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公開番号2024124632
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-09-13
出願番号2023032439
出願日2023-03-03
発明の名称金属含有ゼオライトおよびそれを含む触媒
出願人東ソー株式会社
代理人
主分類B01J 29/46 20060101AFI20240906BHJP(物理的または化学的方法または装置一般)
要約【課題】脂肪族炭化水素及び/又は脂環式炭化水素の炭化水素原料からエタン及び芳香族化合物を同時に製造することを可能とし、その際の生産性・安定性・長寿命に優れた性能を発揮するエタン及び芳香族化合物製造用触媒としての適用を可能とする金属含有ゼオライトを提供する。
【解決手段】周期表第10族の金属および周期表第11族の金属を含む金属含有ゼオライトであって、周期表第10族の金属が白金及び/又はパラジウム、周期表第11族の金属が銅であり、周期表第10族の金属と周期表第11族の金属との物質量比が1:2～1:20、周期表第10族の金属の含有量が0.1～1.5重量%であり、ゼオライトが10員環骨格構造を有するゼオライトである、金属含有ゼオライト。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項１】
周期表第１０族の金属および周期表第１１族の金属を含む金属含有ゼオライトであって、周期表第１０族の金属が白金及び／又はパラジウム、周期表第１１族の金属が銅であり、周期表第１０族の金属と周期表第１１族の金属との物質量比が１：２～１：２０、周期表第１０族の金属の含有量が０．１～１．５重量％であり、ゼオライトが１０員環骨格構造を有するゼオライトである、ことを特徴とする金属含有ゼオライト。
続きを表示（約 510 文字）【請求項２】
平均粒子径（ＰＤ）が１μｍ以下である、ことを特徴とする請求項１に記載の金属含有ゼオライト。
【請求項３】
酸量が０．０５～０．４ｍｍｏｌ／ｇである、ことを特徴とする請求項１又は２に記載の金属含有ゼオライト。
【請求項４】
１０員環骨格構造が、ＭＦＩ型、ＭＥＬ型およびＦＥＲ型よりなる群より選択されるものである、ことを特徴とする請求項１又は２に記載の金属含有ゼオライト。
【請求項５】
請求項１又は２に記載の金属含有ゼオライトを含むことを特徴とするエタン及び芳香族化合物同時製造用触媒。
【請求項６】
請求項５に記載のエタン及び芳香族化合物同時製造用触媒の存在下、炭素数１０以下の脂肪族炭化水素及び／又は脂環式炭化水素を接触し、エタン及び芳香族化合物を同時に製造することを特徴とするエタン及び芳香族化合物の製造方法。
【請求項７】
炭素数１０以下の脂肪族炭化水素及び／又は脂環式炭化水素が、炭素数４～８の脂肪族炭化水素及び／又は脂環式炭化水素であることを特徴とする請求項６に記載のエタン及び芳香族化合物の製造方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【０００１】
本発明は、特定の組み合わせの金属を含み特定構造を有する金属含有ゼオライト及びそれを含む触媒に関するものであり、特に周期表第１０族の金属として白金及び／又はパラジウム、周期表第１１族の金属として銅を特定の割合で含む１０員環骨格構造を有するゼオライトであることにより、脂肪族炭化水素及び／又は脂環式炭化水素からエタン及び芳香族化合物を製造する際に、生産性・安定性に優れた性能を発揮する触媒に適した金属含有ゼオライト及びそれを含む触媒に関するものである。
続きを表示（約 1,900 文字）【背景技術】
【０００２】
ベンゼンやトルエン、キシレン等の芳香族化合物は、多くの場合、石油精製により得られた原料油（例えばナフサなど）を、熱分解反応装置にて分解し、得られた熱分解生成物から蒸留又は抽出によって分離精製することで得られる。これらの芳香族化合物の製造方法では、芳香族化合物以外の熱分解生成物として、脂肪族炭化水素（パラフィン系、オレフィン系、アセチレン系、脂環系の炭化水素）が副生する。芳香族化合物の製造に伴って、脂肪族炭化水素が同時に製造されるため、芳香族化合物の生産量は脂肪族炭化水素の生産量に見合って調整がなされ、おのずと生産量が制限されるものであった。
【０００３】
そこで、脂肪族または脂環式炭化水素原料を、中細孔径ゼオライトを主に含んだ触媒と約４００℃～約８００℃程度の温度で接触させることにより、芳香族化合物を製造することが提案されている（例えば、特許文献１～２、非特許文献１～４参照。）。
【０００４】
また、エチレンやプロピレンなどの軽質オレフィンは、ポリマーを製造する際の重要な原料である。熱分解反応装置で副生する脂肪族炭化水素は炭素数が１のメタンから炭素数が１０以上のものまで生成し、特定の軽質オレフィンを多く生産することができない。そこで、脂肪族炭化水素をアルミノシリケートに約４５０～６００℃の温度で接触させることにより、プロピレン収率を高めることが提案されている（例えば、特許文献３参照。）。さらに、エタンやプロパンの脱水素反応によるエチレンやプロピレンの製造も提案されている（例えば、特許文献４，５参照。）。
【０００５】
そして、芳香族化合物及び軽質オレフィン、その原料の製造効率を高めること、更には未利用留分由来の脂肪族炭化水素及び／又は脂環式炭化水素の原料、植物由来又はケミカルリサイクル由来の脂肪族炭化水素原料より芳香族化合物、エチレンの原料であるエタンの製造効率を高めることは、包摂的で持続可能な産業化を推進化に寄与するものであり、近年叫ばれているＳＤＧｓ等持続可能な社会に必要なテクノロジーの１つである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００６】
特許第３７４１４５５号
特許第３２６４４４７号
特開２０１０－２０２６１３号公報
特開２０２１－４１３３３号公報
特開２００６－２１９３７５号公報
【非特許文献】
【０００７】
Ｉｎｄｕｓｔｒｉａｌ＆ＥｎｇｉｎｅｅｒｉｎｇＣｈｅｍｉｓｔｒｙＲｅｓｅａｒｃｈ第３１巻、９９５頁（１９９２年）
Ｉｎｄｕｓｔｒｉａｌ＆ＥｎｇｉｎｅｅｒｉｎｇＣｈｅｍｉｓｔｒｙＲｅｓｅａｒｃｈ第２６巻、６４７頁（１９８７年）
ＡｐｐｌｉｅｄＣａｔａｌｙｓｉｓ第７８巻、１５頁（１９９１年）
ＭｉｃｒｏｐｏｒｏｕｓａｎｄＭｅｓｏｐｏｒｏｕｓＭａｔｅｒｉａｌｓ第４７巻、２５３頁（２００１年）
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００８】
しかし、特許文献１，２、非特許文献１～４における提案は、熱分解による芳香族化合物の製造法と比較して、付加価値が低く、余剰な炭化水素原料から芳香族化合物が製造できるという利点がある反面、産業上の有用性の高いエチレンやプロピレンなどの軽質オレフィン原料については検討のなされていないものであった。また、特許文献３～５における提案は、付加価値の高い軽質オレフィン原料を効率的に生産できるという利点がある反面、エチレンの原料として有用性の高いエタンの選択的製造に関しては検討のなされていないものであった。
【０００９】
本発明は、脂肪族炭化水素及び／又は脂環式炭化水素を炭化水素原料とし、エタン及び芳香族化合物を同時選択的に、かつ、長時間にわたって安定的に製造することが可能となる新規な触媒として適した金属含有ゼオライト及びそれを含む触媒を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【００１０】
本発明者は、上記の課題を解決するため鋭意検討を行った結果、周期表第１０族および第１１族の金属に属する特定の金属を組み合わせて含み、１０員環の骨格構造を有するゼオライトが、選択的に、かつ、長時間にわたって安定的にエタン及び芳香族化合物を製造することが可能となる触媒となりうることを見出し、本発明を完成するに至った。
（【００１１】以降は省略されています）

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