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公開番号2024150149
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-10-23
出願番号2023063415
出願日2023-04-10
発明の名称ガラスクロス及びその製造方法
出願人信越化学工業株式会社
代理人弁理士法人英明国際特許事務所
主分類H05K 1/03 20060101AFI20241016BHJP(他に分類されない電気技術)
要約【課題】誘電正接の経時変化が少なく、高周波において誘電正接の周波数依存性が低く、かつ信頼性に優れた基板を作製することができるガラスクロス及び製造方法、ならびにプリプレグ、積層板及びプリント配線板を提供する。
【解決手段】シランカップリング剤で処理されたガラスクロスであって、30℃・80%RHの条件下で30日保存した場合、保存前に対する保存後の空洞共振器法によって測定される10GHzにおける誘電正接の変化率が、1.5倍以下であるガラスクロス。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
シランカップリング剤で処理されたガラスクロスであって、30℃・80%RHの条件下で30日保存した場合、保存前に対する保存後の空洞共振器法によって測定される10GHzにおける誘電正接の変化率が、1.5以下であるガラスクロス。
続きを表示(約 630 文字)【請求項2】
10GHz、28GHz及び40GHzにおける誘電正接を縦軸、横軸を周波数とした場合、各周波数における誘電正接を結んだ近似直線の傾きが2.00×10
-5
以下となる請求項1記載のガラスクロス。
【請求項3】
保存後の近似直線の傾きが2.5×10
-5
以下である請求項2記載のガラスクロス。
【請求項4】
保存前に対する保存後の保存後の近似直線の傾きの変化量が、0.4×10
-5
以下である請求項2記載のガラスクロス。
【請求項5】
10GHzにおける誘電正接が0.0010以下である、請求項1記載のガラスクロス。
【請求項6】
SiO
2
量が70質量%以上のガラスクロスである、請求項1記載のガラスクロス。
【請求項7】
SiO
2
量が95質量%以上のガラスクロスである、請求項6記載のガラスクロス。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載のガラスクロスと、有機樹脂とを含むプリプレグ。
【請求項9】
請求項1~7のいずれか1項に記載のガラスクロスと、有機樹脂とを含む積層板。
【請求項10】
請求項1~7のいずれか1項に記載のガラスクロスと、有機樹脂を含むプリント配線板。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、高周波において低い誘電正接であり、かつ誘電正接の周波数依存性が低く、かつ誘電正接の経時変化が少ないガラスクロス及びその製造方法、ならびにプリプレグ、積層板及びプリント配線板に関するものである。
続きを表示(約 2,900 文字)【背景技術】
【0002】
現在、スマートフォン等の情報端末の高性能化、高速通信化に伴い、使用されるプリント配線板において、高密度化、極薄化と共に、低誘電化、低誘電正接化が著しく進行している。このプリント配線板の絶縁材料としては、ガラスクロスをエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂(以下、「マトリックス樹脂」という。)に含浸させて得られるプリプレグを積層して加熱加圧硬化させた積層板が広く使用されている。基板における信号の伝送ロスは、Ed wardA.Wolff式:伝送損失∝√ε×tanδ、が示すように、誘電率(ε)及び誘電正接(tanδ)が小さい材料ほど改善されることが知られており、特に上記の式より伝送損失に対しては誘電正接の寄与が大きいことが知られている。
【0003】
そのため、ガラスクロスにおいては低い誘電正接が求められ、Dガラス、NEガラス、Lガラス、石英ガラス等の誘電特性が向上されたガラスクロスが提案されている(特許文献1~5)。また、今後の5G通信用用途等において使用される周波数は10GHz以上の高周波であり、どのような周波数でも安定した伝送速度性能を達成する観点から、10GHz以上の周波数における誘電正接の周波数依存性が低いことが求められている。特許文献6では石英ガラスクロスを用いた低い誘電性正接と低い周波数依存性を持ったガラスクロスおよび基板が記載されている。しかしながら、ガラスクロスは経時で水と反応し、誘電正接が上昇することが問題となっており、特に低い誘電正接を持つガラスクロスではその影響が顕著であり、周波数だけでなく経時の変化にも誘電正接が安定なガラスクロスが求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開平5-170483号公報
特開2009-263569号公報
特開2009-19150号公報
特開2006-282401号公報
特開2021-195689号公報
特開2022-131074号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般にガラスクロスの原料となるガラスは、SiO
2
、Al
2

3
、B
2

3
といった金属酸化物であり、これらの金属酸化物は水と反応してSiOH、Al
2
(OH)
3
、B(OH)
3
といった金属水酸化物が生成しやすく、さらに、金属水酸化物は極性を持つため、付近に存在する水と強固な水素結合を生じる。金属水酸化物及び結合水は10GHz以上の高周波で一様に誘電正接が増加する。そのため金属酸化物であるガラスの組成を変更するだけでは経時の誘電正接の悪化を抑え、周波数依存性を低くすることは困難であった。特に、ガラスクロスの表面はガラスクロスの製造工程であるヒートクリーニングによって加熱処理が施される際に空気中の水分と反応して大量の金属水酸化物及び結合水が生成する。さらに、表面に金属水酸化物及び結合水が存在すると、室温であっても空気中の水分を取り込んでゆっくりガラスクロスと反応し連鎖的に金属水酸化物と結合水が増えていく。そのため、初期では誘電正接が低く、周波数依存性の小さい基板を作製できていても、経時で誘電正接が悪化してしまうという問題があった。このような事情により、これまでの方法では経時の変化の少なくかつ周波数依存性の小さいガラスクロスの製造は困難であった。
【0006】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、誘電正接の経時変化が少なく、高周波において誘電正接の周波数依存性が低く、かつ信頼性に優れた基板を作製することができるガラスクロス及び製造方法、ならびにプリプレグ、積層板及びプリント配線板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、30℃・80%RHの条件下で30日保存した場合、保存前に対する保存後の空洞共振器法によって測定される10GHzにおける誘電正接の変化率が、1.5以下であるガラスクロスとすることで、上記課題を解決できることを知見し、本発明をなすに至ったものである。
【0008】
従って、本発明は下記発明を提供する。
1.シランカップリング剤で処理されたガラスクロスであって、30℃・80%RHの条件下で30日保存した場合、保存前に対する保存後の空洞共振器法によって測定される10GHzにおける誘電正接の変化率が、1.5以下であるガラスクロス。
2.10GHz、28GHz及び40GHzにおける誘電正接を縦軸、横軸を周波数とした場合、各周波数における誘電正接を結んだ近似直線の傾きが2.00×10
-5
以下となる1記載のガラスクロス。
3.保存後の近似直線の傾きが2.5×10
-5
以下である2記載のガラスクロス。
4.保存前に対する保存後の保存後の近似直線の傾きの変化量が、0.4×10
-5
以下である2又は3記載のガラスクロス。
5.10GHzにおける誘電正接が0.0010以下である、1~4のいずれかに記載のガラスクロス。
6.SiO
2
量が70質量%以上のガラスクロスである、1~5のいずれかに記載のガラスクロス。
7.SiO
2
量が95質量%以上のガラスクロスである、6記載のガラスクロス。
8.1~7のいずれかに記載のガラスクロスと、有機樹脂とを含むプリプレグ。
9.1~7のいずれかに記載のガラスクロスと、有機樹脂とを含む積層板。
10.1~7のいずれかに記載のガラスクロスと、有機樹脂を含むプリント配線板。
11.サイズ剤が付着したガラスクロスを、露点が15℃以下の気体中でヒートクリーニングする工程と、ヒートクリーニングしたガラスクロスを、シランカップリング剤で処理するシラン処理工程とを有する、シラン処理ガラスクロスの製造方法であって、
シラン処理工程前のガラスクロスの金属水酸化物及び結合水の量が1,000ppm以下である、シラン処理ガラスクロスの製造方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、誘電正接の経時変化が小さく、高周波において低い誘電正接のガラスクロス及び製造方法を提供できる。このようなガラスクロスを用いたプリプレグ、積層板、プリント配線板は、今後増えていく5G等の高速通信等においてどのような環境や周波数でも安定して伝送損失を抑えることができるという著大な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本発明の近似直線の傾きの求め方を示す図である。
【発明を実施するための形態】
(【0011】以降は省略されています)

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