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公開番号
2024140758
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-10-10
出願番号
2023052080
出願日
2023-03-28
発明の名称
バクテリオファージ、及びそれを含む組成物
出願人
日本ハム株式会社
,
学校法人酪農学園
代理人
個人
,
個人
,
個人
,
個人
,
個人
,
個人
主分類
C12N
7/00 20060101AFI20241003BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約
【課題】抗生物質によらない、大腸菌症、特に新生期大腸菌下痢及び離乳後大腸菌下痢の予防、治療、又は軽減方法の提供を目的とする。
【解決手段】大腸菌症、特に新生期大腸菌下痢及び離乳後大腸菌下痢の原因菌となるF4陽性大腸菌に特異的に感染し、増殖を抑制可能なバクテリオファージをスクリーニングし、さらに家畜体内で作用可能な耐酸性を有するバクテリオファージを単離したことで、大腸菌症の予防、治療、又は軽減が可能になる。
【選択図】図2
特許請求の範囲
【請求項1】
F4陽性大腸菌の増殖抑制効果を有する、受託番号NITE P-03797又はNITE P-03798で寄託されたバクテリオファージ、その原株、又はそれらの継代株。
続きを表示(約 590 文字)
【請求項2】
前記増殖抑制効果が、F4陽性大腸菌特異的な増殖抑制効果である、請求項1に記載のバクテリオファージ、その原株、又はそれらの継代株。
【請求項3】
前記バクテリオファージ、その原株、又はそれらの継代株がF4陽性大腸菌の増殖を抑制する一方、F18陽性大腸菌の増殖抑制効果が低い、請求項1に記載のバクテリオファージ、その原株、又はそれらの継代株。
【請求項4】
請求項1に記載のバクテリオファージ、その原株、又はそれらの継代株を含む、バクテリオファージ組成物。
【請求項5】
大腸菌症の治療、予防、又は軽減用の請求項4に記載のバクテリオファージ組成物。
【請求項6】
F4陽性大腸菌防除用の請求項4に記載のバクテリオファージ組成物。
【請求項7】
食品添加物、家畜用飼料添加物、ペット飼料用添加物、非ヒト動物用医薬品、殺菌剤、及び消毒剤からなる群から選択されるいずれかである、請求項4に記載のバクテリオファージ組成物。
【請求項8】
非ヒト動物における大腸菌症の治療、予防、又は軽減方法であって、請求項4に記載のバクテリオファージ組成物を投与することを含む、前記方法。
【請求項9】
バクテリオファージ組成物が経口投与により投与される、請求項8に記載の方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、病原性大腸菌を溶菌するバクテリオファージ、当該バクテリオファージを含む組成物、及び当該バクテリオファージ又は組成物を利用する方法に関する。
続きを表示(約 3,300 文字)
【背景技術】
【0002】
大腸菌は、動物の腸管に存在しており、大半は無害であり、腸内の微生物叢の一部を構成する。一方で、一部の大腸菌には毒性を有する株があり、そのような大腸菌株は、とくに病原性大腸菌と呼ばれている。病原性大腸菌は、下痢や胃腸炎などの大腸菌症を引き起こし、死に至らしめることもある。畜産分野においても、病原性大腸菌感染により下痢や死亡が生じるため、生産性を低下させる要因となる。哺乳期、離乳期、育成~肥育期の全ての段階において、病原性大腸菌による大腸菌症が生じうる。大腸菌症は、哺乳期では新生期大腸菌下痢、離乳期では離乳後大腸菌下痢、育成期及び肥育期では浮腫病(志賀毒素血症)と分類される。特に哺乳期や離乳期では死亡に繋がることが多く、また育成期や肥育期では増体速度が減少してしまう。したがって、病原性大腸菌が蔓延しないよう管理が必要とされている。適正な衛生管理や、ブタ免疫用のワクチンを使用することで、病原性大腸菌の管理なされているが、それだけでは完全な管理が難しく、抗生物質が使用されている。しかしながら、抗生物質を定常的に用いることにより、畜産現場では薬剤耐性菌の増加が問題となっている。畜産現場で発生した薬剤耐性菌は、環境中に拡散されてしまい、ヒトに伝播する可能性が指摘されている。また、薬剤耐性菌の増加は、ヒトの医療現場で抗生物質による治療が難しくなるという問題を引き起こしている。また、抗生物質は、有用な腸内細菌までも死滅させてしまい、適切な腸内環境を維持できないという問題も引き起こしている。
【0003】
大腸菌の管理のために、バクテリオファージを利用する方法が注目されている。バクテリオファージは、細菌や古細菌に感染するウイルスであり、バクテリオファージが感染した細菌は溶菌を引き起こす。バクテリオファージは、細菌や古細菌にしか感染せず、特定の細菌のみに感染するという性質を有することから、抗生物質の代替としてヒトへの使用も研究されている。バクテリオファージ自体は、環境中に普遍的に存在しており、家畜や人体に対して感染力はなく、無害である。バクテリオファージを用いて病原性大腸菌を効率的に予防及び治療するという試みがされている(特許文献1:特許6059827号、特許文献2:特表2017-518036号公報)。また、サルモネラ症を引き起こすサルモネラ属細菌に対するバクテリオファージも研究が行われている(特許文献3:特許6112961号)。大腸菌に感染するバクテリオファージであっても、任意の大腸菌に感染するわけではない。バクテリオファージは、大腸菌の表面に存在するタンパク質、とくに接着因子を足掛かりに感染を引き起こすため、膜タンパク質や接着因子が異なる大腸菌では、その感染性が異なる。
【0004】
一方で、毒素原性大腸菌(ETEC)により生じる大腸菌症は、単に毒素を排出する大腸菌が存在することで生じるわけではない。毒素を排出する大腸菌が、腸管上皮に吸着されることで大腸菌症が生じる。ブタにおいて、新生期大腸菌下痢を引き起こす大腸菌は、接着因子として、F4、F5、F6、又はF41を発現することが特定されている。その一方、離乳後大腸菌下痢を引き起こす大腸菌は、接着因子としてF4又はF18を発現し、育成期以降の浮腫病を引き起こす大腸菌はF18を発現する。このように大腸菌症を引き起こす大腸菌の種類は、成長期に伴って変遷する。これは、成長と共に、これらの接着因子が結合する小腸のレセプターの発現が変動しているためである。したがって、母豚にF抗原を免疫することにより、初乳を介してF抗原を不活性化することで、新生期大腸菌下痢を予防することが可能になってきている。一方で、離乳期に定着するF4又はF18を有する大腸菌に対しては、母乳による不活化が期待できない一方で、ワクチン接種による予防が難しいという問題がある。そこで、特定の接着因子を有する病原性大腸菌に対して、特異的に感染性を有するバクテリオファージの開発が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特許第6059827号公報
特表2017-518036号公報
特許第6112961号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
大腸菌症の原因菌となる病原性大腸菌に感染し、増殖を抑制可能なバクテリオファージを取得することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、大腸菌症の原因菌となる病原性大腸菌に感染し、増殖を抑制可能なバクテリオファージを取得すべく鋭意研究を行ったところ、接着因子F4を有する大腸菌に特異的に感染するバクテリオファージを単離し、発明に至った。
そこで本発明は以下に関する:
[1] F4陽性大腸菌の増殖抑制効果を有する、受託番号NITE P-03797又はNITE P-03798で寄託されたバクテリオファージ、その原株、又はそれらの継代株。
[2] 前記増殖抑制効果が、F4陽性大腸菌特異的な増殖抑制効果である、項目1に記載のバクテリオファージ、その原株、又はそれらの継代株。
[3] 前記バクテリオファージ、その原株、又はそれらの継代株がF4陽性大腸菌の増殖を抑制する一方、F18陽性大腸菌の増殖抑制効果が低い、項目1又は2に記載のバクテリオファージ、その原株、又はそれらの継代株。
[4] 項目1~3のいずれか一項に記載のバクテリオファージ、その原株、又はそれらの継代株を含む、バクテリオファージ組成物。
[5] 大腸菌症の治療、予防、又は軽減用の項目4に記載のバクテリオファージ組成物。
[6] F4陽性大腸菌防除用の項目4に記載のバクテリオファージ組成物。
[7] 食品添加物、家畜用飼料添加物、ペット飼料用添加物、非ヒト動物用医薬品、殺菌剤、及び消毒剤からなる群から選択されるいずれかである、項目4に記載のバクテリオファージ組成物。
[8] 非ヒト動物における大腸菌症の治療、予防、又は軽減方法であって、項目4に記載のバクテリオファージ組成物を投与することを含む、前記方法。
[9] バクテリオファージ組成物が経口投与により投与される、項目8に記載の方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係るバクテリオファージ、その原株、又はそれらの継代株は、接着因子F4を有する大腸菌の増殖を抑制する。これにより、接着因子F4を有する大腸菌が引き起こす大腸菌症を予防、治療又は軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1は、14か所の畜産場の農場原水から取得されスクリーニングされた受託番号NITE P-03797又は受託番号NITE P-03798で寄託されたバクテリオファージの様々な種の大腸菌株に対する増殖抑制効果(PI)を示すグラフである。
受託番号NITE P-03797又は受託番号NITE P-03798で寄託されたバクテリオファージの耐酸性を示すグラフである。
受託番号NITE P-03797又は受託番号NITE P-03798で寄託されたバクテリオファージのF4陽性大腸菌に対する増殖抑制効果(PI)を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、受託番号NITE P-03797又はNITE P-03798で寄託されたバクテリオファージ、その原株、又はそれらの継代株(以下、本発明に係るバクテリオファージとする)に関する。また、本発明に係るバクテリオファージを含む組成物、並びに当該組成物を投与することを含む、大腸菌症の予防、治療又は軽減方法、或いは当該組成物を散布することを含む、大腸菌症の殺菌、防除又は抑制方法にも関する。
(【0011】以降は省略されています)
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