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公開番号2024052995
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-04-12
出願番号2024033297,2020033512
出願日2024-03-05,2020-02-28
発明の名称バニリンの製造方法
出願人味の素株式会社
代理人弁理士法人秀和特許事務所
主分類C12N 15/53 20060101AFI20240405BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約【課題】バニリンの生産に有用な変異型芳香族カルボン酸レダクターゼ(aromatic carboxylic acid reductase;ACAR)およびそれを用いたバニリンの製造方法を提供する。
【解決手段】C28、C135、R241、G249、R252、W259、M265、V270、M271、S274、T275、Q278、Q310、V312、I353、S356、I376、E377、G378、Y379、S381、T382、A384、A385、G386
、V387、S388、I389、Y467、I574等のアミノ酸残基に変異を有する変異型ACARを利用してバニリンを製造する。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
野生型芳香族カルボン酸レダクターゼのアミノ酸配列において特定の変異を有し、且つ、バニリン生成活性を有する、変異型芳香族カルボン酸レダクターゼであって、
前記特定の変異が、下記より選ばれる1つまたはそれ以上のアミノ酸残基における変異である、変異型芳香族カルボン酸レダクターゼ:
C28、C135、R241、G249、R252、W259、M265、V270、M271、S274、T275、Q278、Q310、V312、I353、S356、I376、E377、G378、Y379、S381、T382、A384、A385、G386、V387、S388、I389、Y467、I574。
続きを表示(約 1,600 文字)【請求項2】
前記特定の変異が、G386における変異を含む、請求項1に記載の変異型芳香族カルボン酸レダクターゼ。
【請求項3】
前記特定の変異が、下記より選ばれる1つまたはそれ以上の変異を含む、請求項1または2に記載の変異型芳香族カルボン酸レダクターゼ:
C28A、C135(A, V)、R241(K, Q)、G249(N, S, T)、R252(K, Q, T)、W259(F, Y)、M265(I, V)、V270(A, I)、M271(A, G, H, I, L, N, Q, R, S, T, V, Y)、S274(A, N)、T275S、Q278D、Q310L、V312(A, C, D, F, G, I, L, M, P, Q, S, T, Y)、I353(L, V)、S356(A, T)、I376(F, L, V)、E377D、G378D、Y379(F, L)、S381(A, T)、T382S、A384(C, F, G, H, I, K, L, N, Q, S, T)、A385(D, E, K, P, R)、G386(C, D, E, F, H, I, K, L, M, N, P, Q, R, S, T, V, W, Y)、V387I、S388(M, T)、I389V、Y467(F, H, W)、I574(A, C, F, G, L, L, M, N, P, T, V)。
【請求項4】
前記特定の変異が、G386Nを含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の変異型芳香族
カルボン酸レダクターゼ。
【請求項5】
前記特定の変異が、下記のいずれかの変異を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の変異型芳香族カルボン酸レダクターゼ:
G386M/M271Y、G386M/S274N、G386M/I353F、G386M/I353L、G386N/M271Y、G386N/V312A、G386N/V312F、G386N/V312I、G386N/I353F、G386N/I353L、G386N/A384S、G386N/A385M、G386N/A385V、G386N/V387I、G386N/I574A、G386N/I574M、G386N/I574T。
【請求項6】
前記野生型芳香族カルボン酸レダクターゼが、ゴルドニア(Gordonia)属細菌の芳香族カルボン酸レダクターゼである、請求項1~5のいずれか1項に記載の変異型芳香族カルボン酸レダクターゼ。
【請求項7】
前記野生型芳香族カルボン酸レダクターゼが、下記のいずれかのタンパク質である、請求項1~6のいずれか1項に記載の変異型芳香族カルボン酸レダクターゼ:
(a)配列番号2に示すアミノ酸配列を含むタンパク質;
(b)配列番号2に示すアミノ酸配列において、1~10個のアミノ酸残基の置換、欠失、挿入、および/または付加を含むアミノ酸配列を含むタンパク質;
(c)配列番号2に示すアミノ酸配列に対して90%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含むタンパク質。
【請求項8】
イソバニリン副生率が、1.0%以下である、請求項1~7のいずれか1項に記載の変異型芳香族カルボン酸レダクターゼ。
【請求項9】
バニリンの製造方法であって、
請求項1~8のいずれか1項に記載の変異型芳香族カルボン酸レダクターゼを利用してバニリン酸をバニリンに変換すること
を含む、方法。
【請求項10】
前記変換が、バニリン酸を含有する培地で前記変異型芳香族カルボン酸レダクターゼを有する微生物を培養し、バニリンを該培地中に生成蓄積させることを含む、請求項9に記載の方法。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、バニリン(vanillin)の製造方法に関するものである。
続きを表示(約 3,700 文字)【背景技術】
【0002】
バニリンは、バニラの香りの主要な成分であり、香料として飲食品や香水等に配合して使用されている。バニリンは、主に、天然物からの抽出または化学合成により製造されている。
【0003】
また、生物工学的手法によりバニリンを製造する試みもなされている。例えば、Corynebacterium glutamicum等の微生物を利用してバニリン酸等のバニリン前駆体からバニリンを製造することができる。
【0004】
バニリンは、プロトカテク酸を中間体として生成し得る。すなわち、プロトカテク酸は、O-メチルトランスフェラーゼ(O-methyltransferase;OMT)の作用によりバニリン酸(vanillic acid)へと変換され得る。バニリン酸は、芳香族カルボン酸レダクターゼ(aromatic carboxylic acid reductase;ACAR)の作用によりバニリンへと変換され得る。
加えて、イソバニリン(isovanillin)が、プロトカテク酸を中間体として副生物として
生成し得る。すなわち、プロトカテク酸は、OMTの作用によりイソバニリン酸(isovanillic acid)へと変換され得る。イソバニリン酸は、ACARの作用によりイソバニリンへと変換され得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、バニリンの生産に有用な変異型ACARおよびそれを用いたバニリンの製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、ACARのバニリン酸に対する基質特異性を向上させる変異を見出し、本発明を完成させた。
【0007】
すなわち、本発明は以下の通り例示できる。
[1]
野生型芳香族カルボン酸レダクターゼのアミノ酸配列において特定の変異を有し、且つ、バニリン生成活性を有する、変異型芳香族カルボン酸レダクターゼであって、
前記特定の変異が、下記より選ばれる1つまたはそれ以上のアミノ酸残基における変異である、変異型芳香族カルボン酸レダクターゼ:
C28、C135、R241、G249、R252、W259、M265、V270、M271、S274、T275、Q278、Q310、V312、I353、S356、I376、E377、G378、Y379、S381、T382、A384、A385、G386、V387、S388、I389、Y467、I574。
[2]
前記特定の変異が、G386における変異を含む、前記変異型芳香族カルボン酸レダクターゼ。
[3]
前記特定の変異が、下記より選ばれる1つまたはそれ以上の変異を含む、前記変異型芳香族カルボン酸レダクターゼ:
C28A、C135(A, V)、R241(K, Q)、G249(N, S, T)、R252(K, Q, T)、W259(F, Y)、M265(I, V)、V270(A, I)、M271(A, G, H, I, L, N, Q, R, S, T, V, Y)、S274(A, N)、T275S、Q278D、Q310L、V312(A, C, D, F, G, I, L, M, P, Q, S, T, Y)、I353(L, V)、S356(A, T)、I376(F, L, V)、E377D、G378D、Y379(F, L)、S381(A, T)、T382S、A384(C, F, G, H, I, K, L, N, Q, S, T)、A385(D, E, K, P, R)、G386(C, D, E, F, H, I, K, L, M, N, P, Q, R, S, T, V, W, Y)、V387I、S388(M, T)、I389V、Y467(F, H, W)、I574(A, C, F, G, L, L, M, N, P, T, V)。
[4]
前記特定の変異が、G386Nを含む、前記変異型芳香族カルボン酸レダクターゼ。
[5]
前記特定の変異が、下記のいずれかの変異を含む、前記変異型芳香族カルボン酸レダクターゼ:
G386M/M271Y、G386M/S274N、G386M/I353F、G386M/I353L、G386N/M271Y、G386N/V312A、G386N/V312F、G386N/V312I、G386N/I353F、G386N/I353L、G386N/A384S、G386N/A385M、G386N/A385V、G386N/V387I、G386N/I574A、G386N/I574M、G386N/I574T。
[6]
前記野生型芳香族カルボン酸レダクターゼが、ゴルドニア(Gordonia)属細菌の芳香族カルボン酸レダクターゼである、前記変異型芳香族カルボン酸レダクターゼ。
[7]
前記野生型芳香族カルボン酸レダクターゼが、下記のいずれかのタンパク質である、前記変異型芳香族カルボン酸レダクターゼ:
(a)配列番号2に示すアミノ酸配列を含むタンパク質;
(b)配列番号2に示すアミノ酸配列において、1~10個のアミノ酸残基の置換、欠失、挿入、および/または付加を含むアミノ酸配列を含むタンパク質;
(c)配列番号2に示すアミノ酸配列に対して90%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含むタンパク質。
[8]
イソバニリン副生率が、1.0%以下である、前記変異型芳香族カルボン酸レダクターゼ。
[9]
バニリンの製造方法であって、
前記変異型芳香族カルボン酸レダクターゼを利用してバニリン酸をバニリンに変換すること
を含む、方法。
[10]
前記変換が、バニリン酸を含有する培地で前記変異型芳香族カルボン酸レダクターゼを有する微生物を培養し、バニリンを該培地中に生成蓄積させることを含む、前記方法。
[11]
前記変換が、前記変異型芳香族カルボン酸レダクターゼを反応液中のバニリン酸に作用させ、バニリンを該反応液中に生成蓄積させることを含む、前記方法。
[12]
前記変異型芳香族カルボン酸レダクターゼが、該変異型芳香族カルボン酸レダクターゼを有する微生物の菌体の形態で利用される、前記方法。
[13]
前記菌体が、前記微生物の培養液、該培養液から回収した菌体、それらの処理物、またはそれらの組み合わせの形態で用いられる、前記方法。
[14]
前記微生物が、細菌または酵母である、前記方法。
[15]
前記微生物が、コリネ型細菌または腸内細菌科(Enterobacteriaceae)の細菌である、前記方法。
[16]
前記微生物が、コリネバクテリウム(Corynebacterium)属細菌またはエシェリヒア(Escherichia)属細菌である、前記方法。
[17]
前記微生物が、コリネバクテリウム・グルタミカム(Corynebacterium glutamicum)またはエシェリヒア・コリ(Escherichia coli)である、前記方法。
[18]
前記微生物が、ホスホパンテテイニルトランスフェラーゼの活性が非改変株と比較して増大するように改変されている、前記方法。
[19]
前記微生物が、バニリン酸デメチラーゼおよび/またはアルコールデヒドロゲナーゼの活性が非改変株と比較して低下するように改変されている、前記方法。
[20]
さらに、バニリンを回収することを含む、前記方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、バニリンの生産に有用な変異型ACARを提供することができ、当該変異型ACARを利用してバニリンを効率よく製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<1>変異型ACAR
本発明は、本明細書に記載の「特定の変異」を有する芳香族カルボン酸レダクターゼ(aromatic carboxylic acid reductase;ACAR)を提供する。
【0010】
「芳香族カルボン酸レダクターゼ(aromatic carboxylic acid reductase;ACAR)」とは、芳香族カルボン酸を還元して対応する芳香族アルデヒドを生成する反応を触媒する活性を有するタンパク質を意味してよい(EC 1.2.99.6等)。同活性を、「ACAR活性」とも
いう。ACARをコードする遺伝子を、「ACAR遺伝子」ともいう。
(【0011】以降は省略されています)

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