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公開番号2024056935
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-04-23
出願番号2024022523,2020522581
出願日2024-02-19,2019-05-30
発明の名称単ドメイン抗体含有リガンド結合分子
出願人中外製薬株式会社
代理人個人,個人,個人,個人,個人,個人,個人,個人,個人,個人,個人,個人
主分類C07K 16/00 20060101AFI20240416BHJP(有機化学)
要約【課題】サイトカインあるいはケモカイン等のリガンドを標的組織において選択的に活性化させる単ドメイン抗体含有リガンド結合分子、当該リガンド結合分子と当該リガンドの複合体、当該リガンド結合分子を含む融合タンパク質、及びそれらの製造方法を提供する。
【解決手段】本発明は、切断サイトが切断されることでリガンドへの結合活性が減弱する単ドメイン抗体含有リガンド結合分子及びその製造方法、当該リガンド結合分子とリガンドで形成される複合体、当該リガンド結合分子とリガンドを含む融合タンパク質、リガンド結合分子またはリガンド結合分子とリガンドの融合タンパク質を含む医薬組成物に関する。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
リガンド結合分子であって、当該リガンド結合分子は単ドメイン抗体を含み、当該単ドメイン抗体はリガンドに結合可能であり且つ少なくとも一つの切断サイトが導入されており、当該切断サイトが切断された状態で当該リガンド結合分子の前記リガンドに対する結合が、当該切断サイトが未切断の状態での当該リガンド結合分子の前記リガンドに対する結合より減弱される、リガンド結合分子。
続きを表示(約 980 文字)【請求項2】
前記切断サイトはプロテアーゼ切断配列を含む、請求項1に記載のリガンド結合分子。
【請求項3】
前記プロテアーゼは標的組織特異的プロテアーゼである、請求項2に記載のリガンド結合分子。
【請求項4】
リガンド結合分子であって、当該リガンド結合分子は単ドメイン抗体を含み、当該単ドメイン抗体はリガンドに結合可能であり且つ少なくとも一つのプロテアーゼ切断配列を含み、当該プロテアーゼ切断配列は標的組織特異的プロテアーゼにより切断可能 であり、当該プロテアーゼ切断配列が切断された状態で当該リガンド結合分子の前記リガンドに対する結合が、当該切断サイトが未切断の状態での当該リガンド結合分子の前記リガンドに対する結合より減弱される、リガンド結合分子。
【請求項5】
前記プロテアーゼは、癌組織特異的プロテアーゼまたは炎症組織特異的プロテアーゼである、請求項2から請求項4のいずれかの一項に記載のリガンド結合分子。
【請求項6】
前記プロテアーゼは、マトリプターゼ、ウロキナーゼ(uPA)、およびメタロプロテアーゼから選択される少なくとも一つのプロテアーゼである、請求項2から請求項5のいずれかの一項に記載のリガンド結合分子。
【請求項7】
前記プロテアーゼ切断配列は、配列番号:2~82、788~827で示す配列、表1に記載の配列から選ばれる一つまたは複数の配列を含む配列である、請求項2から請求項5のいずれかの一項に記載のリガンド結合分子。
【請求項8】
前記切断サイトまたは前記プロテアーゼ切断配列が切断された状態では、前記リガンドがリガンド結合分子から遊離する、請求項1から請求項7のいずれかの一項に記載のリガンド結合分子。
【請求項9】
前記単ドメイン抗体はVHH、または単ドメインVH抗体、また単ドメインVL抗体である請求項1から請求項8のいずれかの一項に記載のリガンド結合分子。
【請求項10】
前記リガンドは生物活性を有する分子であり、前記単ドメイン抗体は前記リガンドに対する中和活性を有する、請求項1から請求項10のいずれかの一項に記載のリガンド結合分子。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、単ドメイン抗体含有リガンド結合分子、当該リガンド結合分子の製造方法、ならびに当該リガンド結合分子を含む医薬組成物、更に、当該リガンド結合分子を含む融合タンパク質、当該融合タンパク質の製造方法、ならびに当該融合タンパク質を含む医薬組成物を提供する。
続きを表示(約 11,000 文字)【背景技術】
【0002】
抗体は血漿中での安定性が高く、副作用も少ないことから医薬品として注目されている。中でもIgG型の抗体医薬は多数上市されており、現在も数多くの抗体医薬が開発されている(非特許文献1、および非特許文献2)。
【0003】
抗体医薬を用いた癌治療薬として、これまでのCD20抗原に対するリツキサン、EGFR抗原に対するセツキシマブ、HER2抗原に対するハーセプチン等が承認されている(非特許文献3)。これらの抗体分子は、癌細胞に発現している抗原に対して結合し、ADCCやシグナル阻害等によって癌細胞に対する傷害活性を発揮する。
【0004】
また、癌細胞に高発現する癌抗原に結合する抗体分子にサイトカインなどの生物活性を有するリガンドを融合させたイムノサイトカインによって、リガンドを固形癌にデリバリーする方法が知られている。イムノサイトカインによって固形癌にデリバリーされたサイトカインが免疫を活性化させることで抗腫瘍効果を発揮する。IL-2、IL-12やTNFをはじめとするサイトカインは毒性が強いため、これらのサイトカインを癌局所で働かせるために抗体によって癌局所にデリバリーすることで副作用を軽減しつつ、効果を強めることが期待されているが(非特許文献4、5、6)、これらはいずれも全身投与では臨床で十分な効果を示さない、therapeutic windowが狭い、毒性が強く全身投与ができない、などの課題があり、未だに医薬品として承認されていない。
【0005】
この大きな原因として、イムノサイトカインであっても全身投与したサイトカインは全身に暴露されてしまうため、全身で作用して毒性を発揮しうる、あるいは毒性を回避するために極めて低い用量でしか投与できないことが挙げられる。癌抗原に結合する抗体にIL-2を融合したイムノサイトカインと癌抗原に結合しない抗体にIL-2を融合したイムノサイトカインで抗腫瘍効果は変わらなかったという報告もある(非特許文献7)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
Monoclonal antibody successes in the clinic. Janice M Reichert, Clark J Rosensweig, Laura B Faden & Matthew C Dewitz, Nat. Biotechnol. (2005) 23, 1073-1078
The therapeutic antibodies market to 2008. Pavlou AK, Belsey MJ., Eur. J. Pharm. Biopharm. (2005) 59 (3), 389-396
Monoclonal antibodies: versatile platforms for cancer immunotherapy. Weiner LM, Surana R, Wang S., Nat. Rev. Immunol. (2010) 10 (5), 317-327
Cyclophosphamide and tucotuzumab (huKS-IL2) following first-line chemotherapy in responding patients with extensive-disease small-cell lung cancer. Gladkov O, Ramlau R, Serwatowski P, Milanowski J, Tomeczko J, Komarnitsky PB, Kramer D, Krzakowski MJ. Anticancer Drugs. 2015 Nov;26(10):1061-8.
Defining the Pharmacodynamic Profile and Therapeutic Index of NHS-IL12 Immunocytokine in Dogs with Malignant Melanoma. Paoloni M, Mazcko C, Selting K, Lana S, Barber L, Phillips J, Skorupski K, Vail D, Wilson H, Biller B, Avery A, Kiupel M, LeBlanc A, Bernhardt A, Brunkhorst B, Tighe R, Khanna C. PLoS One. 2015 Jun 19;10(6):e0129954.
Isolated limb perfusion with the tumor-targeting human monoclonal antibody-cytokine fusion protein L19-TNF plus melphalan and mild hyperthermia in patients with locally advanced extremity melanoma. Papadia F, Basso V, Patuzzo R, Maurichi A, Di Florio A, Zardi L, Ventura E, Gonzalez-Iglesias R, Lovato V, Giovannoni L, Tasciotti A, Neri D, Santinami M, Menssen HD, De Cian F. J Surg Oncol. 2013 Feb;107(2):173-9.
Antigen specificity can be irrelevant to immunocytokine efficacy and biodistribution. Tzeng A, Kwan BH, Opel CF, Navaratna T, Wittrup KD. Proc Natl Acad Sci U S A. 2015 Mar 17;112(11):3320-5.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、このような状況に鑑みて為されたものであり、その目的の一つは、サイトカインあるいはケモカイン等のリガンドを標的組織において選択的に活性化させる単ドメイン抗体含有リガンド結合分子、当該リガンド結合分子と当該リガンドの複合体、当該リガンド結合分子を含む融合タンパク質、及びそれらの製造方法を提供することにある。本発明のもう一つの目的は、当該リガンド結合分子、または当該リガンド結合分子と当該リガンドの複合体、または当該リガンド結合分子を含む融合タンパク質を有効成分として含む医薬組成物、及び当該医薬組成物の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記の目的を達成するために鋭意研究を進めたところ、切断サイトを含む単ドメイン抗体含有リガンド結合分子及び当該リガンド結合分子を含む融合タンパク質を創作した。また、本発明者らは、当該リガンド結合分子、当該リガンド結合分子と当該リガンドの複合体、当該リガンド結合分子を含む融合タンパク質、またはそれらを含む医薬組成物が、当該リガンドを用いて疾患を治療することに有用であることを見出すとともに、当該リガンド結合分子または当該リガンド結合分子と当該リガンドの複合体または当該リガンド結合分子を含む融合タンパク質を投与することを含む疾患の治療に有用であること、及び疾患の治療のための医薬の製造において当該リガンド結合分子または当該リガンド結合分子を含む融合タンパク質が有用であることを見出した。また、本発明者らは、当該リガンド結合分子、または当該リガンド結合分子と当該リガンドの複合体、または当該リガンド結合分子を含む融合タンパク質の製造方法を創作して本発明を完成させた。
【0009】
本発明はこのような知見に基づくものであり、具体的には以下に例示的に記載する態様を包含するものである。
(A1)リガンド結合分子であって、当該リガンド結合分子は単ドメイン抗体を含み、当該単ドメイン抗体はリガンドに結合可能であり且つ少なくとも一つの切断サイトが導入されており、当該切断サイトが切断された状態で当該リガンド結合分子の前記リガンドに対する結合が、当該切断サイトが未切断の状態での当該リガンド結合分子の前記リガンドに対する結合より減弱される、リガンド結合分子。
(A2)前記切断サイトが切断された状態では、前記リガンドがリガンド結合分子から遊離する、(A1)に記載のリガンド結合分子。
(A3)前記切断サイトはプロテアーゼ切断配列を含む、(A1)または(A2)に記載のリガンド結合分子。
(A4)前記プロテアーゼは標的組織特異的プロテアーゼである、(A3)に記載のリガンド結合分子。
(A5)前記標的組織が癌組織であり、前記標的組織特異的プロテアーゼは癌組織特異的プロテアーゼである、(A4)に記載のリガンド結合分子。
(A6)前記標的組織が炎症組織であり、前記標的組織特異的プロテアーゼは炎症組織特異的プロテアーゼである、(A4)に記載のリガンド結合分子。
(A7)前記プロテアーゼは、マトリプターゼ、ウロキナーゼ(uPA)、およびメタロプロテアーゼから選択される少なくとも一つのプロテアーゼである、(A3)から(A6)のいずれか一つに記載のリガンド結合分子。
(A8)前記プロテアーゼ切断配列は、配列番号:2~82、788~827で示す配列、表1に記載の配列から選ばれる一つまたは複数の配列を含む配列である、(A3)から(A7)のいずれか一つに記載のリガンド結合分子。
(A9)前記プロテアーゼ切断配列の一端に、第一可動リンカーが更に付加されている、(A3)から(A8)のいずれか一つに記載のリガンド結合分子。
(A10)前記第一可動リンカーは、グリシン-セリンポリマーからなる可動リンカーである、(A9)に記載のリガンド結合分子。
(A11)前記プロテアーゼ切断配列の他端に、第二可動リンカーが更に付加されている、(A9)または(A10)に記載のリガンド結合分子。
(A12)前記第二可動リンカーは、グリシン-セリンポリマーからなる可動リンカーである、(A11)に記載のリガンド結合分子。
(A13)前記単ドメイン抗体はVHH、または単ドメインVH抗体、また単ドメインVL抗体である、(A1)から(A12)のいずれか一つに記載のリガンド結合分子。
(A14)前記単ドメイン抗体はVHHまたは単ドメインVH抗体であり、前記切断サイト、または前記プロテアーゼ切断配列、またはプロテアーゼ切断配列と第一可動リンカー、またはプロテアーゼ切断配列と第一可動リンカーと第二可動リンカーは、前記単ドメイン抗体の下記配列から選ばれる一つまたは複数の配列に含まれる一つまたは複数の位置に導入される、(A13)に記載のリガンド結合分子: 単ドメイン抗体7番アミノ酸(Kabatナンバリング)から17番アミノ酸(Kabatナンバリング)までの配列、単ドメイン抗体12番アミノ酸(Kabatナンバリング)から17番アミノ酸(Kabatナンバリング)までの配列、単ドメイン抗体31番アミノ酸(Kabatナンバリング)から35b番アミノ酸(Kabatナンバリング)までの配列、単ドメイン抗体40番アミノ酸(Kabatナンバリング)から47番アミノ酸(Kabatナンバリング)までの配列、単ドメイン抗体50番アミノ酸(Kabatナンバリング)から65番アミノ酸(Kabatナンバリング)までの配列、単ドメイン抗体55番アミノ酸(Kabatナンバリング)から69番アミノ酸(Kabatナンバリング)までの配列、単ドメイン抗体73番アミノ酸(Kabatナンバリング)から79番アミノ酸(Kabatナンバリング)までの配列、単ドメイン抗体83番アミノ酸(Kabatナンバリング)から89番アミノ酸(Kabatナンバリング)までの配列、単ドメイン抗体95番アミノ酸(Kabatナンバリング)から99番アミノ酸(Kabatナンバリング)までの配列、単ドメイン抗体95番アミノ酸(Kabatナンバリング)から102番アミノ酸(Kabatナンバリング)までの配列、単ドメイン抗体101番アミノ酸(Kabatナンバリング)から113番アミノ酸(Kabatナンバリング)までの配列。
(A15)前記単ドメイン抗体は単ドメインVL抗体であり、前記切断サイト、または前記プロテアーゼ切断配列、またはプロテアーゼ切断配列と第一可動リンカー、またはプロテアーゼ切断配列と第一可動リンカーと第二可動リンカーは、前記単ドメイン抗体の下記配列から選ばれる一つまたは複数の配列に含まれる一つまたは複数の位置に導入される、(A13)に記載のリガンド結合分子: 単ドメイン抗体7番アミノ酸(Kabatナンバリング)から19番アミノ酸(Kabatナンバリング)までの配列、単ドメイン抗体24番アミノ酸(Kabatナンバリング)から34番アミノ酸(Kabatナンバリング)までの配列、単ドメイン抗体39番アミノ酸(Kabatナンバリング)から46番アミノ酸(Kabatナンバリング)までの配列、単ドメイン抗体49番アミノ酸(Kabatナンバリング)から62番アミノ酸(Kabatナンバリング)までの配列、単ドメイン抗体50番アミノ酸(Kabatナンバリング)から56番アミノ酸(Kabatナンバリング)までの配列、単ドメイン抗体89番アミノ酸(Kabatナンバリング)から97番アミノ酸(Kabatナンバリング)までの配列、単ドメイン抗体96番アミノ酸(Kabatナンバリング)から107番アミノ酸(Kabatナンバリング)までの配列。
(A16)前記リガンドは生物活性を有する分子であり、前記単ドメイン抗体は前記リガンドと結合することで前記リガンドの生物活性を阻害する、(A1)から(A15)のいずれか一つに記載のリガンド結合分子。
(A17)前記リガンドは生物活性を有する分子であり、前記単ドメイン抗体は前記リガンドに対する中和活性を有する、(A1)から(A16)のいずれか一つに記載のリガンド結合分子。
(A18)前記リガンド結合分子は、前記切断サイトまたはプロテアーゼ切断配列を含む単ドメイン抗体のみを含む、(A1)から(A17)のいずれか一つに記載のリガンド結合分子。
(A19)前記リガンド結合分子は更に抗体Fc領域を含む、(A1)から(A18)のいずれか一つに記載のリガンド結合分子。
(A20)前記リガンド結合分子はN末端からC末端に向かって単ドメイン抗体-抗体Fc領域からなる一連のペプチド鎖を含む、(A1)から(A19)のいずれか一つに記載のリガンド結合分子。
(A21)前記リガンド結合分子は、単ドメイン抗体-抗体ヒンジ領域-抗体Fc領域からなる一連のペプチド鎖を二つ含む二量体である、(A1)から(A19)に記載のリガンド結合分子。
(A22)前記抗体Fc領域は、配列番号:103~106で示されるアミノ酸配列から選ばれる一つの配列を含むFc領域、またはこれらのFc領域に改変を加えたFc領域変異体である、(A19)から(A21)に記載のリガンド結合分子。
(A23)前記リガンドはサイトカインまたはケモカインである、(A1)から(A22)のいずれか一つに記載のリガンド結合分子。
(A24)前記リガンドは、インターロイキン、インターフェロン、造血因子、TNFスーパーファミリー、ケモカイン、細胞増殖因子、及びTGF-βファミリーから選ばれるリガンドである、(A1)から(A23)のいずれか一つに記載のリガンド結合分子。
(A25)前記リガンドはCXCL10、IL-12、PD-1、IL-6R、またはIL-1Raである、(A1)から(A24)のいずれか一つに記載のリガンド結合分子。
(A26)前記リガンドと結合している、(A1)から(A25)のいずれか一つに記載のリガンド結合分子。
(A27)前記リガンドと融合されている、(A1)から(A25)のいずれか一つに記載のリガンド結合分子。
(A28)前記リガンド結合分子がリガンドと融合されている状態では、当該リガンド結合分子に含まれる単ドメイン抗体は更に別のリガンドと結合しない、(A27)に記載のリガンド結合分子。
(A29)前記リガンド結合分子は、リンカーを介して前記リガンドと融合されている、(A27)または(A28)に記載のリガンド結合分子。
(A30)前記リンカーはプロテアーゼ切断配列を含まない、(A29)に記載のリガンド結合分子。
(A31)前記リガンドと、(A1)から(A25)のいずれか一つに記載のリガンド結合分子とで形成されている複合体。
(A32)前記リガンドと(A1)から(A25)のいずれか一つに記載のリガンド結合分子が融合されている融合タンパク質。
(A33)前記リガンド結合分子がリガンドと融合されている状態では、前記単ドメイン抗体は更に別のリガンドと結合しない、(A32)に記載の融合タンパク質。
(A34)前記リガンド結合分子は、リンカーを介して前記リガンドと融合されている、(A32)または(A33)に記載の融合タンパク質。
(A35)前記リンカーはプロテアーゼ切断配列を含まない、(A34)に記載の融合タンパク質。
(A36)N末端からC末端に向かってリガンド-リンカー-リガンド結合分子の順で融合されている、(A34)または(A35)に記載の融合タンパク質。
(B1)リガンド結合分子であって、当該リガンド結合分子は単ドメイン抗体を含み、当該単ドメイン抗体はリガンドに結合可能であり且つ少なくとも一つのプロテアーゼ切断配列を含み、当該プロテアーゼ切断配列は標的組織特異的プロテアーゼにより切断可能であり、当該プロテアーゼ切断配列が切断された状態で当該リガンド結合分子の前記リガンドに対する結合が、当該切断サイトが未切断の状態での当該リガンド結合分子の前記リガンドに対する結合より減弱される、リガンド結合分子。
(B2)前記プロテアーゼ切断配列が切断された状態では、前記リガンドがリガンド結合分子から遊離する、(B1)に記載のリガンド結合分子。
(B3)前記標的組織が癌組織であり、前記標的組織特異的プロテアーゼは癌組織特異的プロテアーゼである、(B1)から(B2)のいずれか一つ記載のリガンド結合分子。
(B4)前記標的組織が炎症組織であり、前記標的組織特異的プロテアーゼは炎症組織特異的プロテアーゼである、(B1)から(B2)記載のリガンド結合分子。
(B5)前記プロテアーゼは、マトリプターゼ、ウロキナーゼ(uPA)、およびメタロプロテアーゼから選択される少なくとも一つのプロテアーゼである、(B1)から(B4)のいずれか一つに記載のリガンド結合分子。
(B6)前記プロテアーゼ切断配列は、配列番号:2~82、788~827で示す配列、表1に記載の配列から選ばれる一つまたは複数の配列を含む配列である、(B1)から(B5)のいずれか一つに記載のリガンド結合分子。
(B7)前記プロテアーゼ切断配列の一端に、第一可動リンカーが更に付加されている、(B1)から(B6)のいずれか一つに記載のリガンド結合分子。
(B8)前記第一可動リンカーは、グリシン-セリンポリマーからなる可動リンカーである、(B7)に記載のリガンド結合分子。
(B9)前記プロテアーゼ切断配列の他端に、第二可動リンカーが更に付加されている、(B7)または(B8)に記載のリガンド結合分子。
(B10)前記第二可動リンカーは、グリシン-セリンポリマーからなる可動リンカーである、(B9)に記載のリガンド結合分子。
(B11)前記単ドメイン抗体はVHH、または単ドメインVH抗体、または単ドメインVL抗体、である、(B1)から(B10)のいずれか一つに記載のリガンド結合分子。
(B12)前記単ドメイン抗体はVHHまたは単ドメインVH抗体であり、前記切断サイト、または前記プロテアーゼ切断配列、またはプロテアーゼ切断配列と第一可動リンカー、またはプロテアーゼ切断配列と第一可動リンカーと第二可動リンカーは、前記単ドメイン抗体の下記配列から選ばれる一つまたは複数の配列に含まれる一つまたは複数の位置に導入される、(B11)に記載のリガンド結合分子: 単ドメイン抗体7番アミノ酸(Kabatナンバリング)から17番アミノ酸(Kabatナンバリング)までの配列、単ドメイン抗体12番アミノ酸(Kabatナンバリング)から17番アミノ酸(Kabatナンバリング)までの配列、単ドメイン抗体31番アミノ酸(Kabatナンバリング)から35b番アミノ酸(Kabatナンバリング)までの配列、単ドメイン抗体40番アミノ酸(Kabatナンバリング)から47番アミノ酸(Kabatナンバリング)までの配列、単ドメイン抗体50番アミノ酸(Kabatナンバリング)から65番アミノ酸(Kabatナンバリング)までの配列、単ドメイン抗体55番アミノ酸(Kabatナンバリング)から69番アミノ酸(Kabatナンバリング)までの配列、単ドメイン抗体73番アミノ酸(Kabatナンバリング)から79番アミノ酸(Kabatナンバリング)までの配列、単ドメイン抗体83番アミノ酸(Kabatナンバリング)から89番アミノ酸(Kabatナンバリング)までの配列、単ドメイン抗体95番アミノ酸(Kabatナンバリング)から99番アミノ酸(Kabatナンバリング)までの配列、単ドメイン抗体95番アミノ酸(Kabatナンバリング)から102番アミノ酸(Kabatナンバリング)までの配列、単ドメイン抗体101番アミノ酸(Kabatナンバリング)から113番アミノ酸(Kabatナンバリング)までの配列。
(B13)前記単ドメイン抗体は単ドメインVL抗体であり、前記切断サイト、または前記プロテアーゼ切断配列、またはプロテアーゼ切断配列と第一可動リンカー、またはプロテアーゼ切断配列と第一可動リンカーと第二可動リンカーは、前記単ドメイン抗体の下記配列から選ばれる一つまたは複数の配列に含まれる一つまたは複数の位置に導入される、(B11)に記載のリガンド結合分子: 単ドメイン抗体7番アミノ酸(Kabatナンバリング)から19番アミノ酸(Kabatナンバリング)までの配列、単ドメイン抗体24番アミノ酸(Kabatナンバリング)から34番アミノ酸(Kabatナンバリング)までの配列、単ドメイン抗体39番アミノ酸(Kabatナンバリング)から46番アミノ酸(Kabatナンバリング)までの配列、単ドメイン抗体49番アミノ酸(Kabatナンバリング)から62番アミノ酸(Kabatナンバリング)までの配列、単ドメイン抗体50番アミノ酸(Kabatナンバリング)から56番アミノ酸(Kabatナンバリング)までの配列、単ドメイン抗体89番アミノ酸(Kabatナンバリング)から97番アミノ酸(Kabatナンバリング)までの配列、単ドメイン抗体96番アミノ酸(Kabatナンバリング)から107番アミノ酸(Kabatナンバリング)までの配列。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本発明のリガンド結合分子の一例を示す図である。単ドメイン抗体中に含まれる切断サイトが未切断の状態において、単ドメイン抗体はリガンドに結合可能であり、切断サイトが切断された状態において、単ドメイン抗体は切断されており、リガンドに結合できず、リガンドが放出される。
本発明のリガンド結合分子とリガンドの融合タンパク質の一例を示す図である。単ドメイン抗体中に含まれる切断サイトが未切断の状態において、融合タンパク質中の単ドメイン抗体は融合タンパク質中のリガンドに結合可能であり、切断サイトが切断された状態において、単ドメイン抗体は切断されており、リガンドに結合できず、リガンドを含む融合タンパク質の一部が放出される。
本発明のリガンド結合分子の別の一例を示す図である。この例では、リガンド結合分子が単ドメイン抗体-抗体ヒンジ領域-抗体Fc領域を含む二量体タンパク質である。
本発明のリガンド結合分子とリガンドの融合タンパク質の別の一例を示す図である。この例では、リガンド結合分子が単ドメイン抗体-抗体ヒンジ領域-抗体Fc領域を含む二量体タンパク質である。
プロテアーゼ処理リガンド結合分子とプロテアーゼ未処理リガンド結合分子のSDS-PAGEの結果を示す図である。プロテアーゼ切断配列を含まない対照分子(Lane 12、13)がプロテアーゼ処理/未処理関係なく、バンドが同じ位置にあるのに対し、各プロテアーゼ切断配列が導入されたリガンド結合分子はプロテアーゼ処理後のみに生じる新しいバンドがあり、即ち、各プロテアーゼ切断配列が導入された単ドメイン抗体含有リガンド結合分子はプロテアーゼ処理で切断されたことが示された。
プロテアーゼ処理リガンド結合分子とプロテアーゼ未処理リガンド結合分子のIL-6Rに対する結合を評価したリアルタイム結合グラフである。各図のタイトルは測定サンプルの名前で、縦軸はリガンド結合分子とIL-6Rの相対的結合を示しており、横軸は時間(s)を示している。グレーの線はプロテアーゼ未処理サンプルのデータを示しており、黒の線はプロテアーゼ処理サンプルのデータを示している。
プロテアーゼ処理融合タンパク質とプロテアーゼ未処理融合タンパク質のSDS-PAGEの結果を示す図である。プロテアーゼ切断配列を含まない対照分子がプロテアーゼ処理/未処理関係なく、バンドが同じ位置にあるのに対し、プロテアーゼ切断配列が導入された単ドメイン抗体含有リガンド結合分子を含む各融合タンパク質はプロテアーゼ処理後のみに生じる新しいバンドがあり、即ち、各プロテアーゼ切断配列が導入された単ドメイン抗体含有リガンド結合分子を含む各融合タンパク質はプロテアーゼ処理で切断されたことが示された。
図7-1の続きを示す図である。
図7-2の続きを示す図である。
図7-3の続きを示す図である。
プロテアーゼ処理融合タンパク質とプロテアーゼ未処理融合タンパク質溶液中に存在する遊離IL-6RのIL6R90-bioへの結合を評価したリアルタイムグラフである。各図のタイトルは測定サンプルの名前で、縦軸はIL-6Rとビオチン化された抗IL-6R単ドメイン抗体含有分子(IL6R90-bio)の相対的結合を示しており、横軸は時間(s)を示している。グレーの線はプロテアーゼ未処理サンプルのデータを示しており、黒の線はプロテアーゼ処理サンプルのデータを示している。
図8-1の続きを示す図である。
プロテアーゼ処理融合タンパク質とプロテアーゼ未処理融合タンパク質のSDS-PAGEの結果を示す図である。
プロテアーゼ処理融合タンパク質とプロテアーゼ未処理融合タンパク質溶液中に存在する遊離ヒトPD-1のビオチン化された抗PD-1単ドメイン抗体含有分子(PD1-bio)への結合を示すリアルタイムグラフである。各図のタイトルは測定サンプルの名前で、縦軸はPD-1とPD1-bioの相対的結合を示しており、横軸は時間(s)を示している。グレーの線はプロテアーゼ未処理サンプルのデータを示しており、黒の線はプロテアーゼ処理サンプルのデータを示している。
各種プロテアーゼ切断配列が導入されたIgGのプロテアーゼ切断結果を示す図である。
各種プロテアーゼ切断配列が導入されたIgGのプロテアーゼ切断結果を示す図である。
各種プロテアーゼ切断配列が導入されたIgGのプロテアーゼ切断結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
(【0011】以降は省略されています)

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