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公開番号2024029683
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-03-06
出願番号2022132071
出願日2022-08-22
発明の名称積層硬質炭素膜及びその製造方法
出願人株式会社野村鍍金
代理人個人
主分類C23C 14/06 20060101AFI20240228BHJP(金属質材料への被覆;金属質材料による材料への被覆;化学的表面処理;金属質材料の拡散処理;真空蒸着,スパッタリング,イオン注入法,または化学蒸着による被覆一般;金属質材料の防食または鉱皮の抑制一般)
要約【課題】硬質炭素膜の厚膜化による高強度化と剥離防止という2つの課題を両立させ、高荷重・高速で使用される高負荷条件であっても膜の異常摩耗を防止し、摺動部材の寿命延長を可能とする。
【解決手段】実質的に水素を含まず、膜厚100~2000nmの均質で緻密な硬質炭素膜と、前記硬質炭素膜の中間層として実質的に水素を含まず、膜厚5~20nmで、0.5~2at%の酸素、窒素の1種以上を含有する炭素膜からなる3層積層構造を有する積層硬質炭素膜とする。硬質炭素膜と中間層の積層構造を多数化することによる交互積層構造を持たせる。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
実質的に水素を含まず、膜厚100~2000nmの均質で緻密な硬質炭素膜と、前記硬質炭素膜の中間層として実質的に水素を含まず、膜厚5~20nmで、0.5~2at%の酸素、窒素の1種以上を含有する炭素膜からなる3層積層構造を有する積層硬質炭素膜。
続きを表示(約 330 文字)【請求項2】
硬質炭素膜と中間層の積層構造を多数化することによる交互積層構造を持つ請求項1の積層硬質炭素膜。
【請求項3】
膜密度が2.8g/cm
3
以上である請求項1または2の積層硬質炭素膜。
【請求項4】
表面にケイ素、クロム、タングステン、チタン及びおよびその炭化物のうち1種類または2種類以上からなる膜を形成した基材上に、前記積層硬質炭素膜を形成した請求項1または2の積層硬質炭素膜。
【請求項5】
請求項1または2の積層硬質炭素膜をガスクラスターイオンビーム援用照射下で形成し、表面粗度がRa 1nm以下の平坦な硬質炭素膜を形成することを特徴とする積層硬質炭素膜の製造方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、機械部品などの摺動部材や耐摩耗部材の摺動部に使用され、潤滑性、耐摩耗性および耐剥離性にも優れる硬質炭素膜材料に関するものである。
続きを表示(約 2,200 文字)【背景技術】
【0002】
摺動部材や耐摩耗部材の摺動部にDLC(Diamond-like-carbon)と総称される炭素系薄膜材料が使用されている。炭素から成るDLCのC-C結合は、主にダイヤモンドのSP
3
混成軌道結合とグラファイトのSP
2
混成軌道結合から構成され、SP
3
結合が多いと高硬度を示し、SP
2
結合が多いと硬度が低くなる。通常、高硬度DLCは、強い内部圧縮応力と相関を持っており、摺動による強い摩擦で、膜破壊や膜剥離し易い傾向にある。
【0003】
DLCはISO20523により、ta-C、a-C、ta-C:H、a-C:Hの4種類に分類されている。ta-C:H、a-C:Hは、炭素と水素を構成元素とする原料ガスをプラズマ化して製膜することから、組成中に水素を多量(10~40%)に含有する炭素材料であり、硬度も30GPa以下と低い。また、ta-C、a-Cは基本的には水素を含有しない炭素材料であり、そのC-C結合はダイヤモンドのSP
3
混成軌道結合とグラファイトのSP
2
混成軌道結合の比率により分類され、ta-Cではダイヤモンド結合が優勢で高硬度かつ高密度の炭素材料である。しかし、ta-Cの作製法では、炭素イオンを高エネルギーで基板に衝突させることから高硬度の炭素膜が得られるが、膜中の残留応力が大きい。このため、付着強度が低く、また、脆いことから短寿命に至る課題があった。
【0004】
特許文献1では、原料ガスとしてメタン(CH
4
)、トルエン(C
6

5
CH
3
)、アセチレン(C
2

2
)などの炭化水素系のガスをプラズマ化して製膜し、水素を含有する第1のDLC膜と、それより水素含有量を多くした第2のDLC膜を積層および交互積層することで、可撓性に優れ、大きなクラックが生じにくい積層DLC膜を示している。
【0005】
特許文献2では、表面から一部が突出している複数の隆起状形態部を有している硬質炭素膜であり、隆起状突起物が容易に硬質炭素膜から除去可能なように、突起物表面を水素で終端することで、表面を安定化し、硬質炭素膜に対して不活性化することを特徴としている。突起物の除去が容易な表面不活性の為に、水素の含有量は5~15at%としている。
【0006】
特許文献3では、炭素膜の成膜時に、希ガスなどのガスクラスターイオンビームを援用照射することで、表面平坦性に優れ、高硬度の炭素膜を形成する製造方法を示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
特開2016-69688号公報
特許第6413060号公報
特開2005-169816号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、機械部品などの摺動部材や耐摩耗部材の摺動部に使用される薄膜炭素材料に関するもので、摺動特性や耐摩耗性に優れ、かつ膜破壊や膜剥離が生じにくい長寿命DLC(Diamond-like-carbon)薄膜材料を実現することを課題としている。摺動部材の長寿命は、低摩擦・低摩耗という特性だけではなく、微小な欠落や剥離などの大きな破壊が生じにくく、安定した低摩擦状態の継続などが総合して達成できるものである。
【0009】
高耐摩耗性薄膜炭素材料として、ダイヤモンドにできるだけ近いSP
3
混成軌道結合の多いDLC膜を得る手法として、水素を含有しないアークイオンプレーティング法が一般的に使用される。この手法では、カーボンターゲット表面でアーク放電を起こし、スパッタされて発生する炭素原子をプラズマ化し、これをバイアスにより加速し基板表面へイオン衝撃することで、ダイヤモンド化率を上げようとする。この手法では、強いイオン衝撃で、膜の高硬度化を達成できるが強い圧縮残留応力が残り、膜剥離や膜破壊が生じやすい課題がある。また、アーク放電スパッタにより、炭素ターゲットから粒子状の炭素が発生し、DLC膜中や膜表面に突起物として残留し易く、「均質で緻密な硬質炭素膜」の形成は難しい。DLC膜中や膜表面に残留した突起物は、クラックや膜破壊の起点になりやすい課題があった。
【0010】
一方、原料ガスとしてメタン(CH
4
)、トルエン(C
6

5
CH
3
)、アセチレン(C
2

2
)などの炭化水素系のガスをプラズマ化して製膜する手法では、水素を(5~40at%)含有するDLC膜を得ることができる。水素を多量に含有するDLC膜は、硬度が低いが膜の残留応力も低くできる。しかし、DLCの炭素は、多量の水素を含有することで、水素で終端している。摺動部材の使用環境に酸素が存在すると容易に-OH結合を生じ、炭素も酸素と反応し消耗し易いことおよび低硬度の為、耐摩耗性の低さが課題である。
(【0011】以降は省略されています)

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