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公開番号2024071237
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-05-24
出願番号2022182074
出願日2022-11-14
発明の名称差動装置
出願人トヨタ自動車株式会社
代理人個人,個人
主分類F16H 48/40 20120101AFI20240517BHJP(機械要素または単位;機械または装置の効果的機能を生じ維持するための一般的手段)
要約【課題】デファレンシャルケースとリングギヤとのボルト締結および溶接を廃止してリングギヤを小径化し、適切に、小型軽量化を図ることが可能な差動装置を提供する。
【解決手段】デファレンシャルケース3と、デファレンシャルケース3の外周部分に取り付けられるリングギヤ4とを備え、回転軸線AL方向で互いに対向する第1回転軸1と第2回転軸2との間の差動回転を可能にする差動装置Dにおいて、リングギヤ4は、デファレンシャルケース3にスプライン締結されており、デファレンシャルケース3をリングギヤ4の径方向に貫通するシャフト穴6にピニオンシャフト5を挿入して、リングギヤ4の係止部8とピニオンシャフト5とを係合させることにより、リングギヤ4のデファレンシャルケース3に対する回転軸線AL方向の相対移動を規制し、デファレンシャルケース3とリングギヤ4とを一体化する。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
デファレンシャルケースと、前記デファレンシャルケースの外周部分に取り付けられ、前記デファレンシャルケースに一体となって回転するリングギヤとを備え、回転軸線方向で互いに対向する第1回転軸と第2回転軸との間の差動回転を可能にする差動装置であって、
前記リングギヤは、前記デファレンシャルケースの外周部分に前記回転軸線方向からはめ込まれ、前記デファレンシャルケースにスプライン締結または圧入されており、
前記デファレンシャルケースを前記リングギヤの径方向に貫通するシャフト穴と、
前記シャフト穴に挿入され、前記デファレンシャルケースに固定されるピニオンシャフトと、
前記リングギヤと一体に形成され、前記シャフト穴に挿入された前記ピニオンシャフトに係合する係止部と
を備え、
前記シャフト穴に前記ピニオンシャフトを挿入して固定することにより、前記リングギヤの前記デファレンシャルケースに対する前記回転軸線方向の相対移動が規制され、前記デファレンシャルケースと前記リングギヤとが一体化されている
ことを特徴とする差動装置。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
この発明は、車両に搭載され、左右の駆動軸に動力を伝達する差動装置に関するものである。
続きを表示(約 3,300 文字)【背景技術】
【0002】
特許文献1には、デファレンシャルケースとリングギヤとの間の溶接部位を少なくすることを目的とした差動装置が記載されている。この特許文献1に記載された差動装置は、駆動ギヤからトルクを受けるリングギヤ、リングギヤと一体に回転するデファレンシャルケース、および、デファレンシャルケースの胴部に内蔵される差動機構を備えている。リングギヤは、駆動ギヤと噛み合うギヤ部、および、ギヤ部の内周に一体に形成されたリム部を有している。リングギヤのリム部は、デファレンシャルケースの胴部の外周部に非溶接状態で嵌合する。更に、リングギヤのリム部は、デファレンシャルケースの胴部との嵌合部から軸方向に離間し、かつ、その嵌合部分よりも径方向の内側の位置で、デファレンシャルケースの胴部に溶接される。
【0003】
なお、特許文献2には、装置の部品コストを低減することを目的とした差動装置が記載されている。この特許文献2に記載された差動装置は、ピニオンシャフト、デファレンシャルケース、および、リングギヤを備えている。リングギヤは、フランジ部、および、ねじ部を有している。フランジ部は、リングギヤの内周部分から回転軸線方向の一方に、円筒形状に延びている。ねじ部は、フランジ部の内周面に形成されている。また、デファレンシャルケースは、その外周面にフランジ部のねじ部がねじ込まれている。そして、ピニオンシャフトは、フランジ部の径方向に設けられた挿通穴に挿入されて固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開2020-85141号公報
特開2018-31404号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば、トランスアクスルのような車両の減速機(変速機)の小型軽量化を図るためには、減速機の中でも終減速機を構成するリングギヤおよび差動装置(デファレンシャルギヤユニット)の小径化や小型化が求められる。一般に、リングギヤは、差動装置のデファレンシャルケースにボルト締結で取り付けられているが、リングギヤを小径化することにより、ボルトを配置するためのスペースを確保することが難しくなる。そこで、例えば、上記の特許文献1に記載された差動装置のように、デファレンシャルケースとリングギヤとを溶接して差動装置を形成する技術が開発されている。特許文献1に記載された差動装置では、リングギヤのリム部とデファレンシャルケースの胴部とが嵌合されるとともに、そのリム部の一部分(被固定部)がデファレンシャルケースに溶接される。そのため、デファレンシャルケースとリングギヤとのボルト締結を廃止することができ、その分、リングギヤの小径化、および、差動装置の小型化を図ることができる。
【0006】
しかしながら、デファレンシャルケースとリングギヤとを溶接することにより、溶接熱による割れや変形あるいはひずみ等が発生し、品質の低下を招いてしまう懸念がある。上記の特許文献1に記載された差動装置では、従来と比較して、デファレンシャルケースとリングギヤとの間の溶接部位が少なくなってはいるものの、依然として、デファレンシャルケースとリングギヤとが溶接されている。車両用の差動装置におけるデファレンシャルケースは、通常、鋳鉄やダクタイル鋳鉄等を材料にして、鋳造によって成形加工される。一方、リングギヤは、通常、炭素鋼やクロムモリブデン鋼等を材料にして、鍛造によって成形加工される。したがって、デファレンシャルケースとリングギヤとの溶接は、異なる材料同士をつなぎ合わす異材溶接となり、同種の材料同士の溶接と比較して溶接割れや溶接歪みなどが発生しやすい。そのような溶接による歪みや変形の影響がリングギヤに及んでしまうと、ギヤの歯当たりが悪くなってしまい、ギヤノイズや振動が増大してしまうおそれがある。また、デファレンシャルケースとリングギヤとの接続部分は、リングギヤからデファレンシャルケースにトルクが伝達される部分であり、そのため、大きな強度が要求される。そのような部分に、上記のような歪みや変形が生じてしまう懸念のある溶接を用いることは好ましくない。
【0007】
この発明は、上記の技術的課題に着目して考え出されたものであり、デファレンシャルケースとリングギヤとのボルト締結および溶接を廃止してリングギヤを小径化することにより、適切に、小型軽量化を図ることが可能な差動装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、この発明は、デファレンシャルケースと、前記デファレンシャルケースの外周部分に取り付けられ、前記デファレンシャルケースに一体となって回転するリングギヤとを備え、回転軸線方向で互いに対向する第1回転軸と第2回転軸との間の差動回転を可能にする差動装置であって、前記リングギヤは、前記デファレンシャルケースの外周部分に前記回転軸線方向からはめ込まれ、前記デファレンシャルケースにスプライン締結または圧入されており、前記デファレンシャルケースを前記リングギヤの径方向に貫通するシャフト穴と、前記シャフト穴に挿入され、前記デファレンシャルケースに固定されるピニオンシャフトと、前記リングギヤと一体に形成され、前記シャフト穴に挿入された前記ピニオンシャフトに係合する係止部とを備え、前記シャフト穴に前記ピニオンシャフトを挿入して固定することにより、前記リングギヤの前記デファレンシャルケースに対する前記回転軸線方向の相対移動が規制され、前記デファレンシャルケースと前記リングギヤとが一体化されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
この発明の差動装置では、デファレンシャルケースとリングギヤとが、スプライン締結または圧入によって連結される。そのため、リングギヤは、回転軸線方向からデファレンシャルケースの外周部分にはめ込まれる。そして、リングギヤをはめ込んだ状態のデファレンシャルケースのシャフト穴にピニオンシャフトが挿入され、そのピニオンシャフトとリングギヤの係止部とが係合することにより、リングギヤのデファレンシャルケースに対する回転軸線方向の相対移動が規制される。すなわち、デファレンシャルケースからのリングギヤの抜け出しが阻止され、デファレンシャルケースとリングギヤとが一体に固定される。したがって、リングギヤは、ボルト締結および溶接のいずれも適用されることなく、デファレンシャルケースに固定される。ボルト締結を用いずにリングギヤをデファレンシャルケースに取り付けることにより、ボルトの配置スペースが不要になり、その分、リングギヤを小径化することができる。そのため、差動装置の一層の小型軽量化を図ることができる。また、溶接を用いずにリングギヤをデファレンシャルケースに取り付けることにより、熱による歪みや変形、あるいは、溶接不良など、溶接がリングギヤに及ぼす影響を排除することができる。そのため、精度よく差動装置を構成することができ、ギヤノイズや振動を抑制することができる。
【0010】
したがって、この発明の差動装置によれば、デファレンシャルケースとリングギヤとのボルト締結を廃止して、リングギヤを小径化することができる。その際、溶接がリングギヤおよびデファレンシャルケースに及ぼす影響を完全に排除することができる。そのため、容易に、かつ、適切に、小型軽量化された差動装置を構成することができる。ひいては、そのような小型軽量化した差動装置Dが組み込まれるトランスアクスルを、容易に、かつ、適切に、小型軽量化することができる。
【図面の簡単な説明】
(【0011】以降は省略されています)

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