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公開番号2025031004
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-03-07
出願番号2023136931
出願日2023-08-25
発明の名称塩水濃縮装置
出願人株式会社高江洲製塩所
代理人個人
主分類B01D 1/22 20060101AFI20250228BHJP(物理的または化学的方法または装置一般)
要約【課題】太陽熱および風の自然エネルギーを使用して(塩水が海水の場合)ミネラル分豊富な塩を製造するとともに、その構造を簡易かつ省スペース化を図りながら生産性(水分の蒸発)効率を高めることができる塩水濃縮装置を提供する。
【解決手段】本開示の海水濃縮装置10は、鉛直方向下向きに塩水を吐出する吐出口20と、吐出口20に対し鉛直方向下方に配置され、上方から供給される塩水を受けるために上方が開口されて形成され、その受けた塩水を第1の方向D1に沿って案内する流路30と、吐出口20および流路30の間に配置され、かつ水平方向に沿って延在し第1の方向D1と交差して配置される回転軸40と、筒状に形成され、その表面において供給される塩水を少なくとも当該表面の部分で保持可能に設けられ、かつ回転軸40によって回転可能に取り付けられる保持担体50と、を含む。
【選択図】図2
特許請求の範囲【請求項1】
鉛直方向下向きに塩水を吐出する吐出口(20)と、
前記吐出口(20)に対し鉛直方向下方に配置され、上方から供給される前記塩水を受けるために上方が開口されて形成され、その受けた前記塩水を第1の方向(D1)に沿って案内する流路(30)と、
前記吐出口(20)および前記流路(30)の間に配置され、かつ水平方向に沿って延在し前記第1の方向(D1)と交差して配置される回転軸(40)と、
筒状に形成され、その表面において供給される前記塩水を少なくとも当該表面の部分で保持可能に設けられ、かつ前記回転軸(40)によって回転可能に取り付けられる保持担体(50)と、を含み、
前記吐出口(20)から吐出される前記塩水の少なくとも一部は、前記保持担体(50)を通じて前記流路(30)に供給される、
塩水濃縮装置(10)。
続きを表示(約 1,000 文字)【請求項2】
前記回転軸(40)は、その回転方向がその鉛直方向下側の周方向において前記第1の方向(D1)に対し逆行するように配設される、
請求項1に記載の塩水濃縮装置(10)。
【請求項3】
前記回転軸(40)および前記保持担体(50)の外周の間には、1つまたは複数の翼(56)が前記回転軸(40)の径方向外方に沿って風を発生可能に設けられかつ前記回転軸(40)とともに回動する、
請求項1または2に記載の塩水濃縮装置(10)。
【請求項4】
前記流路(30)の表面に対し、風を送る送風部をさらに含む、
請求項1に記載の塩水濃縮装置(10)。
【請求項5】
前記送風部は、前記第1の方向(D1)に対して逆方向に風を送る、
請求項4に記載の塩水濃縮装置(10)。
【請求項6】
所定の空間の内部に、前記吐出口(20)と、前記流路(30)と、前記回転軸(40)と、前記保持担体(50)と、が配置され、
前記空間の内部を除湿するための除湿装置(81)をさらに含む、
請求項1に記載の塩水濃縮装置(10)。
【請求項7】
前記保持担体(50)は、前記表面においてその周方向に亘って張設される網状体(58)を含む、
請求項1に記載の塩水濃縮装置(10)。
【請求項8】
所定の空間の内部に、前記吐出口(20)と、前記流路(30)と、前記回転軸(40)と、前記保持担体(50)と、が配置され、
前記空間に向けて照射される光の照度を検出する照度検出部と、
前記空間の内部の湿度を検出する湿度検出部と、
前記流路(30)によって案内される前記塩水の温度を検出する温度検出部と、
前記照度検出部と、前記湿度検出部と、前記温度検出部と、の検出結果に基づいて、前記回転軸(40)の回転数および/または前記吐出口(20)の流量を制御する制御部(70)と、をさらに含む、
請求項1に記載の塩水濃縮装置(10)。
【請求項9】
前記保持担体(50)の表面は暗い色で設けられる、
請求項1に記載の塩水濃縮装置(10)。
【請求項10】
前記流路(30)は、その下流端部で前記吐出口(20)と連通し、
前記塩水は、前記流路(30)および前記吐出口(20)を通じて装置内部を循環して流通する、
請求項1に記載の塩水濃縮装置(10)。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえば海水などの塩水に対し、自然エネルギーを使用してその水分を蒸発させて塩分濃縮を図ることが可能な塩水濃縮装置に関する。
続きを表示(約 3,600 文字)【背景技術】
【0002】
太陽熱または風のエネルギーを使用して海水(塩水の一例)を蒸発させ、その海水から塩分を結晶させて天然塩を製造する装置が知られる(たとえば特許文献1参照)。
【0003】
一般的に、従来の製塩は浸透圧による機械製造、釜炊または天日干による自然製造の3つに主に分類されるが、前記特許文献1の装置は、太陽熱を使用してミネラル分を多く含む良質の天然塩を短時間で製造することが可能とされる。
【0004】
前記特許文献1の装置は、板の周囲を縁取りし、その中心を支点にしてシーソーのように動作させることにより塩を製造する。また、その板を黒色金属板に設け、さらにその表面に微細な凹凸を形成することにより熱吸収と海水の付着を向上させることが可能とされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特開平11-018719号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述のように、前記特許文献1の装置は、太陽熱および/または風の自然エネルギーを使用して、ミネラル分豊富な塩を製造しかつ製造コストを抑制しながらも自然環境への負担を防止することが可能である。
【0007】
しかしながら、板を傾けて海水の層を薄くすることにより塩水の蒸発時間を短縮することは可能であるが、同時に海水が外部に流出する可能性がある。そのため、板を傾ける角度または速度を調節する必要があり、装置の構造が複雑化したりその操作が煩雑となったりする可能性がある。さらに、大量に塩の製造をする場合、前記特許文献1の装置は、その板面積を増大する必要があり、省スペース化が原理的に困難なものである。つまり、前記特許文献1の装置は、構造の簡素化および省スペース化の点で改善の余地があるといえる。
【0008】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、太陽熱および風の自然エネルギーを使用して(塩水が海水の場合)ミネラル分豊富な塩を製造するとともに、その構造を簡易かつ省スペース化を図りながら生産性(水分の蒸発)効率を高めることができる塩水濃縮装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の前述した目的は、後記の構成により達成される。
[1]
鉛直方向下向きに塩水を吐出する吐出口と、
前記吐出口に対し鉛直方向下方に配置され、上方から供給される前記塩水を受けるために上方が開口されて形成され、その受けた前記塩水を第1の方向に沿って案内する流路と、
前記吐出口および前記流路の間に配置され、かつ水平方向に沿って延在し前記第1の方向と交差して配置される回転軸と、
筒状に形成され、その表面において供給される前記塩水を少なくとも当該表面の部分で保持可能に設けられ、かつ前記回転軸によって回転可能に取り付けられる保持担体と、を含み、
前記吐出口から吐出される前記塩水の少なくとも一部は、前記保持担体を通じて前記流路に供給される、
塩水濃縮装置。
[2]
前記回転軸は、その回転方向がその鉛直方向下側の周方向において前記第1の方向に対し逆行するように配設される、
[1]に記載の塩水濃縮装置。
[3]
前記回転軸および前記保持担体の外周の間には、1つまたは複数の翼が前記回転軸の径方向外方に沿って風を発生可能に設けられかつ前記回転軸とともに回動する、
[1]または[2]に記載の塩水濃縮装置。
[4]
前記流路の表面に対し、風を送る送風部をさらに含む、
[1]に記載の塩水濃縮装置。
[5]
前記送風部は、前記第1の方向に対して逆方向に風を送る、
[4]に記載の塩水濃縮装置。
[6]
所定の空間の内部に、前記吐出口と、前記流路と、前記回転軸と、前記保持担体と、が配置され、
前記空間の内部を除湿するための除湿装置をさらに含む、
[1]に記載の塩水濃縮装置。
[7]
前記保持担体は、前記表面においてその周方向に亘って張設される網状体を含む、
[1]に記載の塩水濃縮装置。
[8]
所定の空間の内部に、前記吐出口と、前記流路と、前記回転軸と、前記保持担体と、が配置され、
前記空間に向けて照射される光の照度を検出する照度検出部と、
前記空間の内部の湿度を検出する湿度検出部と、
前記流路によって案内される前記塩水の温度を検出する温度検出部と、
前記照度検出部と、前記湿度検出部と、前記温度検出部と、の検出結果に基づいて、前記回転軸の回転数および/または前記吐出口の流量を制御する制御部と、をさらに含む、
[1]に記載の塩水濃縮装置。
[9]
前記保持担体の表面は暗い色で設けられる、
[1]に記載の塩水濃縮装置。
[10]
前記流路は、その下流端部で前記吐出口と連通し、
前記塩水は、前記流路および前記吐出口を通じて装置内部を循環して流通する、
[1]に記載の塩水濃縮装置。
【0010】
前記[1]の構成によれば、吐出口から吐出される塩水の一部は、吐出口および流路の間に配設される回転軸によって回動可能に取り付ける保持担体を通じて流路に供給される。このとき、保持担体は回転軸の周方向に亘って延張されており、塩水が蒸発するのに必要な面積(経路)を巡回的に確保して省スペースでありながらも塩水の蒸発効率を高めることができる。さらに、回転軸による保持担体の全体的な回転に伴って、流路の表面に空気の流れ(気流)を発生させて、簡易な構造でありながらも流路での蒸発効率も同時に高めることができる。つまり、その塩水が海水である場合には太陽熱および風の自然エネルギーを使用してミネラル分豊富な塩を製造するとともに、その構造を簡易かつ省スペース化を図りながら生産性(水分の蒸発)効率を高めることができる。
前記[2]の構成によれば、流路の表面での空気の流れの速度(風速)に関し、流路の流れ方向とは逆行する方向で風を発生させることで流路表面上での風速を相対的に高めることができる。ここで、単純モデル「熱の出入りのない水面上に風が吹いている状態」での蒸発速度を想定する場合、その水面上の風速を上昇させると蒸発速度を高められることが理論的に知られており、前記[2]の構成によれば、その結果、流路での蒸発効率をさらに高めることができる。
前記[3]の構成によれば、流路の表面での風の流れをより一層強く発生させることができ、その結果、流路での蒸発効率をさらに高めることができる。
前記[4]の構成によれば、流路の表面に対し強制的に風を発生させ、その結果、流路での水分の蒸発効率をさらに高めることができる。
前記[5]の構成によれば、流路の流れ方向とは逆行する方向で風を強制的に発生させて、その結果、流路での蒸発効率をさらに高めることができる。
前記[6]の構成によれば、所定の空間の内部に除湿装置を配置することで、当該空間内の湿度を低下させることで、結果的にその空間内での蒸発効率を高めることができる。
前記[7]の構成によれば、保持担体において塩水の保持力の向上および軽量化を同時に図ることで、保持担体での蒸発効率および流路の表面での気流の発生をバランスよく図ることができる。
前記[8]の構成によれば、制御部をさらに含み、その制御部は照度検出部、湿度検出部および温度検出部の検出結果に基づいて、回転軸の回転数および/または吐出口の流量を制御する。このため、回転軸の回転数および/または吐出口の流量の最適化をたとえば機械学習および/または最適制御などの制御アルゴリズムに基づいて図る。これにより、その結果、保持担体での蒸発効率、および流路での蒸発効率、の両方を適応的に実現することができる。
前記[9]の構成によれば、保持担体の表面は暗い色で設けられる。このため、太陽光からの熱吸収効率を高めて、保持担体での蒸発効率をより向上させることができる。
前記[10]の構成によれば、塩水を、その装置内部を循環して流通させる。このため、濃縮効率をより一層高めることができる。
【発明の効果】
(【0011】以降は省略されています)

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