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公開番号2024065389
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-05-15
出願番号2022174229
出願日2022-10-31
発明の名称ポリウレタン系複合材料の製造方法、該製造方法によって得られるポリウレタン系複合材料、および歯科切削加工用材料の製造方法
出願人株式会社トクヤマデンタル
代理人
主分類A61K 6/893 20200101AFI20240508BHJP(医学または獣医学;衛生学)
要約【課題】 架橋構造を有し、樹脂中のポリウレタン含有率が80質量%を超える樹脂マトリックス中に充填材が分散した、高強度且つ高耐水性のポリウレタン系複合材料及びその製造方法を提供する。
【解決手段】 ラジカル重合性ジオール:A1及び非重付加性ラジカル重合性単量体:C、及び充填材:Dを含む第1原料組成物にジイソシアネート:B1を混合して前記A1とB1の重付加を行いラジカル重合性ポリウレタン成分:PUを形成して、PU、C、D及び充填材を含み、PUとCの合計量に対するPUの量の割合が実質的に80~95質量%である第2原料組成物を調製しこれをラジカル重合させるに際し、前記付加重合を特定量のラジカル重合性基モノオール:A2又はラジカル重合性基モノイソシアネート:B2の共存下に行って前記PUの数平均分子量を1000~2000とする。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
ラジカル重合性基を有するジオール化合物からなるラジカル重合性ジオール(A1);ジイソシアネート化合物からなるジイソシアネート(B1);分子内にラジカル重合性基を有する非重付加反応性重合性単量体からなる非重付加性モノマー(C);無機充填材からなるフィラー(D);及び熱ラジカル重合開始剤からなる開始剤(E);並びにラジカル重合性基を有するモノオール化合物からなるラジカル重合性モノオール(A2)、又はラジカル重合性基を有するモノイソシアネート化合物からなるラジカル重合性モノイソシアネート(B2);を原料として用いて、架橋構造を有するポリウレタン系樹脂からなるマトリックス中に充填材が分散したポリウレタン系複合材料を製造する方法であって、
前記ラジカル重合性ジオール(A1)、前記非重付加性モノマー(C)、前記フィラー(D)を含む第1原料組成物を調製する第1原料組成物調製工程、
前記第1原料組成物と前記ジイソシアネート(B1)とを混合して重付加反応させることにより、ラジカル重合性基を有するポリウレタン成分からなるラジカル重合性ポリウレタン成分(PU)を形成させて、該ラジカル重合性ポリウレタン成分(PU)、前記非重付加性モノマー(C)、前記フィラー(D)及び前記開始剤(E)を含む第2原料組成物を調製する第2原料組成物調製工程、
前記第2原料組成物を加熱してラジカル重合を行うことにより前記ラジカル重合性ポリウレタン成分(PU)を架橋して前記ポリウレタン系複合材料を得る重合・硬化工程、を含み、
前記第2原料組成物調製工程では、
前記重付加反応を、
(1)前記ラジカル重合性ジオール(A1)1モルに対して0.2~0.7モルの前記ラジカル重合性モノオール(A2)の共存下に、前記ラジカル重合性モノオール(A2)と前記ラジカル重合性ジオール(A1)が有する水酸基の総モル数:T
OH
に対する前記ジイソシアネート(B1)が有するイソシアネート基の総モル数:T
NCO
の比:T
NCO
/T
OH
が0.9~1.1となるようにして行うか、又は
(2)前記ジイソシアネート(B1)1モルに対して0.2~0.7モルの前記ラジカル重合性モノイソシアネート(B2)の共存下に、前記ラジカル重合性ジオール(A1)が有する水酸基の総モル数をT
OH
に対する前記ラジカル重合性モノイソシアネート(B2)と前記ジイソシアネート(B1)が有するイソシアネート基の総モル数:T
NCO
の比:T
NCO
/T
OH
が0.9~1.1となるようにして行う、
ことによって、数平均分子量が1000~2000である前記ラジカル重合性ポリウレタン成分(PU)を形成し、
前記第1原料組成物調製工程及び前記第2原料組成物調製工程では、前記第2原料組成物に含まれる前記非重付加性モノマー(C)の含有量が、前記重付加反応に用いた原料ベースの量で表される前記原料(A1)、(B1)、(C)及び(A2)又は(B2)の総質量の5質量%以上20質量%未満となるように、前記第1原料組成物及び前記第2原料組成物の調製を行う、
ことを特徴とする、前記ポリウレタン系複合材料の製造方法。
続きを表示(約 760 文字)【請求項2】
前記第1原料組成物調製工程において、前記ラジカル重合性モノオール(A2)を更に含む、第1原料組成物を調製し、前記第2原料組成物調製工程における前記重付加反応を、当該ラジカル重合性モノオール(A2)の共存下に行う、請求項1に記載のポリウレタン系複合材料の製造方法。
【請求項3】
前記第1原料組成物調製工程において、前記ラジカル重合性モノオール(A2)を含まない第1原料組成物を調製し、前記ジイソシアネート(B1)と共に前記ラジカル重合性モノイソシアネート(B2)を前記第1原料組成物と混合することによって、前記第2原料組成物調製工程における前記重付加反応を、前記ラジカル重合性モノイソシアネート(B2)の共存下に行う、を特徴とする、請求項1に記載のポリウレタン系複合材料の製造方法。
【請求項4】
前記ラジカル重合性ジオール化合物(A1)が、分子内に含まれる2つのヒドロキシル基間に介在する2価の有機残基における主鎖を構成する原子の数が2~4であるジオール化合物であることを特徴とする、請求項1に記載のポリウレタン系複合材料の製造方法。
【請求項5】
請求項1に記載のポリウレタン系複合材料の製造方法によって得られる、架橋構造を有するポリウレタン系樹脂からなるマトリックス中に充填材が分散したポリウレタン系複合材料。
【請求項6】
架橋構造を有するポリウレタン系樹脂からなるマトリックス中に充填材が分散したポリウレタン系複合材料の成形体からなる歯科切削加工用材料を製造する方法であって、
請求項1に記載のポリウレタン系複合材料の製造方法を含み、前記重合・硬化工程を成形型内で行うことを特徴とする前記歯科切削加工用材料の製造方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリウレタン系複合材料の製造方法、該製造方法によって得られるポリウレタン系複合材料および歯科切削加工用材料、及び歯科切削加工用材料の製造方法に関する。
続きを表示(約 3,800 文字)【背景技術】
【0002】
歯科治療において、インレー、アンレー、クラウン、ブリッジ、インプラント上部構造などの歯科用補綴物を作製する一手法として、歯科用CAD/CAMシステムを用いて切削加工する方法がある。歯科用CAD/CAMシステムとは、コンピュータを利用して三次元座標データに基づいて歯科用補綴物の設計を行い、切削加工機などを用いて歯冠修復物を作成するシステムである。切削加工用材料としては、ガラスセラミックス、ジルコニア、チタン、レジンなど様々な材料が用いられる。歯科切削加工用レジン系材料としては、シリカ等の無機充填材、メタクリレートなどの重合性単量体、重合開始剤等を含有する硬化性組成物を用い、これをブロック形状、ディスク形状に硬化させた硬化物が使用されている。切削加工用材料は、コンピュータシステムを活用することにより、従来の歯科用補綴物の作製方法よりも、工程数が短いことに起因する作業性の高さや、硬化体の審美性、ないし強度の観点から関心が高まっている。
【0003】
このような切削加工用材料は、主に歯冠部で適用されており、大臼歯冠やブリッジとして使用される場合、より高強度が求められる。ポリウレタン樹脂は、一般的に高強度を有することが知られており、歯科材料として用いることが検討されている。例えば、特許文献1には、切削加工用材料に好適に使用できるポリウレタン系複合材料として、ポリウレタン樹脂の内部にラジカル重合性基の重合により形成される架橋構造を導入することにより、ポリウレタン樹脂の高強度であるという特徴を生かしつつ、その欠点である耐水性の低さを改善したポリウレタン系複合材料が記載されている。
【0004】
すなわち、特許文献1には、原料として、1つ以上のラジカル重合性基を有するジオール化合物(A2);ジイソシアネート化合物(A1);分子内に1つ以上のラジカル重合性基を有し、前記ジオール化合物(A2)および前記ジイソシアネート化合物(A1)の何れとも重付加反応を起こさない重合性単量体(以下、「非重付加性ラジカル重合性単量体」ともいう。)(B);ラジカル重合開始剤(C);及び充填材(D)を含む原料組成物を用い、前記A2とA1を重付加させて1500~5000の分子量のポリウレタン成分(A)を形成した後に該(A)に含まれるラジカル重合性基と前記(B)とを反応させて架橋構造を導入することによって製造されるポリウレタン系複合材料は、全体が均一で強度及び耐水性に優れ、歯科用切削加工用材料に適したものであることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
国際公開第2021/153446号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載された前記ポリウレタン系複合材料は、上記したような特徴を有する優れたものであるが、その均一性を良好に保つために、樹脂成分中に占めるポリウレタン成分の割合を、80質量%を超えて高くすることができない。具体的には、前記原料組成物中のモノマー成分の合計質量{A2、A1及びBの合計質量}に占めるBの質量の割合(質量%)で定義される「重合性単量体配合比率Rr」を20~80質量%とする必要がある(ポリウレタン成分の割合を表す「100-Rr」は80~20質量%となる)。
【0007】
このため、ポリウレタン成分の含有率が80質量%を超える領域について架橋構造導入ポリウレタン系複合材料がどのような特性を有するか、あるいは、特許文献1に記載された前記ポリウレタン系複合材料と同様に全体が均一で強度及び耐水性に優れるという特長を有するのか否かは不明であった。架橋構造導入ポリウレタン系複合材料中のポリウレタン成分の含有率が増加することにより、(ポリウレタン構造に由来する)高強度化が期待できるばかりでなく、仮にポリウレタン成分の含有率が80質量%を超える架橋構造導入ポリウレタン系複合材料が製造できるようになり、均一性や耐水性が良好に保たれるものが確認されれば、特許文献1に記載された前記ポリウレタン系複合材料と同様の特性を有する新たな架橋構造導入ポリウレタン系複合材料が利用可能となる。
【0008】
そこで、本発明は、ポリウレタン成分の含有率が80質量%を超える架橋構造導入ポリウレタン系複合材料を製造することができる方法を提供し、延いてはポリウレタン成分の含有率が80質量%を超える架橋構造導入ポリウレタン系複合材料であって、均一で強度及び耐水性に優れる架橋構造導入ポリウレタン系複合材料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記課題を解決するものであり、本発明の第一の形態は、ラジカル重合性基を有するジオール化合物からなるラジカル重合性ジオール(A1);ジイソシアネート化合物からなるジイソシアネート(B1);分子内にラジカル重合性基を有する非重付加反応性重合性単量体からなる非重付加性モノマー(C);無機充填材からなるフィラー(D);及び熱ラジカル重合開始剤からなる開始剤(E);並びにラジカル重合性基を有するモノオール化合物からなるラジカル重合性モノオール(A2)、又はラジカル重合性基を有するモノイソシアネート化合物からなるラジカル重合性モノイソシアネート(B2);を原料として用いて、架橋構造を有するポリウレタン系樹脂からなるマトリックス中に充填材が分散したポリウレタン系複合材料を製造する方法であって、
前記ラジカル重合性ジオール(A1)、前記非重付加性モノマー(C)、前記フィラー(D)を含む第1原料組成物を調製する第1原料組成物調製工程、
前記第1原料組成物と前記ジイソシアネート(B1)とを混合して重付加反応させることにより、ラジカル重合性基を有するポリウレタン成分からなるラジカル重合性ポリウレタン成分(PU)を形成させて、該ラジカル重合性ポリウレタン成分(PU)、前記非重付加性モノマー(C)、前記フィラー(D)及び前記開始剤(E)を含む第2原料組成物を調製する第2原料組成物調製工程、
前記第2原料組成物を加熱してラジカル重合を行うことにより前記ラジカル重合性ポリウレタン成分(PU)を架橋して前記ポリウレタン系複合材料を得る重合・硬化工程、を含み、
前記第2原料組成物調製工程では、
前記重付加反応を、
(1)前記ラジカル重合性ジオール(A1)1モルに対して0.2~0.7モルの前記ラジカル重合性モノオール(A2)の共存下に、前記ラジカル重合性モノオール(A2)と前記ラジカル重合性ジオール(A1)が有する水酸基の総モル数:T
OH
に対する前記ジイソシアネート(B1)が有するイソシアネート基の総モル数:T
NCO
の比:T
NCO
/T
OH
が0.9~1.1となるようにして行うか、又は
(2)前記ジイソシアネート(B1)1モルに対して0.2~0.7モルの前記ラジカル重合性モノイソシアネート(B2)の共存下に、前記ラジカル重合性ジオール(A1)が有する水酸基の総モル数をT
OH
に対する前記ラジカル重合性モノイソシアネート(B2)と前記ジイソシアネート(B1)が有するイソシアネート基の総モル数:T
NCO
の比:T
NCO
/T
OH
が0.9~1.1となるようにして行う、
ことによって、数平均分子量が1000~2000である前記ラジカル重合性ポリウレタン成分(PU)を形成し、
前記第1原料組成物調製工程及び前記第2原料組成物調製工程では、前記第2原料組成物に含まれる前記非重付加性モノマー(C)の含有量が、前記重付加反応に用いた原料ベースの量で表される前記原料(A1)、(B1)、(C)及び(A2)又は(B2)の総質量の5質量%以上20質量%未満となるように、前記第1原料組成物及び前記第2原料組成物の調製を行う、
ことを特徴とする、前記ポリウレタン系複合材料の製造方法である。
【0010】
上記形態の製造方法(以下、「本発明の製造方法」ともいう。)においては、(1)前記第1原料組成物調製工程において、前記ラジカル重合性モノオール(A2)を更に含む、第1原料組成物を調製し、前記第2原料組成物調製工程における前記重付加反応を、当該ラジカル重合性モノオール(A2)の共存下に行うか、又は(2)前記第1原料組成物調製工程において、前記ラジカル重合性モノオール(A2)を含まない第1原料組成物を調製し、前記ジイソシアネート(B1)と共に前記ラジカル重合性モノイソシアネート(B2)を前記第1原料組成物と混合することによって、前記第2原料組成物調製工程における前記重付加反応を、前記ラジカル重合性モノイソシアネート(B2)の共存下に行う、ことが好ましい。
(【0011】以降は省略されています)

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