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公開番号2024053420
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-04-15
出願番号2022159701
出願日2022-10-03
発明の名称エクオールの製造方法
出願人株式会社ダイセル
代理人個人,個人,個人,個人,個人
主分類C12P 17/06 20060101AFI20240408BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約【課題】微生物を利用したエクオールの製造において、従来よりも省エネルギーで、効果的にエクオールを製造できる方法の提供。
【解決手段】ダイゼイン配糖体、ダイゼイン及びジヒドロダイゼインからなる群から選ばれる少なくとも1種のエクオール原料を、該エクオール原料を資化してエクオールを産生する能力を有する微生物により発酵させる工程を有してエクオールを産生するエクオールの製造方法であって、発酵に使用する培地の殺菌をi)温度:70℃以上80℃未満、時間:60分以上、又はii)温度:80℃以上90℃未満、時間:30分以上、又はiii)温度:90℃以上100℃未満、時間:10分以上、で行う上記方法により上記課題を解決する。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
ダイゼイン配糖体、ダイゼイン及びジヒドロダイゼインからなる群から選ばれる少なくとも1種のエクオール原料を、該エクオール原料を資化してエクオールを産生する能力を有する微生物により発酵させる工程を有してエクオールを産生するエクオールの製造方法であって、
前記発酵工程前に前記エクオール原料を含む培地を
i)温度:70℃以上80℃未満、時間:60分以上、又は
ii)温度:80℃以上90℃未満、時間:30分以上、又は
iii)温度:90℃以上100℃未満、時間:10分以上、
の条件で殺菌する工程を有する、上記方法。
続きを表示(約 350 文字)【請求項2】
前記殺菌をi)温度:70℃以上80℃未満、時間:60分以上で行う請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記殺菌をii)温度:80℃以上90℃未満、時間:30分以上で行う請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記殺菌をiii)温度:90℃以上100℃未満、時間:10分以上で行う請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記エクオール原料の粒度が、1mm以下である請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記エクオール原料の粒度が、250μm以下である請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記発酵工程を、水素を含む1種類以上の気体からなる嫌気条件下で行う請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、エクオール生産能を有する微生物、特に嫌気性微生物によるエクオールの製造方法に関する。
続きを表示(約 2,100 文字)【背景技術】
【0002】
大豆、葛などのマメ科の植物に多く含まれているイソフラボン類はポリフェノールの分類のひとつであり、イソフラボンを基本骨格とするフラボノイドである。近年の調査により、イソフラボン類は女性ホルモン作用(エストロゲン)や抗酸化作用を有し、イソフラボン類を摂取することにより、乳癌、前立腺癌、骨粗しょう症、高コレステロール血症、心疾患、更年期障害などに対して予防効果があることが明らかとなっている。
イソフラボン類は、たとえば大豆内では、糖と共有結合した配糖体の形、ダイジン(daidzin)、グリシチン(glycitin)、ゲニスチン(genistin)として存在しており、アグリコンの形ではごく少量存在しているのみである。これら配糖体はさらにマロニル化、アセチル化されているものも存在している。これらの配糖体は、ヒトや動物の体内に入ると消化酵素又は腸内細菌の産生する酵素であるβグルコシダーゼ等の働きにより、それぞれダイゼイン(daidzein)、グリシテイン(glycitein)、ゲニステイン(genistein)となる。さらに、ダイゼインは腸内細菌の働きにより、ジヒドロダイゼイン(dihydrodaidzein)を経て、O-デスメチルアンゴレンシン(O-desmethylangolensin:O-DMA)又はエクオール(equol)へと酵素的に変換されることが知られている。
【0003】
エクオールは、これらの代謝産物の中で最もエストロゲン活性が高いことが知られている。しかしながら、人間の場合、イソフラボンの代謝には個人差があり、上記のようにダイゼインを発酵させてエクオールを産生する能力を有する腸内細菌を保有する人は少なく、その保有率は日本人で約5割、欧米人で約3割程度であることが明らかとなっている。そのため、エクオール産生菌を保有しない人は、大豆等のマメ科食物を摂取してもエクオールを体内で産生することができないという問題点が存在していた。
【0004】
これらの課題を克服するために、乳酸菌等の嫌気性微生物を用いて体外的にエクオールを産生させる試みがなされている(特許文献1~4)。
【0005】
微生物の培養を行う場合、原料培地の滅菌を行う。日本薬局法に基づく滅菌温度・時間の最低条件は、115℃・30分、または121℃・15分、または126℃・10分であり、一般的には、このような条件で、培地を滅菌処理して培養を行う。温度が100℃以上である為、耐圧設備で実施する必要がある。また、高い温度で熱に対して安定でない培地成分が分解するため、過剰量の成分添加が必要であった。滅菌後は、培養温度まで冷却する必要が有る為、温度が高いほど、無駄なエネルギーを使用する必要があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
特開2006-204296号公報。
特表2006-504409号公報。
特開2008-61584号公報。
特開2010-104241号公報。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、微生物を利用したエクオールの製造において、従来よりも使用するエネルギーを削減し、効率良くエクオールを製造できる方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、より低い温度で殺菌した方が、培地成分の分解を抑えることができ、エクオールの生産速度が高くなること、また、必要な成分量も減らすことができることを見出し、次の発明を見出した。
【0009】
<1> ダイゼイン配糖体、ダイゼイン及びジヒドロダイゼインからなる群から選ばれる少なくとも1種のエクオール原料を、該エクオール原料を資化してエクオールを産生する能力を有する微生物により発酵させる工程を有してエクオールを産生するエクオールの製造方法であって、
前記発酵工程前に前記エクオール原料を含む培地を
i)温度:70℃以上80℃未満、時間:60分以上、又は
ii)温度:80℃以上90℃未満、時間:30分以上、又は
iii)温度:90℃以上100℃未満、時間:10分以上、
の条件で殺菌する工程を有する、上記方法。
【0010】
<2> 上記<1>において、殺菌をi)温度:70℃以上80℃未満、時間:60分以上、好ましくは60分以上16時間以下、より好ましくは60分以上5時間以下、で行うのがよい。
<3> 上記<1>において、殺菌をii)温度:80℃以上90℃未満、時間:30分以上、好ましくは30分以上16時間以下、より好ましくは30分以上5時間以下、で行うのがよい。
<4> 上記<1>において、殺菌をiii)温度:90℃以上100℃未満、時間:10分以上、好ましくは10分以上10時間以下、より好ましくは10分以上2時間以下、で行うのがよい。
(【0011】以降は省略されています)

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