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公開番号2024132695
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-10-01
出願番号2023043568
出願日2023-03-17
発明の名称カチオン選択性イオノフォアを用いてγcサイトカインのシグナル伝達を阻害する方法
出願人国立大学法人信州大学
代理人弁理士法人三枝国際特許事務所
主分類A61K 45/00 20060101AFI20240920BHJP(医学または獣医学;衛生学)
要約【課題】安全性が高く、JAK3阻害薬と比較して安価なγcサイトカインのシグナル伝達阻害剤及び医薬組成物を提供する。
【解決手段】カチオン選択性のポリエーテル系イオノフォアを含有するγcサイトカインのシグナル伝達阻害剤。
【選択図】図3
特許請求の範囲【請求項1】
カチオン選択性のポリエーテル系イオノフォアを含有するγcサイトカインのシグナル伝達阻害剤。
続きを表示(約 840 文字)【請求項2】
前記カチオン選択性のポリエーテル系イオノフォアが、γcサイトカインとγcサイトカイン受容体共通γc鎖とを含む複合体に対するJAK3の結合を阻害する作用を有する、請求項1に記載のγcサイトカインのシグナル伝達阻害剤。
【請求項3】
前記カチオン選択性のポリエーテル系イオノフォアが、モネンシン、ニゲリシン、又はサリノマイシンを含む請求項1に記載γcサイトカインのシグナル伝達阻害剤。
【請求項4】
酸性オルガネラの中和作用を生じせしめる化合物のスクリーニング法であって、
γcサイトカイン、γcサイトカイン受容体、及びJAK3を発現している免疫細胞に、被験物質を投与する工程、及び
γcサイトカインによる細胞増殖又はSTAT分子のリン酸化を抑制する被験物質を選択する工程
を含む方法。
【請求項5】
カチオン選択性のポリエーテル系イオノフォアを用いて、JAK3異常活性化を引き起こす体細胞変異を有する造血器腫瘍患者をスクリーニングする方法であって、
造血器腫瘍患者から取得した検体を、前記イオノフォアの存在下で培養する工程、及び
前記検体中の造血器腫瘍細胞の増殖抑制及び/又はSTAT分子のリン酸化の抑制を指標とすることにより、前記検体のJAK3異常活性化の有無を確認する工程
を含む方法。
【請求項6】
カチオン選択性のポリエーテル系イオノフォアを有効成分として含有する、γcサイトカインのシグナル伝達を阻害するための医薬組成物。
【請求項7】
カチオン選択性のポリエーテル系イオノフォアを有効成分として含有する、自己免疫疾患の予防又は治療のための医薬組成物であって、前記カチオン選択性のキャリアイオノフォアが、γcサイトカインとサイトカイン受容体共通γc鎖の複合体に対するJAK3の結合を阻害する作用を有する、医薬組成物。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、γcサイトカインのシグナル伝達阻害剤、γcサイトカインによる細胞増殖又はSTAT分子のリン酸化の抑制を利用した化合物又は患者のスクリーニング方法、及びγcサイトカインのシグナル伝達を阻害するための医薬組成物に関する。
続きを表示(約 2,100 文字)【背景技術】
【0002】
自己免疫疾患は、リンパ球が自己の細胞又は組織を攻撃することにより発症し、根治療法は存在しない。例えば関節リウマチは人口の0.6~1.0%程度が罹患する自己免疫疾患であり、関節リウマチの治療にはJAK阻害剤が使用されている。既存の抗体医薬品及びJAK阻害薬などのリウマチ治療薬には、全身性の有害事象の発生という安全性の問題や、年150万円/人程度の高いコストがかかるという問題がある。
【0003】
非特許文献1は、強力な新規JAK3選択的阻害剤であるPF-06651600の発見と、酵素アッセイにおけるPF-06651600によるJAK3の不可逆的な阻害、リンパ球におけるPF-06651600によるSTAT3及びSTAT5のリン酸化の阻害、JAK3阻害によるTh1及びTh17 T細胞の分化と機能の阻害について開示している。
【0004】
非特許文献2は、Streptomyces hygroscopicus UFPEDA 3370を発酵し、その発酵バイオマスのメタノール抽出物から精製して得られたニゲリシンの遊離酸が、インビトロでJAK3キナーゼに結合し、選択的なキナーゼ阻害活性を有することについて開示している。
【0005】
特許文献1は、サリノマイシンを有効成分として含む関節炎の予防又は治療のための医薬組成物、及びサリノマイシンによるcyclooxygenase-2(COX-2)の発現阻害による関節軟骨細胞の増殖抑制について開示している。
【0006】
特許文献2は、クロロキン、モネンシン、及びバフィロマイシンが、CpG DNAによるNFkBの活性化と、その後のサイトカイン分泌の増殖並びに誘導とをブロックすることについて開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
韓国出願出願公開第2016009255号
米国特許第6239116号
【非特許文献】
【0008】
ACS Chem. Biol. 2016, 11, 3442-3451、DOI: 10.1021/acschembio.6b00677
Chemico-Biological Interactions 333 (2021) 109316、DOI: 10.1016/j.cbi.2020.109316
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
安全性が高く、JAK3阻害薬と比較して安価なγcサイトカインのシグナル伝達阻害剤及び医薬組成物を提供する必要性が存在する。また、γcサイトカインによる細胞増殖又はSTAT分子のリン酸化の抑制を利用した化合物又は患者のスクリーニング方法を提供する必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、以下に記載の実施形態を包含する。
項1.
カチオン選択性のポリエーテル系イオノフォアを含有するγcサイトカインのシグナル伝達阻害剤。
項2.
前記カチオン選択性のポリエーテル系イオノフォアが、γcサイトカインとγcサイトカイン受容体共通γc鎖とを含む複合体に対するJAK3の結合を阻害する作用を有する、項1に記載のγcサイトカインのシグナル伝達阻害剤。
項3.
前記カチオン選択性のポリエーテル系イオノフォアが、モネンシン、ニゲリシン、又はサリノマイシンを含む項1に記載γcサイトカインのシグナル伝達阻害剤。
項4.
酸性オルガネラの中和作用を生じせしめる化合物のスクリーニング法であって、
γcサイトカイン、γcサイトカイン受容体、及びJAK3を発現している免疫細胞に、被験物質を投与する工程、及び
γcサイトカインによる細胞増殖又はSTAT分子のリン酸化を抑制する被験物質を選択する工程
を含む方法。
項5.
カチオン選択性のポリエーテル系イオノフォアを用いて、JAK3異常活性化を引き起こす体細胞変異を有する造血器腫瘍患者をスクリーニングする方法であって、
造血器腫瘍患者から取得した検体を、前記イオノフォアの存在下で培養する工程、及び
前記検体中の造血器腫瘍細胞の増殖抑制及び/又はSTAT分子のリン酸化の抑制を指標とすることにより、前記検体のJAK3異常活性化の有無を確認する工程
を含む方法。
項6.
カチオン選択性のポリエーテル系イオノフォアを有効成分として含有する、γcサイトカインのシグナル伝達を阻害するための医薬組成物。
項7.
カチオン選択性のポリエーテル系イオノフォアを有効成分として含有する、自己免疫疾患の予防又は治療のための医薬組成物であって、前記カチオン選択性のキャリアイオノフォアが、γcサイトカインとγcサイトカイン受容体共通γc鎖の複合体に対するJAK3の結合を阻害する作用を有する、医薬組成物。
【発明の効果】
(【0011】以降は省略されています)

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