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公開番号
2024130180
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-09-30
出願番号
2023039760
出願日
2023-03-14
発明の名称
グラフェンの製造方法
出願人
国立大学法人高知大学
代理人
弁理士法人眞久特許事務所
主分類
C01B
32/184 20170101AFI20240920BHJP(無機化学)
要約
【課題】 リグニンから簡便な工程により温和な条件で収率良く高品質のグラフェンを製造する方法を提供する。
【解決手段】 グラフェンの製造方法は、リグニンと、ヒドロキシアミン及び/又はヒドロキシアミン存在下の第一鉄イオン、並びにヒドロキシアミン及び/又はヒドロキシアミン存在下又は非存在下のコバルトイオン及びニッケルイオンから選ばれる金属イオンを含有する金属塩水溶液とを所定のpHで混合し、前記リグニンに前記金属イオンを担持させた金属イオン担持リグニンの懸濁液にする担持工程と、前記懸濁液に振とうを施して、前記金属イオン担持リグニンを攪拌し、金属イオン担持リグニン分散液にする攪拌工程と、前記金属担持リグニン分散液を凍結乾燥して、金属イオン担持リグニン凍結乾燥物にする凍結乾燥工程と、前記金属イオン担持リグニン凍結乾燥物に不活性ガスの雰囲気下で加熱を施し、グラフェンを生成する生成工程とを有する。
【選択図】なし
特許請求の範囲
【請求項1】
リグニンと、還元剤存在下の第一鉄イオン、並びに還元剤存在下又は非存在下のコバルトイオン及びニッケルイオンから選ばれる少なくとも何れかの金属イオンを含有する金属塩水溶液とを所定のpHで混合し、前記リグニンに前記金属イオンを担持させた金属イオン担持リグニンの懸濁液にする担持工程と、
前記懸濁液に振とうを施して、前記金属イオン担持リグニンを攪拌し、金属イオン担持リグニン分散液にする攪拌工程と、
前記金属担持リグニン分散液を凍結乾燥して、金属イオン担持リグニン凍結乾燥物にする凍結乾燥工程と、
前記金属イオン担持リグニン凍結乾燥物に不活性ガスの雰囲気下で加熱を施し、グラフェンを生成する生成工程とを
有することを特徴とするグラフェンの製造方法。
続きを表示(約 840 文字)
【請求項2】
前記還元剤が、ヒドロキシアミン及び/又はヒドロキシアミン塩であることを特徴とする請求項1に記載のグラフェンの製造方法。
【請求項3】
前記担持工程中、前記リグニンに対して、前記金属イオン含有水溶液中の金属イオン濃度を0.01mmol/g~1.0mmol/gとすることを特徴とする請求項1に記載のグラフェンの製造方法。
【請求項4】
前記担持工程中、前記リグニンに対して、前記ヒドロキシアミン及び/又はヒドロキシアミン塩を質量比で10倍~10分の1の量とすることを特徴とする請求項2に記載のグラフェンの製造方法。
【請求項5】
前記担持工程中、前記懸濁液中のpHを11~8に調整することを特徴とする請求項1に記載のグラフェンの製造方法。
【請求項6】
前記担持工程中、及び/又は前記攪拌工程中、前記金属イオン担持リグニンの平均粒子径が、50~1150nmであることを特徴とする請求項1に記載のグラフェンの製造方法。
【請求項7】
前記攪拌工程中、前記振とうが1000~3000rpmで1~3時間の攪拌、又は超音波処理で1~3時間の超音波振とうであることを特徴とする請求項1に記載のグラフェンの製造方法。
【請求項8】
前記生成工程中、前記不活性ガスが、アルゴン及び/又は窒素であって、前記加熱が800~1300℃であることを特徴とする請求項1に記載のグラフェンの製造方法。
【請求項9】
前記リグニンが、アルカリリグニン、クラフトリグニン、及びリグノスルホン酸塩から選ばれる何れかであることを特徴とする請求項1に記載のグラフェンの製造方法。
【請求項10】
前記リグニン中、炭素40~60質量%に対し、ナトリウムイオンを50質量%未満、かつカリウムイオンを10質量%未満とすることを特徴とする請求項1に記載のグラフェンの製造方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、リグニンに鉄などの金属イオンを担持させて、グラフェンへと誘導するグラフェンの製造方法に関するものである。
続きを表示(約 1,800 文字)
【背景技術】
【0002】
リグニンは、セルロース、ヘミセルロースと同じく木材の構成成分の一つであって木材の主成分の約3割を占め、地球上に最も豊富に存在する芳香族高分子である。リグニンは、放置された間伐材のような林地残材の他、製紙・パルプの生産において排出される黒液中に多く含有され、またバイオエタノールの製造工程の副生成物としても得られる。リグニンの生産量は、現在、世界で年間5000万~7000万トン以上と言われているが、2030年までに年間2億2500万トンまで増加すると予想されている。
【0003】
従来、排出されたリグニンは、燃料としての再利用(サーマルリサイクル)が主であった。しかし、リグニンは、安価で、高い炭素含有率を有し、高い熱的安定性、良好な剛性等の特長を備え、重金属イオンとの優れた親和性、抗酸化活性を有するという特性を有することから、近年、これら特性を利用して、強化充填剤(フィラー)、抗酸化活性を生かした抗菌剤、重金属の吸着材など、各種材料(マテリアルリサイクル)に変換して実用化されるようになってきている。
【0004】
最近では、リグニンの高い炭素含有率に注目して、リグニンを炭素源としたカーボン材料の生成についても多数研究が行われている。カーボン材には、炭素構造が円筒状に結合したカーボンナノチューブ、球状に結合したフラーレン、炭素原子がsp
2
結合による六角格子を形成した原子一層分の厚さの物質であるグラフェン、グラフェン構造が層状に重なり合ったグラファイト(黒鉛)等が代表的である。カーボン材料の特長として、電気伝導性、熱伝導性、機械的強度、化学的安定性及び高い表面積などの特性を有する。
【0005】
このようなカーボン材として、非特許文献1では、水溶性のアルカリリグニンを超純水に添加し凍結乾燥させたリグニン粉末をアルゴン雰囲気下900℃でカーボン化して、リグニンシートを生成したことが開示されている。このリグニンシートは、高い電気容量で良好なサイクル安定性を示したことから、3電極スーパーキャパシタへ応用できる可能性が示されている。
【0006】
また、非特許文献2では、リグニンを水酸化カリウム(KOH)水溶液に添加し凍結乾燥させた多孔性リグニンを窒素雰囲気下250℃で熱安定化させた後、700℃でカーボン化を行うことで、カーボンナノ粒子を生成させたことが開示されている。このカーボンナノ粒子は、KOHの添加濃度によって粒子サイズに大きく影響することが示されている。
【0007】
また、非特許文献3では、リグニンスルホン酸ナトリウムとKOHを混合し、脱イオン水に添加しスプレー乾燥させたリグニン球形混合物を窒素雰囲気下700℃で熱処理して、多孔質カーボン球を生成したことが開示されている。この多孔質カーボン球は、優れたエネルギー貯蔵率を示し、電気容量保持率が高かったことから、電気二重層キャパシタへ応用できることが示されている。
【0008】
さらに、非特許文献4では、アルカリリグニンを空気中200℃で酸化、アルゴン雰囲気下1350℃でカーボン化を行うことによってハードカーボンを生成したことが開示されている。このハードカーボンは、速度能力が良好でサイクル性能が安定だったことから、ナトリウムイオンバッテリーのアノードとして応用できることが示されている。
【0009】
カーボン材料の中でもグラフェンは、優れた電気伝導性及び機械的強度を備えた魅力的な二次元材料であり、スーパーキャパシタとしての利用が研究されている。スーパーキャパシタは、化学反応を利用する二次電池とは異なり、静電的に電気を蓄えることが可能であるため充放電による劣化が起きにくく、また急速充電が可能である点から次世代の材料として期待されている。しかし、グラフェンの二次元平面構造が凝集し積層してグラファイト構造になり易いため、グラフェンの生成は困難であるという欠点がある。
【0010】
非特許文献5には、グラファイトを粘着テープで剥離させ、グラフェンを単離するといScotch Tape法が開示されている。この方法では、高純度なグラフェンを得ることができるが、剥離工程が律速となり大量のグラフェンを生成することが困難である。
(【0011】以降は省略されています)
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