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公開番号2024146787
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-10-15
出願番号2024032713
出願日2024-03-05
発明の名称CO2固定型カルシウム含有組成物の製造方法および製造装置
出願人株式会社トクヤマ
代理人個人,個人
主分類C04B 28/02 20060101AFI20241004BHJP(セメント;コンクリート;人造石;セラミックス;耐火物)
要約【課題】 水が介在する効率的な炭酸化条件においても、CO2を多量に排出しないプロセスにて、最終的に得られるCO2が固定化された製造物を含水率が小さく、汎用性の高い状態で得ること。
【解決手段】 カルシウム含有組成物と水とを混合した混合物に、CO2を含むガスを接触させることで、CO2を固定化したカルシウム含有組成物を製造する。反応装置へ、カルシウム含有組成物と、液体の水と、温度が20℃以上300℃以下でかつCO2濃度が1体積%以上100体積%以下のCO2含有ガス、とを供給する。供給したCO2含有ガスによりカルシウム含有組成物と水を流動させる、もしくはカルシウム含有組成物と水を攪拌することにより、カルシウム含有組成物へCO2を固定化すると同時にカルシウム含有組成物を乾燥し、含水率が5質量%以下のCO2固定型カルシウム含有組成物を製造する。
【選択図】 図1
特許請求の範囲【請求項1】
カルシウム含有組成物と水とを混合した混合物に、CO

を含むガスを接触させることで、CO

を固定化したカルシウム含有組成物を製造する方法であって、
反応装置へ、カルシウム含有組成物と、液体の水と、温度が20℃以上300℃以下でかつCO

濃度が1体積%以上100体積%以下のCO

含有ガス、とを供給し、
供給したCO

含有ガスによりカルシウム含有組成物と前記水を流動させる、もしくはカルシウム含有組成物と前記水を攪拌することにより、カルシウム含有組成物へCO

を固定化すると同時にカルシウム含有組成物を乾燥し、
含水率が5質量%以下のCO

固定型カルシウム含有組成物を製造することを特徴とする、
CO

固定型カルシウム含有組成物の製造方法。
続きを表示(約 930 文字)【請求項2】
カルシウム含有組成物が、灰、スラグ、および汚泥から成る群の少なくとも一員であることを特徴とする請求項1記載のCO

固定型カルシウム含有組成物の製造方法。
【請求項3】
乾燥状態のカルシウム含有組成物100質量部に対する水の混合量が10質量部以上であることを特徴とする、請求項1記載のCO

固定型カルシウム含有組成物の製造方法。
【請求項4】
乾燥状態のカルシウム含有組成物100質量部に対する水の混合量が10質量部以上30質量部以下であることを特徴とする、請求項3記載のCO

固定型カルシウム含有組成物の製造方法。
【請求項5】
CO

含むガスの温度が60℃以上であることを特徴とする、請求項1記載のCO

固定型カルシウム含有組成物の製造方法。
【請求項6】
CO

含むガスの温度が100℃以上であることを特徴とする、請求項5記載のCO

固定型カルシウム含有組成物の製造方法。
【請求項7】
含水率が1質量%以下のCO

固定型カルシウム含有組成物を製造することを特徴とする、請求項1~6のいずれかに記載のCO

固定型カルシウム含有組成物の製造方法。
【請求項8】
前記反応装置が流動層式反応装置であることを特徴とする、請求項7記載のCO

固定型カルシウム含有組成物の製造方法。
【請求項9】
CO

を含むガスがセメントクリンカー製造設備から抽気したガスであることを特徴とする、請求項1記載のCO

固定型カルシウム含有組成物の製造方法。
【請求項10】
CO

を含むガスが火力発電設備から抽気したガスであることを特徴とする、請求項1記載のCO

固定型カルシウム含有組成物の製造方法。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、CO

固定型カルシウム含有組成物の製造方法と製造装置に関する。
続きを表示(約 2,100 文字)【背景技術】
【0002】
CO

は温室効果ガスであることから、地球温暖化への影響を有することが知られている。近年、先進国を中心に世界中でCO

排出量削減が求められており、そのためにはCO

発生量を低減したり、一旦発生したCO

を回収して有効利用したりすることが必要である。産業分野では特に火力発電所やセメント製造工場からのCO

排出量が比較的多く、これらの設備を対象に、化石燃料の使用量を減らしてCO

の排出量を低減するための試みや、排ガスからCO

を回収するための試み、そして回収したCO

を固定化するための試みが多々行われている。
【0003】
CO

を回収、固定化する試みとして、例えば特許文献1には効果的にCO

をコンクリート中に固定化する技術が記載されている。当該技術では、セメントの水和時に生成する水酸化カルシウムと添加されたCO

との反応によって炭酸カルシウムが生成することで、CO2が固定化されると記載されている。
【0004】
また、特許文献2にはCO

を短い時間で固定化できる建設材料の製造方法が記載されている。具体的には、石炭灰などのアルカリ性固体を可搬式コンテナ等の容器に入れ、この容器に炭酸ガスを導入してアルカリ性固体物を炭酸化することで、従来のコンクリートに二酸化炭素を接触させる場合と比較して、速やかに炭酸化が進行すると記載されている。石炭灰や焼却灰などのアルカリ性固体物に含まれる酸化カルシウム等のカルシウム成分が炭酸化し、炭酸カルシウムが生成すると記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特開2020-37493号公報
特開2021-155270号公報
【非特許文献】
【0006】
環境工学研究論文集・第41巻・2004(49)焼却灰有効利用 のための炭酸化による重金属の不溶化に関する基礎的研究
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
カルシウム成分を炭酸化して炭酸カルシウムとしてCO

を固定する試みは多々行われており、炭酸化反応を効率的に行うためにはカルシウムとCO

との反応に水が介在することが重要である。これは、水が介在することで、カルシウム成分と水とが反応して、炭酸化反応が進行しやすい水酸化カルシウムの形に、カルシウム成分が変化するためであると考えられる。そして、水酸化カルシウムはCO

と反応して炭酸カルシウムへと変化する。カルシウム成分が酸化カルシウムであった場合の化学反応式を例示すると、式(1)(2)となる。
【0008】
式(1) CaO+H

O→Ca(OH)

式(2) Ca(OH)

+CO

→CaCO

+H


【0009】
例えば、非特許文献1には、焼却灰に含まれる鉛の不溶化を目的として、炭酸化を適用した例が記載されている。当該文献では、焼却灰の含水率を10~20質量%とした際に、多くのCO

が固定化されることが記載されている。しかしながら、CO

の固定化反応に水が必要である場合、最終的に得られる製造物に水が残存してしまうことが問題である。例えば、セメントに当該製造物を混合して使用する場合、セメントは水と接触すると反応してしまうので、実用上好ましくない。さらに、コンクリート製造時に混合する場合を例にとると、コンクリートの製造ではセメントや骨材と同時に水を混ぜるため、水が存在すること自体は問題ないが、含水率がいくらであるかが正確に把握できていないと、当該製造物から持ち込まれる水の量がわからないため、コンクリートの配合設計が不可能である。また、含水率は当該製造物の保管状態や、天候などの様々な条件によって変化するため、正確に管理することは困難である。このような理由から、当該製造物に水が含まれていることは、その後の利用に関して制限が設けられてしまい汎用性が低くなってしまう。
【0010】
一方、含水した当該製造物を乾燥するために別途乾燥工程を設けると、そのためのエネルギーが必要となり、例えば乾燥のための熱源に化石燃料を使用すればCO

が発生するため、なおさら好ましくない。さらに、反応設備と乾燥設備の双方が必要となり、プロセスが複雑化してしまう。
(【0011】以降は省略されています)

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