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公開番号2024035014
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-03-13
出願番号2022205502
出願日2022-12-22
発明の名称2種以上の検査を実施可能な遺伝学的解析方法
出願人株式会社seeDNA
代理人個人,個人
主分類C12Q 1/68 20180101AFI20240306BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約【課題】本発明は親子鑑定、表現型解析及び染色体数異常の診断から選ばれる2以上の検査を実施可能とする新規の技術を提供することを課題とする。
【解決手段】本発明は以下の(i)~(iii)の2以上の条件を満たす解析対象群について解析を行い、表現型解析工程、親子鑑定工程及び染色体数異常評価のための指標算出工程の2種以上を含む遺伝学的解析方法である。
(i)表現型との関連性を有することが既知である一塩基多型座位の数の割合が10%以上
(ii)マイナーアレルの出現頻度が1%~50%であり、かつ、染色体上において20kb以上の距離をもって互いに離れている一塩基多型座位の数の割合が10%以上
(iii)13番染色体、18番染色体、21番染色体、X染色体及びY染色体に存在する一塩基多型座位の数の割合が10%以上
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
複数の一塩基多型座位からなる解析対象群を解析する遺伝学的解析方法であって、
前記解析対象群は、以下の(i)~(iii)から選ばれる2以上の条件を満たし、;
(i)解析対象群に含まれる一塩基多型座位の総数に占める、表現型との関連性を有することが既知である一塩基多型座位の数の割合が10%以上である。
(ii)解析対象群に含まれる一塩基多型座位の総数に占める、マイナーアレルの出現頻度が1%~50%であり、かつ、染色体上において20kb以上の距離をもって互いに離れている一塩基多型座位の数の割合が10%以上である。
(iii)解析対象群に含まれる一塩基多型座位の総数に占める、13番染色体、18番染色体、21番染色体、X染色体及びY染色体に存在する一塩基多型座位の数の割合が10%以上である。;
子の遺伝情報を含む核酸を含有する子核酸サンプルと、
父の遺伝情報を含む核酸を含有する父核酸サンプル及び/又は母の遺伝情報を含む核酸を含有する母核酸サンプルと、
を分析して、
それぞれのサンプルに含まれる核酸における、前記解析対象群に含まれる複数の一塩基多型座位におけるアレルの配列情報と、前記一塩基多型座位を含む領域及び/又は当該アレルの相対的又は絶対的な存在量を反映した数値と、を含むデータを取得し、
前記データに基づき、ジェノタイピングを行うジェノタイピング工程を含み、
さらに、以下の表現型解析工程、親子鑑定工程、及び染色体数異常評価のための指標算出工程から選ばれる2種以上を含み、
前記表現型解析工程を含む場合には、前記解析対象群は前記(i)の条件を満たし、
前記親子鑑定を含む場合には、前記解析対象群は前記(ii)の条件を満たし、
前記染色体数異常評価のための指標算出工程を含む場合には、前記解析対象群は前記(iii)の条件を満たすことを特徴とする、遺伝学的解析方法。
<表現型解析工程>
前記ジェノタイピング工程の結果に基づいて、前記子、前記父及び前記母から選ばれる1人又は2人以上において、前記一塩基多型座位におけるマイナーアレルに関与する前記表現型が発現する可能性を解析する工程。
<親子鑑定工程>
前記ジェノタイピング工程の結果に基づき、前記複数の一塩基多型座位のそれぞれについて父性指数(Paternity Index,PI)を求めて前記父と前記子との親子関係の存否を鑑定するか、あるいは
前記ジェノタイピング工程の結果に基づき、前記複数の一塩基多型座位のそれぞれについて母性指数(Maternity Index,MI)を求めて前記母と前記子との親子関係の存否を鑑定する工程であって、
前記子が出生前の胎児であり父子鑑定を行うケースと、前記子が出生後であり父子鑑定を行うケースと、前記子が出生後であり母子鑑定を行うケースのそれぞれについて、以下の通りPI又はMIを算出する工程。
子が出生前の胎児であり父子鑑定を行うケース:
前記子核酸サンプルが、前記子を妊娠中の母親から採取された循環無細胞核酸サンプルであり、
前記循環無細胞核酸サンプルと前記父核酸サンプルの2種のサンプルの分析により、前記父と前記胎児のジェノタイピングを行う場合には、表1又は表2に従ってPIを算出し、
前記循環無細胞核酸サンプル、前記父核酸サンプル及び前記母核酸サンプルの3種のサンプルの分析により、前記父と前記母と前記胎児のジェノタイピングを行う場合には、表3又は表4に従ってPIを計算する。
子が出生後であり父子鑑定を行うケース:
前記子核酸サンプルと前記父核酸サンプルの2種のサンプルの分析により、前記父と前記子のジェノタイピングを行う場合には、表5に従ってPIを算出し、
前記子核酸サンプル、前記父核酸サンプル及び前記母核酸サンプルの3種のサンプルの分析により、前記父と前記母と前記子のジェノタイピングを行う場合には、表6に従ってPIを算出する。
子が出生後であり母子鑑定を行うケース:
前記子核酸サンプルと前記母核酸サンプルの2種のサンプルの分析により、前記母と前記子のジェノタイピングを行う場合には、表7に従ってMIを算出し、
前記子核酸サンプル、前記父核酸サンプル及び前記母核酸サンプルの3種のサンプルの分析により、前記父と前記母と前記子のジェノタイピングを行う場合には、表8に従ってMIを算出する。
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68
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(表1~4においては、循環無細胞核酸サンプルの分析において相対的に信号強度が大きいアレルをA、相対的に信号強度が小さいアレルをBと表記している。
表1及び表2中のk

は偽陰性率(false negative rate)であり、kbは擬陽性率(False positive rate)であり、aはAの出現頻度であり、bはBの出現頻度である。
表5~8中、μは突然変異率であり、a及びbはそれぞれアレルAとアレルBの出願頻度であり、αはアレルAの平均除外力であり、βはアレルBの平均除外力である。)
<染色体数異常評価のための指標算出工程>
前記データに含まれる前記数値に基づき、前記子、前記父及び前記母から選ばれる1人又は2人以上における、13番染色体、18番染色体、21番染色体、X染色体及びY染色体の数的変異の有無を評価するための指標として、Zスコア又はNCV(Normalized Chromosome Value)を算出する工程であって、
N番染色体についてのZスコア(Z
chrN
)は以下の式(1)に基づいて求め、参照とするM番染色体に対するN番染色体に関するNCV(NCV
chrN by chrM
)は以下の式(2)で求める工程。
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18
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・・・式(1)
続きを表示(約 990 文字)【請求項2】
前記親子鑑定工程、前記染色体数異常評価のための指標算出工程、及び前記表現型解析工程を全て含む、請求項1に記載の遺伝学的解析方法。
【請求項3】
前記解析対象群が(i)~(iii)の全ての条件を満たし、
表現型との関連性を有することが既知であり、マイナーアレルの出現頻度が1%~50%であり、染色体上において20kb以上の距離をもって互いに離れており、かつ、13番染色体、18番染色体、21番染色体、X染色体及びY染色体に存在する一塩基多型座位の、解析対象群を構成する一塩基多型座位の総数に対して占める割合が10%以上である、請求項1に記載の遺伝学的解析方法。
【請求項4】
前記子が母の胎内にいる胎児であり、前記子核酸サンプルが前記母より採取した循環無細胞核酸サンプルである、請求項1に記載の遺伝学的解析方法。
【請求項5】
前記親子鑑定工程と前記表現型解析工程を備え、
前記親子鑑定工程の結果、前記子と前記父との生物学的親子関係が確定された場合に、
前記表現型解析工程において、以下の基準にしたがって、胎児がリスクアレルを保有している確率をP

であると評価する、請求項4に記載の遺伝学的解析方法。
(基準)
1)片側の親がリスクアレルをホモ接合として保有している場合:


=100%
2)片側の親がリスクアレルをヘテロ接合として保有している場合:


=P

+(P

×0.5)
3)両親がそれぞれリスクアレルをヘテロ接合として保有している場合:


=P

+(P

×0.75)
(P

は、循環無細胞核酸サンプルの分析によって胎児由来のリスクアレルの存在を示唆する信号が得られた場合に推測できる、胎児がリスクアレルを保有している確率である。
また、2)及び3)の式の右辺が100%を超える場合、P

は100%であるとみなす。)
【請求項6】
前記子が出生後の子である、請求項1に記載の遺伝学的解析方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は次世代シーケンサー等を用いた核酸解析方法の技術分野に属する。
続きを表示(約 2,600 文字)【背景技術】
【0002】
ヒトゲノム・遺伝子解析研究の進展により、多くの単一遺伝子疾患の責任遺伝子の同定がなされるだけではなく、多因子疾患の遺伝要因の解明も急速に進められている。ゲノムワイド関連解析(GWAS)は遺伝的変異を特定するための有効な方法である。これにより、疾患リスクおよびヒトの量的形質(肥満度指数や代謝物の血中濃度など)に関連する遺伝子を特定することができる。GWASによって特定された変異と表現型との関連性はP値によって表現される。
【0003】
このような技術の発展に伴い、個々人の遺伝的背景に基づいて最適な医療を提供する個別化医療の実施も現実のものとなろうとしている。このような技術革新に伴い、遺伝子解析が消費者に非常に身近になってきている。直接消費者に提供される遺伝学的検査は、消費者直結型遺伝学的検査(Direct-to-Consumer Genetic Testing,DTC遺伝学的検査)と呼ばれ、消費者に対して行動の改善を促すような疾病罹患リスクや体質、はたまた性格に関する情報を提供し、その外延として、ダイエットプログラムの提供や化粧品・サプリメント等の販売といった2次的サービスと組み合わせて行われることもある(例えば非特許文献1などを参照)。
【0004】
また、親子関係の存在・不存在が不明瞭であることは法律的、家族関係などに大きな影響を及ぼす。妊娠している女性の胎内にいる胎児の生物学的父が誰であるのか確信が持てない場合、正しい生物学的父を決定するいくつかの方法がある。
1つの方法としては、出産まで待ち、子と擬父のゲノムDNAを解析し既存の親子鑑定で用いられるFragment analysisによるSTR解析ができる。
しかし、子の出生前にその生物学的父を知りたいというニーズは多い。出生前に親子関係を鑑別する方法としては、絨毛診断や羊水穿刺によって回収した遺伝物質を解析する方法が挙げられるが、これらは侵襲性であり、流産リスクがあるという問題がある。
【0005】
上述した侵襲性の診断方法の問題に鑑み、血液に混入した循環無細胞DNA(cell-free DNA,cfDNA)を解析する方法を親子鑑定に応用することが行われている。母親の血液循環に混入した胎児由来の遺伝物質である胎児循環無細胞DNA(Cell-free fetal DNA,cffDNA)の分析を行うことにより、非侵襲的出生前親子鑑定(Non-Invasive Prenatal Paternity Test,NIPPT)を実施することが可能となる。
この場合、既存のSTR解析では断片化されたcffDNAの解析が難しいため、複数のSNV GenotypingによるMPS(massive parallelsequencing)方法が用いられる。
【0006】
例えば特許文献1には、最尤推定値又は最大事後確率法を使用して、擬父が胎児の生物学的父である確率をコンピュータにて決定し、決定された確率に基づき、単一仮説棄却検定、最尤推定、又は最大事後確率法を使用して、擬父が胎児の生物学的父であるか否かを確証するNIPPTの方法が開示されている。
非特許文献2には、母体-胎児の遺伝子型予測におけるベイズベースのアルゴリズムを利用する方法が開示されている。
非特許文献3には、有効なSNVの数がマイナーアレル頻度(MAF)および総SNVの数と有意な関係があること、並びに、シーケンス深度がNIPPTの精度に影響を与えることが記載されている。
【0007】
胎児循環無細胞DNAの解析技術の応用分野として非侵襲的出生前遺伝学的検査(Non-Invasive Prenatal Genetic Testing,NIPT)による胎児の染色体数異常(Chromosome Copy Number Variants)の検出も挙げられる。染色体数異常は染色体の数的異常であり、21トリソミー(ダウン症候群)、18トリソミー(エドワード症候群)、13トリソミー(パトウ症候群)、Xモノソミー(ターナー症候群)などが知られている。染色体数異常の主なスクリーニング法として、妊娠第1期に行われる項部浮腫(NT)を測定するための超音波検査に加え、第1期と第2期に一連の母体血清マーカーテストが行われてきた。しかし、近年、胎児循環無細胞DNAに基づくNIPTが可能となっている。
【0008】
胎児循環無細胞DNAに基づくNIPTとしてはDNA量比較法またはカウント法(Massively-Parallel Sequencing法,MPS法)と呼ばれる方法が知られている。MPS法においては,母体由来と胎児由来を区別せずに染色体ごとのDNA断片の数をカウントする。仮に胎児が21トリソミー(ダウン症候群)であれば、21番染色体由来のDNA断片が正常群とくらべてわずかに多くなることになる。MPS法は、そのDNA断片数の差を解析し,胎児の染色体の数の異常を統計学的に予測する方法である。
MPS法の他、一塩基多型(SNV)を特定的に増幅してそのパターンを解析する方法や(例えば特許文献2)、マイクロアレイを用いる方法などが知られている。
【0009】
NIPTにおいてはカウントないしシグナル強度を分析し、正常群(中央値)からの逸脱を数値化して評価する方法がとられる。数値化の方法としては、同じMPS法でも染色体全体を参照染色体としたZスコアを用いる方法や、21番、18番、13番染色体など染色体ごとの参照染色体に対するnormalized chromosome value(NCV)を用いる方法などが知られている(例えば特許文献3などを参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
特表2014-502845号公報
特表2022-519159号公報
特開2019-153332号公報
【非特許文献】
(【0011】以降は省略されています)

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