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公開番号2024030410
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-03-07
出願番号2022133288
出願日2022-08-24
発明の名称細胞培養システム、及び細胞培養方法
出願人横河電機株式会社
代理人弁理士法人平木国際特許事務所
主分類C12M 3/02 20060101AFI20240229BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約【課題】灌流培養においてバッチ間にバラつきが生じた場合でも、安定した運転を実行することを可能にする。
【解決手段】この細胞培養システムは、細胞を培養するための培養槽と、前記培養槽における細胞の培養に関する各種情報を処理する情報処理システムと、前記培養槽による培養工程を制御するコントローラとを備える。前記情報処理システムは、細胞の培養工程を構成する複数のステップの各々について、そのステップにおける運転条件を記憶すると共に、次のステップへ移行するためのステップ移行条件を記憶し、一のステップの実行時において前記ステップ移行条件が満たされた場合に、次のステップの運転条件を設定する。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
細胞を培養するための培養槽と、
前記培養槽における細胞の培養に関する各種情報を処理する情報処理システムと、
前記培養槽による培養工程を制御するコントローラと
を備え、
前記情報処理システムは、
細胞の培養工程を構成する複数のステップの各々について、そのステップにおける運転条件を記憶すると共に、次のステップへ移行するためのステップ移行条件を記憶し、
一のステップの実行時において前記ステップ移行条件が満たされた場合に、次のステップの運転条件を設定する
ことを特徴とする細胞培養システム。
続きを表示(約 1,100 文字)【請求項2】
前記培養槽に設置されて前記培養槽の中の培養液の状態を計測するインラインセンサを更に備える、請求項1に記載の細胞培養システム。
【請求項3】
前記培養槽からサンプリングされた前記培養液をオフラインで計測する分析装置を更に備え、
前記情報処理システムは、前記インラインセンサの測定値と、前記分析装置のオフライン分析値とを比較して、その結果に従って前記インラインセンサを校正する
ことを特徴とする、請求項2に記載の細胞培養システム。
【請求項4】
前記ステップ移行条件は、前記インラインセンサの測定値又は出力値と設定値との関係に係る条件である、請求項2又は3に記載の細胞培養システム。
【請求項5】
前記コントローラは、
前記ステップ移行条件を満たすための待ち時間が経過した場合において、前記ステップ移行条件に係るステップを中断するよう制御を実行する、請求項1に記載の細胞培養システム。
【請求項6】
前記コントローラは、前記ステップを中断する制御が実行された後、オペレータによる手動操作に従い、前記ステップの中止または復帰を選択する、請求項5に記載の細胞培養システム。
【請求項7】
細胞を培養するための培養槽を備える細胞培養システムにおける細胞培養方法において、
細胞の培養工程を構成する複数のステップの各々について、そのステップにおける運転条件を記憶すると共に、次のステップへ移行するためのステップ移行条件を記憶する工程と、
一のステップの実行時において前記ステップ移行条件が満たされた場合に、次のステップの運転条件を設定する工程と
を備える、細胞培養方法。
【請求項8】
前記培養槽に設置されて前記培養槽の中の培養液の状態を計測するインラインセンサの測定値と、前記培養槽からサンプリングされた前記培養液をオフラインで計測する分析装置の分析値とを比較して、その結果に従って前記インラインセンサを校正する工程を更に備える、請求項7に記載の細胞培養方法。
【請求項9】
前記ステップ移行条件は、前記インラインセンサの測定値又は出力値と設定値との関係に係る条件である、請求項8に記載の細胞培養方法。
【請求項10】
前記ステップ移行条件を満たすための待ち時間が経過した場合において、前記ステップ移行条件に係るステップを中断するよう制御を実行する、請求項7に記載の細胞培養方法。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、細胞培養システム、及び細胞培養方法に関する。
続きを表示(約 1,900 文字)【背景技術】
【0002】
バイオ医薬品の生産は、生物反応により目的物質を生産する培養工程と、そこで発生した夾雑物を取り除き、目的物質の純度を上げる精製工程から構成される。バイオ医薬品を代表する抗体医薬品の培養工程では、主にCHO細胞などの動物細胞が多く用いられる。しかし、動物細胞は培養環境の影響を受けやすく、環境が適切に維持されないと目的生産物の収量及び品質に影響を及ぼす。
【0003】
培養環境の悪化の要因としては、攪拌・ガス通気による力学的応力、栄養素や酸素の枯渇、細胞により産生される乳酸やアンモニアといった老廃物の蓄積などが挙げられる。従って、培養液中の溶存酸素濃度、pH、温度、攪拌速度などの基本的な環境因子の制御を行いつつ、培養中に細胞が要求する物質を補填する製造方法が用いられている。培養中の補填物質は、培地中に含まれる栄養成分の他、増強剤と呼ばれる細胞の増殖速度または生産速度を向上させる物質を含む。
【0004】
培養中に物質を補填する培養方法には、連続培養(Continuous Culture)、灌流培養(Perfusion Culture)、流加培養(Fed-Bach Culture)がある。連続培養は、培養中に細胞を含む培養液の一部を抜き取り、抜き取った量に相当する培養液を新たに投入しながら培養する方法である。
【0005】
灌流培養は、培養中に細胞を分離した液体成分のみを一部抜き取り、抜き取った量に相当する培養液を新たに投入しながら培養する方法である。特に抗体医薬品の生産においては、灌流培養は細胞を高密度に維持し易いため、時間当たりの生産速度を高く保つ事ができ、多くの研究報告がなされている。
【0006】
灌流培養による培養開始時には、培養槽に培地と細胞が入れられ、培養槽の温度、pH、溶存酸素量(DO)が適切に管理されることで細胞増殖が進行する。細胞がある程度増殖した段階(2日目~3日目)で培地が培養槽に連続的に供給され、供給量と同量の除細胞液(ハーベスト液)が回収される。供給量と回収量が同量のため、培養槽内の培養液体積は一定に保たれる。また、細胞はTFF(tangential flow filtration)やATF(alternating tangential flow filtration)と呼ばれる除細胞装置のフィルタ作用により培養槽内に留まるため、灌流が開始された後も培養槽内で増殖を続ける。
【0007】
培養槽中の細胞の数が一定の密度以上に増殖すると、先に述べた溶存酸素量(DO)の制御や栄養成分の調整が難しくなり、培養環境を悪化させる事に繋がる。そのため、一般的には細胞密度を適切な範囲に抑えるために、目標値以上に増殖した時点から、培養液を抜き取ることで増え過ぎた分の細胞を培養槽の外に排出する手段(ブリード)を講じられる。
【0008】
通常、灌流率(1日当たりに培養液体積に対する培地投入量の割合)は1~3VVD程度、排出されるブリード液量は0.2~0.5VVD程度であり、4週間~12週間程度運転される。また、主要な栄養素であるグルコースは、不足分を別途流加する事により適切な濃度に保たれる。
【0009】
このように、灌流培養においては、温度、pH、溶存酸素量(DO)などに加え、
(i)培地の供給量
(ii)培養液量
(iii)細胞密度
(iv)グルコース濃度
等も制御する必要がある。それぞれには細胞種によって適切な管理幅があるため、その制御は容易ではない。制御が適切に実行されない場合、細胞活性の低下による収率の減少やリカバリーのための追加の操作などが必要となり、最悪の場合はバッチロスとなり、培養した細胞を廃棄する必要が生じることもあり得る。
【0010】
細胞培養を利用した物質生産では、生産量確保を目的に最終的に培養が実施される容量までスケールアップが行われる。灌流培養は細胞の高密度化が可能なため、小容量での生産が可能ではあるが、細胞融解時点(数十mL)から条件検討スケール(~数L)、生産スケール(~数百L)まで数段階のスケールアップが必要になる。つまり、所望のスケールでの培養が開始される時点において、既にその前段階にいくつかのマニュアルでの培養操作(凍結、融解、フラスコ培養など)が行われており、それらの影響を受けた状態の細胞がスケールアップに使用される。
(【0011】以降は省略されています)

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