TOP特許意匠商標
特許ウォッチ Twitter
公開番号2024058664
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-04-25
出願番号2023177936
出願日2023-10-14
発明の名称シアリルTn抗原糖鎖に特異的に結合する一本鎖抗体、それら抗体をキメラ抗原受容体の一部として導入する方法、およびそれらキメラ抗原受容体を発現したナチュラルキラー細胞
出願人株式会社スディックスバイオテック
代理人
主分類C12N 15/62 20060101AFI20240418BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約【課題】癌は1981年から30年以上日本人の死因の第1位となっている。世界中で、種々の癌に対するマーカー分子や分子標的薬開発のための標的分子の検索が行われているが、癌特異的な蛋白質として使用できるものは限られている。そこで近年、癌特異的に発現する糖鎖が注目されている。
【解決手段】独自の糖鎖ナノテクノロジーとファージディスプレイ法を組み合わせて開発したシアリルTn抗原糖鎖に特異的に結合する一本鎖抗体の遺伝子を、キメラ抗原受容体の一部として遺伝子導入したナチュラルキラー細胞の製造を可能とした。この細胞は肝癌や膵癌などの免疫細胞療法に利用できる。
【選択図】図6
特許請求の範囲【請求項1】
シアリルTn抗原糖鎖発現癌細胞に特異的に結合する一本鎖抗体を抗原認識部位として導入したキメラ抗原受容体を含む、ナチュラルキラー細胞。
続きを表示(約 630 文字)【請求項2】
前記一本鎖抗体は、肝臓癌細胞または膵臓癌細胞に特異的に結合する一本鎖抗体である、請求項1に記載のナチュラルキラー細胞。
【請求項3】
請求項1の一本鎖抗体は、配列番号1から9として示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド。
【請求項4】
前記キメラ抗原受容体は、
(a)イムノグロブリン重鎖シグナルペプチド、
(b)C末端にMyc-tagを有する、シアリルTn抗原糖鎖発現細胞の細胞表層糖鎖に特異的に結合する一本鎖抗体、
(c)CD28由来ヒンジ及び膜貫通蛋白質ドメイン、
(d)シグナル伝達のための4-1BB細胞内蛋白質ドメイン、および、
(e)シグナル伝達のためのCD3ζT細胞受容体ドメイン、
を含み、かつ、前記(a)~(e)が、N末端からC末端にかけて、この順に発現するキメラ抗原受容体である、請求項1に記載のナチュラルキラー細胞。
【請求項5】
配列番号10、11、または12として示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドを含む、キメラ抗原受容体。
【請求項6】
請求項4に記載のキメラ抗原受容体をコードする、配列番号13、14または15として示される塩基配列を有する核酸コンストラクト。
【請求項7】
請求項6に記載の核酸コンストラクトをそれぞれNK-92 MI細胞に導入したCAR-NK細胞。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、シアリルTn抗原糖鎖に特異的に結合する一本鎖抗体の製造、抗体の遺伝子を導入したキメラ抗原受容体および当該キメラ抗原受容体を導入したナチュラルキラー細胞に関する。
続きを表示(約 1,700 文字)【背景技術】
【0002】
糖鎖は、生体内に普遍的に存在する生体分子で、糖蛋白質や糖脂質、プロテオグリカンのような複合糖質の形で存在する。細胞表層の糖鎖は、糖鎖-蛋白質間や糖鎖-糖鎖同士の相互作用を介して、細胞接着や情報伝達、ウイルスや細菌の感染などに関与し、生体内で極めて多様な生理機能を担う。
【0003】
糖鎖の構造や発現量は、炎症や疾患などの細胞内外の環境変化に応じて、動的に変化することが知られている。細胞が癌化すると、特定の糖鎖の過剰発現や欠損が起きたり、一部が欠損した不完全な構造の糖鎖が出現することがある。また、正常細胞には存在しない糖鎖構造が発現することもある。このように、癌化によって、様々な糖鎖の発現変化が起こる。したがって、癌の進行度や転移性、患者の予後などが糖鎖で予測できると期待されている。
【0004】
厚労省の統計(日本人対象)では、2021年度に1,439,856人(男:738,141人、女:701,715人)が亡くなっており、死因別では、悪性新生物<腫瘍>の死亡数は38,1505人(死亡総数に占める割合は26.5%)、死亡率(人口10万対)は310.7であった。癌は1981年から30年以上日本人の死因の第1位となっている。世界中で、種々の癌に対するマーカー分子の検索が行われているが、癌特異的な蛋白質として使用できるものは限られている。そこで近年、癌特異的に発現する糖鎖が注目されている。
【0005】
上記の特異的な糖鎖は、癌マーカーとしての利用だけでなく、分子標的薬開発のための標的分子としても利用されている。疾患特異的な糖鎖に対する分子標的薬は、新たな診断薬や医薬品の開発にも繋がることから、近年盛んに研究されている。
【0006】
一方、抗糖鎖抗体の作製においては、(i)疾患特異的な糖鎖構造の同定が非常に難しいこと、(ii)糖鎖の抗原性が低く、実験動物に免疫してハイブリドーマを得る従来の手法では抗体の作製が難しいこと、(iii)糖鎖の抗原性を向上させるために、糖脂質への誘導や抗原性の高い蛋白質との複合化などが必要なことなど、技術的に様々な課題があり、簡便且つ効率的に特異性の高い抗糖鎖抗体を作製可能な新たな手法の確立が求められている。
【0007】
一本鎖抗体(scFv)は、抗体の抗原結合部位を含む領域であるFabの重鎖(VH)と軽鎖(VL)から構成される抗体の一種であり、リンカーペプチドによりVHとVL同士がつながった構造を持つ。目的のscFvを探索・単離する有効な手法としてファージディスプレイ法があり、ウイルスの一種であるバクテリオファージ表面にscFvを提示させ、多数のライブラリーの中から特定の抗原に結合するscFv提示ファージを効率的に選別・濃縮する。得られたscFv提示ファージは、大腸菌の蛋白質発現系を用いて、可溶性のscFvを発現させることができ、産生されたscFvは、ヒスチジンタグ(Hisタグ)等のエピトープタグを用いたアフィニティー精製により、高純度に精製することが出来る。さらには、IgG抗体へと誘導出来るため、特異性の高いヒト由来抗体を作製する技術として大きな注目を集めている。
【0008】
発明者らは、効率的に疾患特異的な糖鎖に対する抗体を得る手法を確立するために、ファージライブラリー法と独自のシュガーチップ技術(特許文献1、2、非特許文献1、2)を用いて、シアリルTn抗原糖鎖に対する抗糖鎖抗体の開発を行ってきた。
【0009】
シアリルTn抗原糖鎖の構造には、シアル酸成分にN-アセチルノイラミン酸(Neu5Ac)、またはN-グリコリルノイラミン酸(Neu5Gc)を含有する2種類が見出されている。
【0010】
Neu5Ac構造を含むTn抗原(Neu5Ac-Tn)は、ヒトを含む多くの哺乳動物に発現する。正常な細胞にも発現するが、癌細胞では過剰に発現することが知られており、胃癌や卵巣癌の診断マーカーの1つとして既に臨床利用されている(非特許文献3)
(【0011】以降は省略されています)

この特許をJ-PlatPatで参照する

関連特許

個人
DNA増幅システム
1か月前
東洋紡株式会社
逆転写反応用組成物
12日前
三菱製紙株式会社
パルプの糖化方法
1か月前
株式会社ブラスト
細胞培養装置
27日前
株式会社ブラスト
密閉チャンバー
27日前
学校法人近畿大学
高感度PCR法
1か月前
国立大学法人 東京大学
ゲノム編集技術
1か月前
相生ユニビオ株式会社
ウイスキーの製造方法
18日前
学校法人立命館
紐状構造物の製造方法
11日前
小林製薬株式会社
黒ずみ形成方法
1か月前
株式会社パウレック
培養装置及び培養方法
1か月前
松谷化学工業株式会社
アルコール飲料及びその製造方法
1か月前
国立大学法人東京海洋大学
熱処理リゾチーム組成物
17日前
株式会社東海ヒット
完全閉鎖型灌流液送液系
18日前
サッポロビール株式会社
ビールテイスト飲料
1か月前
株式会社デンソー
バイオセンサ装置
1か月前
花王株式会社
リパーゼ変異体
1か月前
横河電機株式会社
誘電泳動装置
25日前
サッポロビール株式会社
ビールテイスト飲料
24日前
株式会社ヤマザキエンジニアリング
製麹装置及び製麹方法
1か月前
サッポロビール株式会社
ビールテイスト飲料
1か月前
サッポロビール株式会社
ビールテイスト飲料
1か月前
国立大学法人神戸大学
機能的免疫賦活乳酸菌
2か月前
サッポロビール株式会社
ビールテイスト飲料
1か月前
ライオン株式会社
予測方法及び飲食品組成物
1か月前
サッポロビール株式会社
ビールテイスト飲料
24日前
サッポロビール株式会社
ビールテイスト飲料
1か月前
サッポロビール株式会社
ビールテイスト飲料
1か月前
NTN株式会社
細胞組織の製造方法
27日前
学校法人 中央大学
ナノ粒子検出方法
1か月前
花王株式会社
リパーゼの探索方法
1か月前
ライオン株式会社
予測方法及び飲食品組成物
1か月前
サッポロビール株式会社
ビールテイスト飲料
24日前
サッポロビール株式会社
ビールテイスト飲料
24日前
株式会社東京久栄
藻類培養装置
2か月前
国立大学法人山口大学
齧歯類における胚の遺伝子型決定方法
1か月前
続きを見る