TOP
|
特許
|
意匠
|
商標
特許ウォッチ
Twitter
他の特許を見る
10個以上の画像は省略されています。
公開番号
2024142384
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-10-11
出願番号
2023054506
出願日
2023-03-30
発明の名称
水蒸気電解装置および水蒸気電解方法
出願人
国立大学法人九州大学
,
ディーエルアール-ドイチェス・ツェントルム・フュア・ルフト-ウント・ラウムファールト・エ-.ファオ.
,
国立研究開発法人産業技術総合研究所
代理人
弁理士法人特許事務所サイクス
主分類
C25B
9/00 20210101AFI20241003BHJP(電気分解または電気泳動方法;そのための装置)
要約
【課題】本発明は、エネルギー効率が高い水蒸気電解装置および水蒸気電解方法を提供することを課題とする。
【解決手段】本発明は、陽極の電極室、陰極の電極室およびこれらの電極室の間に配置されたイオン伝導体を備える水蒸気電解装置であって、水素発生量の2倍を超える水蒸気を、陽極の電極室および前記陰極の電極室から選択される少なくとも一方に供給し、投入した水蒸気のうち50%以下を電気分解する、水蒸気電解装置及び水蒸気電解方法に関する。
【選択図】図5
特許請求の範囲
【請求項1】
陽極の電極室、陰極の電極室およびこれらの電極室の間に配置されたイオン伝導体を備える水蒸気電解装置であって、
水素発生量の2倍を超える水蒸気を、前記陽極の電極室および前記陰極の電極室から選択される少なくとも一方に供給し、投入した水蒸気のうち50%以下を電気分解する、水蒸気電解装置。
続きを表示(約 1,300 文字)
【請求項2】
水素発生量の2倍を超える水蒸気を、前記陽極の電極室および前記陰極の電極室の両方に供給し、投入した水蒸気のうち50%以下を電解する、請求項1に記載の水蒸気電解装置。
【請求項3】
水素発生量の10倍以上の水蒸気を、前記陽極の電極室および前記陰極の電極室から選択される少なくとも一方に供給する、請求項1に記載の水蒸気電解装置。
【請求項4】
前記陽極の電極室に水蒸気を供給する陽極側の水蒸気発生部、および、
前記陰極の電極室に水蒸気を供給する陰極側の水蒸気発生部、から選択される少なくとも一方を備える、請求項1に記載の水蒸気電解装置。
【請求項5】
陽極側の熱交換部および陰極側の熱交換部から選択される少なくとも一方を備え、
前記陽極側の熱交換部は、前記陽極の電極室に供給する水蒸気をガス-ガス熱交換により加熱し、
前記陰極側の熱交換部は、前記陰極の電極室に供給する水蒸気をガス-ガス熱交換により加熱する、請求項1に記載の水蒸気電解装置。
【請求項6】
前記陽極側の熱交換部は、前記陽極の電極室から排出される酸素および水蒸気から選択される少なくとも1種をガス-ガス熱交換により冷却し、
前記陰極側の熱交換部は、前記陰極の電極室から排出される水素および水蒸気から選択される少なくとも1種をガス-ガス熱交換により冷却する、請求項5に記載の水蒸気電解装置。
【請求項7】
陽極側の水蒸気過剰加熱部および陰極側の水蒸気過剰加熱部から選択される少なくとも一方を備え、
前記陽極側の水蒸気過剰加熱部は、前記陽極側の熱交換部で加熱された水蒸気をさらに加熱し、前記陽極の電極室に前記イオン伝導体の電気分解の作動温度よりも高い温度の水蒸気を供給し、
前記陰極側の水蒸気過剰加熱部は、前記陰極側の熱交換部で加熱された水蒸気をさらに加熱し、前記陰極の電極室に前記イオン伝導体の電気分解の作動温度よりも高い温度の水蒸気を供給する、請求項5に記載の水蒸気電解装置。
【請求項8】
陽極側の濃縮部および陰極側の濃縮部から選択される少なくとも一方を備え、
前記陽極側の濃縮部は、前記陽極側の熱交換部で冷却された水素および酸素から選択される少なくとも1種を回収し、前記陽極側の熱交換部で冷却された水蒸気を液体の水として分離して前記陽極側の水蒸気発生部に返送し、
前記陰極側の濃縮部は、前記陰極側の熱交換部で冷却された水素および酸素から選択される少なくとも1種を回収し、前記陽極側の熱交換部で冷却された水蒸気を液体の水として分離して前記陽極側の水蒸気発生部に返送する、請求項4に記載の水蒸気電解装置。
【請求項9】
前記陽極側の水蒸気発生部および前記陰極側の水蒸気発生部では、地熱または太陽熱によるエネルギーが用いられる、請求項4に記載の水蒸気電解装置。
【請求項10】
前記陽極側の水蒸気過剰加熱部および前記陰極側の水蒸気過剰加熱部では、地熱または太陽熱によるエネルギーが用いられる、請求項7に記載の水蒸気電解装置。
(【請求項11】以降は省略されています)
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、水蒸気電解装置および水蒸気電解方法に関する。
続きを表示(約 4,400 文字)
【背景技術】
【0002】
水素の製造法は、天然ガス等の化石燃料を一次エネルギーとして用いるものとそれ以外に大別される。日本では、水素の多くが天然ガスの水蒸気改質によって製造され、また、石油化学や製鉄におけるコークスの製造、食塩電解において水素が副生する。これらの方法による水素の製造には、二酸化炭素の発生が伴っている。今後、燃料電池自動車や火力発電の燃料として水素が利用され、そのエネルギーとしての利用が拡大するには、製造時に二酸化炭素の発生を伴わないことが重要な要素となる。太陽光、風力、バイオマス等の再生可能エネルギーを一次エネルギーとして利用することができれば二酸化炭素の発生を抑制できるため、再生可能エネルギーを利用することで水素を製造する技術の開発が求められている。
【0003】
水電解(電気分解)は、電気エネルギーを用いて水を水素と酸素に分解する方法であり、再生可能エネルギーを一次エネルギーとして用いることにより、二酸化炭素の発生をともなわない水素製造技術となる。作動温度や用いる電解質の種類によっていくつかの方法に分類される。アルカリ水電解は、電解質として主に濃KOH水溶液を用い、常圧、室温から90℃程度の温度で作動する。固体高分子形水電解は、電解質としてナフィオンなどに代表されるパーフルオロスルホン酸系のプロトン伝導性固体高分子膜を用い、60℃~120℃で作動する(非特許文献1)。一方、水蒸気電解は、固体電解質を用いて高温で作動する。例えば、特許文献1~4には、陽極と陰極の双方に水蒸気を供給することで水蒸気の電気分解を行う水蒸気電解装置や水蒸気電解方法が開示されている。
【0004】
具体的に、特許文献1には、固体酸化物を有する電解質と、水素極と、酸素極とを有する電気化学セルを用いて水蒸気を電気分解して水素を生成する水蒸気電解装置において、水素極および酸素極に水蒸気を含むガスが供給されるガス供給手段を有することを特徴とする水蒸気電解装置が開示されている。特許文献2には、固体酸化物電解質材料を素材とする電解質と、この電解質を挟んで設けられた水素極と酸素極とから成る電気化学セルを用いて、水蒸気を電気分解し、水素と酸素を生成する水蒸気電解方法において、水素極および酸素極に供給する供給ガスが、いずれも水蒸気を主な成分とし、水素極および酸素極を通過した排出ガスの一部をそれぞれの供給ガスの流れの上流側へ循環させるようにしたことを特徴とする水蒸気電解方法が開示されている。また、特許文献3には、固体酸化物を主として含有する電解質、水素極および酸素極からなる電気化学セルと、水蒸気を主な成分とするガスを該電気化学セルに供給する水蒸気供給部と、水蒸気の電気分解により水素極で生成した水素を排出する水素ガス排出部と、水蒸気の電気分解により酸素極で生成した酸素を排出する酸素ガス排出部と、を有する水蒸気電解装置であって、酸素極が、耐還元性材料を含有することを特徴とする水蒸気電解装置が開示されている。さらに、特許文献4には、水素極室と酸素極室および水素極室と酸素極室の間に設けられた酸素イオン導電性固体電解質層を備え水蒸気を電気分解して水素と酸素を生成する高温水蒸気電解セルと、高温水蒸気電解セルから排出された水素富化水蒸気を高温水蒸気電解セルの水素極室の入口側に供給する水素極インジェクターと、高温水蒸気電解セルから排出された酸素富化水蒸気を高温水蒸気電解セルの酸素極室の入口側に供給する酸素極インジェクターまたはブロワーとを備えていることを特徴とする高温水蒸気電解装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特開2007-63619号公報
特開2007-31784号公報
特開2008-260971号公報
特開2009-1878号公報
【非特許文献】
【0006】
電気化学便覧,第6版,12.2水電解,p.433(2013,丸善)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
水電解を他の水素製造法と比較した場合に、再生可能エネルギーと組み合わせることで二酸化炭素の排出を抑制できることは先に述べたが、水素製造コストの点では他の方法に劣る。見積もりの方法により幅があるが、水素1Nm
3
当たりの製造コストは天然ガスの水蒸気改質で製造した場合が60~76円、再生可能エネルギーを用いた水電解の場合が99~226円と見積もられ(H. Matsumoto, et al., Energy Technology Roadmaps of Japan: Future Energy Systems Based on Feasible Technologies Beyond 2030, p. 147, “Hydrogen Production”)、水電解による水素製造はコストが高い。その原因は電気代であり、上記の見積もりでは61~72%が電気代である。したがって、電解のエネルギー効率を向上させることができれば、水素製造コストを下げることができる。この点、水蒸気電解はまだ研究段階にあるが、エネルギー効率が高くできる可能性があるため、水蒸気電解を大規模水素製造へ適用することが期待されている。
【0008】
そこで本発明者らは、このような従来技術の課題を解決するために、エネルギー効率が高い水蒸気電解装置および水蒸気電解方法を提供することを目的として検討を進めた。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の具体的な態様の例を以下に示す。
【0010】
[1] 陽極の電極室、陰極の電極室およびこれらの電極室の間に配置されたイオン伝導体を備える水蒸気電解装置であって、
水素発生量の2倍を超える水蒸気を、陽極の電極室および陰極の電極室から選択される少なくとも一方に供給し、投入した水蒸気のうち50%以下を電気分解する、水蒸気電解装置。
[2] 水素発生量の2倍を超える水蒸気を、陽極の電極室および陰極の電極室の両方に供給し、投入した水蒸気のうち50%以下を電解する、[1]に記載の水蒸気電解装置。
[3] 水素発生量の10倍以上の水蒸気を、陽極の電極室および陰極の電極室から選択される少なくとも一方に供給する、[1]又は[2]に記載の水蒸気電解装置。
[4] 陽極の電極室に水蒸気を供給する陽極側の水蒸気発生部、および、
陰極の電極室に水蒸気を供給する陰極側の水蒸気発生部、から選択される少なくとも一方を備える、[1]~[3]のいずれかに記載の水蒸気電解装置。
[5] 陽極側の熱交換部および陰極側の熱交換部から選択される少なくとも一方を備え、
陽極側の熱交換部は、陽極の電極室に供給する水蒸気をガス-ガス熱交換により加熱し、
陰極側の熱交換部は、陰極の電極室に供給する水蒸気をガス-ガス熱交換により加熱する、[1]~[4]のいずれかに記載の水蒸気電解装置。
[6] 陽極側の熱交換部は、陽極の電極室から排出される酸素および水蒸気から選択される少なくとも1種をガス-ガス熱交換により冷却し、
陰極側の熱交換部は、陰極の電極室から排出される水素および水蒸気から選択される少なくとも1種をガス-ガス熱交換により冷却する、[5]に記載の水蒸気電解装置。
[7] 陽極側の水蒸気過剰加熱部および陰極側の水蒸気過剰加熱部から選択される少なくとも一方を備え、
陽極側の水蒸気過剰加熱部は、陽極側の熱交換部で加熱された水蒸気をさらに加熱し、陽極の電極室にイオン伝導体の電気分解の作動温度よりも高い温度の水蒸気を供給し、
陰極側の水蒸気過剰加熱部は、陰極側の熱交換部で加熱された水蒸気をさらに加熱し、陰極の電極室にイオン伝導体の電気分解の作動温度よりも高い温度の水蒸気を供給する、[5]又は[6]に記載の水蒸気電解装置。
[8] 陽極側の濃縮部および陰極側の濃縮部から選択される少なくとも一方を備え、
陽極側の濃縮部は、陽極側の熱交換部で冷却された水素および酸素から選択される少なくとも1種を回収し、陽極側の熱交換部で冷却された水蒸気を液体の水として分離して陽極側の水蒸気発生部に返送し、
陰極側の濃縮部は、陰極側の熱交換部で冷却された水素および酸素から選択される少なくとも1種を回収し、陽極側の熱交換部で冷却された水蒸気を液体の水として分離して陽極側の水蒸気発生部に返送する、[4]~[7]のいずれかに記載の水蒸気電解装置。
[9] 陽極側の水蒸気発生部および陰極側の水蒸気発生部では、地熱または太陽熱によるエネルギーが用いられる、[4]~[8]のいずれかに記載の水蒸気電解装置。
[10] 陽極側の水蒸気過剰加熱部および陰極側の水蒸気過剰加熱部では、地熱または太陽熱によるエネルギーが用いられる、[7]~[9]のいずれかに記載の水蒸気電解装置。
[11] イオン伝導体がプロトン伝導体であり、
イオン伝導体の作動温度が300~650℃であり、
水蒸気が陰極の電極室に供給される、[1]~[10]のいずれかに記載の水蒸気電解装置。
[12] イオン伝導体が酸化物イオン伝導体であり、
イオン伝導体の作動温度が700℃以上であり、
水蒸気が陽極の電極室に供給される、[1]~[10]のいずれかに記載の水蒸気電解装置。
[13] 陽極の電極室、陰極の電極室およびこれらの電極室の間に配置されたイオン伝導体を備える水蒸気電解装置を用いた水蒸気電解方法であって、
水素発生量の2倍を超える水蒸気を、陽極の電極室および陰極の電極室から選択される少なくとも一方に供給し、投入した水蒸気のうち50%以下を電気分解する、水蒸気電解方法。
[14] 水素発生量の2倍を超える水蒸気を、陽極の電極室および陰極の電極室の両方に供給し、投入した水蒸気のうち50%以下を電解する、[13]に記載の水蒸気電解方法。
[16] 水素発生量の10倍以上の水蒸気を、陽極の電極室および陰極の電極室から選択される少なくとも一方に供給する、[13]又は[14]に記載の水蒸気電解方法。
【発明の効果】
(【0011】以降は省略されています)
この特許をJ-PlatPat(特許庁公式サイト)で参照する
関連特許
国立大学法人九州大学
センサー装置
2か月前
国立大学法人九州大学
核酸増幅方法
2日前
国立大学法人九州大学
遺伝子発現増強剤
2か月前
国立大学法人九州大学
牛の放牧飼養管理方法
4か月前
株式会社王樹製薬
抗ウィルス液
1か月前
リンナイ株式会社
調理システム
5か月前
株式会社明治
脳機能改善用組成物
1か月前
国立大学法人九州大学
固体電解質、積層体、及び、燃料電池
6か月前
国立大学法人九州大学
磁気センサの製造方法及び磁気センサ
8日前
株式会社タクマ
二酸化炭素回収装置
4か月前
国立大学法人九州大学
コバルト及びニッケルの分離回収方法
4か月前
リンナイ株式会社
深部体温推定装置
2か月前
リンナイ株式会社
深部体温推定装置
2か月前
国立大学法人東北大学
認知機能改善剤
5か月前
日本電信電話株式会社
高周波発生装置
3か月前
国立大学法人九州大学
可逆燃料電池システム及びその運転方法
1日前
鹿島建設株式会社
遮水工、温度監視方法
5か月前
国立大学法人九州大学
水電解装置、水素製造システム及び水電解方法
1か月前
日本ゼオン株式会社
フッ化炭化水素の製造方法
4か月前
学校法人常翔学園
選択性ガス分離膜の製造方法
4か月前
国立大学法人九州大学
液晶化合物、並びにこれを含む液晶組成物および素子
22日前
株式会社明治
筋分化促進用組成物、及び筋肉増強用組成物
1か月前
国立大学法人九州大学
情報処理装置、情報処理方法、及びコンピュータプログラム
8日前
国立大学法人九州大学
医用情報処理装置、医用画像診断装置、方法及びプログラム
17日前
国立大学法人九州大学
医用情報処理装置、医用画像診断装置、方法及びプログラム
17日前
株式会社明治
67kDaラミニンレセプター活性化用組成物
1か月前
国立大学法人九州大学
有機エレクトロルミネッセンス素子、その設計方法およびプログラム
5か月前
国立大学法人 熊本大学
クリック反応素子AOCN誘導体又はその塩
16日前
トヨタ自動車九州株式会社
水電解装置及び水電解装置の運転制御方法
2か月前
JFEスチール株式会社
酸素化合物ガスの分解方法およびガス分解装置
25日前
株式会社明治
速筋線維発現促進用組成物、及び筋肉速筋化促進用組成物
1か月前
国立大学法人九州大学
プローブの設計方法、プローブの設計システム、及びプローブの設計プログラム
5か月前
国立大学法人九州大学
マイクロプラスチックの分析方法及び分析用マイクロプラスチックの分離回収方法
2か月前
JFEスチール株式会社
積層体、ガス分解装置および酸素化合物ガスの分解方法
25日前
国立大学法人九州大学
含ニッケル硫化物の浸出方法、ニッケル及び/又はコバルトを含む溶液の製造方法
4か月前
五洋建設株式会社
地盤改良後の評価対象領域に対する評価装置、評価方法及びプログラム
4か月前
続きを見る
他の特許を見る