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公開番号2024145840
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-10-15
出願番号2023058370
出願日2023-03-31
発明の名称ポリビニルアルコール系樹脂組成物及びこれを用いた成形品
出願人三菱ケミカル株式会社
代理人弁理士法人栄光事務所
主分類C08L 29/04 20060101AFI20241004BHJP(有機高分子化合物;その製造または化学的加工;それに基づく組成物)
要約【課題】溶融成形性に優れたPVA系樹脂組成物を提供すること。
【解決手段】融点の異なる2種以上のポリビニルアルコール系樹脂を含むポリビニルアルコール系樹脂組成物であって、前記2種以上のポリビニルアルコール系樹脂のうちの低融点ポリビニルアルコール系樹脂(A)と高融点ポリビニルアルコール系樹脂(B)の融点差が30~70℃であり、前記ポリビニルアルコール系樹脂組成物の融点が160~200℃であるポリビニルアルコール系樹脂組成物とする。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
融点の異なる2種以上のポリビニルアルコール系樹脂を含むポリビニルアルコール系樹脂組成物であって、
前記2種以上のポリビニルアルコール系樹脂のうちの低融点ポリビニルアルコール系樹脂(A)と高融点ポリビニルアルコール系樹脂(B)の融点差が30~70℃であり、前記ポリビニルアルコール系樹脂組成物の融点が160~200℃であるポリビニルアルコール系樹脂組成物。
続きを表示(約 440 文字)【請求項2】
前記低融点ポリビニルアルコール系樹脂(A)の融点が160~195℃であり、前記高融点ポリビニルアルコール系樹脂(B)の融点が200~230℃である、請求項1に記載のポリビニルアルコール系樹脂組成物。
【請求項3】
前記ポリビニルアルコール系樹脂組成物を40℃/minで250℃から-50℃まで冷却処理をした後、5℃/minで昇温した際に発生する冷結晶化の熱量が14J/g以下である、請求項1に記載のポリビニルアルコール系樹脂組成物。
【請求項4】
前記低融点ポリビニルアルコール系樹脂(A)が、側鎖に一級水酸基を含有するポリビニルアルコール系樹脂である、請求項1に記載のポリビニルアルコール系樹脂組成物。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載のポリビニルアルコール系樹脂組成物からなるフィルム又はシート。
【請求項6】
請求項5に記載のフィルム又はシートを少なくとも1層含む多層構造体。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、溶融成形性に優れたポリビニルアルコール系樹脂組成物(以下、ポリビニルアルコールを「PVA」ともいう。)及び当該樹脂組成物を用いた積層体に関する。
続きを表示(約 1,600 文字)【背景技術】
【0002】
プラスチックは、成形性、強度、耐水性、透明性等に優れることから、包装材料として広く使用されている。かかる包装材料に用いられるプラスチックとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル等のビニル系樹脂、ポリエチレンテレフタレート等の芳香族ポリエステル系樹脂が挙げられる。しかしながら、これらのプラスチックは生分解性に乏しく、使用後に自然界に投棄されると、長期間残存して景観を損ねたり、環境破壊の原因となる場合がある。
【0003】
これに対し、近年、土中や水中で生分解、あるいは加水分解され、環境汚染の防止に有用である生分解性樹脂が注目され、実用化が進められている。かかる生分解性樹脂としては、脂肪族ポリエステル系樹脂、酢酸セルロース、変性でんぷん等が知られている。包装材料としては、透明性、耐熱性、強度に優れることから、ポリ乳酸、アジピン酸/テレフタル酸/1,4-ブタンジオールの縮重合物、コハク酸/1,4-ブタンジオール/乳酸の縮重合物等が用いられている。
【0004】
しかしながら、ポリ乳酸等の脂肪族ポリエステル系樹脂は酸素ガスバリア性が不充分であるため、単独では、食品や薬品等の酸化劣化のおそれがある内容物の包装材料として用いることはできない。そこで、ポリ乳酸等の脂肪族ポリエステル系樹脂とPVA系樹脂とを共押出成形等によって積層して積層体とすることがなされている。
【0005】
一般的に生分解性ポリエステルは140~170℃の温度域で成形するが、一方でPVA系樹脂は185℃~220℃の温度域で成形を行うことが知られている。(例えば、特許文献1、特許文献2などに記載されている。)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
特開2006-312313号公報
特開2009-196287号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
低融点のPVA系樹脂を用いれば低温溶融成形は可能である。しかし、低融点のPVA系樹脂は冷却過程の結晶化速度が遅く、結晶化度が低くなるため、昇温過程で冷結晶化が発生してしまう。冷結晶化とは昇温時にガラス転移温度以上の過冷却液体状態から結晶が生成する現象である。冷結晶化の発生により、溶融成形時において押出機の温度プロファイルの最適化が困難となり、ペレットのフィード不良や成形不良が発生するという課題がある。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、溶融成形性に優れたPVA系樹脂組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明らは、低融点のポリビニルアルコール系樹脂に該ポリビニルアルコール系樹脂よりも融点の高い高融点のポリビニルアルコール系樹脂を添加することで、融点上昇を抑制し、且つ冷却過程の結晶化速度が速くなり、昇温過程の冷結晶化を抑制できるという知見を得た。そしてこのようなポリビニルアルコール系樹脂組成物は、低温溶融成形時において押出機の温度プロファイルの最適化が容易となり、ペレットのフィード性や成形性を改善できることを見い出した。
【0010】
すなわち、本発明者らは、融点の異なる2種以上のポリビニルアルコール系樹脂を含むポリビニルアルコール系樹脂組成物であって、この2種以上のポリビニルアルコール系樹脂のうちの低融点ポリビニルアルコール系樹脂(A)と高融点ポリビニルアルコール系樹脂(B)の融点差が30~70℃であり、融点が160~200℃であるポリビニルアルコール系樹脂組成物が、溶融成形性を向上できることを見出し、本発明を完成した。
(【0011】以降は省略されています)

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