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公開番号2024108618
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-08-13
出願番号2023013066
出願日2023-01-31
発明の名称めっき処理方法、層状複水酸化物結晶、めっき液及び層状複水酸化物結晶の製造方法
出願人国立大学法人信州大学,新日本電工株式会社,ヴェルヌクリスタル株式会社
代理人個人,個人,個人,個人,個人
主分類C23C 18/31 20060101AFI20240805BHJP(金属質材料への被覆;金属質材料による材料への被覆;化学的表面処理;金属質材料の拡散処理;真空蒸着,スパッタリング,イオン注入法,または化学蒸着による被覆一般;金属質材料の防食または鉱皮の抑制一般)
要約【課題】めっき浴中の亜リン酸を除去して良好なニッケルめっき皮膜を形成することができるめっき処理方法、層状複水酸化物結晶、めっき液及び層状複水酸化物結晶の製造方法を提供する。
【解決手段】めっき処理方法は、ニッケル塩と次亜リン酸又は次亜リン酸塩とを含有するめっき液を、下記式(1)又は式(2)で表され、複数の板状結晶が積層された積層構造を有する結晶粒の複数で構成される層状複水酸化物結晶に接触させ、前記接触後めっき液を用いて被めっき物の表面にニッケルめっき皮膜を形成する。
[Ni2+ 1-x1Fe3+ x1(OH)2]・[(Cl-)X1/2] …(1)
[Mg2+ 1-x2Fe3+ x2(OH)2]・[(Cl-)X2/2] …(2)
(ここで、0.25<x1≦0.9、0.25<x2≦0.9)
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
ニッケル塩と、次亜リン酸及び/又は次亜リン酸塩とを含有するめっき液を、下記式(1)又は式(2)で表され、複数の板状結晶が積層された積層構造を有する結晶粒の複数で構成される層状複水酸化物結晶に接触させ、前記接触させた後のめっき液を用いて被めっき物の表面に無電解ニッケルめっき皮膜を形成するめっき処理方法。
[Ni
2+
1-x1
Fe
3+
x1
(OH)

]・[(Cl


X1/2
] …(1)
[Mg
2+
1-x2
Fe
3+
x2
(OH)

]・[(Cl


X2/2
] …(2)
(ここで、0.25<x1≦0.9、0.25<x2≦0.9)
続きを表示(約 1,000 文字)【請求項2】
前記層状複水酸化物結晶が、前記めっき液中の亜リン酸を吸着する、請求項1に記載のめっき処理方法。
【請求項3】
前記層状複水酸化物結晶が、前記めっき液中の亜リン酸と次亜リン酸のうち、亜リン酸を特異的に吸着する、請求項2に記載のめっき処理方法。
【請求項4】
前記層状複水酸化物結晶が、前記めっき液中の亜リン酸と次亜リン酸のうち、亜リン酸を選択的に吸着し、前記めっき液中の亜リン酸の除去率が5%以上であり、且つ次亜リン酸の除去率に対する亜リン酸の除去率の比が5.0以上である、請求項3に記載のめっき処理方法。
【請求項5】
前記式(1)式及び前記式(2)におけるxの範囲が、0.5≦x≦0.85である、請求項1に記載のめっき処理方法。
【請求項6】
下記式(2)で表され、複数の板状結晶が積層された積層構造を有する結晶粒の複数で構成されている、層状複水酸化物結晶。
[Mg
2+
1-x2
Fe
3+
x2
(OH)

]・[(Cl


X2/2
] …(2)
(ここで、0.25<x2≦0.9)
【請求項7】
前記式(2)におけるxの範囲が、0.5≦x2≦0.85である、請求項6に記載の層状複水酸化物結晶。
【請求項8】
硫酸ニッケルと次亜リン酸ナトリウムとを含有するめっき液を用いて無電解ニッケルめっき被膜を形成するめっき処理に使用される、請求項6又は7に記載の層状複水酸化物結晶。
【請求項9】
ニッケル塩と、次亜リン酸及び/又は次亜リン酸塩とを含有し、更に請求項6又は7に記載の層状複水酸化物結晶を含有する、めっき液。
【請求項10】
請求項6に記載の層状複水酸化物結晶の製造方法であって、
前駆体結晶の化学量論比に基づいて混合されたMg源物質、Fe源物質及びNa源物質の混合物に、更にNa源物質を加えて調製された原料を準備する工程と、
前記原料を600℃~1000℃、1時間以上で加熱して、NaMg
1-x2
Fe
x2


結晶(0.25<x2≦0.9)で構成される前駆体結晶を生成する工程と、
前記前駆体結晶のナトリウムイオンを塩化物イオンに置換するイオン置換工程と、
を有する、層状複水酸化物結晶の製造方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、めっき処理方法、層状複水酸化物結晶、めっき液及び層状複水酸化物結晶の製造方法に関し、特に、層状複水酸化物結晶を用いてめっき液中の亜リン酸を除去するめっき処理方法、層状複水酸化物結晶、めっき液及び層状複水酸化物結晶の製造方法に関する。
続きを表示(約 2,700 文字)【背景技術】
【0002】
無電解ニッケルめっき皮膜は、自動車、精密機械、電気・電子、食品等の幅広い分野で、その多様な機能性を活かして電気抵抗膜、磁性膜、導電膜、耐摩耗性膜、耐食性膜等として各種部品の表面処理に多方面で利用されている。
無電解ニッケルめっき被膜を形成する際に用いられるめっき液のうち、還元剤として次亜リン酸を使用しているものがある。このめっき液は、通常、硫酸ニッケルと次亜リン酸ナトリウムとを含有し、更に添加剤としてpH緩衝剤、錯化剤、安定剤等を含有している。
めっき反応は、例えば次式で行われ、当該反応の進行によって被めっき物の表面に無電解ニッケルめっき皮膜が形成される。
NiSO

+2NaH

PO

+H

O→Ni+2NaH

PO

+H

SO

NaH

PO

+1/2H

→P+NaOH+H


2NaOH+H

SO

→Na

SO

+2H


【0003】
めっき液では上記式で示すような反応が進行するので消費される金属イオンと還元剤は補充しながら繰り返し使用しているが、最終的には良好なめっきが出来なくなるので産廃処理することになる。
【0004】
ここで、層状複水酸化物(Layered Double Hydroxides:LDHs)は、アニオン交換性の無機イオン交換体であり、金属酸化物(ホスト層)と、アニオン種や水分子(ゲスト層)とが交互に積層した構造からなる層状無機化合物である。ゲスト層のアニオン種は,層状構造を維持したまま,溶液中のアニオン種と交換できるため、層間(二次元空間)を利用した高選択的イオン交換性を示すことが分かっている。
【0005】
従来、LDHsの選択的イオン交換性は多く議論されており、例えば、水溶液から硝酸イオン、リン及びヒ素を同時かつ選択的に吸着できる吸着剤として、Mg-Al系ハイドロタルサイトを有する吸着剤が考案されている(特許文献1参照)。また、次式で表されるMg-Fe系ハイドロタルサイトのリン酸、硝酸イオン除去能力が開示されている(非特許文献1)。
Mg
0.666
Fe(III)
0.162
Al
0.172
(OH)

(Cl)
0.140
・(CO

)・0.328H


【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
特開2009-178682号公報
【非特許文献】
【0007】
「Removal Characteristics of Phosphate and Nitrate Ions with an Mg-Fe-Al-Cl Form Hydrotalcite」 Tomoyuki Kuwabara、Hideo Kimura、Shunzi Sunayama、Ariumi Kawamoto、Hisamitsu Oshima and Toshio Sato;Journal of Society of Inorganic Materials,Japan 14,17-25(2007)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述のように、無電解ニッケルめっきにおけるめっき液は、上記式で示すようにその反応が進むにつれて液中の還元剤(次亜リン酸)が酸化され、亜リン酸が副生されて次第に蓄積される。消費される金属イオンと還元剤は補給できるが、めっき液中の亜リン酸の量が一定濃度以上に達すると、めっき速度の低下や液の自己分解が生じ易くなるため、めっき液は廃棄される。
本発明者らは、めっき反応において副生される亜リン酸をめっき液から除去すると、良好な無電解ニッケルめっき皮膜を形成するめっき液を再生でき、めっき液を継続して使用できる寿命を延ばすことができると考えた。即ち、めっき液から亜リン酸を選択的に吸収(吸着)できる材料を開発できれば、上記課題が解決できると考えた。
【0009】
上記文献では、Mg-Al系層状腹水酸化物のリン吸着やMg-Fe系層状腹水酸化物のリン酸吸着について検討されているものの、亜リン酸を対象とする吸着特性は検討されていなかった。例えば、一般的な排水からのリン酸除去を考えると全てタイプのリン酸を吸着する材料を検討するということになり、特定のタイプのリン酸だけを吸着させる材料を開発するという発想にはいたらない。また、下記のように、次亜リン酸を吸着せずに亜リン酸を吸着させるような材料を検討するという発想には至らない。一般的な選択吸着を考えた場合、大きな(嵩高い)イオン分子に対して小さなイオン分子を選択的に吸着する選択性の設計は出来るが、次亜リン酸PO

3-
に比べてそれより大きな(嵩高い)イオン分子である亜リン酸PO

3-
が選択できる材料設計という発想には至らない。
しかしながら、本発明者らは、上述のようにめっき処理において亜リン酸を選択的に吸着させる材料として使用可能な層状腹水酸化物について、研究、改善の余地があることを見出した。上記めっき処理においてはめっき被膜形成に必要な次亜リン酸を除去せず、めっき反応の進行を妨げる要因となる亜リン酸を除去するといった特異的な吸着が求められることから、このような特異的な吸着能を有する層状腹水酸化物を発明してそれを用いためっき処理法を開発することを目標にした。
【0010】
本発明の目的は、めっき浴中の亜リン酸を除去して良好なニッケルめっき皮膜を形成することができるめっき処理方法、層状複水酸化物結晶、めっき液及び層状複水酸化物結晶の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
(【0011】以降は省略されています)

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