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公開番号2024045066
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-04-02
出願番号2023151701
出願日2023-09-19
発明の名称内分泌ホルモン遺伝子発現検出細胞
出願人学校法人関西医科大学
代理人個人,個人
主分類C12N 5/10 20060101AFI20240326BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約【課題】簡便かつ低コストにホルモン産生能を評価することができる、内分泌ホルモン遺伝子発現検出細胞及び該細胞の製造方法の提供。作製した細胞や該細胞を移植した動物を用いて、内分泌疾患の治療又は予防薬をスクリーニングする方法や、生体におけるホルモン産生動態を可視化する方法の提供。
【解決手段】ホルモン遺伝子のプロモーターに制御可能に連結されたレポーター遺伝子を染色体上に有する、内分泌細胞、並びに(1)ホルモン遺伝子のプロモーター下に制御可能に連結されたレポーター遺伝子を染色体上に有する多能性幹細胞を準備する工程、及び
(2)該多能性幹細胞を内分泌細胞に分化させる工程を含む、前記細胞を製造する方法。
【選択図】なし


特許請求の範囲【請求項1】
ホルモン遺伝子のプロモーターに制御可能に連結されたレポーター遺伝子を染色体上に有する、内分泌細胞。
続きを表示(約 710 文字)【請求項2】
前記ホルモン遺伝子が内在性のホルモン遺伝子である、請求項1に記載の細胞。
【請求項3】
前記ホルモンがエリスロポエチン、副甲状腺ホルモン、甲状腺ホルモン及びレニンからなる群から選択される、請求項1に記載の細胞。
【請求項4】
前記レポーター遺伝子が蛍光タンパク質遺伝子又はルシフェラーゼ遺伝子である、請求項1に記載の細胞。
【請求項5】
多能性幹細胞に由来する、請求項1に記載の細胞。
【請求項6】
(1)ホルモン遺伝子のプロモーター下に制御可能に連結されたレポーター遺伝子を染色体上に有する多能性幹細胞を準備する工程、及び
(2)該多能性幹細胞を内分泌細胞に分化させる工程
を含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の細胞を製造する方法。
【請求項7】
請求項1~5のいずれか1項に記載の細胞を有する、非ヒト動物。
【請求項8】
げっ歯類動物である、請求項7に記載の動物。
【請求項9】
(1)請求項1~5のいずれか1項に記載の細胞に被験物質を接触させる工程、及び
(2)被験物質を接触させていない場合と比較して、レポーター遺伝子の発現量が変化した場合に、該被験物質を内分泌疾患の治療又は予防薬の候補物質として選別する工程
を含む、内分泌疾患の治療又は予防薬のスクリーニング方法。
【請求項10】
請求項1~5のいずれか1項に記載の細胞を含む、内分泌疾患の治療又は予防薬のスクリーニング用キット。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、内分泌ホルモン遺伝子発現検出細胞に関する。より詳細には、ホルモン遺伝子のプロモーター下に制御可能に連結されたレポーター遺伝子を染色体上に有する、ホルモン遺伝子発現の検出が可能な内分泌細胞に関する。
続きを表示(約 3,400 文字)【背景技術】
【0002】
ホルモン(hormone)は、生体の外部や内部に起こった情報に対応し、体内において特定の器官で産生及び分泌され、血液など体液を通して体内を循環し、標的細胞でその効果を発揮する生理活性物質である。ホルモンにより伝えられる情報は、恒常性を維持するなどの重要な役割を果たす。ホルモンを分泌する臓器の障害などにより、ホルモン分泌に異常が生じることや、ホルモンが作用する臓器の異常により、ホルモン作用の異常が生じることで、内分泌疾患が発症する。内分泌疾患の中には、糖尿病や高脂血症の様に患者数の多い疾患から、これまで原因不明の精神疾患として放置されてきた希な疾患まで様々な疾患が含まれるため、内分泌疾患を正確に診断し、治療することは非常に重要である。
【0003】
上記ホルモンの1つとして、副甲状腺ホルモン(PTH)が存在する。副甲状腺は甲状腺の背面に位置し、PTHを産生及び分泌し、カルシウムの調節や骨代謝に重要な役割を担っている。副甲状腺に関連する疾患としては、PTHが過剰に分泌されることにより起こる副甲状腺機能亢進症があり、長期透析患者でよく認められる。一方、副甲状腺機能低下症は、PTH分泌低下により低カルシウム血症や高リン血症が惹起される疾患であり、頸部術後に最も頻発する合併症の1つである。
【0004】
また、別のホルモンとして、エリスロポエチン(Erythropoietin; EPO)が知られている。赤血球数の恒常性維持のために必須のプロセスである赤血球造血は、EPOによりその恒常性が維持されている。EPOは主に腎臓で産生され、血液中を循環し、骨髄中の後期赤芽球系前駆細胞(CFU-E)に作用して増殖、分化を刺激することで赤血球造血を促進する。EPOが正常レベルに産生されず不足すると、CFU-Eが減少し、赤血球造血が低下した結果、貧血になる。貧血はヘモグロビン濃度が不十分で身体の酸素輸送要求を満足できない病的状態であり、労作意欲の低下、易疲労感、息切れ、立ちくらみ、動悸等の臨床症状を呈するため、症状を改善することが望まれている。
【0005】
内分泌疾患の治療のために、再生医療の分野において、内分泌細胞の移植療法が試みられている。内分泌細胞は、(i)少量の細胞で機能する、(ii)評価系が確立している、(iii)分泌物のみを通過させ、細胞自体を通過させない培養バッグを用いることで、がん化の対策が可能、(iv)細胞の補充が容易、かつ(v)移植部位が限定されない、といった利点を有する。本発明者らは、以前より移植療法に用いる内分泌細胞の作製方法の開発を進めており、多能性幹細胞から、効率よく副甲状腺細胞(特許文献1)及びEPO産生細胞(特許文献2、非特許文献1)を分化誘導できる方法の開発に成功した。移植療法においては、治療効果を予測するため、事前に内分泌細胞のホルモン分泌能を評価することが重要である。また、内分泌細胞を用いた薬剤のスクリーニング方法や、薬剤の評価方法においても、該内分泌細胞からのホルモン分泌能を評価することは不可欠である。内分泌細胞からのホルモン分泌能は、培養上清のELISA、細胞懸濁液のPCR、細胞の免疫染色などを行うことが一般的であった。しかしながら、低コストで短時間にホルモン分泌量を測定することは困難であった。さらに、モデル動物を用いて、体外から侵襲なくホルモン産生能を評価することは不可能であるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
特開2021-69345
国際公開第2013/151186号
【非特許文献】
【0007】
Hitomi H. et al., Sci Transl Med. 9(409):eaaj2300 (2017)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、本発明は、簡便かつ低コストにホルモン産生能を評価することができる、内分泌ホルモン遺伝子発現検出細胞及び該細胞の製造方法を提供することを目的とする。また、作製した細胞や該細胞を移植した動物を用いて、内分泌疾患の治療又は予防薬をスクリーニングする方法や、生体におけるホルモン産生動態を可視化する方法を提供することも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは鋭意検討を行った結果、ホルモン遺伝子のプロモーター下に制御可能に連結されたレポーター遺伝子を有する内分泌細胞を作製できれば、in vitro及びin vivoでのホルモンの分泌を可視化でき、また簡便かつ低コストにホルモン産生能を評価することができるのではないか、との着想を得た。かかる着想に基づき研究を進めた結果、ヒトiPS細胞の遺伝子編集をすることにより、ヒトiPS細胞由来の新規な内分泌ホルモン遺伝子発現検出細胞を作製することに成功した。本発明者らは、これらの知見に基づいてさらに研究を重ねた結果、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明は以下の通りのものである。
[1]
ホルモン遺伝子のプロモーターに制御可能に連結されたレポーター遺伝子を染色体上に有する、内分泌細胞。
[2]
前記ホルモン遺伝子が内在性のホルモン遺伝子である、[1]に記載の細胞。
[3]
前記ホルモンがエリスロポエチン、副甲状腺ホルモン、甲状腺ホルモン及びレニンからなる群から選択される、[1]又は[2]に記載の細胞。
[4]
前記レポーター遺伝子が蛍光タンパク質遺伝子又はルシフェラーゼ遺伝子である、[1]~[3]のいずれか1つに記載の細胞。
[5-1]
多能性幹細胞に由来する、[1]~[4]のいずれか1つに記載の細胞。
[5-2]
前記多能性幹細胞が人工多能性幹細胞である、[5-1]に記載の細胞。
[6]
(1)ホルモン遺伝子のプロモーター下に制御可能に連結されたレポーター遺伝子を染色体上に有する多能性幹細胞を準備する工程、及び
(2)該多能性幹細胞を内分泌細胞に分化させる工程
を含む、[1]~[5-2]のいずれか1つに記載の細胞を製造する方法。
[7]
[1]~[5-2]のいずれか1つに記載の細胞を有する、非ヒト動物。
[8-1]
げっ歯類動物である、[7]に記載の動物。
[8-2]
前記げっ歯類動物がマウスである、[8-1]に記載の動物。
[9]
(1)[1]~[5-2]のいずれか1つに記載の細胞に被験物質を接触させる工程、及び
(2)被験物質を接触させていない場合と比較して、レポーター遺伝子の発現量が変化した場合に、該被験物質を内分泌疾患の治療又は予防薬の候補物質として選別する工程
を含む、内分泌疾患の治療又は予防薬のスクリーニング方法。
[10]
請求項1~5のいずれか1項に記載の細胞を含む、内分泌疾患の治療又は予防薬のスクリーニング用キット。
[11]
(1)[7]~[8-2]のいずれか1つに記載の非ヒト動物に被験物質を投与する工程、及び
(2)被験物質を投与していない場合と比較して、レポーター遺伝子の発現量が変化した場合に、該被験物質を内分泌疾患の治療又は予防薬の候補物質として選別する工程
を含む、内分泌疾患の治療又は予防薬のスクリーニング方法。
[12]
(1)ホルモン遺伝子のプロモーターに制御可能に連結されたレポーター遺伝子を染色体上に有する多能性幹細胞を準備する工程、
(2)被験物質の存在下で、該多能性幹細胞を内分泌細胞に分化させる工程、及び
(3)被験物質の非存在下の場合と比較して、レポーター遺伝子の発現量が増加した場合に、該被験物質を内分泌細胞分化誘導促進薬の候補物質として選別する工程
を含む、内分泌細胞分化誘導促進薬のスクリーニング方法。
【発明の効果】
(【0011】以降は省略されています)

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