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公開番号2024130630
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-09-30
出願番号2023040464
出願日2023-03-15
発明の名称チタン酸バリウム粒子の分散液、およびその製造方法
出願人日揮触媒化成株式会社
代理人弁理士法人前田特許事務所
主分類C01G 23/00 20060101AFI20240920BHJP(無機化学)
要約【課題】熱安定性が高いBTO粒子を提供する。
【解決手段】
本発明は、ペロブスカイト構造のチタン酸バリウム粒子の分散液であって、XRDにより測定したチタン酸バリウム粒子の結晶子径が25nm以下であり、ペロブスカイト構造のAサイトに存在するバリウム(Ba)の一部が、バリウム以外の金属元素に置換されており、XRDにより測定したペロブスカイト構造のメインピークが31.25deg以上である。動的光散乱法により測定した平均粒子径は100nm以下である。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
結晶子径が25nm以下のチタン酸バリウム粒子と、溶媒と、を含むチタン酸バリウム粒子の分散液であって、
前記チタン酸バリウム粒子をX線回折測定装置によって測定したときの結晶構造がペロブスカイト構造であり、
前記ペロブスカイト構造のAサイトに存在するバリウムの一部が、バリウム以外の金属元素に置換されており、
前記ペロブスカイト構造のメインピークが31.25deg以上であり、
動的光散乱法により測定した平均粒子径が100nm以下である分散液。
続きを表示(約 1,100 文字)【請求項2】
前記チタン酸バリウム粒子に含まれる前記金属元素のモル量と前記バリウムのモル量の合計量に対して、前記金属元素のモル量が35%以下である請求項1に記載の分散液。
【請求項3】
前記金属元素がカルシウムとストロンチウムの少なくとも一方である請求項1に記載の分散液。
【請求項4】
前記チタン酸バリウム粒子を500℃で焼成することにより得られる焼成品をX線回折測定装置により測定したとき、前記焼成品の結晶子径D

と焼成前の前記チタン酸バリウム粒子の結晶子径D
o
の比〔D

/D
o
〕が1.3以下であることを特徴とする請求項1に記載の分散液。
【請求項5】
前記チタン酸バリウム粒子を500℃で焼成することにより得られる焼成品をX線回折測定装置によって測定したとき、ペロブスカイト構造以外の最も強度が高いピークI
i
と、ペロブスカイト構造のメインピークの強度I
p
との比〔I
i
/I
p
〕が0.1以下であることを特徴とする請求項1に記載の分散液。
【請求項6】
バリウムの水酸化物とアルキルセロソルブの混合液を調製する第一工程と、
前記混合液を40℃以上の状態で脱水する第二工程と、
前記混合液にチタンアルコキシドを添加する第三工程と、
前記混合液に水を含む溶媒を添加する第四工程と、
前記混合液を20℃以上で6時間以上熟成する第五工程と、を備え、
前記第五工程が行われる前のいずれかの混合液に、バリウム以外の金属元素を含んだアルキルセロソルブ溶液が添加されており、
前記第三工程で、前記混合液に含まれるバリウムと、バリウム以外の金属元素の濃度の合計が10重量%以上の状態で、前記混合液に前記チタンアルコキシドが添加されることを特徴とするチタン酸バリウム粒子の製造方法。
【請求項7】
前記バリウム以外の金属元素のアルキルセロソルブ溶液を以下の工程(i),(ii)により調製することを特徴とする請求項6に記載の製造方法。
工程(i) ストロンチウムの水酸化物とアルキルセロソルブの第二混合液を調製する工程
工程(ii) 前記第二混合液を-5~15℃の状態にして、前記ストロンチウムの水酸化物を溶解させる工程
【請求項8】
ストロンチウムまたはカルシウムのアルコキシドをアルキルセロソルブに溶解させることにより、前記バリウム以外の金属元素のアルキルセロソルブ溶液を調製することを特徴とする請求項6に記載の製造方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明はチタン酸バリウム粒子の分散液およびその製造方法に関する。
続きを表示(約 2,800 文字)【0002】
ペロブスカイト構造のチタン酸バリウム粒子(BTO粒子)は高い誘電率を持つため、積層セラミックコンデンサ(MLCC)に用いられている。MLCCは、金属Niを主成分とする電極層とBTO粒子を主成分とする誘電体層が交互に重なった構造である。電極層と誘電体層の焼結開始温度の差が大きいほど、MLCC作製時の焼成工程でMLCCにクラックが生じ易い。そのため、電極層のNi粒子の周りに共材としてBTO粒子を共存させ、焼結開始温度の差を小さくしている。さらに、電極層のBTO粒子の一部を2族、8族、ランタノイド系、アクチノイド系等の元素に置換することにより、電極層の焼結開始温度を高くし、電極層と誘電体層の焼結開始温度の差を小さくすることが知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
また、MLCCの小型化に伴い電極層に用いられるNi粒子も小さくなっている。そのため、共材として用いるBTO粒子の粒子径や結晶子径も小さい必要がある。小さいBTO粒子の製造方法として、水酸化バリウム(アルカリ土類金属の水酸化物)とアルキルセロソルブの混合溶液にチタンアルコキシドを添加した後、加水分解する方法が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開2018-172242号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1には、電極層のBTO粒子の一部を前述の元素に置換すると記載されている。しかしながら、特許文献1のBTO粒子では、前述の元素がペロブスカイト構造の結晶子内に存在するわけではなく、結晶子の外に存在している。これにより、結晶子同士が低いエネルギーで結合する。そのため、MLCCの焼成時に結晶子が結合し、結晶子径が変化してしまう。また、結晶子の外に存在する不純物(添加された金属元素)は、焼成時にペロブスカイト構造以外の結晶に成長してしまう。このような結晶子径の変化やペロブスカイト構造以外の結晶成長によって体積が変化し、MLCCにクラックが発生しやすい。すなわち、特許文献1のBTO粒子は熱収縮率が大きく、良好な熱安定性が得られない、という課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、ペロブスカイト構造のAサイトに存在するバリウム(Ba)の一部を、バリウム以外の金属元素に置換することにより、熱収縮率の低い、良好な熱安定性を持つBTO粒子が実現することを見出した。すなわち、本発明によるペロブスカイト構造のチタン酸バリウム粒子の分散液は、X線回折測定装置(XRD)により測定したチタン酸バリウム粒子の結晶子径が25nm以下であり、ペロブスカイト構造のAサイトに存在するバリウム(Ba)の一部が、バリウム以外の金属元素に置換されている。そのため、XRDにより測定したペロブスカイト構造のメインピークが31.25deg以上である。また、動的光散乱法により測定した平均粒子径は100nm以下である。
【0007】
また、本発明のチタン酸バリウム粒子の分散液の製造方法は、バリウムの水酸化物とアルキルセロソルブの混合液を調製する第一工程と、前記混合液を40℃以上の状態で脱水する第二工程と、前記混合液にチタンアルコキシドを添加する第三工程と、前記混合液に水を含む溶媒を添加する第四工程と、前記混合液を20℃以上で6時間以上熟成する第五工程と、を備えている。そして、第五工程が行われる前のいずれかの混合液に、バリウム以外の金属元素を含んだアルキルセロソルブ溶液が添加されている。さらに、第三工程で、前記混合液に含まれるバリウムとバリウム以外の金属元素の濃度の合計が10重量%以上の状態で、この混合液にチタンアルコキシドが添加される。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明は、結晶子径が25nm以下のペロブスカイト構造のチタン酸バリウム粒子(BTO粒子)に関する。結晶子径が小さいBTO粒子ほど、小さいMLCCに適用しやすい。ペロブスカイト構造には、バリウム(Ba)が存在するAサイトと、チタン(Ti)が存在するBサイトがあり、本発明のBTO粒子では、Aサイトに存在するバリウムの一部がバリウム以外の金属元素に置換されている(以降、「バリウム以外の金属元素」を単に「金属元素」と略記する)。すなわち、ペロブスカイト構造の結晶子内に金属元素が置換元素として存在する。これにより、結晶子同士が結合するエネルギーが高くなり、結晶子同士が結合し難くなる。そのため、結晶子径の変化が小さく、BTO粒子の熱収縮率が低くなる。これにより、高い熱安定性が得られる。ただし、結晶子径が小さすぎると、熱安定性が低くなるため、結晶子径は5nm以上が好ましい。なお、結晶子径はXRDにより測定できる。
【0009】
置換元素がAサイトに入っているかどうかはXRDを用いて判断できる。イオン半径がBa
2+
より小さい置換元素を含むBTO粒子は、置換元素を含まないBTO粒子よりも、ペロブスカイト構造のメインピークが高角度側にシフトする。XRDを用いてBTO粒子を測定したとき、ペロブスカイト構造のメインピークが31.25deg以上であれば、Aサイトに置換元素が存在していると判断できる。Ba
2+
のイオン半径(1.61Å)未満のイオン半径を持つ置換元素はAサイトに入りやすい。さらに、イオン半径がBa
2+
に近いほど、置換元素がAサイトに入りやすい。そのため、置換元素のイオン半径は0.8Å以上が好ましく、0.9Å以上がより好ましい。特に、バリウムと同じアルカリ土類金属であり、且つBa
2+
よりイオン半径が小さい元素(イオン半径1.34ÅのCa
2+
やイオン半径1.44ÅのSr
2+
)が適している。ここで、イオン半径は、シャノンのイオン半径である。二種類以上の元素がAサイトに置換元素として存在してもよい。
【0010】
置換元素の量が多いほど、メインピークは高角度側にシフトする。また、置換元素の量が多いほど、結晶子径の変化が小さく、BTO粒子は熱収縮率が低くなる。すなわち、体積変化は小さくなる。BTO粒子中のバリウムと置換元素のモル量の和に対する置換元素のモル量の割合〔置換元素のモル量A/(バリウムのモル量Ba+置換元素のモル量A)〕は、1%以上が好ましく、5%以上がより好ましい。ここで、焼成前後の結晶子径を測定することにより、熱収縮性(体積変化)が判断できる。
(【0011】以降は省略されています)

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