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公開番号2024034612
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-03-13
出願番号2022138981
出願日2022-09-01
発明の名称精製ポリオールの製造方法
出願人株式会社イノアックコーポレーション
代理人個人
主分類C07C 29/88 20060101AFI20240306BHJP(有機化学)
要約【課題】粗ポリオールに含まれるアミン化合物を除去する場合において、反応生成物が反応槽や攪拌羽根に固着しにくく、しかも粗ポリオールに含まれるアミン化合物を相対的に低温において除去することが可能な精製ポリオールの製造方法を提供すること。
【解決手段】精製ポリオールの製造方法は、アミン化合物を含む粗ポリオールと、有機スルホン酸とを混合して混合液とし、前記混合液中において前記アミン化合物と前記有機スルホン酸とを反応させる第1工程と、前記混合液から前記アミン化合物と前記有機スルホン酸との反応生成物を除去する第2工程とを備えている。前記粗ポリオールは、分解回収ポリオールが好ましい。前記有機スルホン酸は、芳香族スルホン酸が好ましい。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
アミン化合物を含む粗ポリオールと、有機スルホン酸とを混合して混合液とし、前記混合液中において前記アミン化合物と前記有機スルホン酸とを反応させる第1工程と、
前記混合液から前記アミン化合物と前記有機スルホン酸との反応生成物を除去する第2工程と
を備えた精製ポリオールの製造方法。
続きを表示(約 120 文字)【請求項2】
前記粗ポリオールは、分解回収ポリオールである請求項1に記載の精製ポリオールの製造方法。
【請求項3】
前記有機スルホン酸は、芳香族スルホン酸である請求項1又は2に記載の精製ポリオールの製造方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、精製ポリオールの製造方法に関し、さらに詳しくは、アミン化合物を含む粗ポリオールからアミン化合物を除去する精製ポリオールの製造方法に関する。
続きを表示(約 2,400 文字)【背景技術】
【0002】
ポリウレタンとは、ウレタン結合(-NH-C(O)O-)を有する高分子化合物をいう。ポリウレタンは、一般に、ポリオールの水酸基(-OH)と、多官能イソシアネートのイソシアネート基(-NCO)とを重合させることにより得られる。ポリウレタンは、ポリオール及び/又はイソシアネートの種類を最適化することにより、多様な性質を示すことが知られている。そのため、ポリウレタンは、各種自動車部品、合成皮革、塗料、接着剤などに応用されている。また、ポリウレタンを発泡させたポリウレタンフォームは、断熱材、クッション材などに応用されている。
【0003】
近年、地球環境の保護の観点から、各種プラスチック製品のリサイクルが検討されている。プラスチックのリサイクル方法としては、
(a)プラスチックをそのまま再利用するマテリアルリサイクル、
(b)プラスチックを分解し、化学原料として再利用するケミカルリサイクル、
(c)プラスチックを燃料として再利用するサーマルリサイクル
などが知られている。
【0004】
ポリウレタンのリサイクル方法についても種々の方法が提案されており、その一部は既に工業的に実施されている。
これらの内、ポリウレタンのケミカルリサイクルは、粉砕したポリウレタンに分解剤を添加し、ポリウレタンを、ポリオールと、多官能イソシアネートに由来するアミン化合物とに分解する方法である。分解方法としては、アミン分解、グリコール分解、加水分解などが知られている。いずれの分解方法を用いる場合であっても、得られた分解生成物は、アミン化合物を主成分とする下相と、ポリオールを主成分とする上相の2相に分離する。そのため、上相からポリオールを容易に回収することができる。
【0005】
しかしながら、上相から回収されたポリオールには、微量のアミン化合物が含まれている。アミン化合物は、ウレタン反応の触媒としても機能する。そのため、例えば、アミン化合物を含むポリオール(以下、これを「粗ポリオール」ともいう)をそのままポリウレタンフォームの製造用原料として再利用すると、ウレタン反応が急速に進行し、気泡の制御が困難になるという問題があった。
【0006】
そこでこの問題を解決するために、従来から種々の提案がなされている。
例えば、特許文献1には、
(a)ポリアミンを含有するポリオールに、シュウ酸又は無水マレイン酸を加え、ポリアミンをシュウ酸塩又はマレイン酸塩として析出させ、
(b)析出物を除去する
ポリオールの精製方法が開示されている。
同文献には、このような方法により、粗ポリオールからポリアミンをほぼ完全に除去できる点が記載されている。
【0007】
特許文献2には、ポリオールの精製方法ではないが、
(a)粗製ポリエーテルポリオールに含まれるアルカリ性触媒をビニルカルボン酸類又はビニルスルホン酸類で中和し、
(b)これにさらに他のビニル単量体を投入し、ビニル重合させる
重合体ポリオールの製造方法が開示されている。
同文献には、
(A)このような方法により、精製処理していないポリオール(アルカリ性触媒を含むポリオール)を用いて、重合体ポリオールを製造することができる点、
(B)このような方法により、アルカリ性触媒の中和により発生するビニルカルボン酸アルカリ金属塩又はビニルスルホン酸アルカリ金属塩をポリマー中に固定できる点、及び、
(C)ポリマー中に固定されたアルカリ金属塩は、ウレタンフォームを製造する際の触媒としても機能するため、このような重合体ポリオールをポリウレタンフォームの製造に用いると、触媒使用量を低減できる点
が記載されている。
【0008】
特許文献3には、ポリオールの精製方法ではないが、
(a)末端不飽和基を有するモノオールを含むポリオール組成物に、ポリニトリルオキサイド又は水酸化モノニトリルオキサイドを加え、
(b)末端不飽和基を有するモノオールと、ポリニトリルオキサイド又は水酸化モノニトリルオキサイドとを反応させる
ポリオール組成物の製造方法が開示されている。
同文献には、このような方法により、不飽和度が低いポリオール組成物が得られる点が記載されている。
【0009】
さらに、特許文献4には、ポリオールの精製方法ではないが、
(a)2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール(BEPD)と、オクタン酸(モノカルボン酸)と、アジピン酸(ジカルボン酸)とを、触媒存在下で反応させ、
(b)反応混合物を冷却した後、酸成分をトリエチルアミン(塩基)で中和する
複合エステルの製造方法が開示されている。
同文献には、このような方法を用いると、複合エステルを高い収率で回収することができる点が記載されている。
【0010】
特許文献1に記載された方法を用いると、粗ポリオールからアミン化合物を除去することができる。しかしながら、粗ポリオールに含まれるアミン化合物と、ジカルボン酸又はその無水物とを反応させた場合において、反応温度が低い時には、アミン化合物の除去が不十分となる。
一方、反応温度を高くすれば、アミン化合物の除去効率は向上する。しかしながら、反応温度が高くなるほど、反応生成物が反応槽や攪拌羽根に固着しやすくなる。また、反応温度が高くなるほど、ポリオールの劣化が進行し、高エネルギーが必要となり、あるいは、作業時の安全性に劣るという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
(【0011】以降は省略されています)

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