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公開番号2024130570
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-09-30
出願番号2023040389
出願日2023-03-15
発明の名称金属酸化物、酸素透過膜及び酸素分離装置
出願人三菱ケミカル株式会社
代理人個人,個人,個人
主分類C01G 49/00 20060101AFI20240920BHJP(無機化学)
要約【課題】熱膨張率が実用上支障のない程度に抑えられながら、より低温で高い酸素透過速度を示す複合酸化物とこれを用いた酸素透過膜及び酸素分離装置を提供する。
【解決手段】下記式(a)で表される金属酸化物。
Ba(4-p)CaqFe(3-r)MsO(9+t) …(a)
但し、上記式(a)において、MはFeを除く遷移金属元素を表し、少なくとも2価又は3価である遷移金属元素からなる群より選択される1種以上の元素を含み、p、q、r、sは下記式(p1)~(x1)を満たし、tは下記式(t1)を満たす。
-1≦p≦1(p1)、0<q≦2(q1)、-1<r≦1.5(r1)、0<s≦1.5(s1)、0≦p+q+r+s≦4(x1)、-1≦t≦4(t1)。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
下記式(a)で表される金属酸化物。
Ba
(4-p)
Ca

Fe
(3-r)



(9+t)
…(a)
但し、上記式(a)において、MはFeを除く遷移金属元素を表し、少なくとも2価又は3価である遷移金属元素からなる群より選択される1種以上の元素を含み、p、q、r、sは下記式(p1)~(x1)を満たし、tは下記式(t1)を満たす。
-1≦p≦1 ・・・(p1)
0<q≦2 ・・・(q1)
-1<r≦1.5 ・・・(r1)
0<s≦1.5 ・・・(s1)
0≦p+q+r+s≦4 ・・・(x1)
-1≦t≦4 ・・・(t1)
続きを表示(約 1,200 文字)【請求項2】
前記2価又は3価である遷移金属元素からなる群が、Co、Ni、Cu、Zn、Al、Sc、Ga、Y及びInからなる群である、請求項1に記載の金属酸化物。
【請求項3】
前記2価又は3価である遷移金属元素からなる群が、Ni、Al及びGaからなる群である、請求項1に記載の金属酸化物。
【請求項4】
前記式(a)におけるMが、5価である遷移金属元素からなる群より選択される1種以上の元素をさらに含む、請求項1に記載の金属酸化物。
【請求項5】
前記5価である遷移金属元素からなる群が、V、Nb及びTaからなる群である、請求項4に記載の金属酸化物。
【請求項6】
前記Mが、Niと、Nb及びTaの一方又は両方である、請求項5に記載の金属酸化物。
【請求項7】
前記式(a)におけるpが下記式(p2)を満たし、qが下記式(q2)を満たし、rが下記式(r1)を満たし、sが下記式(s2)を満たし、tが下記式(t2)を満たす、請求項1に記載の金属酸化物。
-0.8≦p≦0.8 ・・・(p2)
0.1≦q≦1.5 ・・・(q2)
0.05≦r≦1.2 ・・・(r2)
0.01<s≦1.2 ・・・(s2)
-0.5≦t≦3 ・・・(t2)
【請求項8】
相対密度が90%以上の焼結体である、請求項1~7のいずれか一項に記載の金属酸化物。
【請求項9】
下記条件(a)及び(b)を満たす、請求項8に記載の金属酸化物。
(a)一次側の酸素分圧を21.3kPa、二次側の酸素分圧を0.2kPa、厚みを1mmとした場合に換算した450℃における酸素透過速度をJ
O2
(mol・s
-1
・cm
-2
)とした際、log(J
O2
)が-8.1以上。
(b)3℃/分で昇温させた際のアルミナを基準とした50℃と450℃の伸張率差に基づく線熱膨張率が10(ppm/℃)以下。
【請求項10】
下記条件(a)及び(b)を満たす金属酸化物。
(a)一次側の酸素分圧を21.3kPa、二次側の酸素分圧を0.2kPa、厚みを1mmとした場合に換算した450℃における酸素透過速度をJ
O2
(mol・s
-1
・cm
-2
)とした際、log(J
O2
)が-8.1以上。
(b)3℃/分で昇温させた際のアルミナを基準とした50℃と450℃の伸張率差に基づく線熱膨張率が10(ppm/℃)以下。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、金属酸化物、酸素透過膜及び酸素分離装置に関する。
続きを表示(約 3,200 文字)【背景技術】
【0002】
高純度酸素や酸素富化空気は、化学プラントや発電所、製鉄プロセス、自動車や船舶の内燃機関、医療用ガスなど多岐に渡って利用され、需要が高まっている。
高純度酸素や酸素富化空気を製造するための酸素分離および濃縮技術としては、膜分離法があり、選択的に酸素のみを透過させる種々の無機酸化物膜が提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1では、SrやCoを含んだペロブスカイト型の複合酸化物が、850℃程度の温度域で高い酸素透過速度を示すことが開示されている。
また、特許文献2では、SrやCoを含んだペロブスカイト型の複合酸化物において、SrやCoの一部を異種金属で置換することで、600℃程度に作動温度を低下させた技術が開示されている。
【0004】
一方、ペロブスカイト型の複合酸化物は、酸素吸蔵脱着材料としても利用されている。酸素吸蔵脱着材料としては、例えば、ブラウンミラライト型結晶構造のマンガン酸化物(特許文献3)、希土類元素とアルカリ土類金属を含む金属酸化物(特許文献4)、Ba、Ca、Feを含む酸素欠損型の金属酸化物(特許文献5)等が知られている。なお、以下において、Ba、Ca、Feを含む酸素欠損型の金属酸化物を、BCFOと称する場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特開2001-269555号公報
特開2014-188479号公報
特許第5773350号公報
特許第6724487号公報
国際公開第2022/050356号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述のように、特許文献2の複合酸化物によれば、作動温度が600℃程度に低下した酸素透過膜とすることができる。しかしながら、近年では、高純度酸素や酸素富化空気製造技術の低コスト化、低環境負荷化を目指し、より低温で高い酸素透過速度を示す複合酸化物が求められている。
【0007】
また、酸素透過膜として使用するためには、熱膨張率を制御する必要がある。熱膨張率が大きい場合、熱膨張や熱収縮に伴って酸素透過膜の強度が低下したり、酸素以外の流体の漏れ等が発生したりするため、実用上支障をきたすからである。
本発明者らは従来酸素吸蔵脱着材料として知られていた特許文献3~5の複合酸化物を、酸素透過膜として使用できないかについて検討した。
【0008】
その結果、特許文献3、4の複合酸化物によっては、より低温で高い酸素透過速度を示す酸素透過膜を得られないことがわかった。
また、特許文献5の複合酸化物による酸素透過膜は、より低温で高い酸素透過速度を示すものの、熱膨張率が大きく実用上問題があることがわかった。
本発明の目的は熱膨張率が実用上支障のない程度に抑えられながら、より低温で高い酸素透過速度を示す複合酸化物とこれを用いた酸素透過膜及び酸素分離装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、以下の[1]から[14]である。
[1] 下記式(a)で表される金属酸化物。
Ba
(4-p)
Ca

Fe
(3-r)



(9+t)
…(a)
但し、上記式(a)において、MはFeを除く遷移金属元素を表し、少なくとも2価又は3価である遷移金属元素からなる群より選択される1種以上の元素を含み、p、q、r、sは下記式(p1)~(x1)を満たし、tは下記式(t1)を満たす。
-1≦p≦1 ・・・(p1)
0<q≦2 ・・・(q1)
-1<r≦1.5 ・・・(r1)
0<s≦1.5 ・・・(s1)
0≦p+q+r+s≦4 ・・・(x1)
-1≦t≦4 ・・・(t1)
[2] 前記2価又は3価である遷移金属元素からなる群が、Co、Ni、Cu、Zn、Al、Sc、Ga、Y及びInからなる群である、[1]に記載の金属酸化物。
[3] 前記2価又は3価である遷移金属元素からなる群が、Ni、Al及びGaからなる群である、[1]に記載の金属酸化物。
[4] 前記式(a)におけるMが、5価である遷移金属元素からなる群より選択される1種以上の元素をさらに含む、[1]~[3]のいずれかに記載の金属酸化物。
[5] 前記5価である遷移金属元素からなる群が、V、Nb及びTaからなる群である、[4]に記載の金属酸化物。
[6] 前記Mが、Niと、Nb及びTaの一方又は両方である、[5]に記載の金属酸化物。
[7] 前記式(a)におけるpが下記式(p2)を満たし、qが下記式(q2)を満たし、rが下記式(r1)を満たし、sが下記式(s2)を満たし、tが下記式(t2)を満たす、[1]~[6]のいずれかに記載の金属酸化物。
-0.8≦p≦0.8 ・・・(p2)
0.1≦q≦1.5 ・・・(q2)
0.05≦r≦1.2 ・・・(r2)
0.01<s≦1.2 ・・・(s2)
-0.5≦t≦3 ・・・(t2)
[8] 相対密度が90%以上の焼結体である、[1]~[7]のいずれかに記載の金属酸化物。
[9] 下記条件(a)及び(b)を満たす、[8]に記載の金属酸化物。
(a)一次側の酸素分圧を21.3kPa、二次側の酸素分圧を0.2kPa、厚みを1mmとした場合に換算した450℃における酸素透過速度をJ
O2
(mol・s
-1
・cm
-2
)とした際、log(J
O2
)が-8.1以上。
(b)3℃/分で昇温させた際のアルミナを基準とした50℃と450℃の伸張率差に基づく線熱膨張率が10(ppm/℃)以下。
[10] 下記条件(a)及び(b)を満たす金属酸化物。
(a)一次側の酸素分圧を21.3kPa、二次側の酸素分圧を0.2kPa、厚みを1mmとした場合に換算した450℃における酸素透過速度をJ
O2
(mol・s
-1
・cm
-2
)とした際、log(J
O2
)が-8.1以上。
(b)3℃/分で昇温させた際のアルミナを基準とした50℃と450℃の伸張率差に基づく線熱膨張率が10(ppm/℃)以下。
[11] [8]又は[9]に記載の金属酸化物の層を有する酸素透過膜。
[12] 前記金属酸化物の層が支持体上に保持された[11]に記載の酸素透過膜。
[13] 中空糸状とされた[11]に記載の酸素透過膜。
[14] 前記[11]~[13]のいずれかに記載の酸素透過膜を備える酸素分離装置。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、熱膨張率が実用上支障のない程度に抑えられながら、より低温で高い酸素透過速度を示す複合酸化物とこれを用いた酸素透過膜及び酸素分離装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
(【0011】以降は省略されています)

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