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公開番号2024043265
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-03-29
出願番号2022148356
出願日2022-09-16
発明の名称バリア層構造の製造方法およびバリア層構造
出願人国立大学法人山形大学
代理人個人,個人
主分類B05D 7/24 20060101AFI20240322BHJP(霧化または噴霧一般;液体または他の流動性材料の表面への適用一般)
要約【課題】ポリシラザン化合物に波長230nm以下の紫外光を照射することにより、バリア性の高い窒化ケイ素系バリア層構造を製造する方法およびバリア層構造を提供する。
【解決手段】Si-Nを主骨格とするポリシラザン化合物を含む溶液を対象物に塗布または印刷する工程1と、窒素雰囲気下に、波長230nm以下の紫外光を対象物上のポリシラザン化合物に照射し、窒化ケイ素系層を形成する工程2とを有することを特徴とするバリア層構造の製造方法。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
Si-Nを主骨格とするポリシラザン化合物を含む溶液を対象物に塗布または印刷する工程1と、
窒素雰囲気下に、波長230nm以下の紫外光を対象物上のポリシラザン化合物に照射し、窒化ケイ素系層を形成する工程2と
を有することを特徴とするバリア層構造の製造方法。
続きを表示(約 900 文字)【請求項2】
前記ポリシラザン化合物が、パーヒドロポリシラザン(PHPS)であることを特徴とする請求項1に記載のバリア層構造の製造方法。
【請求項3】
前記波長230nm以下の紫外光が、波長100~190nmの真空紫外光であり、
照射する紫外光の積算光量が6000~24000J/cm
2
であることを特徴とする請求項1に記載のバリア層構造の製造方法。
【請求項4】
波長100~190nmの真空紫外光に加えて、波長200~230nmの紫外光をさらに照射することを特徴とする請求項3に記載のバリア層構造の製造方法。
【請求項5】
前記工程1および工程2に加えて、さらに、紫外線硬化性ポリシロキサン、アクリル樹脂およびエポキシ樹脂から選ばれる少なくとも一種を含む溶液を、対象物上の窒化ケイ素系膜に塗布または印刷し、光または熱により硬化させて樹脂層を形成する工程3を有することを特徴とする請求項1に記載のバリア層構造の製造方法。
【請求項6】
前記工程1~工程3をこの順に複数回行い、窒化ケイ素系層と前記樹脂層とを交互に積層させることを特徴とする請求項5に記載のバリア層構造の製造方法。
【請求項7】
前記工程2において、波長230nm以下の紫外光を15~40℃の温度下に照射することを特徴とする請求項5に記載のバリア層構造の製造方法。
【請求項8】
前記工程1に先立ち、対象物を真空紫外光またはUVオゾン洗浄により表面改質することを特徴とする請求項1に記載のバリア層構造の製造方法。
【請求項9】
前記バリア層構造の膜厚が150~250nmであることを特徴とする請求項1に記載のバリア層構造の製造方法。
【請求項10】
対象物上に形成された窒化ケイ素系層構造において、
対象物に近い部分の屈折率が1.50~1.6であり、
対象物から遠い部分であり、窒化ケイ素系層の表面付近の屈折率が1.6~1.9であることを特徴とするバリア層構造。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、真空紫外光をポリシラザン化合物に照射することにより、窒化ケイ素系バリア層構造を製造する方法およびそのバリア層構造に関する。
続きを表示(約 2,200 文字)【背景技術】
【0002】
ガスバリア膜は包装やエレクトロニクスなど、幅広い分野で使用されている。特にエレクトロニクス製品では、水蒸気に対する高いバリア性能が要求される。水蒸気に対するバリア性能の指標は、水蒸気透過度(WVTR;Water Vapor Transmission Rate)であり、有機EL素子や太陽電池などの半導体デバイスでは、水蒸気透過度が10
-3
~10
-6
g/m
2
/dayのバリア性能が求められる。
【0003】
原子層堆積法(ALD)や化学気相成長法(CVD)などの真空プロセスで作製した無機バリア膜は、非常に低い水蒸気透過度を達成している。また、前記無機バリア膜の応力を緩和するため、応力緩和層としてポリマーを導入した、無機バリア膜と応力緩和層との無機/有機交互積層構造を有するバリア構造も提案されている。しかしながら、真空プロセスでは材料利用効率が低く、大気圧/真空の気圧差のあるプロセスを繰り返すことによる異物の付着等の問題もある。また、成膜速度も、ウェットプロセスと比べると遅い。交互積層構造においては、ポリマーは一般に塗布により作製されるため、真空プロセスと塗布プロセスとを交互に行わなければならず、製造コストが高くなる。
【0004】
一方、ウェットプロセスで応力緩和層と無機バリア膜とを作製するガスバリア層も報告されている。全溶液プロセスでは、高い資源効率および高い処理量(スループット)を実現でき、かつ、製造コストを低く抑えることができる。しかしながら、一般的なゾルゲル法などによる全溶液プロセスによる膜の水蒸気透過度は3~350g/m
2
/dayであり、その緻密性およびバリア性は真空プロセスに比べて低い。
【0005】
真空プロセスによるバリア膜の成膜では、成膜速度などのスループットが低いことが課題である。そこで、パーヒドロポリシラザン(PHPS)を用いて、真空プロセスとウェットプロセスとを組み合わせた成膜方法が検討されている。
パーヒドロポリシラザン(PHPS)はSi-N結合を主骨格とする反応性高分子であり、塗布などのウェットプロセスでの成膜が可能である。大気中で加熱すると、酸素との酸化反応によりSiO
2
膜に変換されるが、加熱せずに、大気下で真空紫外光(VUV)を照射しても、SiO
2
膜に変換することができる。パーヒドロポリシラザンから得られたSiO
2
膜のバリア性は10
-1
~10
-2
g/m
2
/dayであり、作製条件によっては10
-3
g/m
2
/day程度まで水蒸気透過度を低くすることができる。
【0006】
しかしながら、SiO
2
膜のバリア性は低く、水蒸気に敏感なエレクトロニクスに応用し難い。パーヒドロポリシラザンは窒素雰囲気下で真空紫外光を照射することで、窒化ケイ素(Si
3

4
)系膜への変換が可能である。そこで、本発明者らは、ウェットプロセスでコートしたパーヒドロポリシラザン(PHPS)膜に窒素雰囲気下で真空紫外光(VUV)を照射して硬化させることで、高い水蒸気バリア性を有する窒化ケイ素系膜が得られることを報告した(非特許文献1)。
【0007】
非特許文献1では、応力緩和層にSi-O結合を主骨格とするポリジメチルシロキサン(PDMS)、バリア層にパーヒドロポリシラザン(PHPS)を用いた全溶液プロセスで作製されたガスバリア層が報告されており、水蒸気透過度は10
-3
g/m
2
/dayを達成している。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
ACS Appl. Mater. Interfaces 11 (46), 43425-43432 (2019)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
この低い水蒸気透過度は、真空紫外光(VUV)の照射による緻密化によって実現される。しかしながら、パーヒドロポリシラザン膜に対する真空紫外光の進入長が短いために、真空紫外光処理後のパーヒドロポリシラザン膜の緻密性には分布があり、パーヒドロポリシラザン膜の内部の密度と比べて、基板から約90nmの表面付近は非常に密度が高い。
パーヒドロポリシラザン膜は、真空紫外光の照射を受けると、Si-H結合やN-H結合が切断されるだけでなく、主鎖のSi-N結合が切断-再結合を繰り返すことによる原子再配置によって空隙率が減少し、緻密化が進行する。
【0010】
そこで、本発明は、真空紫外光の波長および照射量を調節することで、膜を均一に緻密化し、かつ、水蒸気透過度が10
-3
g/m
2
/dayを下回るバリア性能を有するバリア層構造の形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
(【0011】以降は省略されています)

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