特許ウォッチ

公開番号2025028711
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-03-03
出願番号2023133697
出願日2023-08-18
発明の名称渦流式流体混合器
出願人旭有機材株式会社
代理人個人,個人
主分類B01F 25/10 20220101AFI20250221BHJP(物理的または化学的方法または装置一般)
要約【課題】省スペースで、配管の径方向と流れ方向との両方の濃度のバラつきを減らすことができる流体混合器を提供する。
【解決手段】渦流式流体混合器11は、筒形状の周側壁13とその両端に設けられ互いと対向する第1の端壁15及び第2の端壁17とによって規定される渦室25と、周側壁13に開口する入口流路19と、第1の端壁15に開口する出口流路21と、入口流路19の上流側に設けられ、少なくとも二つの流体供給路が合流する合流部23とを備える。渦室25は、少なくとも二つの流体供給路から供給されて合流部23で合流した流体が入口流路19を介して渦室25内に流入すると渦流をなすように構成されており、渦室25内で渦流をなして混合された流体が出口流路21から流出するようになっている。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項１】
筒形状の周側壁と該周側壁の両端に設けられ互いと対向する第１の端壁及び第２の端壁とによって規定される渦室と、
入口流路中心軸線に沿って延び且つ前記周側壁に開口する入口流路と、
出口流路中心軸線に沿って延び且つ前記第１の端壁に開口する出口流路と、
前記入口流路の上流側に設けられ、少なくとも二つの流体供給路が合流する合流部と、
を備え、
前記渦室は、前記少なくとも二つの流体供給路から供給されて前記合流部で合流した流体が前記入口流路を介して前記渦室内に流入すると渦流をなすように構成されており、前記渦室内で渦流をなして混合された流体が前記出口流路から流出することを特徴とする渦流式流体混合器。
続きを表示（約 680 文字）【請求項２】
前記入口流路は、前記入口流路中心軸線が前記第１の端壁の中心と前記第２の端壁の中心とを結ぶ渦室中心軸線から離れた位置を通るように設けられている、請求項１に記載の渦流式流体混合器。
【請求項３】
前記出口流路は、前記出口流路中心軸線が前記入口流路中心軸線から離れた位置を通って延びるように設けられている、請求項２に記載の渦流式流体混合器。
【請求項４】
前記出口流路は、前記出口流路中心軸線が前記渦室中心軸線上に延びるように設けられている、請求項２に記載の渦流式流体混合器。
【請求項５】
前記第１の端壁及び前記第２の端壁の少なくとも一方から前記渦室内に突出する突出部をさらに備える、請求項２に記載の渦流式流体混合器。
【請求項６】
前記突出部が前記渦室中心軸線から偏位した位置に設けられている、請求項５に記載の渦流式流体混合器。
【請求項７】
前記突出部が前記出口流路中心軸線から偏位した位置に設けられている、請求項５に記載の渦流式流体混合器。
【請求項８】
前記第２の端壁がダイヤフラムによって構成されている、請求項１に記載の渦流式流体混合器。
【請求項９】
前記ダイヤフラムが、前記第１の端壁に対して接近離反するように駆動部によって移動される、請求項８に記載の渦流式流体混合器。
【請求項１０】
前記第１の端壁及び前記第２の端壁が円形状又は楕円形状である、請求項１から請求項９の何れか一項に記載の渦流式流体混合器。

発明の詳細な説明【技術分野】
【０００１】
本発明は、化学工場、半導体製造分野、食品分野、医療分野、バイオ分野などの各種産業における流体輸送配管に使用され、渦流を用いて２種以上の流体を混合する渦流式流体混合器に関する。
続きを表示（約 2,400 文字）【背景技術】
【０００２】
化学工場、半導体製造分野、食品分野、医療分野、バイオ分野などの各種産業分野において、管内を流れる流体を混合する方法としては、例えば特許文献１に開示されているような捩じり羽根状のスタティックミキサーエレメントを管内に装着したスタティックミキサーを用いるのが一般的である。通常、スタティックミキサーエレメントは、長方形板を長手軸線周りに１８０度捩じったものを最小単位部材として、複数の最小単位部材を直列に結合した構造を有している。典型的なスタティックミキサーでは、長方形板を１８０度だけ右回転方向へ捩じった形状である右エレメントの端部（捩じり軸方向の端部）と長方形板を１８０度だけ左回転方向へ捩じった形状である左エレメントの端部（捩じり軸方向の端部）とが流体の流れ方向の複数の箇所において互いに直交するように接合された状態で管内に設置されている。このような構成によって、管内を流通する流体が一つのエレメントを通過するごとに二分割されると共に、流体がエレメントの捩じれ面に沿って流れることで、管中央部から管壁部への転換の作用、流れの捩じり方向の反転の作用を与えられて攪拌され、流体が配管の径方向に均一に混合される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００３】
特開２００１－２０５０６２号公報
国際公開第２０１０／０１６４４８号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００４】
スタティックミキサーを用いた流体の混合では、流体を流れに沿って攪拌するので、異なる種類の流体の配管の径方向の濃度のバラつき（濃度分布のムラ）を減少させることはできるが、異なる種類の流体の配管の流れ方向の濃度のバラつき（濃度分布のムラ）を減らすことができない。混合された異なる種類の流体の流れ方向の濃度のバラつき（濃度分布のムラ）を減少させる方法としては、流路の途中にタンクを設けてタンク内に流体を貯めて濃度を均一化してから流体を排出させる方法や、特許文献２に記載のように流路に複数の分岐を設けて異なる位置で再度合流させ時間差を利用して混合させて濃度を均一化させる方法がある。しかしながら、タンクや複数の分岐路を設置するには、広いスペースが必要となるという問題がある。このため、装置のスペースの制約がある場合には、タンクや時間差式混合を利用できず、流れ方向の濃度のバラつき（濃度分布のムラ）を解消することが難しい。例えば半導体ウエハの製造ラインでは、濃度のバラつきのある薬液が半導体ウエハに塗布されると、不良品の原因となる。
【０００５】
よって、本発明の目的は、従来技術に存する問題を解決して、省スペースで、配管の径方向と流れ方向との両方の濃度のバラつきを減らすことができる流体混合器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【０００６】
本発明は、上記目的に鑑み、筒形状の周側壁と該周側壁の両端に設けられ互いと対向する第１の端壁及び第２の端壁とによって規定される渦室と、入口流路中心軸線に沿って延び且つ前記周側壁に開口する入口流路と、出口流路中心軸線に沿って延び且つ前記第１の端壁に開口する出口流路と、前記入口流路の上流側に設けられ、少なくとも二つの流体供給路が合流する合流部とを備え、前記渦室は、前記少なくとも二つの流体供給路から供給されて前記合流部で合流した流体が前記入口流路を介して前記渦室内に流入すると渦流をなすように構成されており、前記渦室内で渦流をなして混合された流体が前記出口流路から流出するようにした渦流式流体混合器を提供する。
【０００７】
上記渦流式流体混合器では、筒形状の周側壁とその両端に設けられた互いに対向する第１の端壁及び第２の端壁とによって渦室が規定されており、入口流路が渦室の周側壁に開口すると共に、出口流路が第１の端壁に開口し、入口流路の上流側に設けられた合流部で合流した流体が入口流路を介して渦室内に流入すると渦流をなすようになっている。したがって、入口流路から流入する流体は、渦室内で旋回流となり渦状に流れた後に、出口流路から流出する。この結果、異なる種類の流体が合流部で合流する場合でも、渦室における渦流の攪拌作用により、異なる種類の流体の濃度のバラつき（濃度分布のムラ）を減少させることができる。また、本願発明者は、上述のような構成の渦流式流体混合器では、入口流路から渦室内に流入する流体は、流れ方向と垂直な入口流路の断面において流体が流れる位置に依存して、入口流路から渦室内に流入して出口流路から流出するまでの間に異なる経路に沿って流れ、入口流路から渦室に流入してから出口流路から流出するまでの流線の長さが異なることを見出した。この結果、入口流路における流れ方向の異なる位置の流体が渦室内の各所及び出口流路の入口において混合されるので、時間差を利用した混合効果により、異なる種類の流体の流れ方向の濃度のバラつき（濃度分布のムラ）を減少させる効果を奏することができる。
【０００８】
上記渦流式流体混合器では、前記入口流路は、前記入口流路中心軸線が前記第１の端壁の中心と前記第２の端壁の中心とを結ぶ渦室中心軸線から離れた位置を通るように設けられていることが好ましい。
【０００９】
前記出口流路は、前記出口流路中心軸線が前記入口流路中心軸線から離れた位置を通って延びるように設けられていることが好ましい。
【００１０】
また、前記出口流路は、前記出口流路中心軸線が前記渦室中心軸線上に延びるように設けられていることが好ましい。
（【００１１】以降は省略されています）

関連特許