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公開番号2024102413
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-07-31
出願番号2023006262
出願日2023-01-19
発明の名称ファージ感受性の異なる乳酸菌株の取得方法
出願人ヤマサ醤油株式会社
代理人
主分類C12N 1/20 20060101AFI20240724BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約【課題】テトラジェノコッカス属乳酸菌におけるファージ感受性を決定する遺伝子を見出すことで、ファージ感受性の異なる乳酸菌株の取得方法を明らかにし、さらには醤油等の発酵食品製造に際し乳酸発酵を安定して行うための方法を得る。
【解決手段】(1)テトラジェノコッカス属に属する乳酸菌の異なる複数株において、cps遺伝子座の塩基配列を決定する工程、(2)cps遺伝子座の塩基配列を比較し、塩基配列の相同性が相互に70%以下である2株以上の菌株を選抜する工程を含む、ファージ感受性の異なる2以上の乳酸菌株を取得する方法。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
(1)テトラジェノコッカス属に属する乳酸菌の異なる複数の株において、cps遺伝子座の塩基配列を決定する工程、
(2)cps遺伝子座の塩基配列を比較し、塩基配列の相同性が相互に70%以下である2株以上の菌株を選抜する工程を含む、
ファージ感受性の異なる2以上の乳酸菌株を取得する方法。
続きを表示(約 170 文字)【請求項2】
請求項1の方法で取得した、cps遺伝子座の塩基配列の相同性が互いに70%以下である2種以上のテトラジェノコッカス属乳酸菌株を同時に、又は交替で組み合わせてスターターとして使用することを特徴とする、発酵食品の製造方法。
【請求項3】
発酵食品が醤油、味噌または魚醤である、請求項2に記載の方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、乳酸菌ゲノムにおける、特定の遺伝子座の全体または一部のDNA配列に基づいて分類を行うことによる、テトラジェノコッカス(Tetragenococcus)属乳酸菌のファージ感受性を識別する方法、ならびにそれを利用した発酵食品の乳酸発酵を安定化する方法に関するものである。
続きを表示(約 2,000 文字)【背景技術】
【0002】
テトラジェノコッカス・ハロフィラス(Tetragenococcus halophilus)などのテトラジェノコッカス属に属する耐塩性乳酸菌は、醤油、味噌、魚醤などの発酵食品の生産において欠くことのできない有用な微生物であり、有機酸をはじめとする各種の成分を生成することにより、当該発酵食品のpHを降下させ、特徴的な香味を付与する役割を担っている。発酵食品の製造、例えば醤油の醸造においては、これらの耐塩性乳酸菌のうち、好ましい性質を保有する優良菌株を諸味に適宜添加することにより、品質のすぐれた醤油を得ることが可能となる。
【0003】
しかしながら、諸味の熟成中にしばしばテトラジェノコッカス属乳酸菌はバクテリオファージによる感染を受けることが知られており、感染を受けたテトラジェノコッカス属乳酸菌は生育が阻害され、その結果乳酸発酵不良を起こしうる。
【0004】
テトラジェノコッカス・ハロフィラスに感染するファージは、そのファージの種別ごとにおける宿主特異性が高く、感染域が狭い、すなわち乳酸菌の中でも限定された菌株のみに感染するケースが多いことが報告されている一方、宿主である乳酸菌において、ファージ感受性を決定する要因はほとんど知られていない。近年、タイコ酸の構造の違いがファージ感受性を決定する一要因であることが特定されたが、構造的多様性が豊富でないタイコ酸とは別に、菌株ごとに多様なファージ感受性を生ぜしめる主要な因子が別にあるであろうことが推測されていた(非特許文献1)。
【0005】
複数のグラム陰性菌においては、莢膜多糖が宿主のファージ感受性を決定する主要な因子であることが知られていたが(非特許文献2)、グラム陽性菌、特に乳酸菌においては、ファージの宿主への吸着に莢膜多糖が関わるとする報告があるものの(非特許文献3)、ファージ感受性を決定する主要な因子とはみなされていなかった(非特許文献4)。
【0006】
このように、テトラジェノコッカス属乳酸菌のファージ感受性に関する機構を解明することは、優良菌株の取得や、より良好な発酵食品の製造において重要な知見をもたらすものと考えられるが、その機構には明らかになっていない部分も大きかった。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
Wakinaka et al., Microbiology Spectrum, 2022, e00336-22.
Shen & Loessner. Current Opinion in Biotechnology, 2021, 68, 166.
Rodriguez et al., Letters in applied microbiology, 2008, 46, 462.
Chapot-Chartier. Frontiers in Microbiology, 2014, 5, 236.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
すなわち、本発明の課題は、テトラジェノコッカス属乳酸菌におけるファージ感受性を決定する遺伝子を見出すことで、ファージ感受性の異なる乳酸菌株の取得方法を明らかにし、さらには醤油等の発酵食品製造に際し乳酸発酵を安定して行うための方法を得ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、テトラジェノコッカス属に属しない乳酸菌では、莢膜多糖がファージ感受性を決定する主要な因子とはみなされていなかった(非特許文献4)にもかかわらず、発酵食品の醸造に重要な役割を示すテトラジェノコッカス属に属する乳酸菌株においては、従来の知見とは異なり、莢膜多糖生合成に関与するcps遺伝子がバクテリオファージ感受性を決定することを新たに発見した。そして、cps遺伝子座の配列が異なる株はファージ感受性も異なることを新たに見出した。
【0010】
本願発明は、これらの知見に基づいて完成したものである。すなわち、本願発明は、(1)テトラジェノコッカス属に属する乳酸菌の異なる複数株において、cps遺伝子座の塩基配列を決定する工程、(2)cps遺伝子座の塩基配列を比較し、塩基配列の相同性が相互に70%以下である2株以上の菌株を選抜する工程を含む、ファージ感受性の異なる2以上の乳酸菌株を取得する方法に関するものである。また、本願発明は、cps遺伝子座の塩基配列に基づいて識別し、異なる複数の菌株を組み合わせてスターターとして使用し、および/または一定期間ごとに菌株を交替でスターターとして使用することを特徴とする、発酵食品の製造方法に関するものである。
【発明の効果】
(【0011】以降は省略されています)

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