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公開番号2024115768
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-08-27
出願番号2023021597
出願日2023-02-15
発明の名称木質耐火部材
出願人大成建設株式会社
代理人園田・小林弁理士法人
主分類E04B 1/94 20060101AFI20240820BHJP(建築物)
要約【課題】火災時の脱落や断面欠損を低減しつつ、軽量で、優れた耐火性能を有する、木質耐火部材を提供する。
【解決手段】木質耐火部材1Aは、建物を構成する木質耐火部材1Aであって、荷重を負担する荷重支持部2Aと、荷重支持部2Aの外周面に設けられる第1耐火被覆層3Aと、第1耐火被覆層3Aの外周面に設けられる第2耐火被覆層4Aと、を備え、第1耐火被覆層3Aは、石膏、モルタル、またはコンクリートを主成分とする、吹付け材、板材、および充填材のうちのいずれかで形成され、第2耐火被覆層4Aは、第1耐火被覆層3Aに比べて、熱伝導率および比重が小さい繊維系断熱材を、第1耐火被覆層3Aに固定して形成されている。
【選択図】図2


特許請求の範囲【請求項1】
建物を構成する木質耐火部材であって、
荷重を負担する荷重支持部と、
当該荷重支持部の外周面に設けられる第1耐火被覆層と、
当該第1耐火被覆層の外周面に設けられる第2耐火被覆層と、を備え、
前記第1耐火被覆層は、石膏、モルタル、またはコンクリートを主成分とする、吹付け材、板材、および充填材のうちのいずれかで形成され、
前記第2耐火被覆層は、前記第1耐火被覆層に比べて、熱伝導率および比重が小さい繊維系断熱材を、前記第1耐火被覆層に固定して形成されていることを特徴とする木質耐火部材。
続きを表示(約 210 文字)【請求項2】
前記第1耐火被覆層は、前記第2耐火被覆層に比べて容積比熱が大きく、かつ前記第2耐火被覆層に比べて、層厚さが大きいことを特徴とする請求項1に記載の木質耐火部材。
【請求項3】
前記第1耐火被覆層の、前記荷重支持部の出隅部を覆う部分には、前記第1耐火被覆層の表面に、耐火シートが貼り付けられている、または耐火塗料が塗布されていることを特徴とする請求項1または2に記載の木質耐火部材。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、建物を構成する木質耐火部材に関する。
続きを表示(約 3,200 文字)【背景技術】
【0002】
建築構造物を施工するに際し、柱や梁などを耐火被覆することがある。例えば特許文献1には、鉄骨の周囲を被覆する不燃性材料からなる板材と、板材の鉄骨に面する側に積層した、耐火膨張シート及び発泡体又は緩衝材からなる層と、を備え、耐火膨張シートは、熱可塑性樹脂及び/又はゴム物質、リン化合物及び無機充填剤を含有する樹脂組成物からなる構成が開示されている。
【0003】
特に、耐火被覆する対象となる部材が木質の部材である場合には、石膏等の部材により、部材を覆うことが一般である。特許文献2、3には、このような、木質の部材を石膏で覆う構成が開示されている。
特許文献2、3には、このような、木質の部材を石膏で覆う構成が開示されている。
具体的には、特許文献2には、荷重を負担する荷重支持部と、荷重支持部の外周面に設けられた第1の耐火被覆層と、第1の耐火被覆層の外周面に設けられた第2の耐火被覆層と、を備え、第2の耐火被覆層は、第1の耐火被覆層と比べて、熱伝導率が小さい耐火構造部材が開示されている。特許文献2には、荷重支持部を集成材とし、第1の耐火被覆層を石膏とし、第2の耐火被覆層を発泡させた石膏とした形態が開示されている。
特許文献3には、荷重を支持する集成材からなる芯材と、芯材の外側に設けられる第2燃え止まり層と、第2燃え止まり層の外側に設けられる第1燃え止まり層と、第1燃え止まり層の外側に設けられ、第1燃え止まり層の崩落を防止するための不燃性を有する材料からなる崩落防止材とを備える耐火集成材が開示されている。特許文献3には、第2燃え止まり層を強化石膏ボードや石膏ボード等とし、第1燃え止まり層を不燃木材とした形態が開示されている。
【0004】
ところで、例えば木質の部材を石膏のみにより耐火被覆しようとすると、石膏は重量が大きいため、部材全体の重量が過大なものとなってしまう。これに対し、上記のように、木質の部材の外側に設けられた石膏の厚みを減らすとともに、石膏の更に外側に、発泡させた石膏や不燃木材を設けることにより、石膏の使用量を低減し、部材全体の重量を低減できる可能性がある。石膏に替えて、コンクリートを用いた場合も同様である。
しかし、特許文献2の構成においては、石膏の外側に設けられた、発泡させた石膏が、火災時には熱を受けて結晶水を放出し、微細なひび割れが生じて脆くなって形状の維持が難しくなり、脱落することがある。
特許文献3の構成においても、強化石膏ボードや石膏ボードの外側に設けられた不燃木材が、燃焼して断面欠損する可能性がある。
木質耐火部材を、火災時の脱落や断面欠損を低減しつつ、より軽量に、かつ優れた耐火性能を有するように実現することが、望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特開平11-117422号公報
特開2020-180443号公報
特開2016-30895号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、火災時の脱落や断面欠損を低減しつつ、軽量で、優れた耐火性能を有する、木質耐火部材を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、木質耐火部材(柱、梁)として、中央部に荷重支持部を配置し、その外周囲に2種類の第1、第2の耐火被覆層を設けることで、1種類の耐火被覆層のみ、厚さを増加させる場合に比べて、軽量の耐火被覆部材を実現できる点に着眼して、本発明に至った。具体的には、木質耐火部材では、第1の耐火被覆層(石膏、石膏ボード、モルタル、コンクリート)は容積比熱が大きく、第2の耐火被覆層は熱伝導率、及び比重が小さい繊維系断熱材とすることで、木質耐火部材を構成する荷重支持部の温度上昇を遅らせることができ、優れた耐火性能を実現した。
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を採用する。
すなわち、本発明の木質耐火部材は、建物を構成する木質耐火部材であって、荷重を負担する荷重支持部と、当該荷重支持部の外周面に設けられる第1耐火被覆層と、当該第1耐火被覆層の外周面に設けられる第2耐火被覆層と、を備え、前記第1耐火被覆層は、石膏、モルタル、またはコンクリートを主成分とする、吹付け材、板材、および充填材のうちのいずれかで形成され、前記第2耐火被覆層は、前記第1耐火被覆層に比べて、熱伝導率および比重が小さい繊維系断熱材を、前記第1耐火被覆層に固定して形成されていることを特徴とする。
このような構成によれば、石膏、モルタル、またはコンクリートを主成分として形成されている第1耐火被覆層の外周面に、第1耐火被覆層に比べて熱伝導率が小さい第2耐火被覆層が設けられている。このため、第2耐火被覆層を含めた耐火被覆層の全体を、第1耐火被覆層と同じ部材により実現した場合に比べると、火災が発生し、木質耐火部材に外側から熱が伝達しようとした場合に、内側に位置する第1耐火被覆層へ熱が伝導しにくい構成となっている。このため、耐火性能が向上する。
また、第2耐火被覆層は、第1耐火被覆層に比べて比重が小さい繊維系断熱材を、第1耐火被覆層に固定して形成されている。このため、効率的に、重量を低減することができる。
更に、第2耐火被覆層は、例えば耐熱ロックウールやセラミックファイバーなどの耐熱性を有する繊維系断熱材であるため、火災により熱を受けても崩落したり、断面欠損したりすることがなく、したがって、耐火性能をより効率的に確保することができる。
その結果、火災時の脱落や断面欠損を低減しつつ、軽量で、優れた耐火性能を有する、木質耐火部材を実現提供することが可能となる。
【0008】
本発明の一態様においては、前記第1耐火被覆層は、前記第2耐火被覆層に比べて容積比熱が大きく、かつ前記第2耐火被覆層に比べて、層厚さが大きい。
このような構成によれば、荷重支持部に接する第1耐火被覆層が、第2耐火被覆層に比べて容積比熱(単位体積当たりの比熱)が大きく、かつ層厚さが大きいため、火災時に第2耐火被覆層から第1耐火被覆層へと熱が伝導したとしても、第1耐火被覆層の荷重支持部側の温度は、容易には上昇しない。これにより、第1耐火被覆層、及びその内側に設けられた荷重支持部の温度上昇を遅らせることができる。したがって、優れた耐火性能を実現可能である。
【0009】
本発明の一態様においては、前記第1耐火被覆層の、前記荷重支持部の出隅部を覆う部分には、前記第1耐火被覆層の表面に、耐火シートが貼り付けられている、または耐火塗料が塗布されている。
荷重支持部を断面視したときに、出隅部は、2面からの加熱を受けるため、温度が上昇しやすい。
これに対し、上記のような構成によれば、第1耐火被覆層の、荷重支持部の出隅部に対応して、出隅部を覆う部分の表面に、耐火シート、または耐火塗料が設けられている。これにより、第1耐火被覆層と第2耐火被覆層を特段に厚くすることなく、火災時における、荷重支持部の熱橋となり得る出隅部の温度上昇を、遅らせることができる。
したがって、軽量で、優れた耐火性能を有する、木質耐火部材を実現することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、火災時の脱落や断面欠損を低減しつつ、軽量で、優れた耐火性能を有する、木質耐火部材を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
(【0011】以降は省略されています)

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