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公開番号2024062483
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-05-10
出願番号2022170326
出願日2022-10-25
発明の名称熱可塑性樹脂の製造方法
出願人三菱瓦斯化学株式会社
代理人個人,個人
主分類C08G 64/20 20060101AFI20240501BHJP(有機高分子化合物;その製造または化学的加工;それに基づく組成物)
要約【課題】超高分子量化せず、且つ色相に優れたビスフェノールF(BPF)型ポリカーボネート樹脂を製造できる製造方法を提供すること。
【解決手段】ジヒドロキシ化合物として、4,4’-ジヒドロキシフェニルメタン(1)、4,2’-ジヒドロキシフェニルメタン(2)、4,2’-ジヒドロキシフェニルメタン(3)を(1):(2):(3)=27~33:48~52:17~20(質量比)で含む原料組成物を反応させて熱可塑性樹脂を製造する方法である。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
ジヒドロキシ化合物を含む原料組成物を反応させて熱可塑性樹脂を製造する方法であって、
前記原料組成物が、前記ジヒドロキシ化合物として、
下記一般式(1)、下記一般式(2)及び下記一般式(3)で表されるジヒドロキシ化合物を含み、
前記一般式(1)、前記一般式(2)及び前記一般式(3)は、
一般式(1):一般式(2):一般式(3)=27~33:48~52:17~20(質量比)である、製造方法。
TIFF
2024062483000013.tif
110
170
(一般式、(1)、一般式(2)及び一般式(3)中、


及びR

は、それぞれ独立に、水素、フッ素、塩素、臭素、もしくはヨウ素、またはそれぞれ置換基を有してもよい、炭素数1~20のアルキル基、炭素数6~12のアリール基、炭素数2~12のアルケニル基、炭素数1~5のアルコキシ基、もしくは炭素数7~17のアラルキル基を表し、
m及びnは、各々独立に、0~4の整数を表す。)
続きを表示(約 1,400 文字)【請求項2】
前記原料組成物は、芳香族モノヒドロキシアルコールを含む、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記原料組成物が、前記ジヒドロキシ化合物として、下記式(Q)で表される化合物を含む、請求項1又は2に記載の製造方法。
TIFF
2024062483000014.tif
28
170
(式(Q)中、Lは、2~6の整数を表す。)
【請求項4】
前記一般式(1)、前記一般式(2)及び前記一般式(3)で表されるジヒドロキシ化合物の合計純度が、95.0質量%以上である、請求項1~3のいずれかに記載の製造方法。
【請求項5】
前記原料組成物は、下記一般式(I)で表される化合物をさらに含有する、請求項1~4のいずれかに記載の製造方法。
TIFF
2024062483000015.tif
28
170
(一般式(I)中、


及びR

は、それぞれ独立に、水素、フッ素、塩素、臭素、もしくはヨウ素、またはそれぞれ置換基を有してもよい、炭素数1~20のアルキル基、炭素数6~12のアリール基、炭素数2~12のアルケニル基、炭素数1~5のアルコキシ基、もしくは炭素数7~17のアラルキル基を表し、
p及びqは、各々独立に、0~2の整数を表し、
Xは、
JPEG
2024062483000016.jpg
56
170
であり、
ここでR

とR

は、それぞれ独立に、水素、フッ素、塩素、臭素、もしくはヨウ素、またはそれぞれ置換基を有してもよい、炭素数1~20のアルキル基、炭素数1~5のアルコキシ基、もしくは炭素数6~12のアリール基を表すか、R

とR

が結合して、炭素数5~20の炭素環または元素数5~12の複素環を形成する基を表し、但し、R

とR

の両方が共に水素になることはなく、


とR

は、それぞれ独立に、水素、フッ素、塩素、臭素、もしくはヨウ素、または各々置換基を有してもよい、炭素数1~9のアルキル基、炭素数1~5のアルコキシ基、炭素数2~12のアルケニル基、もしくは炭素数6~12アリール基を表し、


は置換基を有してもよい炭素数1~9のアルキレン基であり、
cは1~500の整数を表す。)
【請求項6】
前記熱可塑性樹脂の重量平均分子量(Mw)が、10,000~400,000である、請求項1~5のいずれかに記載の製造方法。
【請求項7】
前記熱可塑性樹脂の末端OHが、1~3000ppmである、請求項1~6のいずれかに記載の製造方法。
【請求項8】
前記熱可塑性樹脂のAPHAが、40以下である、請求項1~7のいずれかに記載の製造方法。
【請求項9】
前記熱可塑性樹脂は、ポリカーボネート樹脂、又はポリエステルカーボネート樹脂である、請求項1~8のいずれかに記載の製造方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、熱可塑性樹脂の製造方法に関する。
続きを表示(約 4,200 文字)【背景技術】
【0002】
熱可塑性樹脂は、常温では弾性をもち変形しにくいが、加熱により様々な形に加工しやすいことから、その性質に応じ、各種工業製品に使用されている。熱可塑性樹脂の性質を決める要因の1つとして、例えば、樹脂を形成する原料の化学構造が挙げられる。
ポリカーボネート樹脂を例に挙げると、一般的にビスフェノールA(BPA)を原料として用いるが、これにより、透明性が高く、機械的強度に優れた樹脂となり、電子機器、各種自動車部品等だけではく、日用品に至るまで、様々な分野に展開されている。特殊な用途として、例えばカルド構造と呼ばれる立体構造をもったフルオレン骨格を有するビスフェノールフルオレンは、高屈折率、且つ低複屈折といった特徴を有することから、光学レンズやフィルム、有機EL素子、液晶材料等の原料として用いられている。このように同じポリカーボネート樹脂であっても、原料によって性質が変わるため、樹脂の製造は、その使用目的に応じ原料が選択される。
コーティング溶液や塗料の分野においては、樹脂を溶媒に溶解して使用する。このような性質を有する原料の1つとして、例えば、ビスフェノールF(BPF)を用いる場合がある(特許文献1、2)。
【0003】
ところでBPFは、基本的にフェノール及びホルムアルデヒドから製造されるが、その製造条件は様々である(特許文献3~6)。しかし、いずれの製造条件によっても、得られるBPFは、ビス(4-ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(2-ヒドロキシフェニル)メタン及び2,4’-ジヒドロキシジフェニルメタンの異性体混合物として存在する場合が多く、その存在比も様々である。また、BPFは、BPAほど工業的に高品質(高純度)のものを大量生産する技術が確立されておらず、これら異性体の他に様々な不純物を含む。
前述した通り、原料種によって得られる樹脂の特徴が変る為、このような異性体や不純物によって樹脂の性質が変わることが推測される。しかし、これら異性体や不純物が、ポリカーボネート樹脂の製造に具体的にどのように影響するかは知られていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開2019-218494号公報
WO2018/123282
特公平3-72049号公報
特開平9-067287号公報
特開平3-109342号公報
特開平6-340565号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者らによれば、BPFを原料として反応させて熱可塑性樹脂を製造すると、重合中に超高分子量化が進行し、さらには得られる樹脂の色相が悪化する場合があることが分った。
本発明は、超高分子量化せず、且つ色相に優れたBPF型熱可塑性樹脂を製造する方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、BPF型熱可塑性樹脂の原料として、特定の異性体比であるジヒドロキシ化合物を用いて製造することにより、超高分子量化することなく、色相に優れる樹脂が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
即ち、本発明は以下の通りである。
<1> ジヒドロキシ化合物を含む原料組成物を反応させて熱可塑性樹脂を製造する方法であって、前記原料組成物が、前記ジヒドロキシ化合物として、下記一般式(1)、下記一般式(2)及び下記一般式(3)で表されるジヒドロキシ化合物を含み、前記一般式(1)、前記一般式(2)及び前記一般式(3)は、一般式(1):一般式(2):一般式(3)=27~33:48~52:17~20(質量比)である、製造方法である。
TIFF
2024062483000001.tif
110
170
(一般式、(1)、一般式(2)及び一般式(3)中、


及びR

は、それぞれ独立に、水素、フッ素、塩素、臭素、もしくはヨウ素、またはそれぞれ置換基を有してもよい、炭素数1~20のアルキル基、炭素数6~12のアリール基、炭素数2~12のアルケニル基、炭素数1~5のアルコキシ基、もしくは炭素数7~17のアラルキル基を表し、
m及びnは、各々独立に、0~4の整数を表す。)
<2> 前記原料組成物は、芳香族モノヒドロキシアルコールを含む、上記<1>に記載の製造方法である。
<3> 前記原料組成物が、前記ジヒドロキシ化合物として、下記式(Q)で表される化合物を含む、上記<1>又は<2>に記載の製造方法である。
TIFF
2024062483000002.tif
28
170
(式(Q)中、Lは、2~6の整数を表す。)
<4> 前記一般式(1)、前記一般式(2)及び前記一般式(3)で表されるジヒドロキシ化合物の合計純度が、95.0質量%以上である、上記<1>~<3>のいずれかに記載の製造方法である。
<5> 前記原料組成物は、下記一般式(I)で表される化合物をさらに含有する、上記<1>~<4>のいずれかに記載の製造方法である。
TIFF
2024062483000003.tif
28
170
(一般式(I)中、


及びR

は、それぞれ独立に、水素、フッ素、塩素、臭素、もしくはヨウ素、またはそれぞれ置換基を有してもよい、炭素数1~20のアルキル基、炭素数6~12のアリール基、炭素数2~12のアルケニル基、炭素数1~5のアルコキシ基、もしくは炭素数7~17のアラルキル基を表し、p及びqは、各々独立に、0~2の整数を表し、
Xは、
JPEG
2024062483000004.jpg
56
170
であり、
ここでR

とR

は、それぞれ独立に、水素、フッ素、塩素、臭素、もしくはヨウ素、またはそれぞれ置換基を有してもよい、炭素数1~20のアルキル基、炭素数1~5のアルコキシ基、もしくは炭素数6~12のアリール基を表すか、R

とR

が結合して、炭素数5~20の炭素環または元素数5~12の複素環を形成する基を表し、但し、R

とR

の両方が共に水素になることはなく、


とR

は、それぞれ独立に、水素、フッ素、塩素、臭素、もしくはヨウ素、または各々置換基を有してもよい、炭素数1~9のアルキル基、炭素数1~5のアルコキシ基、炭素数2~12のアルケニル基、もしくは炭素数6~12アリール基を表し、


は置換基を有してもよい炭素数1~9のアルキレン基であり、
cは1~500の整数を表す。)
<6> 前記熱可塑性樹脂の重量平均分子量(Mw)が、10,000~400,000である、上記<1>~<5>のいずれかに記載の製造方法である。
<7> 前記熱可塑性樹脂の末端OHが、1~3000ppmである、上記<1>~<6>のいずれかに記載の製造方法である。
<8> 前記熱可塑性樹脂のAPHAが、40以下である、上記<1>~<7>のいずれかに記載の製造方法である。
<9> 前記熱可塑性樹脂は、ポリカーボネート樹脂、又はポリエステルカーボネート樹脂である、上記<1>~<8>のいずれかに記載の製造方法である。
【発明の効果】
【0008】
本発明の熱可塑性樹脂の製造方法により、超高分子量化することなく、色相に優れたBPF型熱可塑性樹脂を製造することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明について実施形態及び例示物等を示して詳細に説明するが、本発明は以下に示す実施形態及び例示物等に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において任意に変更して実施できる。
【0010】
本発明は、ジヒドロキシ化合物を含む原料組成物を反応させて熱可塑性樹脂を製造する方法であって、前記原料組成物が、前記ジヒドロキシ化合物として、下記一般式(1)、下記一般式(2)及び下記一般式(3)で表されるジヒドロキシ化合物を含み、前記一般式(1)、前記一般式(2)及び前記一般式(3)は、一般式(1):一般式(2):一般式(3)=27~33:48~52:17~20(質量比)である、製造方法である。
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2024062483000005.tif
62
170
一般式(1)、一般式(2)及び一般式(3)中、


及びR

は、それぞれ独立に、水素、フッ素、塩素、臭素、もしくはヨウ素、またはそれぞれ置換基を有してもよい、炭素数1~20のアルキル基、炭素数6~12のアリール基、炭素数2~12のアルケニル基、炭素数1~5のアルコキシ基、もしくは炭素数7~17のアラルキル基を表し、好ましくは、水素、メチル基、又はアリル基を表し、より好ましくは水素を表す。
一般式(1)、一般式(2)及び一般式(3)中、m及びnは、各々独立に、0~4の整数を表し、好ましくは、0~2の整数を表し、より好ましくは0を表す。
なお、本明細書において、「置換基を有してもよい」という場合の「置換基」としては、「フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、炭素数1~7のアルキル基、炭素数6~12のアリール基、炭素数2~7のアルケニル基、炭素数1~5のアルコキシ基、炭素数7~17のアラルキル基」などが挙げられる(以下同様)。
(【0011】以降は省略されています)

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