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公開番号
2024129994
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-09-30
出願番号
2023039448
出願日
2023-03-14
発明の名称
産業資材用メッシュシート、及びその製造方法
出願人
平岡織染株式会社
代理人
主分類
D06M
15/248 20060101AFI20240920BHJP(繊維または類似のものの処理;洗濯;他に分類されない可とう性材料)
要約
【課題】使用回収後の耐折り畳み性(特に寒冷下)、及び使用時の耐展開性(特に寒冷下)に優れ、さらに耐洗濯性にも優れた産業資材用メッシュシートの提供。
【解決手段】粗目織物を基布として、この基布の全面に軟質塩化ビニル樹脂含浸被覆層を設けてなるメッシュシートにおて、軟質塩化ビニル樹脂含浸被覆層の全域にゴム架橋を含み、このゴム架橋が、分子末端に-COOH基、-OH基、の何れかを有する液状合成ゴムとポリイソシアネート化合物との縮合物であり、液状合成ゴムが、ブタジエン系、イソプレン系、及びファルネセン系、から選ばれた1種以上であり、必要に応じてゴム架橋の一部として(官能基導入)シリカ粒子を介在させる。
【選択図】なし
特許請求の範囲
【請求項1】
粗目織物を基布として、この基布の全面に軟質塩化ビニル樹脂含浸被覆層を設けてなるメッシュシートであって、前記軟質塩化ビニル樹脂含浸被覆層の全域にゴム架橋を含み、このゴム架橋が、分子末端に-COOH基、-OH基、の何れかを有する液状合成ゴムとポリイソシアネート化合物との縮合物であり、前記液状合成ゴムが、ブタジエン系、イソプレン系、及びファルネセン系、から選ばれた1種以上であることを特徴とする産業資材用メッシュシート。
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【請求項2】
前記ゴム架橋が、シリカ粒子をさらに含み、前記ゴム架橋の一部として介在する有機無機複合架橋である請求項1に記載の産業資材用メッシュシート。
【請求項3】
前記シリカ粒子が、シランカップリング剤で処理された表面改質粒子である請求項2に記載の産業資材用メッシュシート。
【請求項4】
粗目織物の全面に軟質塩化ビニル樹脂含浸被覆層を形成してなる産業資材用メッシュシートの製造において、1).a)塩化ビニル樹脂、b)可塑剤、c)液状合成ゴム(ブタジエン系、イソプレン系、及びファルネセン系、から選ばれた1種以上の合成ゴムの分子末端に-COOH基、-OH基、の何れかを有する液状合成ゴム)、d)ポリイソシアネート化合物、の4種を少なくとも含む軟質塩化ビニル樹脂組成物を調製する工程、2).前記粗目織物に前記軟質塩化ビニル樹脂組成物を塗工し、軟質塩化ビニル樹脂含浸被覆層を形成する工程、3).前記液状合成ゴムを架橋ゴムに転化して、前記軟質塩化ビニル樹脂含浸被覆層の全域にゴム架橋を形成する工程、を含むことを特徴とする産業資材用メッシュシートの製造方法。
【請求項5】
前記軟質塩化ビニル樹脂組成物がシリカ粒子をさらに含み、前記ゴム架橋の一部にシリカ粒子を介在させた有機無機複合架橋を形成させる、請求項4に記載の産業資材用メッシュシートの製造方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビル、マンション、学校などの建設現場、改修工事現場、解体工事現場の張囲、またビルのファサード、公共施設の改修工事現場のファサード張囲、などに用いるメッシュシートに関する。
続きを表示(約 3,400 文字)
【背景技術】
【0002】
ビル、マンション、学校などの建設現場、改修工事現場、解体工事現場の張囲に用いられる建築養生メッシュシート、または建築物の前面装飾に用いられるファサードには主に、粗目ポリエステル繊維織物を軟質塩化ビニル樹脂で含浸被覆した複合品で、消防庁防炎規格と仮設工業会認定の適合の安全基準を満たす1類、消防庁防炎規格のみを満たす2類の区分がある。建築養生メッシュシートは主に1.8m幅×3.4m長の規格で、縁部が折り返し縫製補強され、縁部にハトメ、面ファスナーなどの連結手段を有する仕様である。建築養生メッシュシート(またはファサード)用の原反としては、「ターポスクリーン(商標登録)」(1類:#1003、#1004、#1005,#1023、#1034、2類:#2014、#2024、#2054、#2039)が挙げられ、白、黒、グレー、ブルー、グリーンなどの品揃えがある。また住宅、マンション住居、店舗などの日除け、また屋内天井、間仕切り、また横断幕、懸垂幕などの原反としては、「ターポスクリーン」、「ライトスクリーン(商標登録)」などが挙げられ、任意の形状、及びサイズで使用されている。
【0003】
建設会社では工事物件ごとに建築養生メッシュシートをリース使用することが多い。この理由は主に、建設現場では健全な企業イメージ、また建設現場環境のイメージアップのため、常に綺麗で正常な建築養生メッシュシートを使用したいことによる。建築養生メッシュシート(例えば1.8m幅×3.4m長)は、直角四つ折りにされた状態で保管され、その状態で建設現場に搬入される。折り畳みから展開れた建築養生メッシュシートは建設足場のパイプフレームに沿って固定され、建築養生メッシュシート同士が上下左右に連結・拡張されて建設現場の安全囲包が完成する。そして工事完成後に取り外された建築養生メッシュシートは、煤塵、塗装飛散物などの汚れが付着したまま直角四つ折り状態で機械洗浄現場に移送され、洗浄が行われた後、リース会社での保管を経て、次の建設現場のリースに供されるという、直角四つ折りと、機械洗浄が繰り返されている。この状況で起こるトラブルとして、機械洗浄を繰り返すことによる建築養生メッシュシートの劣化、及び外観変化、すなわちアルカリ洗剤による軟質塩化ビニル樹脂被覆層の劣化(塩化ビニル樹脂の劣化、可塑剤の劣化・抽出)が挙げられる。また、冬の寒冷下、直角四つ折り状態の建築養生メッシュシートを展開する際に、建築養生メッシュシートが低温脆化して、軟質塩化ビニル樹脂被覆層に亀裂を生じること、また寒冷下での風合いが硬くなることで折り畳みが嵩張り、移送取り扱いや保管に不都合となること、これを力任せでの直角四つ折りに折り畳んだ時に軟質塩化ビニル樹脂被覆層に低温脆化亀裂を生じることなどが挙げられる。従って寒冷下での耐折り畳み性と耐展開性、さらに耐洗濯性に優れた建築養生メッシュシート、及びファサードなどの産業資材用メッシュシートが望まれている。
【0004】
メッシュシート(建築養生用、防護ネット用など)などの軟質塩化ビニル樹脂被覆層の強靭化について本出願人は、軟質塩化ビニル樹脂層にポリオール化合物を含み、トリイソシアネート化合物がポリオール化合物と付加反応して、軟質塩化ビニル樹脂層内に架橋ウレタン成分を生成することで、軟質塩化ビニル樹脂層の耐摩耗性、耐熱性、耐衝撃性などが向上することを特許文献1の段落〔0023〕で開示した。この架橋ウレタン成分の生成は軟質塩化ビニル樹脂層の強靭性が向上する反面、トリイソシアネート化合物(三官能モノマー)による三次元網目状の架橋ウレタン量を増すほど寒冷下での風合いが硬くなり、特に氷点下での屈曲、折り畳みの繰り返し、はためきなどの動的ストレスで軟質塩化ビニル樹脂層に亀裂を生じ易い脆弱性があった。これは軟質塩化ビニル樹脂と架橋ウレタンとのガラス転移温度差、さらに相溶性が氷点下で際立って悪化するためと考察される。従って、軟質塩化ビニル樹脂層の強靭性を向上し、しかも氷点下で動的ストレスを受けても亀裂を生じ難いものに改良する課題が生じていた。そしてこの氷点下での亀裂問題さえ解決出来れば、より耐折り畳み性と耐展開性、及び耐洗濯性に優れたメッシュシートを得ることができるので、建築養生メッシュシート、ファサード、などの用途での耐用年数向上が期待できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特開2015-217608号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、ビル、マンション、学校などの建設現場、改修工事現場、解体工事現場の張囲、またビルのファサード、公共施設の改修工事現場のファサード張囲、などに用いられるメッシュシートであって、使用回収後の耐折り畳み性(特に寒冷下)、及び使用時の耐展開性(特に寒冷下)に優れ、さらに耐洗濯性にも優れた産業資材用メッシュシートの提供。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明はかかる点を考慮し鋭意検討した結果、粗目織物を基布として、この基布の全面に軟質塩化ビニル樹脂含浸被覆層を設けてなるメッシュシートにおいて、軟質塩化ビニル樹脂含浸被覆層の全域にゴム架橋を含み、このゴム架橋が、反応性を有する液状合成ゴムとポリイソシアネート化合物との縮合物とすることによって、特に氷点下での耐折り畳み性、及び耐展開性に優れ、さらに耐洗濯性にも優れた産業資材用メッシュシートが得られることを見出して本発明を完成させるに至った。
【0008】
本発明の産業資材用メッシュシートは、粗目織物を基布として、この基布の全面に軟質塩化ビニル樹脂含浸被覆層を設けてなるメッシュシートであって、前記軟質塩化ビニル樹脂含浸被覆層の全域にゴム架橋を含み、このゴム架橋が、分子末端に-COOH基、-OH基、の何れかを有する液状合成ゴムとポリイソシアネート化合物との縮合物であり、前記液状合成ゴムが、ブタジエン系、イソプレン系、及びファルネセン系、から選ばれた1種以上であることが好ましい。このゴム架橋の複合形成によって、ビル、マンション、学校などの建設現場、改修工事現場、解体工事現場の張囲、またビルのファサード、公共施設の改修工事現場のファサード張囲、などの使用回収後の耐折り畳み性(特に寒冷下)、及び使用時の耐展開性(特に寒冷下)に優れ、さらに耐洗濯性にも優れた産業資材用メッシュシートを得ることができる。
【0009】
本発明の産業資材用メッシュシートは、前記ゴム架橋が、シリカ粒子をさらに含み、前記ゴム架橋の一部として介在する有機無機複合架橋であることが好ましい。液状合成ゴムとポリイソシアネート化合物との縮合物の一部に、シリカ粒子が取り込まれてゴム架橋の一部となることによって、軟質塩化ビニル樹脂含浸被覆層が強靭化して、機械洗浄を繰り返すことによる建築養生メッシュシートの劣化、及び外観変化、すなわちアルカリ洗剤による軟質塩化ビニル樹脂被覆層の劣化(塩化ビニル樹脂の劣化、可塑剤の劣化・抽出)ダメージを緩和することができる。
【0010】
本発明の産業資材用メッシュシートは、前記シリカ粒子が、シランカップリング剤で処理された表面改質粒子であることが好ましい。この表面改質はシランカップリング剤の加水分解物がシリカ粒子表面に結合したものである。そしてシリカ粒子の官能基が液状合成ゴムの末端官能基と、またシリカ粒子の官能基とポリイソシアネート化合物が同時に反応して、シリカ粒子がゴム架橋の一部として介在する有機無機複合架橋を形成させることができる。これによって軟質塩化ビニル樹脂含浸被覆層が更に強靭化して、機械洗浄を繰り返すことによる建築養生メッシュシートの劣化、及び外観変化、すなわちアルカリ洗剤による軟質塩化ビニル樹脂被覆層の劣化(塩化ビニル樹脂の劣化、可塑剤の劣化・抽出)ダメージを緩和することができる。
(【0011】以降は省略されています)
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