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公開番号2025014921
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-01-30
出願番号2023117877
出願日2023-07-19
発明の名称精神的ストレスの診断補助方法
出願人株式会社島津製作所,国立大学法人九州大学
代理人弁理士法人京都国際特許事務所
主分類G01N 33/68 20060101AFI20250123BHJP(測定;試験)
要約【課題】被検者に対する精神的ストレスの有無や程度を正確に診断するための補助となる情報を提供する。
【解決手段】本発明の精神的ストレスの診断補助方法は、被検者から採取された生体試料に含まれる複数の成分の濃度を測定する工程と、被検者を、パーソナリティの特性に基づき分類する工程と、測定された成分の濃度とパーソナリティの特性による分類とに基づき、被検者の精神的ストレスの程度を診断するための情報であるストレス診断補助情報を生成する工程とを含み、前記複数の成分が、ベタイン、クレアチン、GABA、クレアチニン、セロトニン、キヌレン酸、3-ヒドロキシ酪酸、クエン酸を含むものである。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
被検者から採取された生体試料に含まれる複数の成分の濃度を測定する工程と、
被検者を、パーソナリティの特性に基づき分類する工程と、
測定された成分の濃度とパーソナリティの特性による分類とに基づき、被検者の精神的ストレスの程度を診断するための情報であるストレス診断補助情報を生成する工程とを含み、
前記複数の成分が、ベタイン、クレアチン、GABA、クレアチニン、セロトニン、キヌレン酸、3-ヒドロキシ酪酸、クエン酸を含む、精神的ストレスの診断補助方法。
続きを表示(約 1,000 文字)【請求項2】
前記複数の成分が、さらに、キヌレニン、トリプトファン、3-ヒドロキシキヌレニンを含む、請求項1に記載の精神的ストレスの診断補助方法。
【請求項3】
液体クロマトグラフィ質量分析によって前記生体試料に含まれる成分の濃度を測定する、請求項1又は2に記載の精神的ストレスの診断補助方法。
【請求項4】
前記パーソナリティの特性による分類が、TACS-22、HQ-25、及び立川レジリエンス・スコアから選ばれる1又は複数を利用したものである、請求項1又は2に記載の精神的ストレスの診断補助方法。
【請求項5】
前記生成されたストレス診断補助情報と、職業ストレス調査票の結果とを含むレポートを提供する工程をさらに備える、請求項1又は2に記載の精神的ストレスの診断補助方法。
【請求項6】
前記生成されたストレス診断補助情報と、PHQ9のスコアとを含むレポートを提供する工程をさらに備える、請求項1又は2に記載の精神的ストレスの診断補助方法。
【請求項7】
前記ストレス診断補助情報が、測定された成分の濃度とパーソナリティの特性による分類を入力データとし、ストレスチェックのための問診の結果に相当する情報を出力データとする機械学習モデルである、請求項1又は2に記載の精神的ストレスの診断補助方法。
【請求項8】
被検者の精神的ストレスの程度を判別するための判定モデルを生成する方法において、
前記被検者から採取された生体試料に含まれる複数の成分の濃度、および当該被検者のパーソナリティの特性を入力データとし、職業ストレス調査票の結果に相当する情報又はPHQ9のスコアを正解データとするデータセットを取得する工程と、
前記データセットに基づき機械学習を実行することにより、前記判定モデルを学習する工程と、
所定の評価用データセットを用いて前記判定モデルの適当性を評価する工程と
を有する生成方法。
【請求項9】
前記評価用データセットが、前記判定モデルを学習する工程で用いられるデータセットに含まれる入力データと一部又は全部が異なるデータを入力データとし、職業ストレス調査票の結果に相当する情報又はPHQ9のスコアを正解データとする、請求項8に記載の判定モデルの生成方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、精神的ストレスの診断補助方法に関する。
続きを表示(約 2,000 文字)【背景技術】
【0002】
近年、仕事や職場生活に関する精神的ストレスや強い悩み、不安を感じている労働者の割合が増加しており、精神的ストレス等が原因で精神障害を発症し、労災認定される事案も増加傾向にある。なお、本明細書では、「精神的ストレス」を「ストレス」ともいう。ストレスを感じながら仕事に従事すると、仕事の内容によっては大きな事故を誘発しかねない。そのような状況を踏まえ、日本では厚生労働省により「労働者の心の健康保持増進のための指針」が定められ、職場における労働者の心の健康の保持増進のための措置(メンタルヘルスケア)の実施が推進されている(非特許文献1)。
【0003】
上記指針では、「精神及び行動の障害に分類される精神障害や自殺のみならず、ストレスや強い悩み、不安など、労働者の心身の健康、社会生活及び生活の質に影響を与える可能性のある精神的及び行動上の問題を幅広く含むもの」を「メンタルヘルス不調」と定義し、メンタルヘルス不調を未然に防止するため、或いはメンタルヘルス不調を早期に発見するための対策が講じられている。
【0004】
例えば平成26年(2014年)6月25日に公布された「労働安全衛生法の一部を改正する法律」(平成26年法律第82号)では、心理的な負担の程度を把握するための検査(ストレスチェック)及びその結果に基づく面接指導の実施等を内容とした「ストレスチェック制度」が創設され、ストレスチェック制度を含めた、職場におけるメンタルヘルスケアを積極的に実施することが求められている。ここで、「ストレスチェック制度」とは、労働安全衛生法第66条の10に係る事業場における一連の取組全体を指す。
【0005】
ストレスチェックの主な方法は問診と血液検査である。ストレスチェックに使用される問診の代表的なものとしては、職業ストレス調査票、PHQ9(Patient Health Questionnaire-9)を用いた問診がある。また、代表的な血液検査としては、血液中のストレスの指標物質である代謝物(バイオマーカ)の濃度を、液体クロマトグラフ装置や質量分析装置等を用いて測定し、その結果からストレスの程度を判定する方法がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
厚生労働省 独立行政法人労働者健康安全機構「職場における心の健康づくり~労働者の心の健康の保持増進のための指針~」, 2017年3月, [2023年5月17日検索], インターネット<URL:https://www.mhlw.go.jp/content/000560416.pdf>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
問診の多くは被検者の主観的な訴えや態度に依拠するため、問診結果からストレスの有無やストレスの程度を判定するための絶対的な基準を設定することが難しい。一方、血液検査では、バイオマーカの測定値(濃度)という客観的な数値に基づきストレスの有無や程度を判定するものの、被検者の性格、気質等のパーソナリティの特性が測定値に及ぼす影響が考慮されない。例えば、活発でストレスに強い被検者と気が弱く繊細な気質の被検者とではストレスの感じ方が異なるため、同じようなストレス環境下であっても両者のバイオマーカの測定値に違いがでる場合がある。そのため、活発でストレスに強い被検者が重度のストレスを感じている状態を見落としてしまったり、逆に気が弱く繊細な気質の被検者が感じているストレスを過大評価してしまったりするという問題があった。
【0008】
なお、ここでは、主に仕事や職業生活におけるストレスチェックについて説明したが、それ以外の例えば家庭や生活環境、学校生活におけるストレスチェックの場合も同じような問題がある。
【0009】
本発明が解決しようとする課題は、被検者に対する精神的ストレスの有無や程度を正確に診断するための補助となる情報を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために成された本発明に係る精神的ストレスの診断補助方法は、
被検者から採取された生体試料に含まれる複数の成分の濃度を測定する工程と、
被検者を、パーソナリティの特性に基づき分類する工程と、
測定された成分の濃度とパーソナリティの特性による分類とに基づき、被検者のストレスの程度を診断するための情報であるストレス診断補助情報を生成する工程とを含み、
前記複数の成分が、ベタイン、クレアチン、GABA、クレアチニン、セロトニン、キヌレン酸、3-ヒドロキシ酪酸、クエン酸を含むものである。
【発明の効果】
(【0011】以降は省略されています)

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