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公開番号2024119153
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-09-03
出願番号2023025856
出願日2023-02-22
発明の名称湯種及びその製造方法、並びに湯種を用いる食品の製造方法
出願人昭和産業株式会社
代理人個人
主分類A21D 8/02 20060101AFI20240827BHJP(ベイキング;生地製造または加工の機械あるいは設備;ベイキングの生地)
要約【課題】穀物ブランを含むベーカリー製品等の食品を製造するための湯種であって、穀物ブランを含むベーカリー製品等の食品を製造する際の作業性が向上され、且つ得られる食品のしっとり感を向上することができる湯種及びその製造方法を提供する。
【解決手段】穀粒粉を含む湯種であって、前記穀粒粉の質量に基づいて、穀物ブランを3.5質量%以上含有し、且つへミセルラーゼを含有することを特徴とする湯種、湯種を製造する方法であって、穀粒粉、水(高温水である場合を含む)、及びへミセルラーゼを含む材料を混合し、湯種を調製する工程を含み、前記穀粒粉が、前記穀粒粉の質量に基づいて、穀物ブランを3.5質量%以上含有することを特徴とする湯種の製造方法。
【選択図】なし

特許請求の範囲【請求項1】
穀粒粉を含む湯種であって、
前記穀粒粉の質量に基づいて、穀物ブランを3.5質量%以上含有し、且つ
へミセルラーゼを含有することを特徴とする湯種。
続きを表示(約 800 文字)【請求項2】
前記へミセルラーゼの含有量が、前記穀粒粉100gに対して、2~700単位である請求項1に記載の湯種。
【請求項3】
前記穀物ブランの含有量が、前記穀粒粉の50質量%以上である請求項1又は2に記載の湯種。
【請求項4】
前記穀物ブランが、小麦、大豆、ごま、あわ、きび、ひまわりの種、アマニ、大麦、オーツ麦、米、キヌア、小豆、緑豆、アマランサス、ひえ、もち麦からから選択される1種又は2種以上の穀物由来である請求項1又は2に記載の湯種。
【請求項5】
湯種を製造する方法であって、
穀粒粉、水(高温水である場合を含む)、及びへミセルラーゼを含む材料を混合し、湯種を調製する工程を含み、
前記穀粒粉が、前記穀粒粉の質量に基づいて、穀物ブランを3.5質量%以上含有することを特徴とする湯種の製造方法。
【請求項6】
湯種を用いて食品用生地を製造する方法であって、
請求項1若しくは2に記載の湯種、又は請求項5に記載の製造方法によって得られた湯種と、更なる穀粒粉を含む材料を混合し、生地を調製する工程を含む
食品用生地の製造方法。
【請求項7】
前記生地に含まれる穀粒粉の総質量に基づいて、前記湯種中の穀粒粉が0.5~30質量%である請求項6に記載の食品用生地の製造方法。
【請求項8】
湯種を用いて食品を製造する方法であって、
請求項6に記載の食品用生地の製造方法によって生地を調製する工程、及び
前記生地を加熱する工程
を含む食品の製造方法。
【請求項9】
穀物ブランを含有する食品のしっとり感を向上する方法であって、
前記食品を製造する際に、請求項1又は2に記載の湯種を用いることを特徴とする方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、ベーカリー製品、麺類、及びその他の食品の製造に用いる湯種及びその製造方法に関し、特に穀物ブランを含むベーカリー製品等の食品を製造する際に課題となる作業性が向上され、且つ得られる食品のしっとり感を向上することができる湯種及びその製造方法に関する。
続きを表示(約 3,000 文字)【背景技術】
【0002】
穀物の外皮、胚芽等の糠部分は、穀物ブランとも称され、健康効果が注目され、様々な食品に利用されている。しかしながら、穀物ブランをパン類や洋菓子類等のベーカリー製品、麺類、及びクリームコロッケ等の食品用生地を調製して製造する食品に配合する場合、生地の伸展性が低くなること等により作業性が悪くなったり、得られるベーカリー製品等の食感が硬くなったりする場合がある。一方、ベーカリー製品等の食品の製造方法の一種に、生地の一部に湯種を加えてベーカリー製品を製造する「湯種法」と称される方法がある。特に湯種法で製造されたベーカリー製品は、もっちり、しっとりとした独特な食感を有することが特徴とされている。そこで、近年、穀物ブランを含むベーカリー製品等の食品の品質向上のため、湯種法を用いる研究開発が行われている。
【0003】
例えば、特許文献1には、パンに配合される小麦粉のうちの90重量%以上を全粒粉(すなわち、小麦ブランを含む)としても、柔らかく、しっとりして、食感や歯切れの良い全粒粉パン及びその製造方法を提供することを目的とし、小麦粉、糖類、乳製品、酵母、卵、油脂、酢、塩、及び水を含む生地の各材料を混合し、捏ねて生地を作る工程と、前記生地を一次発酵させる工程と、前記一次発酵させた生地を、分割、成型する工程と、前記成型した生地を二次発酵させる工程と、前記二次発酵させた生地を焼成する工程とを含み、前記小麦粉の90重量%以上が全粒粉であり、前記乳製品の90重量%以上が生クリームである全粒粉パンの製造方法が開示され、さらに、好ましい態様として、前記生地を作る工程が、前記生地の各材料のうち、小麦粉の一部、糖類の一部、酢の一部、及び塩の一部、並びに湯を混合し、捏ねて湯種生地を作る工程と、前記湯種生地と、前記生地の各材料のうちの残りの各材料を混合し、捏ねて本捏生地を作る工程とを更に含むことが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開2021-078364号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、湯種法で製造されたベーカリー製品等の食品用生地は、べたつきが生じやすいこと、伸展性が低いこと等により、作業性が悪い場合があり、特にベーカリー製品を大規模な製パン工場等の大型製造ラインで製造する場合に特に顕著である。また、湯種法によって得られるベーカリー製品等の食品は、品質が十分でない場合がある。特に、生地を冷凍保存する冷凍生地の場合、保存性を高めるために加水を少なくしたり、発酵が必要な生地であっても発酵を控えたりするため、得られる製品の品質が経時的に変化しやすく、保存中にしっとり感が低下し、パサつきが生じやすい傾向がある。そうすると、特許文献1の技術であっても、湯種法を用いて、全粒粉、すなわち穀物ブランを含むベーカリー製品等の食品を製造する場合、作業性や得られる食品の品質が十分でない場合がある。
【0006】
したがって、本発明の目的は、穀物ブランを含むベーカリー製品等の食品を製造するための湯種であって、穀物ブランを含むベーカリー製品等の食品を製造する際の作業性が向上され、且つ得られる食品のしっとり感を向上することができる湯種及びその製造方法、並びにそれを用いる食品の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、穀物ブランを含む食品の製造に用いる湯種に穀物ブランを含有させ、さらに所定の酵素を含有させることで、上記課題を解決できることを見出した。
【0008】
すなわち、上記目的は、穀粒粉を含む湯種であって、前記穀粒粉の質量に基づいて、穀物ブランを3.5質量%以上含有し、且つヘミセルラーゼを含有することを特徴とする湯種、湯種を製造する方法であって、穀粒粉、水(高温水である場合を含む)、及びへミセルラーゼを含む材料を混合し、湯種を調製する工程を含み、前記穀粒粉が、前記穀粒粉の質量に基づいて、穀物ブランを3.5質量%以上含有することを特徴とする湯種の製造方法、湯種を用いる食品用生地を製造する方法であって、本発明の湯種、又は本発明の製造方法によって得られた湯種と、更なる穀粒粉を含む材料を混合し、生地を調製する工程を含む食品用生地の製造方法、湯種を用いる食品を製造する方法であって、本発明の食品用生地の製造方法によって生地を調製する工程、及び前記生地を加熱する工程を含む食品の製造方法によって達成される。なお、本発明において、「穀粒粉」は穀物の粒状物、穀物の粉砕物(粗挽きしたものを含む)全体を意味し、穀物の全粒、全粒粉、穀物ブラン、小麦粉等が包含される。「穀物ブラン」は、穀物の外皮、胚芽等の糠部分を意味し、粒状でもよく、粉状でもよく、穀物の全粒、又は全粒を粉砕した全粒粉(粗挽きした粒状物を含む)に含まれる穀物の外皮、胚芽等の糠部分も含む。また、「へミセルラーゼ」は、ヘミセルロース(キシラン、アラビノキシラン、アラビナン、マンナン、ガラクタン、キシログルカン、グルコマンナン等の植物組織からアルカリ抽出されるの多糖類の総称)を加水分解する酵素の総称である。へミセルラーゼの活性は、1分間に1μmolのキシロースに相当する還元糖を生成する酵素量を1単位と定義される。
【発明の効果】
【0009】
本発明の湯種を用いることにより、穀物ブランを含むベーカリー製品等の食品を製造する際の作業性が向上され、且つ得られる食品のしっとり感を向上することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[湯種]
本発明の湯種は、穀粒粉を含む湯種であって、前記穀粒粉の質量に基づいて、穀物ブランを3.5質量%以上含有し、且つへミセルラーゼを含有することを特徴とする。上記の含有量以上の穀物ブランを含み、且つへミセルラーゼを含む湯種を用いてベーカリー製品等の食品を製造することで、穀物ブランを含むベーカリー製品等の食品を製造する際の作業性が向上され、且つ得られる食品のしっとり感を向上することができる。へミセルラーゼをベーカリー製品等の食品用生地に用いる技術として、特開2017-108690号公報では、湯種法により得られたパン生地でありながら、生地伸展性が良好で且つべたつきがなく扱いやすく、体積の大きなパンを得ることができるパン生地を提供することを目的とし、湯種生地、及び、ヘミセルラーゼ含有油脂組成物を含有するパン生地が開示されている。しかしながら、特開2017-108690号公報には、穀物ブランとへミセルラーゼとを湯種に含有させることについて言及はなく、穀物ブランを含有するパン生地の実施例もない。本発明においては、後述する実施例に示す通り、穀物ブラン、及びへミセルラーゼを含んでいても、それらの何れかが、湯種ではなく、本捏生地に含有される場合は、上述の効果は得られず、穀物ブラン、及びへミセルラーゼの両方が湯種に含有される場合に初めて上述の効果が得られることを見出している。
(【0011】以降は省略されています)

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