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公開番号
2024119178
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-09-03
出願番号
2023025897
出願日
2023-02-22
発明の名称
魚類の生殖腺発育促進剤
出願人
国立大学法人 東京大学
代理人
弁理士法人フィールズ国際特許事務所
主分類
A61K
38/22 20060101AFI20240827BHJP(医学または獣医学;衛生学)
要約
【課題】新規な魚類の生殖腺発育促進剤の提供。
【解決手段】本発明によれば、コレシストキニン受容体作動剤(CCK受容体作動剤)を有効成分として含んでなる、魚類の生殖腺発育促進剤が提供される。本発明によればまた、CCK受容体作動剤を有効成分として含んでなる、魚類の卵胞刺激ホルモン放出促進剤が提供される。本発明によればまた、CCK受容体作動剤を魚類に投与することを含んでなる、魚類卵母細胞の卵黄形成促進方法が提供される。本発明によればまた、CCK受容体作動剤を魚類に投与することを含んでなる、生殖腺の発育が促進された魚類の生産方法が提供される。本発明によればまた、CCK受容体作動剤を魚類に投与することを含んでなる、早期催熟された魚類の生産方法が提供される。
【選択図】図3
特許請求の範囲
【請求項1】
コレシストキニン(CCK)受容体作動剤を有効成分として含んでなる、魚類の生殖腺発育促進剤。
続きを表示(約 1,200 文字)
【請求項2】
生殖腺が卵巣である、請求項1に記載の促進剤。
【請求項3】
卵胞細胞および/または卵母細胞の発育を促進するための、請求項1または2に記載の促進剤。
【請求項4】
CCK受容体作動剤がCCKまたはガストリンである、請求項1に記載の促進剤。
【請求項5】
CCKまたはガストリンが、ヒトまたは魚類のCCKまたはガストリンである、請求項4に記載の促進剤。
【請求項6】
CCKおよびガストリンが、式(A)DX
1
X
2
GWX
3
DF-NH
2
(式中、X
1
はYまたはAであり、前記Yは硫酸化されていてもよく、X
2
およびX
3
は任意のアミノ酸である)(配列番号13)のアミノ酸配列または式(B)WX
4
DF-NH
2
(式中、X
4
は任意のアミノ酸である)(配列番号12)のアミノ酸配列をC末端に有するペプチドである、請求項4に記載の促進剤。
【請求項7】
前記式(A)のアミノ酸配列が、
式(1)DYMGWMDF-NH
2
(式中、C末端から7番目のチロシン残基は硫酸化されている)(配列番号6)、
式(2)DYLGWMDF-NH
2
(式中、C末端から7番目のチロシン残基は硫酸化されている)(配列番号4)、
式(3)DYRGWLDF-NH
2
(式中、C末端から7番目のチロシン残基は硫酸化されている)(配列番号5)、
式(4)DYLGWMDF-NH
2
(式中、C末端から7番目のチロシン残基は硫酸化されている)(配列番号18)、
式(5)DYVGWMDF-NH
2
(式中、C末端から7番目のチロシン残基は硫酸化されている)(配列番号19)、
式(6)DYMGWMDF-NH
2
(式中、C末端から7番目のチロシン残基は硫酸化されている)(配列番号20)および
式(7)DANGWMDF-NH
2
(配列番号21)
からなる群から選択される、請求項6に記載の促進剤。
【請求項8】
魚類が、下位条鰭類または真骨魚類である、請求項1または5に記載の促進剤。
【請求項9】
CCK受容体作動剤を有効成分として含んでなる、魚類の卵胞刺激ホルモン(FSH)放出促進剤。
【請求項10】
CCK受容体作動剤を魚類に投与することを含んでなる、魚類卵母細胞の卵黄形成促進方法。
(【請求項11】以降は省略されています)
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、魚類の生殖腺発育促進剤に関する。本発明はまた、魚類の卵胞刺激ホルモン(FSH)放出促進剤に関する。
続きを表示(約 4,400 文字)
【背景技術】
【0002】
脊椎動物において、卵を成長させて排卵させる制御システムとして、脳下垂体で産生される卵胞刺激ホルモン(FSH)及び黄体形成ホルモン(LH)といった生殖腺刺激ホルモン(GTH)が中心的役割を果たしている。魚類では、脳下垂体から分泌されたFSHが血流に入り卵母細胞を取り囲む卵胞細胞に作用し、エストロジェンおよびビテロジェニンを介することにより、卵母細胞では卵黄形成が進み、卵母細胞が発育する。人工飼育環境下のウナギ等においては、生殖腺の成熟がほとんど進行しないため人為的な成熟誘導(人為催熟)が行われる。近年の人為催熟の研究により、ウナギやその他の魚類の発達中の卵巣において卵母細胞と、卵母細胞を取り囲む卵胞細胞の発育はFSHのみによって促進され、LHは卵母細胞の最終成熟・排卵の誘発のみに関わることが明らかとなってきた(非特許文献1および2)。人為催熟としては、これまでウナギの卵を得るためにFSHの投与が行われてきたものの、FSHは複雑な糖タンパク質ホルモンであり、合成に莫大なコストがかかる。このため、FSHの比較的安価な代用として、サケ脳下垂体抽出物を使用する技術が用いられているが、排卵を促すホルモン等の夾雑物の影響による卵質の低下が課題となっている。
【0003】
魚類において、LHの制御には視床下部ホルモンであるゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH/LHRH)が有効であることが古くから知られていた。一方で、卵胞細胞および卵母細胞の発達を促すFSHの制御に関しては明らかとなっていなかった。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
Takahashi et al., Endocrinology, 157, 2016: 3994-4002.
日本水産学会誌、86(5)、364-366(2020)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、魚類の生殖腺発育促進剤の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは今般、イン・サイチュ(in situ)ハイブリダイゼーション法および免疫組織化学により、メダカ成体脳下垂体においてFSH細胞がCCK受容体B1(CCKRB1)を発現し、視床下部のCCKニューロンからの支配を受けることを見出した。本発明者らはまた、CCKRB1レポーターアッセイにより、メダカCCK-8およびメダカガストリン-8がCCKRB1を介してcAMP、Ca
2+
およびMAPKを賦活することを見出した。本発明者らはまた、CCKRB1ノックアウトメダカの解析により、CCKRB1ノックアウトメダカでは卵巣および精巣の発達が著しく阻害され、FSH発現量も著しく低下することを見出した。本発明者らはまた、カルシウムイメージング解析により、メダカCCK-8およびメダカCCK-4がFSH細胞の細胞内カルシウム濃度を急激に上昇させること、すなわちFSH放出を促進することを見出した。本発明者らはまた、PCR法および二重イン・サイチュハイブリダイゼーション法により、メダカで見出した知見が魚類一般において保存された機構であって、魚類一般に適用できることを見出した。本発明は、これらの知見に基づくものである。
【0007】
本発明によれば以下の発明が提供される。
[1]コレシストキニン(CCK)受容体作動剤を有効成分として含んでなる、魚類の生殖腺発育促進剤。
[2]生殖腺が卵巣である、上記[1]に記載の促進剤。
[3]卵胞細胞および/または卵母細胞の発育を促進するための、上記[1]または[2]に記載の促進剤。
[4]CCK受容体作動剤がCCKまたはガストリンである、上記[1]~[3]のいずれかに記載の促進剤。
[5]CCKまたはガストリンが、ヒトまたは魚類のCCKまたはガストリンである、上記[4]に記載の促進剤。
[6]CCKおよびガストリンが、式(A)DX
1
X
2
GWX
3
DF-NH
2
(式中、X
1
はYまたはAであり、前記Yは硫酸化されていてもよく、好ましくは硫酸化チロシンであり、X
2
およびX
3
は任意のアミノ酸であり、X
2
は好ましくはM、V、N、A、Q、R、TまたはNであり、X
3
は好ましくはV、LまたはMである)(配列番号13)のアミノ酸配列または式(B)WX
4
DF-NH
2
(式中、X
4
は任意のアミノ酸であり、X
4
は好ましくはM、LまたはVである)(配列番号12)のアミノ酸配列をC末端に有するペプチドである、上記[4]または[5]に記載の促進剤。
[7]前記式(A)のアミノ酸配列が、
式(1)DYMGWMDF-NH
2
(式中、C末端から7番目のチロシン残基は硫酸化されている)(配列番号6)、
式(2)DYLGWMDF-NH
2
(式中、C末端から7番目のチロシン残基は硫酸化されている)(配列番号4)、
式(3)DYRGWLDF-NH
2
(式中、C末端から7番目のチロシン残基は硫酸化されている)(配列番号5)、
式(4)DYLGWMDF-NH
2
(式中、C末端から7番目のチロシン残基は硫酸化されている)(配列番号18)、
式(5)DYVGWMDF-NH
2
(式中、C末端から7番目のチロシン残基は硫酸化されている)(配列番号19)、
式(6)DYMGWMDF-NH
2
(式中、C末端から7番目のチロシン残基は硫酸化されている)(配列番号20)および
式(7)DANGWMDF-NH
2
(配列番号21)
からなる群から選択される、上記[6]に記載の促進剤。
[8]魚類が、下位条鰭類または真骨魚類である、上記[1]~[7]のいずれかに記載の促進剤。
[9]CCK受容体作動剤を有効成分として含んでなる、魚類の卵胞刺激ホルモン(FSH)放出促進剤。
[10]CCK受容体作動剤を魚類に投与することを含んでなる、魚類卵母細胞の卵黄形成促進方法。
[11]CCK受容体作動剤を魚類に投与することを含んでなる、生殖腺の発育が促進された魚類の生産方法。
[12]魚類がウナギまたはチョウザメである、上記[11]に記載の方法。
[13]上記[11]または[12]に記載の方法を実施して生殖腺の発育が促進された魚類を生産し、次いで、生殖腺の発育が促進された魚類から卵を採取する、魚類の卵の採取方法。
[14]上記[13]に記載の方法を実施して魚類から卵を採取し、次いで、採取された卵を人工受精させることを含む、魚類の受精卵の生産方法。
[15]上記[13]に記載の方法を実施して魚類から卵を採取し、次いで、採取された卵を人工受精させ、さらに得られた受精卵を孵化させることを含む、魚類の仔魚の生産方法。
[16]生殖腺の発育が促進された魚類が、早期催熟された魚類である、上記[11]~[15]のいずれかに記載の生産方法。
【0008】
本発明によれば、魚類において生殖腺、特に卵胞細胞および卵母細胞の発育を、4ないし8アミノ酸からなる非常に安価なCCKおよびガストリン等のCCK受容体作動剤の投与により促進できる点で有利である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1は、メダカ成体脳下垂体におけるFSHbプローブおよびCCKRB1プローブを用いた二重イン・サイチュハイブリダイゼーションの結果を示す図である。左はFSHbの像(マゼンタ)、中央はCCKRB1の像(緑色)、右はFSHbとCCKRB1とを重ね合わせた像である。脳下垂体においてFSHbとCCKRB1との発現の重なりが観察された。
図2は、メダカ成体脳におけるCCK抗体を用いた免疫組織化学の結果を示す図である。左は視床下部、右は脳下垂体の像である。図中の矢印は、CCKニューロンの細胞体を示す。
図3は、CCKRB1レポーターアッセイの結果を示す図である。AはcAMP、BはCa
2+
、CはMAPKに対応するレポーターのCCKおよびガストリンにより賦活された活性を示す。
図4は、CCKRB1ノックアウト個体における生殖腺の表現型および脳下垂体におけるFSH遺伝子の発現量を示す図である。Aは野生型およびCCKRB1ホモノックアウト個体の卵巣および精巣の表現型、BはCCKRB1ヘテロノックアウト個体およびCCKRB1ホモノックアウト個体におけるFSHb mRNAの定量結果(FSHb/actb)を示す。
図5は、CCKペプチドに対するFSH細胞の反応性および用量応答性に関するカルシウムイメージング解析の結果を示す図である。Aは式(2)のペプチドへの反応性、Bは式(8)のペプチドへの反応性、Cは式(2)のペプチドへの用量応答性を示す。なお、AおよびBのグラフの縦軸は細胞内カルシウム(Ca
2+
)レベルの相対値を示し、横軸はペプチド投与後の経過時間(秒)を示す。Cのグラフの縦軸は細胞内カルシウムレベルの相対値を示す。
図6は、ウナギおよびチョウザメの脳下垂体におけるCCKRB遺伝子の発現を示す図である。左のレーンより、100bpラダーマーカー、ウナギCCKRB、チョウザメCCKRBのPCR産物の電気泳動を示す。
図7は、ウナギ脳下垂体におけるFSHbプローブおよびCCKRBプローブを用いた二重イン・サイチュハイブリダイゼーションの結果を示す図である。左はFSHbの像(マゼンタ)、中央はCCKRBの像(緑色)、右はCCKRBとFSHbとを重ね合わせた像である。脳下垂体においてFSHbとCCKRBとの発現の重なりが観察された。
【発明の具体的説明】
【0010】
本発明において「コレシストキニン受容体作動剤」(本明細書において、「CCK受容体作動剤」ともいう)は、CCK受容体介在性シグナル伝達を活性化する薬剤をいう。
(【0011】以降は省略されています)
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