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公開番号2024117889
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-08-30
出願番号2023023957
出願日2023-02-20
発明の名称ピペリジン化合物及びその用途
出願人国立大学法人信州大学
代理人個人,個人,個人,個人,個人,個人,個人,個人
主分類C07D 401/14 20060101AFI20240823BHJP(有機化学)
要約【課題】ファルネシル転移酵素及びゲラニルゲラニル転移酵素に対するデュアル阻害作用を示し、代謝に対して安定で、癌治療剤として有用な化合物を提供する。
【解決手段】下記式(III)で表されるピペリジン化合物、その各種異性体、それらの医薬上許容される塩、又はそれらの水和物を提供する。
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(Rは、4-アミノベンゾイル基、4-アミジノベンゾイル基等。)
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
下記一般式(I)で表されるピペリジン化合物、その各種異性体、それらの医薬上許容される塩、又はそれらの水和物。
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2024117889000040.tif
64
170
式中、
X及びYは、それぞれ独立してCH又はNであり、


は、L

基に、炭素数3~10のアルキレン基、前記アルキレン基の炭素原子が1又は2以上の酸素原子で置換したアルキレン基、前記アルキレン基の炭素原子が-C(=O)-NH-で置換したアルキレン基、及び前記アルキレン基の炭素原子が1又は2以上の酸素原子及び-C(=O)-NH-で置換したアルキレン基を含む群から選択されるアルキレン基が結合した基を示し、


は、含窒素複素環基、-NH-C(=O)-又はC(=O)-NH-であり、
Qは、-NH-CO-又はCO-であり、


は、水素原子、炭素数1~6個のアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいベンジル基又は置換基を有していてもよいフェネチル基であり、
nは1又は2であり、nが2の場合、各々のR

は、同一であっても異なっていてもよく、


は、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよい芳香族複素環基又は置換基を有していてもよいシクロアルキル基であり、


は、アミノ酸残基であり、


は、ヒドロキシ基又は炭素数1~8個のアルコキシ基であり、そして


は、アミノ基、アンモニウム基、アミジノ基及びグアニジノ基からなる群の中から選ばれる塩基性基である。
続きを表示(約 1,700 文字)【請求項2】
下記一般式(II)で表される請求項1に記載のピペリジン化合物、その各種異性体、それらの医薬上許容される塩、又はそれらの水和物。
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2024117889000041.tif
64
170
式中、L

、Q、R

、R

、R

、R

及びR

は前記と同じ意味を示し、L

はパラ位又はオルト位で結合する。
【請求項3】


が、以下の基である、請求項1に記載のピペリジン化合物、その各種異性体、それらの医薬上許容される塩、又はそれらの水和物。
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34
49

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33
47

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37
60

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28
27

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33
33

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28
27
、又は
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2024117889000048.tif
35
32
【請求項4】


が、以下の基である、請求項2に記載のピペリジン化合物、その各種異性体、それらの医薬上許容される塩、又はそれらの水和物。
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2024117889000049.tif
34
49

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33
47

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33
33

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28
27
、又は
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35
32
【請求項5】
下記一般式(III)で表される請求項2に記載のピペリジン化合物、その各種異性体、
それらの医薬上許容される塩、又はそれらの水和物。
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2024117889000056.tif
67
170
式中、
Rは、下記(I-1)、(I-2)及び(I-3)から選択される基である。
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47
170
【請求項6】
活性成分として、請求項1から5のいずれか1項に記載のピペリジン化合物、その各種異性体、それらの医薬上許容される塩、又はそれらの水和物を有効成分として含む医薬組成物。
【請求項7】
医薬組成物が抗がん作用を有する組成物である、請求項6に記載の医薬組成物。
【請求項8】
請求項1から5のいずれか1項に記載のピペリジン化合物、その各種異性体、それらの医薬上許容される塩、又はそれらの水和物を有効成分として含むファルネシル転移酵素阻害剤、ゲラニルゲラニル転移酵素阻害剤、又はファルネシル転移酵素及びゲラニルゲラニル転移酵素のデュアル(dual)阻害剤。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、K-Rasの脂質修飾を担うファルネシル転移酵素及びゲラニルゲラニル転移酵素に対してデュアル(dual)阻害作用を有する新規なピペリジン化合物、当該化合物を有効成分として含む医薬組成物、並びにファルネシル転移酵素及びゲラニルゲラニル転移酵素のデュアル(dual)阻害剤に関する。本発明の化合物は、K-Rasの脂質修飾及び細胞膜への局在化を阻害するため、医薬組成物、特にがんの治療薬として使用することができる。
続きを表示(約 2,700 文字)【背景技術】
【0002】
RasファミリーのRasたんぱく質は、低分子量GTP(グアノシン5’-三リン酸)結合たんぱく質の一種であり、Rasたんぱく質(本明細書において、Rasたんぱく質を単にRasと記載することがある。)にはH-Rasたんぱく質、K-Rasたんぱく質、N-Rasたんぱく質等のアイソフォームが含まれる。
【0003】
哺乳動物には、3種類(H-ras、K-ras、及びN-ras)のras遺伝子が存在し、これらのras遺伝子はそれぞれH-Rasたんぱく質、K-Rasたんぱく質、及びN-Rasたんぱく質をコードしている。これらのRasたんぱく質は、いずれも分子量21000で、互いに90%の相同性を有する。
【0004】
Rasたんぱく質は、細胞受容体から細胞の増殖など種々のシグナルを受けて活性化され、活性化されたRasたんぱく質は、Rafキナーゼを活性化してMAP(mitogen-activated protein)キナーゼカスケードを作動させる。その結果、Rasたんぱく質は、
種々の遺伝子の発現を介して細胞の増殖や分化を制御している。しかし、Rasたんぱく質に変異が生じると、細胞増殖が制御不能になり細胞ががん化することが知られている。
【0005】
多くの種類のがんの中でも特に進行性難治がんと言われるがんの治療は、現代社会の重要な課題である。進行性難治がんに対する厳密な定義はないとされているが、進行性難治がんは、一般的に、ステージ3やステージ4にまで進行してしまったがんであって、5年生存率が低いがん、根治が難しいがん、又は早期に再発してしまうがん等を意味する。
【0006】
Rasたんぱく質の中でも特にK-Rasは、進行性難治がんに深く関与している。例えば、K-Rasに関して、膵臓がんの98%、大腸がん(結腸直腸がん)の45%、肺がんの31%、及び骨髄腫の23%にK-Rasの変異、すなわち、変異K-Rasの存在が認められたことが報告されている。したがって、K-Rasたんぱく質は、抗がん剤の開発における分子標的として注目されている。
【0007】
たんぱく質に行われる修飾の一種であるファルネシル化により、たんぱく質の末端には疎水性のプレニル基が結合する。プレニル基はたんぱく質の細胞膜への結合を促進する。ファルネシル化により末端が疎水性になったたんぱく質は、その疎水性の部分を細胞膜内に挿入するため、細胞の内側の細胞膜上に存在するようになる。Rasたんぱく質は、このファルネシル化を受けており、Rasたんぱく質が働くためにはファルネシル化による脂質修飾が重要であることが分かっている。この際、Rasたんぱく質をファルネシル化する酵素を阻害することによって、Rasたんぱく質の働きを妨げる物質、すなわち、ファルネシル転移酵素阻害剤(Farnesyl transferase inhibitors:FTase inhibitors)は、がん細胞の増殖を抑制すると考えられる。しかし、Rasたんぱく質の脂質修飾は、ファルネシル転移酵素(本明細書においてファルネシル転移酵素を「FTase」と記載することがある。)だけではなく、I型ゲラニルゲラニル転移酵素(Type-1 geranylgeranyl transferase:GGTase I)も関与することが知られている。したがって、ファルネシル転移酵素阻害剤によってRasたんぱく質の脂質修飾が阻害されても、I型ゲラニルゲラニル転移酵素(本明細書においてI型ゲラニルゲラニル転移酵素を「GGTase I」と記載することがある。)によって脂質修飾がなされれば、Rasたんぱく質は活性化される。
【0008】
このような状況を背景として、様々な観点から細胞増殖シグナルの調節を司るRasたんぱく質の阻害剤の研究が行われてきた。その結果、Rasたんぱく質を直接的若しくは間接的に標的とする数多くの阻害剤及び抗がん剤が提案されている。例えば、特許文献1は、がんの治療を目的としたI型ゲラニルゲラニル-タンパク質転移酵素の選択的阻害剤とファルネシル-タンパク質転移酵素の選択的阻害剤との組合せを開示している。また、特許文献2及び特許文献3は、ras腫瘍遺伝子発現に必然的に伴う酵素であるファルネシルたんぱく質転移酵素を抑制し、I型及びII型ゲラニルゲラニル転移酵素のインヒビターとしても作用し得る縮合二環式複素環を含む化合物を開示している。特許文献4及び特許文献5は、Ras変異型細胞株の増殖を阻害する活性を有するキナーゼ調節のための縮合二環式複素環を含む化合物を開示している。特許文献6は、Rasタンパク質に対して親和性を有するRasたんぱく質親和性分子と、プロテアーゼに対して親和性を有し、且つ、プロテアーゼによるタンパク質の分解を阻害しないたんぱく質分解誘導タグとのコンジュゲートであり、前記Rasタンパク質の分解を誘導可能なRasたんぱく質分解誘導分子を開示している。このRasたんぱく質分解誘導分子は、Rasたんぱく質の機能を直接的に阻害する代わりに、Rasたんぱく質の量(発現)を減少させることを目的とする。特許文献7は、GST-πの標的配列に対応するヌクレオチド配列を含むRNAi分子及び薬学的に許容される賦形剤を含む、K-Ras遺伝子の突然変異又は野生型K-Ras遺伝子の過剰発現に関連する腫瘍の治療又は処置のための医薬組成物を開示している。
【0009】
しかしながら、Rasたんぱく質とGTPとの結合は極めて強固である上、Rasたんぱく質の表面には阻害剤としての薬剤分子が結合できるポケットが乏しいという困難な問題が横たわっている。そのため、未だ有効ながん治療薬、特に、進行性難治がんの治療薬の開発には至っていない。
【0010】
本発明者らは、K-Rasの異常な脂質翻訳後修飾の原因であるK-Rasと修飾酵素間のたんぱく質間相互作用(protein-proteininteraction:PPI)に着目し、ファルネシル転移酵素(FTase)とI型ゲラニルゲラニル転移酵素(GGTase I)のそれぞれの活性ポケットとK-Rasとのたんぱく質間相互作用面とを1分子で認識するdual阻害剤として有用な2座型化合物を開発し、当該化合物が従来の酵素阻害剤を遥かに上回る酵素阻害活性を示すことを見出し、報告した(非特許文献1)。
(【0011】以降は省略されています)

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