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公開番号
2024157607
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-11-08
出願番号
2023072041
出願日
2023-04-26
発明の名称
二酸化炭素の固定化方法
出願人
住友金属鉱山株式会社
,
国立大学法人 東京大学
代理人
弁理士法人山内特許事務所
主分類
B01D
53/14 20060101AFI20241031BHJP(物理的または化学的方法または装置一般)
要約
【課題】高価な薬剤を用いることなく、カルシウム、および/またはマグネシウムを含む鉱物に二酸化炭素を固定化する固定化方法を提供する。
【解決手段】水と共存した状態において、カルシウムおよび/またはマグネシウムを含む被処理個体1に二酸化炭素を反応させることで生じた被膜2を被処理個体1の表面に固定する固定化工程Iと、被膜2が固定された被処理個体1に外力を加え、被膜2を剥離して二酸化炭素固定化能力を再生させる剥離工程IIと、からなる。被処理個体1の表面に炭酸塩の被膜2を形成した後でその被膜2を剥離すると、高価な薬剤を添加することなく、二酸化炭素を固定化できるので、その工業的価値は極めて大きい。
【選択図】図1
特許請求の範囲
【請求項1】
水と共存した状態において、カルシウムおよび/またはマグネシウムを含む被処理個体に二酸化炭素を反応させることで生じた被膜を被処理個体に固定する固定化工程と、
該被膜が固定された被処理個体に外力を加え、前記被膜を剥離して二酸化炭素固定化能力を再生させる剥離工程と、からなる
ことを特徴とする二酸化炭素の固定化方法。
続きを表示(約 960 文字)
【請求項2】
前記固定化工程と前記剥離工程とを交互に繰り返す
ことを特徴とする請求項1記載の二酸化炭素の固定化方法。
【請求項3】
前記固定化工程と前記剥離工程を同時に実行する
ことを特徴とする請求項1記載の二酸化炭素の固定化方法。
【請求項4】
前記被処理個体が、採鉱によって取得されるカルシウム珪酸塩および/またはマグネシウム珪酸塩を含む鉱物、該鉱物の製錬の過程で生成するスラグ、クリンカ、ダスト、焼却灰のうちの一種または複数種からなる
ことを特徴とする請求項1記載の二酸化炭素の固定化方法。
【請求項5】
前記被処理個体が64μm以下に粉砕されて、前記固定化工程に供給される
ことを特徴とする請求項1記載の二酸化炭素の固定化方法。
【請求項6】
前記固定化工程における前記水の前記被処理個体に対する重量比が0.01~10である。
ことを特徴とする請求項1記載の二酸化炭素の固定化方法。
【請求項7】
前記固定化工程では、二酸化炭素の分圧を0.1atm~5atmに調整しながら前記被処理個体と前記二酸化炭素との反応を行う
ことを特徴とする請求項1記載の二酸化炭素の固定化方法。
【請求項8】
前記固定化工程において、前記被処理個体が採鉱によって取得されるカルシウム珪酸塩および/またはマグネシウム珪酸塩を含む鉱物である場合に、さらに炭酸水素ナトリウムおよび/または炭酸水素カリウムを添加する
ことを特徴とする請求項1記載の二酸化炭素の固定化方法。
【請求項9】
前記固定化工程において、前記被処理個体が採鉱によって取得されるカルシウム珪酸塩および/またはマグネシウム珪酸塩を含む鉱物である場合に、さらに硫化物、硫黄、硫酸塩、亜硫酸塩のうち一以上を添加する
ことを特徴とする請求項1記載の二酸化炭素の固定化方法。
【請求項10】
前記固定化工程において、二酸化炭素との反応を5℃~90℃の反応温度に維持しながら行う
ことを特徴とする請求項1記載の二酸化炭素の固定化方法。
(【請求項11】以降は省略されています)
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、二酸化炭素の固定化方法に関する。さらに詳しくは、大気や排ガス中の二酸化炭素を固定し、地中や海中への隔離を可能とするための二酸化炭素の固定化方法に関する。
続きを表示(約 3,200 文字)
【背景技術】
【0002】
近年、地球温暖化が大きな問題となっており、温室効果ガスである二酸化炭素の排出量削減が世界的に求められている。二酸化炭素の排出量削減には、排出量自体を低減させる技術と、回収した二酸化炭素を固定して地中や海中へ隔離する固定化技術とが必要となる。
後者の固定化技術については、二酸化炭素を鉱物に固定化するミネラルカーボネーションという手法が注目されている。
【0003】
ミネラルカーボネーションは、鉱物中のカルシウムやマグネシウムなどの金属元素と二酸化炭素を人工的に反応させ炭酸塩化する手法である。炭酸カルシウム(CaCO
3
)や炭酸マグネシウム(MgCO
3
)などの炭酸塩は常温・常圧下で安定であり、固定化後に二酸化炭素を排出する可能性が地中貯留などと比べて低い。また、地中貯留などと比べて地質的な制約が少なく、低濃度の二酸化炭素にも適用可能なため、二酸化炭素濃度10~20%、発生量が数万トン~数十万トン程度の炉やボイラー等に対しては、ミネラルカーボネーションは最も有効な手法の一つと言える。
【0004】
ミネラルカーボネーションに用いる鉱物としては、天然岩石中のケイ酸塩鉱物(CaSiO
3
,Mg
3
Si
2
O
5
(OH)
4
)、製鋼スラグ中の生石灰(CaO)、飛灰中の生石灰(CaO)などを利用する技術が知られている。
【0005】
特許文献1においては、反応槽内において、水の中に製鋼スラグを浸漬させ、二酸化炭素含有ガスを水の中に吹き込み、製鋼スラグから炭酸化スラグを製造する方法が記載されている。
特許文献2においては、[1]飛灰をパルプ濃度5~100g/Lの液中でCO
2
ガスを吹き込みながら洗浄することにより、Ca分をCa(HCO
3
)
2
として溶解させる工程(洗浄工程)、[2]洗浄工程で得られたスラリーを固液分離することにより、Ca(HCO
3
)
2
を洗浄后液中に回収するとともに、固形分を洗浄残渣として回収する工程、を有する、二酸化炭素の固定を兼ねた飛灰の処理方法が記載されている。
特許文献3においては、水溶液形成工程で、炭酸イオンと化合して炭酸塩鉱物を形成可能な金属元素を含む原料と、キレート剤とを含むアルカリ性の水溶液を形成し、分離工程で、水溶液中で金属元素とキレート剤とを反応させて、原料から金属元素を金属イオンとして分離し、鉱物形成工程で、水溶液に炭酸イオンを生成可能な化合物を加えることにより、その化合物から生じた炭酸イオンと金属イオンとを反応させて炭酸塩鉱物を形成する二酸化炭素固定方法、二酸化炭素の回収方法が記載されている。
【0006】
ところで、遊離石灰を数%含有する製鋼スラグや飛灰中のカルシウムは二酸化炭素と反応し、容易に炭酸化することが知られている。一方で、天然鉱石中のケイ酸塩鉱物はスラグ中の遊離石灰(CaO)などと比べて反応速度が遅いため、特許文献1および2に記載の従来技術をそのままミネラルカーボネーションに適用することは現実的でない。さらに、特許文献3はキレート剤を用いることで反応速度を向上させているが、こうしたキレート剤は一般的に高価であり、経済性の面で現実的でない。
【0007】
しかも、上記各従来技術では、ケイ酸塩鉱物は粒子表面で二酸化炭素と反応して炭酸塩の膜や金属の酸化被膜(例えばFeOOH)が形成されやすいため、粒子内部のカルシウム、マグネシウムが未反応のまま反応が停止することがあり、これに起因して反応速度が低下してしまう問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
特開2013-147370号公報
特開2005-246225号公報
特開2022-102786号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記事情に鑑み、高価な薬剤を用いることなく、カルシウムおよび/またはマグネシウムを含む鉱物に二酸化炭素を固定化する固定化方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1発明の二酸化炭素の固定化方法は、水と共存した状態において、カルシウムおよび/またはマグネシウムを含む被処理個体に二酸化炭素を反応させることで生じた被膜を被処理個体に固定する固定化工程と、該被膜が固定された被処理個体に外力を加え、前記被膜を剥離して二酸化炭素固定化能力を再生させる剥離工程と、からなることを特徴とする。
第2発明の二酸化炭素の固定化方法は、第1発明において、前記固定化工程と前記剥離工程とを交互に繰り返すことを特徴とする。
第3発明の二酸化炭素の固定化方法は、第1発明において、前記固定化工程と前記剥離工程を同時に実行することを特徴とする。
第4発明の二酸化炭素の固定化方法は、第1発明において、前記被処理個体が、採鉱によって取得されるカルシウム珪酸塩および/またはマグネシウム珪酸塩を含む鉱物、該鉱物の製錬の過程で生成するスラグ、クリンカ、ダスト、焼却灰のうちの一種または複数種からなることを特徴とする。
第5発明の二酸化炭素の固定化方法は、第1発明において、前記被処理個体が64μm以下に粉砕されて、前記固定化工程に供給されることを特徴とする。
第6発明の二酸化炭素の固定化方法は、第1発明において、前記固定化工程における前記水の前記被処理個体に対する重量比が0.01~10であることを特徴とする。
第7発明の二酸化炭素の固定化方法は、第1発明において、前記固定化工程では、二酸化炭素の分圧を0.1atm~5atmに調整しながら前記被処理個体と前記二酸化炭素との反応を行うことを特徴とする。
第8発明の二酸化炭素の固定化方法は、第1発明において、前記固定化工程において、前記被処理個体が採鉱によって取得されるカルシウム珪酸塩および/またはマグネシウム珪酸塩を含む鉱物である場合に、さらに炭酸水素ナトリウムおよび/または炭酸水素カリウムを添加することを特徴とする。
第9発明の二酸化炭素の固定化方法は、第1発明において、前記固定化工程において、前記被処理個体が採鉱によって取得されるカルシウム珪酸塩および/またはマグネシウム珪酸塩を含む鉱物である場合に、さらに硫化物、硫黄、硫酸塩、亜硫酸塩のうち一以上を添加することを特徴とする。
第10発明の二酸化炭素の固定化方法は、第1発明において、前記固定化工程において、二酸化炭素との反応を5℃~90℃の反応温度に維持しながら行うことを特徴とする。
第11発明の二酸化炭素の固定化方法は、第1発明において、前記固定化工程における前記被処理個体中に含まれる鉄の含有量が25重量%以下であることを特徴とする。
第12発明の二酸化炭素の固定化方法は、第1発明において、前記固定化工程において、前記被処理個体が採鉱によって取得されるカルシウム珪酸塩および/またはマグネシウム珪酸塩を含む鉱物であり、該固定化工程の前段に前記被処理個体を600℃以上となるように加熱する予熱工程を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
(【0011】以降は省略されています)
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