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公開番号2024145968
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-10-15
出願番号2023058605
出願日2023-03-31
発明の名称創傷被覆材
出願人国立大学法人九州大学,三菱瓦斯化学株式会社
代理人個人
主分類A61L 15/24 20060101AFI20241004BHJP(医学または獣医学;衛生学)
要約【課題】水和時に中間水を有することで生体親和性を示すと共に、細胞との間で高い接着力を示すポリマー組成物を含む創傷被覆材を提供すること。
【解決手段】下記式(1)で表されるモノマーに由来する構成単位を有するポリマー組成物を含むことを特徴とする創傷被覆材。
<com:Image com:imageContentCategory="Drawing"> <com:ImageFormatCategory>TIFF</com:ImageFormatCategory> <com:FileName>2024145968000009.tif</com:FileName> <com:HeightMeasure com:measureUnitCode="Mm">55</com:HeightMeasure> <com:WidthMeasure com:measureUnitCode="Mm">170</com:WidthMeasure> </com:Image> (式(1)において、R1は水素原子またはメチル基、R2はCnH2n+1(n=1~3の整数)で示される炭化水素基、R3はそれぞれ独立してエーテル結合を有していてもよい炭素数10以下の炭化水素基をそれぞれ表す。)
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
下記式(1)で表されるモノマーに由来する構成単位を有するポリマー組成物を含むことを特徴とする創傷被覆材。
TIFF
2024145968000008.tif
55
170
(式(1)において、R

は水素原子またはメチル基、R

はC


2n+1
(n=1~3の整数)で示される炭化水素基、R

はそれぞれ独立してエーテル結合を有していてもよい炭素数10以下の炭化水素基をそれぞれ表す。)
続きを表示(約 190 文字)【請求項2】


が直鎖もしくは分岐した炭素数5以下のアルキレン基であることを特徴とする請求項1に記載の創傷被覆材。
【請求項3】


が水素原子であることを特徴とする請求項1に記載の創傷被覆材。
【請求項4】


がメチル基であることを特徴とする請求項1に記載の創傷被覆材。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、切創、裂傷、挫傷、火傷、褥瘡などの創傷部に適用することにより、創傷部の治癒を促す創傷被覆材に関するものである。
続きを表示(約 2,000 文字)【背景技術】
【0002】
従来の創傷の治療は、創傷部を消毒等した後、ガーゼ等で創傷部を被覆して保護した状態で創傷部の組織の再生を待つ方法が一般的であった。これに対して、近年、得られている知見では、当該ガーゼ等を創傷部に被覆する方法においては、ガーゼが創傷部の組織液等の創傷分泌物(滲出液)を創傷部から吸収して除去する結果、創傷部が乾燥することによって創傷部の組織再生等が遅延させられることが明らかにされている。このため、創傷部に適用された際に創傷部を湿潤状態に維持した状態で保護可能な創傷被覆材(ドレッシング材)の開発が広く行われている。
【0003】
上記のように創傷部に適用されて、創傷部を適度の湿潤状態に維持可能な創傷被覆材においては、当該機能を良好に発揮するために、水保持性(親水性)と接着性を併せ持つことが求められる。つまり、水保持性を有することにより創傷部から放出される滲出液を吸収して適度な湿潤状態に維持すると共に、創傷部やその周囲の皮膚、粘膜等に対する接着性を有することにより当該水保持性を発揮する部位が創傷部等に密着した状態を維持することが求められる。
【0004】
創傷被覆材に求められる上記特性を満たすために、これまでに知られている創傷被覆材においては、各種の親水性を示す物質をエラストマー等の疎水性を示す物質を混合し、主に当該疎水性物質をマトリックスとして、その内部に親水性物質が分散して存在するハイドロコロイド等の混合分散体を膏体として、これを創傷部に適用することが広く行われている(例えば、特許文献1~3を参照。)。当該構造を有する創傷被覆材においては、マトリックス相である疎水性物質が創傷部やその周囲の皮膚、粘膜等に対する接着性を発揮することにより、分散相である親水性物質が創傷部付近の湿潤状態を維持するものと考えられる。
【0005】
他方、一般に各種の人工的に合成された材料等の生体に由来しない物質の表面に血液等の生体関連物質が接触すると、当該材料の表面が異物として認識され、例えば、材料表面へのタンパク質の非特異的吸着とその変性等を生じ、その結果として凝固系、補体系、血小板系の活性化等の異物反応を生じることが知られている。
これに対して、近年の研究によって、合成ポリマー等であっても、所定の構造を有することにより水分子との間で水和し、その際に「中間水」と呼ばれる状態の水分子を含有可能なポリマー等の表面に生体関連物質が接触した際には、上記のような異物反応が抑制されることが示され、いわゆる生体親和性を発揮可能であることが明らかにされている(例えば、特許文献4を参照)。
【0006】
上記所定のポリマー等が示す生体親和性を利用して、生体を構成する組織や細胞、血液等と接触して使用される医療用機器等の表面を当該ポリマー等で構成することにより、当該接触に起因する異物反応等が抑制可能であり、各種の医療用機器等を構成する材料として使用が広がっている。また、上記創傷被覆材についても、生体親和性を示すポリ(2-メトキシエチルアクリレート)(PMEA)等の高分子ポリマーを適用する試みが行われている。(例えば、非特許文献1を参照。)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
特開2000-37413号公報
特開2011-45494号公報
特表2002-512295号公報
特開2017-82174号公報
特開2016-63801号公報
特開2020-185292号公報
特開2020-186340号公報
【非特許文献】
【0008】
Tanaka et al. Coatings,2021,11,461
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
皮膚や皮下組織などに損傷が存在する創傷部においては、真皮や皮下組織等の結合組織が表皮を介さずに外部に露出していることから、当該部位に生体親和性を示さない物質表面が接触した際には、生体組織内に異物反応を生じることが考えられる。このため、創傷部に接触する創傷被覆材の表面を、中間水を含有することにより生体親和性を示す物質により構成することが望まれる。
【0010】
一方、水相と接触した際に水和反応を生じて所定量の水を包含可能な親水性ポリマーにおいては、一般に生体組織等に対して十分な接着性を確保することが困難である。また、特に水和によって中間水を含有する物質の表面においては、細胞が有する細胞接着分子であるインテグリンによる結合の発現が当該中間水の作用によって抑制される(例えば、特許文献5を参照。)等、一般に中間水を有しない表面と比較した際に各種細胞が接着する際の接着力が小さいことが知られている。
(【0011】以降は省略されています)

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