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公開番号
2024125105
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-09-13
出願番号
2023033224
出願日
2023-03-03
発明の名称
磁気加熱システム及び磁気加熱制御方法
出願人
国立大学法人東北大学
代理人
弁理士法人フィールズ国際特許事務所
主分類
A61N
2/02 20060101AFI20240906BHJP(医学または獣医学;衛生学)
要約
【課題】生体への侵襲なしに、生体内に注入された磁性流体の温度を高精度に制御することができる磁気加熱システムを提供する。
【解決手段】生体内のリンパ節に注入された磁性流体を加熱する磁気加熱システムは、生体の外側から磁性流体に磁界を印加して磁性流体を加熱する加熱部と、リンパ節付近の生体表面で測定される磁性流体の磁化に対応する第1の温度を測定する磁化温度測定部と、 リンパ節付近の生体表面の温度に対応する第2の温度を測定する表面温度測定部と、前記第1の温度及び前記第2の温度に基づいて前記加熱部を制御する制御部とを備える。
【選択図】図1
特許請求の範囲
【請求項1】
生体内のリンパ節に注入された磁性流体を加熱する磁気加熱システムにおいて、
生体の外側から前記磁性流体に磁界を印加して前記磁性流体を加熱する加熱部と、
リンパ節付近の生体表面で測定される前記磁性流体の磁化に対応する第1の温度を測定する磁化温度測定部と、
リンパ節付近の生体表面の温度に対応する第2の温度を測定する表面温度測定部と、
前記第1の温度及び前記第2の温度に基づいて前記加熱部を制御する制御部とを備えることを特徴とする磁気加熱システム。
続きを表示(約 1,900 文字)
【請求項2】
前記制御部は、前記磁性流体の温度を所定の目標温度とするために前記第1の温度が所定の設定温度となるように、前記加熱部により前記磁性流体に印加する磁界の大きさを制御し、前記第1の温度及び前記第2の温度に基づいて、前記磁性流体の温度が前記目標温度であるか判定し、前記磁性流体の温度が前記目標温度でないと判定した場合、前記第2の温度に基づいて、前記設定温度を変更することを特徴とする請求項1に記載の磁気加熱システム。
【請求項3】
前記制御部は、前記磁性流体の温度を所定の目標温度とするために前記第2の温度が所定の設定温度となるように、前記加熱部により前記磁性流体に印加する磁界の大きさを制御し、前記第1の温度及び前記第2の温度に基づいて、前記磁性流体の温度が前記目標温度であるか判定し、前記磁性流体の温度が前記目標温度でないと判定した場合、前記第1の温度に基づいて、前記設定温度を変更することを特徴とする請求項1に記載の磁気加熱システム。
【請求項4】
前記磁化温度測定部は、生体表面に接触又は近接して配置されたコイルを含み、前記コイルが前記磁性流体の磁化の変化を検出することで、前記磁性流体の温度を測定することを特徴とする請求項1に記載の磁気加熱システム。
【請求項5】
前記表面温度測定部は、リンパ節付近の生体表面の温度を測定するサーモグラフィ装置であることを特徴とする請求項1に記載の磁気加熱システム。
【請求項6】
生体内のリンパ節に注入された磁性流体を加熱する磁気加熱制御方法において、
生体の外側から前記磁性流体に磁界を印加して前記磁性流体を加熱する加熱工程と、
リンパ節付近の生体表面で測定される前記磁性流体の磁化に対応する第1の温度を測定する磁化温度測定工程と、
リンパ節付近の生体表面の温度に対応する第2の温度を測定する表面温度測定工程と、
前記第1の温度及び前記第2の温度に基づいて、前記加熱工程を制御する制御工程とを備えることを特徴とする磁気加熱制御方法。
【請求項7】
生体内のリンパ節に注入された磁性流体を加熱する磁気加熱システムにおいて、
生体の外側から前記磁性流体に磁界を印加して前記磁性流体を加熱する加熱部と、
リンパ節付近の生体表面で測定される前記磁性流体の磁化に対応する温度を測定する磁化温度測定部と、
前記磁化温度測定部により測定された温度に基づいて前記加熱部を制御する制御部とを備え、
前記磁化温度測定部は、前記磁性流体の磁化に対応する信号であって、基本周波数成分を有する基本波信号及び前記基本周波数成分の高次の周波数成分を有する高調波信号を検知し、当該基本波信号及び当該高調波信号に基づいて前記磁性流体の温度を測定することを特徴とする磁気加熱システム。
【請求項8】
生体内のリンパ節に注入された磁性流体を加熱する磁気加熱制御方法において、
生体の外側から前記磁性流体に磁界を印加して前記磁性流体を加熱する加熱工程と、
前記磁性流体の磁化に対応する信号であって、基本周波数成分を有する基本波信号及び前記基本周波数成分の高次の周波数成分を有する高調波信号を検知し、当該基本波信号及び当該高調波信号に基づいて、リンパ節付近の生体表面で測定される前記磁性流体の磁化に対応する温度を測定する磁化温度測定工程と、
前記磁化温度測定工程により測定された温度に基づいて、前記加熱工程を制御する制御工程とを備えることを特徴とする磁気加熱制御方法。
【請求項9】
生体内のリンパ節に注入された磁性流体を加熱する磁気加熱システムにおいて、
生体の外側から前記磁性流体に磁界を印加して磁性流体を加熱する加熱部と、
リンパ節付近の生体表面で測定される前記磁性流体の磁化に対応する温度を測定する磁化温度測定部と、
前記磁化温度測定部により測定された温度に基づいて前記加熱部を制御する制御部とを備え、
前記加熱部は、デューティ比50%未満のパルス幅の短パルス波の磁界を前記磁性流体に印加することを特徴とする磁気加熱システム。
【請求項10】
前記加熱部は、デューティ比10%未満のパルス幅の短パルス波の磁界を前記磁性流体に印加することを特徴とする請求項9に記載の磁気加熱システム。
(【請求項11】以降は省略されています)
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁性流体が注入されたがん組織に交流磁界を印加してがん組織を加熱することでがん治療を行うための磁気加熱システム及び磁気加熱制御方法に関する。
続きを表示(約 1,700 文字)
【背景技術】
【0002】
がんに対する治療法として、温熱療法(ハイパーサーミア)が注目されている。この治療法ではがん組織が正常組織よりも温熱に弱いことを利用して、がん組織のみを選択的に壊死や縮退させることができる。そのため、現在一般的ながん治療法である手術療法、薬物療法、放射線療法に比べ、患者への負担が少ない低侵襲な治療法として期待されている。
【0003】
温熱療法における従来の加熱方式には、RF誘電加熱法や超音波加熱法などが提案され、すでに医療現場で用いられているが、これらの方式では加熱領域の制御が比較的困難であり、がん組織のみを選択的に加熱できない場合がある。温熱療法を効果的に実行するには、がん組織が死滅しうる温度までの加熱を一定時間継続して行う必要があり、さらに治療温度を高めれば、がんをより確実に死滅させることができる。しかしながら、その周囲の正常組織も高温環境へ晒し、損傷させる危険性がある。したがって、温熱療法の確立には、正常組織には害を及ぼさず、がん組織のみを治療できる温度と加熱時間の解明や温度制御システムの開発が求められる。そこで、図18に示すように、磁性体を発熱体としてがん組織に埋め込み、交流磁界の印加により局所的な加熱を可能とする磁気温熱療法が提案され研究されている。図18は、磁気温熱療法を概念的に表す図である。
【0004】
磁気温熱療法においては、感温磁性体と呼ばれる低キュリー温度の磁性材料を生体内に埋め込み、材料の持つ温度に対する磁気特性の変化から加熱温度を制御するソフトヒーティング法が提案されている。しかし、この手法では感温磁性体がμm~mmオーダーになるため治療後の取り出しが困難である。また、熱耐性の異なる様々ながん細胞への細やかな温度制御も難しい課題もある。そこで、動物実験ではnmオーダーの磁性ナノ粒子を患部へ埋め込み、光ファイバー温度計による温度測定を行いながら、印加磁界の強度を操作する方式がとられている。
【0005】
特許文献1は、磁性ナノ粒子による低浸透圧懸濁物を患者の生体内に注入し、磁気温熱療法のために患者に交流磁界を印加する手法について開示する。
【0006】
また、非特許文献1は、本発明者らの研究であって、動物実験において、交流磁界の印加により、生体内に注入された磁性ナノ粒子を加熱する温度制御に関して、オーバーシュートさせずに目標温度でぶれずに一定温度を維持するように、印加する磁界を精密に制御する定温加熱制御手法について開示する。
【0007】
なお、特許文献2は、磁気加熱による温熱効果によらずに、特定の周波数の交流磁界を印加するがん治療装置について開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
国際公開第2014/140543号
国際公開第2018/097185号
【非特許文献】
【0009】
A. Shikano, L. Tonthat, and S. Yabukami : IEEJ Trans. Electr. Electron. Eng. , 16 , 807 - 809 (2021)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
交流磁界の印加により加熱される磁性流体の温度は、in vitro実験や動物実験では、光ファイバー温度計などの温度計を測定対象物である磁性流体に直接接触させて測定することができる。しかしながら、磁気温熱療法をヒト(患者)のがん治療に適用するために、生体内に磁性流体を注入してその温度を測定する場合、温度計を生体内に挿入して直接温度を測定することは、侵襲性が高く、患者への負担が大きいことから、侵襲することなく生体内の磁性流体の温度を正確に測定することが求められる。そして、測定された温度に基づいて、磁性流体を所定の目標温度に一定温度で維持するように定温加熱制御することが求められる。
(【0011】以降は省略されています)
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