(走査型電子顕微鏡)、クライオTEM(透過型電子顕微鏡)等の各種装置においても同様な問題を有する。
【0005】
本発明は、試料の冷却に適した冷却試料ステージ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の冷却試料ステージ装置は、熱伝導性を有し、試料を保持する試料台ユニットと、先端が試料台ユニットから離して配され、内部に形成された流路に冷媒を通すことにより先端が冷却される冷却管と、熱伝導性と柔軟性を有し、一端が試料台ユニットに他端が冷却管の先端に固定されて試料台ユニットと冷却管の先端とを熱的に接続した複数の熱伝導線で構成される熱接続部とを備えるものである。
【0007】
本発明の冷却試料ステージ装置は、試料を保持するとともに電源に接続されて試料に電源電圧を印加する熱伝導性と導電性を有する試料台と、試料台の1つの面に密着して設けられたサファイア板と、サファイア板に取り付けられ、サファイア板を介して試料台を冷却する冷却部とを備えるものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、試料台ユニットと冷却管との間を柔軟性を有する熱伝導線で熱的に接続したので、冷却する際の冷却管の振動等が試料台ユニットに伝播することを防止でき試料の冷却に適した構造にできる。
【0009】
また、試料台と冷却部の間にサファイア板を設けたので、電源電圧が印加される試料台と冷却部とを電気的に絶縁しながら冷却部によって試料台の冷却が可能となり、試料の冷却に適した構造にできる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
実施形態における冷却試料ステージ装置の構成を模式的に示す断面図である。
試料台ユニットにおけるサファイア板の取り付け構造を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
(【0011】以降は省略されています)
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