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公開番号2024127551
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-09-20
出願番号2023036768
出願日2023-03-09
発明の名称高純度シリカ微粒子分散液の製造方法、および高純度シリカ微粒子分散液
出願人日揮触媒化成株式会社
代理人弁理士法人樹之下知的財産事務所
主分類C01B 33/141 20060101AFI20240912BHJP(無機化学)
要約【課題】従来の製造方法に見られた煩雑な問題を解決できる高純度シリカ微粒子分散液の製造方法を提供すること。
【解決手段】工程1から工程3までを含む、高純度シリカ微粒子分散液の製造方法。
(工程1)
珪酸ナトリウム水溶液(SiO2濃度2質量%以上7質量%以下の範囲)に、無機酸などを添加し混合し、続いて陽イオン交換処理を行って、pH1.5以上2.5以下の範囲の酸性珪酸液を得る工程。
(工程2)
前記工程1で得られた酸性珪酸液に、キレートイオン交換処理を行い、続いて陽イオン交換処理を行うことにより精製酸性珪酸液を得る工程。
(工程3)
前記工程2で得られた精製酸性珪酸液の一部に、水酸化アルカリ水溶液を添加した後に、加熱し、所定温度で所定時間保持し、さらに、前記工程2で得られた精製酸性珪酸液の別の一部を、所定の添加速度にて添加して、高純度シリカ微粒子分散液を得る工程。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
下記工程1から工程3までを含む、高純度シリカ微粒子分散液の製造方法。
(工程1)
珪酸ナトリウム水溶液(SiO

濃度2質量%以上7質量%以下の範囲)に、無機酸または無機酸塩を添加し混合し、続いて陽イオン交換処理を行って、pH1.5以上2.5以下の範囲の酸性珪酸液を得る工程。
(工程2)
前記工程1で得られた酸性珪酸液に、キレートイオン交換処理を行い、続いて陽イオン交換処理を行うことにより精製酸性珪酸液を得る工程。
(工程3)
前記工程2で得られた精製酸性珪酸液の一部に、水酸化アルカリ水溶液を添加し、pH10以上13以下の範囲に調整した後に、温度50℃以上98℃以下で加熱し、温度50℃以上98℃以下の範囲の温度を20分間以上保持し、さらに、前記工程2で得られた精製酸性珪酸液の別の一部を、添加速度0.001g/min・g以上0.5g/min・g以下(シリカ固形分換算)の範囲の添加速度にて添加し、併せてpH調整剤を同時添加してなる高純度シリカ微粒子分散液を得る工程。
続きを表示(約 1,200 文字)【請求項2】
前記工程1において、前記珪酸ナトリウム水溶液に前記無機酸または無機酸塩を添加し混合する際に、スタティックミキサーを用いて混合し、その際、下記数式(F1)で表される混合ファクター(B)の値が1,000以上1,000,000以下の範囲である、請求項1に記載の高純度シリカ微粒子分散液の製造方法。
B=Re×n ・・・(F1)
(B:スタティックミキサーの混合ファクター、n:スタティックミキサーのエレメント数、Re:レイノルズ数)
【請求項3】
前記陽イオン交換処理を、下記数式(F2)で表される反応ファクター(A)の値が13以上225以下の範囲を満たすようにして行う、請求項1または請求項2に記載の高純度シリカ微粒子分散液の製造方法。
A=p×s×t ・・・(F2)
(p:前記工程1で調製した酸性珪酸液のpHと、前記工程2の陽イオン交換処理前の酸性珪酸液のpHの平均値、
s:前記工程1および前記工程2での各イオン交換処理にて、通液させる際の空間速度(単位:h
-1
)の平均値、
t:前記工程1および前記工程2での各イオン交換処理にて、通液させる前の液の温度(単位:℃)の平均値)
【請求項4】
前記数式(F2)において、pの値が1.5以上2.5以下の範囲であり、sの値が2h
-1
以上6h
-1
以下の範囲であり、tの値が3℃以上18℃以下の範囲である、請求項3に記載の高純度シリカ微粒子分散液の製造方法。
【請求項5】
前記工程2で得られた精製酸性珪酸液において、シリカ固形分に対して、Al濃度が5ppm以上80ppm以下であり、Ti濃度が5ppm以上80ppm以下であり、Fe濃度が1ppm以上20ppm以下であり、Ca濃度が1ppm以上8ppm以下であり、Na濃度が1ppm以上20ppm以下であり、Mg濃度が0.2ppm以上4ppm以下であり、Cr濃度が0.05ppm以上1ppm以下であり、Ni濃度が1ppm未満であり、Cu濃度が1ppm未満であり、Zn濃度が1ppm未満である(但し、これらの金属の合計量は140ppm以下に限られる。)、求項1または請求項2に記載の高純度シリカ微粒子分散液の製造方法。
【請求項6】
シリカ固形分に対して、Al濃度が5ppm以上80ppm以下であり、Ti濃度が5ppm以上80ppm以下であり、Fe濃度が1ppm以上20ppm以下であり、Ca濃度が1ppm以上8ppm以下であり、Na濃度が1ppm以上20ppm以下であり、Mg濃度が0.2ppm以上4ppm以下であり、Cr濃度が0.05ppm以上1ppm以下であり、Ni濃度が1ppm未満であり、Cu濃度が1ppm未満であり、Zn濃度が1ppm未満である(但し、これらの金属の合計量は140ppm以下に限られる。)、高純度シリカ微粒子分散液。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、シリカ微粒子分散液(シリカゾル)、特に高純度シリカ微粒子分散液(高純度シリカゾル)の製造方法に関する。
続きを表示(約 2,900 文字)【背景技術】
【0002】
従来、実質的に金属不純物を含まないシリカゾルが提案されており、このような高純度シリカゾルは、例えば半導体シリコンウェハなどの電子材料の研磨剤として好ましく利用することができる。シリカゾル中に金属不純物を含むと、研磨加工時に金属不純物がウェハ内部に拡散し、ウェハ品質が劣化する。そして、このようなウェハを用いて形成された半導体デバイスの性能は著しく低下する。
高純度なシリカゾルの製造方法としては、極力不純物を抑制させる手段として、精製したシリコンアルコキシドを原料としてシリカゾルを合成する製造方法が広く知られている。しかしながら、この製造方法の場合、原料のシリコンアルコキシド(アルコキシシラン)が高価なため、そのような製造方法で得られたシリカゾルの利用は、例えば、付加価値の高い用途や特殊な用途などに限定されていた(特許文献1参照)。
高純度なシリカゾルの別の製造方法としては、珪酸アルカリと鉱酸による湿式反応でシリカゲルを合成し、さらに水酸化第四アンモニウム水溶液を作用させる工程を含むシリカゾルの製造方法が知られている。しかしながら、この製造方法の場合、シリカゲルの調製工程において、キレート剤および過酸化水素を含む酸濃度1規定以上の酸性領域中でシリカゲルを沈殿生成させ、さらに分離および洗浄を必要とするなど、製造効率と経済性に問題があった(特許文献2参照)。
【0003】
特許文献3の高純度シリカゾルの製法では、シリカゾルの製造工程において、珪酸液中の珪酸を構成するシロキサン骨格内に存在するイオン不純物を除去する目的で、珪酸液を酸処理し、具体的にはpH0~2.5にする工程を含む。この酸処理には、例えば、実施例1では、3号珪酸ソーダ水希釈品を陽イオン交換して得られた5%珪酸液(原料投入量から少なくとも約4000g以上と推定される)に対し、35%塩酸500gを用いている。このような多量の酸を含む酸性珪酸液を原料として調製した場合は、シリカゾルの安定性を損ない、ゲル化や凝集沈殿発生の原因となるので、通常は、洗浄処理あるいは陰イオン交換処理が必要となる。特許文献3の製法においても、溶媒置換などの処理を行って塩酸を除去・精製する旨が開示されている。このように多量の酸の除去処理は、高純度シリカゾルの製造において、工数、製造に要する時間および経済面で不利な要素となる。
【0004】
特許文献4の高純度大粒子径シリカゾルの製法では、シリカゾルの製造工程において、活性珪酸の水性コロイド溶液に酸を加えて、pH0~2.0とし、熟成、陽イオン交換、陰イオン交換および陽イオン交換を行って、高純度活性珪酸液を調製し、この高純度活性珪酸液を原料として高純度大粒子径シリカゾルを調製するとされている。この製法においては、例えば、実施例1では、活性珪酸の水性コロイド溶液5950gに硝酸(濃度61.3質量%)20.2gを用いており、続いて、48時間の熟成、陽イオン交換、陰イオン交換および陽イオン交換を行うことが開示されており、特許文献3と同様な問題を有している。特に、特許文献4の製法では活性珪酸液を48時間熟成する必要があり、非常に生産効率が悪く経済性に問題がある。
【0005】
特許文献5に記載の高純度水性シリカゾルの製造方法では、水硝子を陽イオン交換して酸性珪酸液とし、さらに強酸を加えてpH0~2.0にて、0~100℃、0.5~120時間の熟成を経て、陰イオン交換することにより高純度シリカゾルを得る製法が記載されている。この製法においては、0~100℃/0.5~120時間の熟成処理が必要であり、熟成時間が長いため生産性が悪く、実用的には、改良が求められていた。
【0006】
特許文献6に記載の高純度シリカゾルの製造方法では、水硝子に強酸の塩を加えて陽イオン交換がなされており、強酸の塩としては、アミノトリス(メチレンホスホン酸)、1-ヒドロキシエタン-1,1-ジホスホン酸またはこれらの塩の少なくとも1つが用いられていた。このような有機酸を含むシリカゾルは製造時に生じる廃水の処理に手間とコストがかかり、また有機酸を含むシリカゾルはその使用用途が制限されるという問題があった。特に、研磨用途においては、シリカゾルに化学成分を添加して研磨性能を調整することが行われているが、有機酸が研磨性能を悪化させる可能性が指摘されていた。
【0007】
特許文献7に記載のシリカゾルの製造方法では、水溶性アルカリ金属ケイ酸塩またはアルカリ金属ケイ酸塩水溶液を酸性化剤と混合してpH2未満の酸性アルカリ金属ケイ酸塩水溶液を製造し、続いて、所定の陰イオン交換および陽イオン交換処理を行って、珪酸液を調製し、この珪酸液を原料として安定したシリカゾルを得る製法が記載されている。この製法においては、酸性化剤を必要とし、過酸化水素などの酸化剤は、爆発事例が多く発生しており、安全性の問題があった。また、このような酸化剤を含むシリカゾルは安全性の懸念から使用用途が制限されるという問題があった。
【0008】
特許文献8に記載の高純度シリカゾルの製造方法では、珪酸液にシュウ酸と無機強酸を添加混合し、陰イオン交換と陽イオン交換を行って高純度シリカゾルを調製する製法が記載されている。この製法においては、シュウ酸を必要とし、シュウ酸は劇物であるため取り扱う上で注意が必要であった。また、シュウ酸を含むシリカゾルは使用用途が制限され、特に研磨用途においては化学成分を添加して研磨性能を調整することが行われているが、シュウ酸が研磨性能を悪化させる可能性が指摘されていた。
【0009】
特許文献9に記載の高純度水性シリカゾルの製造方法では、強酸などとアルカリ金属珪酸塩を所定の条件で水に溶解させ、陽イオン交換、続いて陰イオン交換し、更に水酸化カリウム又は水酸化ナトリウムを加えて水性シリカゾルを調製し、更に該水性シリカゾルを陽イオン交換し、アンモニアを加えてpH8~10.5に調整して、安定で高純度な水性シリカゾルを得る製法が記載されている。同文献の実施例1では、上記操作に加えて、陰イオン交換後に再度陽イオン交換をおこなっている。この製法においては、イオン交換処理の回数が多く非常に生産効率が悪いという問題がある。また、酸性珪酸液に陰イオン交換処理をしているため、酸性珪酸液の安定化のために必要な陰イオンが除かれるため珪酸液のpHが高くなり、珪酸液の安定性が著しく低下してゲル化し易いという問題もあった。
【0010】
特許文献4の高純度大粒子径シリカゾルの製法では、特許文献3の製法で見られるような問題に加えて、前記のとおり48時間の熟成処理を必要としており、製造上さらに不利な点があるといえる。特許文献5も熟成(保持工程)に時間を要する問題点を有していた。
(【0011】以降は省略されています)

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