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公開番号
2024126436
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-09-20
出願番号
2023034815
出願日
2023-03-07
発明の名称
線維症改善用組成物、及びその有効成分のスクリーニング方法
出願人
国立大学法人九州大学
代理人
弁理士法人三枝国際特許事務所
主分類
A61K
31/7105 20060101AFI20240912BHJP(医学または獣医学;衛生学)
要約
【課題】肝線維症や肺線維症等の線維症を改善するために使用される組成物を提供する。
【解決手段】miRNA-12135、アデニル化miRNA-12135、及びこれらのmimicよりなる群から選択される少なくとも一つのマイクロRNAを有効成分とするコラーゲン受容体ITGA11/ITGB1シグナル阻害剤、及びこれを有効成分とする線維症改善用組成物。
【選択図】なし
特許請求の範囲
【請求項1】
miRNA-12135、アデニル化miRNA-12135、及びこれらのmimicよりなる群から選択される少なくとも一つのマイクロRNA、又は
miRNA-12135、及びアデニル化miRNA-12135よりなる群から選択される少なくとも一つのマイクロRNAの発現上昇剤
を有効成分とする、線維症改善用組成物。
続きを表示(約 250 文字)
【請求項2】
前記マイクロRNAは、コラーゲン受容体ITGA11/ITGB1のシグナルを阻害することを特徴とする、請求項1に記載する線維症改善用組成物。
【請求項3】
線維症改善用組成物の有効成分の候補物質をスクリーニングする方法であって、
被験物質の中から、miRNA-12135、及びアデニル化miRNA-12135よりなる群から選択される少なくとも一つのマイクロRNAの発現を上昇させる作用を有する物質を選抜する工程を有する、
前記スクリーニング方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、線維症改善用組成物に関する。より詳細に、本発明は、コラーゲン受容体ITGA11/ITGB1シグナル阻害作用を有し、肝線維症や肺線維症等の線維症を改善するために使用される組成物に関する。また本発明は、線維症改善用組成物の有効成分となりえる候補物質を選択するスクリーニング方法に関する。
続きを表示(約 2,200 文字)
【背景技術】
【0002】
線維化とは、コラーゲンなどの細胞外基質が組織に過剰に蓄積する症状であり、肝臓、肺、心臓、腎臓及び腸等の各種組織において深刻な問題になっている疾患の一つである(例えば、非特許文献1等参照)。
【0003】
例えば、非アルコール性脂肪性肝炎(以下、これを「NASH」と称する)や非アルコール性脂肪性肝疾患(以下、これを「NAFLD」と称する)において、肝臓組織が障害されると、通常は障害部位が一時的にコラーゲン等に置き換えられたのち修復されるのに対して、慢性的な炎症時においては、活性化した肝星細胞が障害部位にコラーゲンを過剰に産生するようになり、線維化へと進行する。
【0004】
また、突発性肺線維症は、細胞の壁(間質)にコラーゲン等の線維が沈降することによって肺の柔軟性が損なわれ、呼吸不全に陥る疾患である。この疾患には特効薬が存在せず、肺組織の線維化が徐々に進行し、自覚症状が出てからの生存期間は平均で3~5年程度といわれている難病である。
【0005】
こうした組織の線維化現象において、過剰なコラーゲン産生を促す機構としてTGFβ(Transforming growth factor beta)経路が知られている。しかし、TGFβ自体は線維化のみならず、様々な生体維持機構に関与するため、これを標的として線維化抑制を図ることは困難である。
【0006】
このため、線維化に対する安全且つ有効な標的分子の探索、及び線維症改善に有効な治療薬や飲食物の開発が強く求められている。
こうした標的分子として、インテグリンα11が知られている(非特許文献2)。インテグリンα11は、インテグリンβ1とダイマーを形成し、コラーゲン受容体として機能する細胞接着分子の一つである。インテグリンα11を欠失したノックアウトマウスは大きな異常を示さないことから(非特許文献3)、インテグリンα11は、組織の線維化に関連する疾患(例えば、線維症等)を治療するうえで安全な標的分子であると考えられており、インテグリンα11を標的とした医薬の開発が試みられている(非特許文献4)。例えば、非特許文献4では、siRNAを用いてインテグリンα11の発現を抑制することにより、肝硬変への移行を防ぐことができたことが記載されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
黒瀬ら、総説「心臓の線維芽細胞と線維化」、Journal of Japanese Biochemical Society 94(1): 49-66 (2022)(https://seikagaku.jbsoc.or.jp/10.14952/SEIKAGAKU.2022.9400049/data/index.html)
Sergio Carracedo et al., J Biol Chem., 285(14) : 10434-10445, 2010.
Mol. Cell. Bio., 4306-4316 (2007)
Ruchi Bansal et al., Exp Mol Med., 49(11): e396, 2017.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、線維症の改善に適用することが可能な、新規なコラーゲン受容体ITGA11/ITGB1シグナル阻害剤を提供することを課題とする。とりわけ本発明は、線維症を改善するために有効に使用される組成物を提供することを課題とする。また本発明は、コラーゲン受容体ITGA11/ITGB1シグナル阻害剤又は線維症改善用組成物の有効成分としても有用な候補物質を有効に選抜し、提供することができるスクリーニング方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねていたところ、特定のマイクロRNA又は当該マイクロRNAの発現を上昇させる物質を用いることで、コラーゲン受容体であるITGA11/ITGB1受容体を介したシグナルを阻害することにより、安全且つ有効に組織の線維化現象を抑制することができることを見出した。
本発明はかかる知見に基づいて、更に種々検討することで完成したものであり、下記の実施態様を有するものである。
【0010】
(I)線維症改善用組成物
(I-1)miRNA-12135、アデニル化miRNA-12135、及びこれらのmimicよりなる群から選択される少なくとも一つのマイクロRNA、
又はmiRNA-12135、及びアデニル化miRNA-12135よりなる群から選択される少なくとも一つのマイクロRNAの発現上昇剤を有効成分とする、線維症改善用組成物。
ここでマイクロRNAの発現上昇剤には、エクオールは含まれないことが好ましい。
(I-2)前記マイクロRNAは、コラーゲン受容体ITGA11/ITGB1のシグナルを阻害することを特徴とする、(I-1)に記載する線維症改善用組成物。
(【0011】以降は省略されています)
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