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公開番号2024096494
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-07-12
出願番号2024080226,2022133779
出願日2024-05-16,2018-01-19
発明の名称CD8α+β+細胞傷害性T細胞の製造方法
出願人国立大学法人京都大学
代理人弁理士法人秀和特許事務所
主分類C12N 5/0783 20100101AFI20240705BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約【課題】細胞免疫療法に適した本来の獲得免疫系リンパ球の特性を有する細胞傷害性T細胞を効率よく製造する方法を提供すること。
【解決手段】CD4CD8両陽性T細胞を、IL-7およびT細胞受容体活性化剤を含む培地で培養してCD8α+β+細胞傷害性T細胞へと誘導する工程(A)を含むCD8α+β+細胞傷害性T
細胞の製造方法であって、
前記工程(A)により得られたCD8α+β+細胞傷害性T細胞を、IL-7およびIL-15を含み、かつ、IL-21、IL-18、IL-12およびTL1Aからなる群から選択される一種以上を含む培地
で培養する工程(B)を含む、CD8α+β+細胞傷害性T細胞の製造方法。
【選択図】図5
特許請求の範囲【請求項1】
CD4CD8両陽性T細胞を、IL-7およびT細胞受容体活性化剤を含む培地で培養してCD8α

β

細胞傷害性T細胞へと誘導する工程(A)を含むCD8α

β

細胞傷害性T細胞の製造方法であって、
前記工程(A)により得られたCD8α

β

細胞傷害性T細胞を、IL-7およびIL-15を含み、かつ、IL-21、IL-18、IL-12およびTL1Aからなる群から選択される一種以上を含む培地
で培養する工程(B)を含む、CD8α

β

細胞傷害性T細胞の製造方法。
続きを表示(約 530 文字)【請求項2】
前記工程(B)が、IL-7、IL-15、IL-21およびIL-18を含む培地で培養する工程である、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記T細胞受容体活性化剤が抗CD3抗体である、請求項1に記載の製造方法。
【請求項4】
前記工程(B)の培養がフィーダー細胞を用いずに行われる、請求項2に記載の製造方
法。
【請求項5】
前記CD4CD8両陽性T細胞が、多能性幹細胞から誘導されたものである、請求項1に記載
の製造方法。
【請求項6】
前記多能性幹細胞が人工多能性幹(iPS)細胞である、請求項5に記載の製造方法。
【請求項7】
前記多能性幹細胞からCD4CD8両陽性T細胞への誘導が下記工程(a)および(b)を含
む、請求項5に記載の製造方法:
(a)多能性幹細胞をビタミンC類が添加された培地を用いて培養し、造血前駆細胞を誘
導する工程、および
(b)工程(a)で得られた造血前駆細胞を、ビタミンC類、FLT3LおよびIL-7が含まれる培地で培養し、CD4CD8両陽性T細胞を誘導する工程。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、CD8α

β

細胞傷害性T細胞の製造方法に関し、好ましくは、多能性幹細
胞からのCD8α

β

細胞傷害性T細胞の製造方法に関する。
続きを表示(約 4,300 文字)【背景技術】
【0002】
悪性腫瘍や慢性難治性感染症の制圧には疾患関連抗原に特異的な細胞傷害性T細胞(Cytotoxic T lymphocyte; CTL)を用いた細胞免疫療法が極めて有効な可能性がある。従来in
vitroの培養系で抗原特異的CTLを製造することが試みられてきたが、in vitroの培養系
で不可避である細胞疲弊のため十分な数の抗原特異的なCTLを調製することが困難であり
、そのため治療効果も限定されていた。しかしながら近年登場した人工多能性幹細胞(iPSC)技術は細胞ソースの問題を抜本的に解決する道を示しつつある。つまり少数のしかも疲弊した疾患抗原特異的CTLから無限に増殖できるiPSCを作製し、in vitroで無限にCTLを再生する戦略が可能となりつつある。
【0003】
例えば、特許文献1では、多能性幹細胞から造血前駆細胞を誘導する工程、造血前駆細胞からCD4CD8両陽性細胞を誘導する工程、およびCD4CD8両陽性細胞からCD8陽性T細胞を誘導する工程を含むT細胞の製造方法が開示されている。
また、特許文献2には、ビタミンC類を添加した培地を利用して多能性幹細胞からCD4CD8両陽性T細胞を誘導し、それを副腎皮質ホルモン剤を含む培地で培養してCD8陽性T細胞を製造する方法が開示されている。
しかし、これらの方法では多能性幹細胞から細胞傷害性T細胞を製造するには十分とは
いえない。
【0004】
また、特許文献3および非特許文献1では、ヒト末梢血CTLからiPSCを誘導し、そのiPSCから造血前駆細胞を製造し、そしてIL(インターロイキン)-2、IL-7及びIL-15を含む培地中でNotch ligandであるDLL-1を発現するOP9/DLL1細胞と共培養することでCTLまで最終分化させることに成功したことが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
WO 2011/096482
WO/2016/076415
WO/2013/176197
【非特許文献】
【0006】
Cell Stem Cell. 2013 Jan 3;12(1):114-26.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献3および非特許文献1で開示された再分化CTLはオリジナルCTLの抗原特異性を保持しながら高い細胞傷害活性、サイトカイン産生、増殖能等のCTL機能の全てを備える
ものであったが、一方で通常のCTLでは認められないNK細胞様の特性も併せ持つことが明
らかとなった。すなわち、オリジナルCTLを含め通常のCTLは獲得免疫系リンパ球に属するのに対し、再分化CTLはNK細胞が属する自然免疫系リンパ球の特性を持っていたのである
。この再分化CTLで認められた自然免疫系リンパ球の特性の中で臨床応用において特に影
響が大きいと思われるものは、(1)抗原非特異的にターゲットを傷害するナチュラルキラー(NK)活性、(2)NK活性を惹起する各種活性化分子(NKp46等)の恒常的発現、(3
)通常の獲得免疫系CTLに比べ相対的に低い増殖性と生存能、(4)抗原レセプターの補
助分子であるCD8が通常のCD8αβヘテロダイマーではなくCD8ααホモダイマーであるた
め起きる抗原認識能の低下である。(1)、(2)についてはエスケープバリアントに対する有効性が期待できる一方、予期できない移植片対宿主病(graft versus host disease; GVHD)のリスクが伴う。(3)の低い増殖性、生存能については不十分なin vivo persistencyが細胞免疫療法の成績を悪化させることが過去の報告で既に示されている。そして(4)のCD8αβの発現欠如もCTLの抗原認識能低下に直結するため修正されなければならない。
このような自然免疫系リンパ球の特性は必ずしも細胞免疫療法に適していないため、本発明は細胞免疫療法に適した本来の獲得免疫系リンパ球の特性を有するCTLを効率よく製
造する方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は上記課題を解決するために鋭意検討を行った。その結果、CD4CD8両陽性T細
胞を培養する際に、IL-7およびT細胞受容体活性化剤を含む培地で培養する工程を行うこ
とにより、NK活性を示さず、CD8αβの発現を長期間維持したCTL、つまり通常の獲得免疫系CTLにより近いCTLの作製に成功した。このような知見に基づき、本発明を完成させるに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、以下の発明を提供するものである。
[1]CD8α

β

細胞傷害性T細胞の製造方法であって、
CD4CD8両陽性T細胞を、IL(Interleukin)-7およびT細胞受容体活性化剤を含む培地で培
養してCD8α

β

細胞傷害性T細胞へと誘導する工程を含む方法。
[2]前記T細胞受容体活性化剤は抗CD3抗体である、[1]に記載の方法。
[3]前記培地はさらにIL-21およびFlt3L(Flt3 Ligand)を含む、[1]または[2]に
記載の方法。
[4]下記工程(a)および(b)を含む、[1]~[3]のいずれかに記載の方法。
(a)CD4CD8両陽性T細胞をIL-7およびT細胞受容体活性化剤を含む培地で培養する工程、および
(b)工程(a)で得られた細胞を、IL-7を含み、T細胞受容体活性化剤を含まない培地
で培養する工程。
[5]前記培養(b)はフィブロネクチンフラグメント及び/又はNotchリガンドを含む
培養器を使用して行われる、[4]に記載の方法。
[6]フィブロネクチンフラグメントがレトロネクチンであり、NotchリガンドがDelta-like 4 (DLL4)である、[5]に記載の方法。
[7]さらに下記工程(c)を含む、[5]または[6]に記載の方法。
(c)工程(b)で得られた細胞を、フィブロネクチンフラグメント及びNotchリガンド
のいずれも含まない培養器を使用して、IL-7、IL-21およびFlt3Lを含む培地で培養する工程。
[8]下記工程(a1)、(b1)および(c1)を含む、[7]に記載の方法。
(a1)CD4CD8両陽性T細胞を、IL-7、Flt3L、IL-21および抗CD3抗体を含む培地で培養する工程、
(b1)工程(a1)で得られた細胞を、IL-7、Flt3LおよびIL-21を含み、抗CD3抗体を
含まない培地で、フィブロネクチンフラグメントを含む培養器を用いて培養する工程、および
(c1)工程(b1)で得られた細胞を、IL-7、IL-21およびFlt3Lを含む培地で、フィブロネクチンフラグメント及びNotchリガンドのいずれも含まない培養器を用いて培養する
工程。
[9]下記工程(a2)、(b2)および(c2)を含む、[7]に記載の方法。
(a2)CD4CD8両陽性T細胞を、IL-7、Flt3Lおよび抗CD3抗体を含む培地で培養する工程

(b2)工程(a2)で得られた細胞を、IL-7、およびFlt3Lを含み、抗CD3抗体を含まない培地で、フィブロネクチンフラグメントおよびNotchリガンドを含む培養器を用いて培
養する工程、
(c2)工程(b2)で得られた細胞を、IL-7、IL-21およびFlt3Lを含む培地で、フィブロネクチンフラグメント及びNotchリガンドのいずれも含まない培養器を用いて培養する
工程。
[10]前記培養はフィーダー細胞を用いずに行われる、[1]~[9]のいずれかに記載の方法。
[11]さらに、得られたCD8α

β

細胞傷害性T細胞の選別工程を含む、[1]~[10]のいずれかに記載の方法。
[12]前記選別工程はCD8β陽性、CD5陽性、CD336陰性およびCD1a 陰性の1つ以上を指標にして行われる、[11]に記載の方法。
[13]さらに、CD8α

β

細胞傷害性T細胞をIL-7、IL-15およびIL-21を含む培地で拡大培養する工程を含む、[1]~[12]のいずれかに記載の方法。
[14]さらに、CD8α

β

細胞傷害性T細胞をIL-7およびIL-15、並びにIL-21、IL-18
、IL-12およびTL1Aの一種以上を含む培地で拡大培養する工程を含む、[1]~[12]
のいずれかに記載の方法。
[15]前記CD4CD8両陽性T細胞は多能性幹細胞から誘導されたものである、[1]~[
14]のいずれかに記載の方法。
[16]前記多能性幹細胞は人工多能性幹(iPS)細胞である、[15]に記載の方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、NK活性を示さず、長期間培養してもCD8αβの発現を維持した通常の
獲得免疫系CTLにより近いCTLを作製することができる。本発明の方法で得られるCTLは従
来のものより高い抗原特異的細胞傷害活性、サイトカイン産生、増殖能を示す。さらに、本発明の方法で得られるCTLは自然免疫系から獲得免疫系リンパ球への分化シフトのみな
らず、細胞疲弊がないナイーブ/メモリー細胞への成熟とその形質維持という優れた性質
を有し、in vitroで100兆倍以上の拡大培養が可能という、特筆すべき増殖能力を示す
。したがって、本発明は細胞の確保に難がある現状の細胞免疫療法に対し多大な貢献をするものである。
【図面の簡単な説明】
(【0011】以降は省略されています)

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