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公開番号
2024148978
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-10-18
出願番号
2023062586
出願日
2023-04-07
発明の名称
シリコーン組成物
出願人
信越化学工業株式会社
代理人
弁理士法人英明国際特許事務所
主分類
C08L
83/04 20060101AFI20241010BHJP(有機高分子化合物;その製造または化学的加工;それに基づく組成物)
要約
【課題】優れた絶縁性と熱伝導性を付与するために熱伝導性充填剤を高充填した場合であっても、流動性を保ち、取扱い性が良好で、放熱性能に優れ、さらに高温又は高温高湿条件下における耐久性・信頼性に優れたシリコーン組成物の提供。
【解決手段】(A)下記一般式(1)で表されるオルガノポリシロキサン:50~100質量部、(B)下記平均組成式(2)R
3
c
SiO
(4-c)/2
(2)で表されるオルガノポリシロキサン:0~50質量部、(C)8面以上の多面体からなる六方最密格子結晶構造を有するα-酸化アルミニウム粉末、及び(D)平均粒子径が0.01μm以上3μm未満である酸化亜鉛粉末を含有し、熱伝導率がISO 22007-2準拠のホットディスク法において、4.0W/m・K以上7.0W/m・K未満であり、25℃でのスパイラル粘度計による回転数10rpm測定時における粘度が5~800Pa・sである、シリコーン組成物。
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【選択図】なし
特許請求の範囲
【請求項1】
(A)下記一般式(1):
TIFF
2024148978000010.tif
27
92
(式中、R
1
は独立に非置換又は置換の一価炭化水素基であり、R
2
は独立にアルキル基、アルコキシアルキル基、アルケニル基又はアシル基であり、aは5~100の整数であり、bは1~3の整数である。)
で表され、25℃における動粘度が10~10,000mm
2
/sのオルガノポリシロキサン:50~100質量部、
(B)下記平均組成式(2):
R
3
c
SiO
(4-c)/2
(2)
(式中、R
3
は独立に、非置換又は置換の炭素数1~18の一価炭化水素基であり、cは1.8~2.2の数である。)
で表される25℃における動粘度が10~100,000mm
2
/sのオルガノポリシロキサン:0~50質量部
(但し、(A)成分と(B)成分の合計量は100質量部となる量である。)
(C)8面以上の多面体からなる六方最密格子結晶構造を有するα-酸化アルミニウム粉末であって、前記六方最密格子の六方格子面に平行な最大粒子径をD、六方格子面に垂直な粒子径をHとしたとき、D/H比が0.3以上30以下である粒子形状を有し、平均粒子径が7~30μmであり、かつレーザー回折型粒度分布で50μm以上における粗粒子の割合が全体の1質量%以下であって、純度が99%以上であるα-酸化アルミニウム粉末、
(D)平均粒子径が0.01μm以上3μm未満であり、かつレーザー回折型粒度分布で10μm以上における粗粒子の割合が、(D)成分全体の1質量%以下である酸化亜鉛粉末、
(但し、(C)成分と(D)成分の配合割合が質量比で5:5~9.5:0.5であり、(C)と(D)の合計配合量は75~85体積%である。)
を含有するシリコーン組成物であって、熱伝導率がISO 22007-2準拠のホットディスク法において、4.0W/m・K以上7.0W/m・K未満であり、かつ25℃における粘度がスパイラル粘度計による回転数10rpm測定時において、5~800Pa・sである、シリコーン組成物。
続きを表示(約 840 文字)
【請求項2】
レーザーフラッシュ法で測定した25℃における熱抵抗が11mm
2
・K/W以下である請求項1記載のシリコーン組成物。
【請求項3】
130℃/85%RH雰囲気下で96時間放置後において、レーザーフラッシュ法で測定した25℃における熱抵抗が11mm
2
・K/W以下である請求項1記載のシリコーン組成物。
【請求項4】
200℃×100時間熱劣化後、25℃における粘度がスパイラル粘度計による回転数10rpm測定時において、1,000Pa・s以下である請求項1記載のシリコーン組成物。
【請求項5】
さらに、(E)前記(A)及び(B)成分を分散又は溶解可能な揮発性溶剤:(A)成分と(B)成分の合計量100質量部に対して100質量部以下を含む請求項1記載のシリコーン組成物。
【請求項6】
さらに、(F)下記一般式(3):
R
4
d
R
5
e
Si(OR
6
)
4-d-e
(3)
(式中、R
4
はそれぞれ独立に炭素数9~15のアルキル基であり、R
5
はそれぞれ独立に非置換又は置換の炭素数1~8の一価炭化水素基であり、R
6
はそれぞれ独立に炭素数1~6のアルキル基であり、dは1~3の整数であり、eは0~2の整数であり、ただし、d+eは1~3の整数である。)で表されるアルコキシシラン:前記(A)成分と(B)成分の合計量100質量部に対して0.1~50質量部を含有し、(C)成分と(D)成分が(F)成分で表面処理されたものである請求項1記載のシリコーン組成物。
【請求項7】
体積抵抗率が1×10
9
Ω・cm以上である請求項1~6のいずれか1項記載のシリコーン組成物。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリコーン組成物に関する。
続きを表示(約 2,200 文字)
【背景技術】
【0002】
電子部品の多くは使用中に熱を発生するので、その電子部品を適切に機能させるためには、その電子部品から熱を取り除くことが必要である。特にパーソナルコンピューターに使用されているCPU等の集積回路素子は、動作周波数の高速化により発熱量が増大しており、熱対策が重要な問題となっている。
【0003】
この熱を除去する手段として多くの方法が提案されている。特に発熱量の多い電子部品では、電子部品とヒートシンク等の部材との間に熱伝導性グリース組成物や熱伝導性シート等の熱伝導性材料を介在させて熱を逃がす方法が提案されているが、特に仕様厚みが大きく異なる箇所の放熱には満足のいくものではなかった(特許文献1参照)。
【0004】
また、このような熱伝導性材料としては、シリコーンオイルをベースとし、酸化亜鉛やアルミナ粉末を配合した放熱グリース組成物が提案されているが、200℃での耐熱性が不満足であった(特許文献2,3参照)。
【0005】
熱伝導性を向上させるため、窒化アルミニウム粉末を用いた熱伝導性材料として、上記特許文献1には、液状オルガノシリコーンキャリア、シリカファイバー、デンドライト状酸化亜鉛、薄片状窒化アルミニウム、及び薄片状窒化ホウ素から選択される少なくとも1種からなる揺変性熱伝導材料が提案されている。特許文献4には、特定のオルガノポリシロキサンに一定粒径範囲の球状六方晶系窒化アルミニウム粉末を配合して得たシリコーングリース組成物が提案されている。特許文献5には、粒径の細かい窒化アルミニウム粉末と粒径の粗い窒化アルミニウム粉末とを組み合わせた熱伝導性シリコーングリース組成物が提案されている。特許文献6には、窒化アルミニウム粉末と酸化亜鉛粉末とを組み合わせた熱伝導性シリコーングリース組成物が提案されている。特許文献7には、オルガノシランで表面処理した窒化アルミニウム粉末を用いた熱伝導性グリース組成物が提案されているが、いずれも耐久性・信頼性の観点で不満足であった。特許文献8には、シリコーン樹脂、ダイヤモンド、酸化亜鉛及び分散剤を含む熱伝導性シリコーン組成物が提案されているが、特に耐熱後特性が不満足であった。
【0006】
また、金属は熱伝導率の高い材料であり、電子部品の絶縁を必要としない個所には使用可能である。特許文献9には、シリコーンオイル等の基油に金属アルミニウム粉末を混合して得た熱伝導性グリース組成物が提案されているが、絶縁性が無いことから不満足であった。いずれの熱伝導性材料や熱伝導性グリース組成物も、最近ではCPU等の集積回路素子の発熱量には不十分なものとなってきている。
【0007】
マクスウェルやブラッゲマンの理論式からもわかるように、シリコーンオイルに熱伝導性充填剤を配合して得た材料の熱伝導率は、熱伝導性充填剤の容積分率が0.6以下では該熱伝導性充填剤の熱伝導率にはほとんど依存しない。容積分率が0.6を超えて初めて熱伝導性充填剤の熱伝導率への影響が出てくる。つまり、熱伝導性グリース組成物の熱伝導性を上げるには、まずは、いかに熱伝導性充填剤を高充填するか、いかに熱伝導性の高い充填剤を用いることができるかが重要である。しかしながら、高充填により熱伝導性グリース組成物の流動性が低下して、塗布性(ディスペンス性、スクリーンプリント性)等の作業性が悪くなり、実用上使用できなくなる問題がある。さらには流動性が低下することで、電子部品やヒートシンク表面の微細な凹凸に追従できず、接触熱抵抗が大きくなる問題がある。
【0008】
これまでに、高充填を達成し、かつ流動性の良好な熱伝導性材料を得ることを目的として、熱伝導性充填剤の表面を処理して分散性を大きく向上させるアルコキシ基含有オルガノポリシロキサンを熱伝導性材料に配合する検討もなされている(特許文献10、特許文献11参照)。しかしながら、これら処理剤は高温高湿下において加水分解等により変質し、熱伝導性材料の性能劣化を誘発するという欠点があった。
【0009】
そこで、高温高湿下でも熱伝導性材料の性能劣化を抑制した熱伝導性シリコーングリース組成物が提案されているが、熱伝導性充填剤の平均粒径の規定はあるものの、熱伝導性充填剤の形状、水酸基量、並びに粗粒の規定がなく、特に絶縁性が求められる用途には満足いくものではなかった(特許文献12)。
【0010】
特許第5755977号公報(特許文献13)においては、特定の平均球形度、特定の水酸基量、及び平均粒子径が10~50μmで規定された球状酸化アルミニウム粉末と、平均粒子径が0.3~1μmで規定された酸化アルミニウム粉末を配合し、それぞれの酸化アルミニウムの配合割合と体積比が規定された高熱伝導性樹脂組成物が提案されているが、球状酸化アルミニウム粉末の平均粒子径が最大で50μmとの記載はあるものの、粗粒径の範囲や含有量に関する規定がなく、高熱伝導性樹脂組成物を50μm以下の薄膜に適用しようとした場合、熱抵抗的に不十分な問題があった。
(【0011】以降は省略されています)
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