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公開番号2024019535
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-02-09
出願番号2023210139
出願日2023-12-13
発明の名称熱フィラメントCVD装置
出願人個人
代理人
主分類C23C 16/44 20060101AFI20240201BHJP(金属質材料への被覆;金属質材料による材料への被覆;化学的表面処理;金属質材料の拡散処理;真空蒸着,スパッタリング,イオン注入法,または化学蒸着による被覆一般;金属質材料の防食または鉱皮の抑制一般)
要約【課題】
ダイヤモンド合成に用いられる従来の熱フィラメントCVD装置は、熱電子発生源である熱フィラメントの表面積を広くとることが困難であり、該熱フィラメントの表面に原料ガスを効果的に接触させることが困難である。その結果、CH3ラジカル及び原子状水素Hを効果的に大量に発生させることが困難であり、成膜速度の向上が困難という問題がある。この問題を解決可能な熱フィラメントCVD装置を提供すること。
【解決手段】
熱フィラメントは、タンタル又はタンタルを含む合金で製作された断面形状が略長方形の複数の長尺薄板で形成され、前記複数の長尺薄板は、前記複数の長尺薄板の長手方向の辺が基板保持台の面に平行になるように配置され、原料ガスの供給手段は前記原料ガスを前記複数の長尺薄板の主面に傾斜する方向に噴出する原料ガス噴出孔を備えることを特徴とする熱フィラメントCVD装置。
【選択図】図4
特許請求の範囲【請求項1】
少なくとも炭素含有ガスと水素を含む原料ガスを導入する原料ガスの導入手段と排気手段を備えた反応容器と、前記反応容器の内部に配置されて基板を保持する主面を有する基板保持台と、複数の熱フィラメントと前記複数の熱フィラメントのそれぞれの一方の端部を固定する第1の金属棒と前記複数の熱フィラメントのそれぞれの他方の端部を固定する第2の金属棒から成る熱フィラメント電極と、前記第1の金属棒及び前記第2の金属棒を介して前記複数の熱フィラメントに電力を供給する電源と、を具備し、前記原料ガスの導入手段から導入された前記原料ガスを前記複数の熱フィラメントにより分解して前記基板の表面にダイヤモンドを合成する熱フィラメントCVD装置において、
前記基板保持台と前記熱フィラメント電極と前記原料ガスの導入手段は、この順に配置され、
前記複数の熱フィラメントは、高融点金属又はその合金で製作された断面形状が略長方形の長尺薄板で形成され、各前記長尺薄板は、並行して並べられ、且つ前記長尺薄板の長手方向の辺が前記基板保持台の前記主面に平行になるように配置され、
前記原料ガスの導入手段は、多数の原料ガス噴出孔を備え、前記原料ガス噴出孔の略半数部分は前記複数の長尺薄板の一方の主面に対して傾斜する方向に噴出し、前記原料ガス噴出孔の他の略半数部分は前記複数の長尺薄板の他方の主面に対して傾斜する方向に噴出することを特徴とする熱フィラメントCVD装置。
続きを表示(約 700 文字)【請求項2】
前記複数の長尺薄板の各々は、前記長尺薄板の幅方向が前記基板保持台の前記主面に対して垂直に配置されることを特徴とする請求項1に記載の熱フィラメントCVD装置。
【請求項3】
前記複数の長尺薄板の各々は、隣り合う前記長尺薄板同士で前記長尺薄板の幅方向が前記基板保持台の前記主面に対し互いに反対方向に傾斜して配置されることを特徴とする請求項1に記載熱フィラメントCVD装置
【請求項4】
前記複数の熱フィラメントの材質はタンタル(Ta)であり、前記熱フィラメントの表面は熱フィラメントCVDにより成膜される炭化タンタル薄膜で被覆されることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一つに記載の熱フィラメントCVD装置。
【請求項5】
前記炭素含有ガスは、メタン(CH

)、エタン(C



)、プロパン(C



)から選ばれる少なくとも1種を含むガスであることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一つに記載の熱フィラメントCVD装置。
【請求項6】
前記原料ガスの導入手段は、直径が略0.1mm~1mmの複数のガス噴出孔を備えた箱型容器で形成されることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一つに記載の熱フィラメントCVD装置。
【請求項7】
前記電源は、交流電力又は直流電力を所要の一定電力に制御して供給することを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一つに記載の熱フィラメントCVD装置。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、熱フィラメントCVD装置に関する。特に、大面積のダイヤモンド合成に用いられる熱フィラメントCVD装置に関する。
続きを表示(約 8,400 文字)【背景技術】
【0002】
ダイヤモンドは、例えば、非特許文献1及び非特許文献2に記載されているように、宝飾品や機械加工材料のみならず、ワイドギャップ半導体として知られ、SiやSiC等の半導体より遙かに優れた特性を有することから、究極のパワー半導体材料として注目されている。パワー半導体材料への応用を図るには、サイズ4~5インチ級の基板でのダイヤモンド合成が必要であり、ダイヤモンドの大面積合成装置に関する研究が進められている。
パワー半導体材料としてのダイヤモンドを形成する方法には、主として、マイクロ波プラズマCVD法と熱フィラメントCVD法があることが知られている。また、一般に次のことが知られている。即ち、上記CVD法において、基板にダイヤモンドを用いる場合には、ホモエピタキシャル成長によりダイヤモンドが形成され、不純物を容易に制御可能で、かつ歪みのない結晶を形成することができる。また、基板がダイヤモンド以外の場合、ヘテロエピタキシャル成長によりダイヤモンドが形成されるので、歪みの発生を伴い、結晶性が低下することがある。
【0003】
マイクロ波プラズマCVD法は、基板の加熱と原料ガスの分解にマイクロ波を用いることを特徴とする。即ち、マイクロ波を用いて原料ガスであるメタン(CH

)と水素(H

)の混合ガスをプラズマ化することにより、該プラズマ中に生成される電子及びイオン等によってダイヤモンド膜の形成に不可欠の主要ラジカルであるCH

ラジカルと原子状水素H等を発生させるとともに、前記マイクロ波を用いて基板上でのプラズマ化学反応促進に必要な基板温度を、約700℃~約1,00℃に加熱する。そうすると、基板上にダイヤモンドが合成される。
しかしながら、上記究極のパワー半導体材料の形成への応用の観点で見ると、マイクロ波プラズマCVD法は、例えば、非特許文献1、非特許文献2及び特許文献4に記載されているように、一般にダイヤモンド成長速度は1~10μm/hと比較的高いが、マイクロ波の波長が短いことに起因する均一プラズマ生成領域の広さに制限があり、成膜可能な面積がλ/8~λ/10程度(λ:波長)と小さく、サイズ4~5インチ級の基板への対応の必須条件である大面積化が困難である、という課題がある。
熱フィラメントCVD法は、基板の加熱に輻射熱を用い、原料ガスの分解に熱フィラメントから放出される熱電子を用いることを特徴とする。即ち、基板の直上数mm~10mm程度の位置に、高温のフィラメント(約1,000℃~2,400℃)を設置し、高温度のフィラメントから放出される熱電子によって原料ガスである水素(H

)とメタン(CH

)の混合ガスを分解し、ダイヤモンド膜の形成に不可欠の主要ラジカルであるCH

ラジカルと原子状水素H等を発生させる。ダイヤモンドは、例えば、非特許文献3ないし非特許文献5に記載されているように、CH

ラジカルを主たる前駆体とし、基板表面及び膜中に形成されたsp3混成軌道を有する炭素結合体(ダイヤモンド)とsp2混成軌道を有する炭素結合体(グラファイト)が混在した結晶体から、原子状水素Hのsp3とsp2へのエッチング効果の違いによりグラファイト成分を優先的に排除することにより、ダイヤモンド結晶が形成される。基板の温度は、一般に、約700~約1,000℃に設定される。
しかしながら、上記究極のパワー半導体材料の形成への応用の観点で見ると、熱フィラメントCVD法は、例えば、非特許文献1及び特許文献4に記載されているように、製膜速度が、一般に1.5~2.0μm/hと低速であることから、マイクロ波プラズマCVD法と同じレベルの高速製膜の実現が課題である。また、パワー半導体材料への応用を図るには、サイズ4~5インチ級の基板への対応が可能な大面積化が課題である。
【0004】
熱フィラメントCVDによるダイヤモンド形成装置に関する代表的特許技術として、例えば、特許文献1ないし特許文献4が挙げられる。
特許文献1には、熱フィラメントを励起手段として用いる気相法ダイヤモンドの合成法において、フィラメントとしてその一部又は全てを炭化したタンタルフィラメントを励起源とし、ダイヤモンド合成用、原料気体を流速1m/sec以上で接触させる事を特徴とする、ということが記載されている。
特許文献2には、 ダイヤモンドの気相合成をおこなう熱フィラメントCVD法において、前処理として、高濃度の炭素源を導入して通電加熱し、タンタルフィラメントの両電極端にグラファイトを主体とするカーボンを鞘状に析出させて被覆形成するための炭化処理を施すようにした熱フィラメントCVD法であって、5体積%以上のメタン濃度を有するメタンと水素との混合ガスを炭素源として導入し、通電加熱によりフィラメント温度を2000℃以上で少なくとも12時間保持することを特徴とする、ということが記載されている。
特許文献3には、基板を処理する反応室と、前記反応室内に反応ガスを供給するガス供給手段と、前記反応室内に供給された反応ガスと接触することにより前記反応ガスを分解する高温発熱体とを備え、前記高温発熱体は、互いに独立にまたは複数個づつ組み合わされて制御されるユニットから構成され、前記ユニットは前記反応室内を適宜分割した複数の領域に配置されていることを特徴とする半導体製造装置、ということが記載されている。
特許文献4には、 成膜室と、前記成膜室内に配置された、基板を載置するための基板ホルダー及び2,500℃以上に加熱されるためのフィラメント層と、前記成膜室内に原料ガス及びキャリアガスを供給するためのガス供給手段と、前記成膜室内からガスを排気するための排気手段とを備え、前記フィラメント層は1~10mmの間隔を隔てて複数段に配置され、前記複数段に配置されたそれぞれのフィラメント層は、線径0.1~1.0mmのタンタル又はその合金からなる線材が3~30mmの間隔で複数本配置されていることを特徴とするダイヤモンドの成膜に用いるための熱フィラメントCVD装置、ということが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特開平07-061896
特許3861178
特開2002-093714
特許7012304
【0006】
有屋田修、ダイヤモンド合成用CVD装置、真空ジャーナル、2023年1月、24-26
山田英明、プラズマ CVD による単結晶ダイヤモンド合成の現状と課題、J. Plasma Fusion Res. Vol.90, No.2 (2014)152‐158
平木昭夫、川原田洋、ダイヤモンド状薄膜、炭素、1987(No.128)、41-49
渡邊厚仁、熱フィラメントCVD法及び電子衝撃CVD法によるダイヤモンド薄膜の作製、表面技術、Vol.42、N0.12(1991)、1185-1188
相澤俊、安藤寿浩、ダイヤモンド表面の水素吸着、日本結晶学会誌38(1996)、160-166
小林利明、SPring8 熱電子銃について 、運転員講習会資料、2003.5.12
ギード(横堀進、久我修、共訳本)、基礎伝熱工学、1960(丸善)、20-222
中西利和、中村保、渡邊陽一郎、半藤勝正、木綿隆弘、ルーバ通過時の空気流れに関する研究、KOMATSU TECHNICAL REPORT、2007 、Vol. 53、 No.160 、16-24
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したように、マイクロ波プラズマCVD法を用いたダイヤモンド形成装置は、使用するマイクロ波の波長が短いことから、生成されるプラズマの生成領域は小さい領域(例えば、約8~10mm)となり、サイズ4~5インチ級の基板への対応が本質的に困難であるという課題がある。
熱フィラメントCVD法を用いたダイヤモンド形成装置は、サイズ4~5インチ級の基板への対応が可能であり、更なる実用化展開が期待されているが、以下に説明するような課題がある。
熱フィラメントCVD法を用いたダイヤモンド形成装置では、熱フィラメントが発生する熱電子によって原料ガス(例えば、CH

とH

の混合ガス)をダイヤモンド合成に不可欠の主要ラジカルであるCH

ラジカルと原子状水素H等に分解し、CH

ラジカルを主たる前駆体としてsp3混成軌道を有する炭素結合体(ダイヤモンド成分)とsp2混成軌道を有する炭素結合体(グラファイト成分)が混在した結晶体を形成するとともに、原子状水素Hの水素引き抜き作用及びエッチング作用等によって、形成された炭素結合体の中の水素成分とグラファイト成分が優先的に排除されることにより、ダイヤモンド結晶が形成される。
このダイヤモンドの形成に際し、高品質で高速成膜化を実現するには、原料ガスから高濃度のCH

ラジカル及び高濃度の原子状水素Hを生成する熱電子の発生個数の増大が必要である。
熱フィラメントが発生する熱電子の発生個数Neは、例えば、非特許文献6に記載のように、リチャードソン・ダッシ ュマンの式に従う。
Ne ∝ T

・S・exp{-φ/kT} (単位:個) ・・・(1)
ただし、Tは熱フィラメントの絶対温度、Sは熱フィラメントの表面積、φは熱フィラメントの仕事関数、kはボルツマン定数である。
したがって、原料ガス(例えば、CH

とH

の混合ガス)の分解に必要な熱電子を多量に発生するには、熱フィラメントを高温化すること(ここで、ダイヤモンド形成条件Aと呼ぶ)と、高温度の熱フィラメントの表面積を増大化すること(ここで、ダイヤモンド形成条件Bと呼ぶ)が必要である。
また、熱フィラメントで発生する熱電子は、該熱フィラメントの表面から放出され、拡散現象により空間的に拡散する。即ち、該該熱フィラメントの表面近傍の熱電子の密度は高く、該熱フィラメントの表面から離れるに従って急激に減少する。該熱フィラメントの表面を起点としてその法線方向での距離をxとすると、距離xにおける熱電子の密度ne(x)は、次式(2)で表されるように、Diracのδ関数型の空間分布に従う、と考えられる。
ne(x) ∝ n

・exp(-x

/4D) (単位:個/cm

) ・・・(2)
ただし、n

は熱フィラメントの表面層の熱電子の密度、Dは熱電子の拡散係数である。
式(2)は、熱フィラメントで発生する熱電子の密度ne(x)は、該熱フィラメントの表面近傍で最も高く、該表面から離れるに従い急激に低くなることを意味している。
即ち、熱フィラメントによる原料ガスの分解作用は、該熱フィラメント表面から放出された熱電子と原料ガスの分子との衝突に基づく現象であることから、該熱フィラメントの表面層領域において最も強く、該表面層領域に流入する原料ガスが多いほど効果的に分解される、ということを意味している。また、原料ガスの流れが乱流状態にあれば、該表面層領域での該原料ガスと熱電子の衝突、接触、混合の度合いが増大することからより一層、効果的に分解されるということを意味している。
従って、式(2)で表される空間密度分布に従う熱電子によって原料ガス(例えば、CH

とH

の混合ガス)からCH

ラジカル及び原子状水素Hを効果的に生成させるには、原料ガスを熱フィラメント表面層近傍に効果的に流入させ、且つ攪拌すること(ここで、ダイヤモンド形成条件Cと呼ぶ)が必要である。
しかるに、従来の熱フィラメントCVD法を用いたダイヤモンド形成装置は、例えば、特許文献1ないし4に記載の熱フィラメントCVD法を用いたダイヤモンド合成装置では、熱フィラメントは、直径0.1mm~1mmの線材で構成されている。また、原料ガス供給手段には、上記ダイヤモンド形成条件B及びCに係わる特段の工夫はなされていない。なお、特許文献3及び4に記載の熱フィラメントCVD法を用いたダイヤモンド形成装置では、線材で形成された熱フィラメント層を複数段に配置する構成を有することから、一段配置の場合に比べ、熱フィラメント表面積は複数倍になるので、ダイヤモンド形成条件Bを満たす意味で優れていると言える。
従って、従来の熱フィラメントCVD法を用いたダイヤモンド合成装置は、上記ダイヤモンド形成条件B及びCを充分に満たしていない、という問題がある。
即ち、従来の熱フィラメントCVD法を用いたダイヤモンド合成装置では、熱電子発生源である熱フィラメントの表面積を広くとることが困難であることに加えて、該熱フィラメントの表面層に原料ガスを効果的に流入させてCH

ラジカル及び原子状水素を効果的に発生させることが困難という問題がある。その結果、ダイヤモンドの合成に必要なCH

ラジカル及び原子状Hを高密度で生成することが困難という課題がある。
上記のような課題を鑑みて、本発明は、上記ダイヤモンド形成条件A、B及びCを満たすことが可能なダイヤモンドの気相合成のための熱フィラメントCVD装置を提供することを目的とする。即ち、サイズ4~5インチ級の大面積基板への対応が可能なダイヤモンドの気相合成のための熱フィラメントCVD装置を提供することを目的とする。A
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するための本発明の第1の発明は、少なくとも炭素含有ガスと水素を含む原料ガスを導入する原料ガスの導入手段と排気手段を備えた反応容器と、前記反応容器の内部に配置されて基板を保持する主面を有する基板保持台と、複数の熱フィラメントと前記複数の熱フィラメントのそれぞれの一方の端部を固定する第1の金属棒と前記複数の熱フィラメントのそれぞれの他方の端部を固定する第2の金属棒から成る熱フィラメント電極と、前記第1の金属棒及び前記第2の金属棒を介して前記複数の熱フィラメントに電力を供給する電源と、を具備し、前記原料ガスの導入手段から導入された前記原料ガスを前記複数の熱フィラメントにより分解して前記基板の表面にダイヤモンドを合成する熱フィラメントCVD装置において、
前記基板保持台と前記熱フィラメント電極と前記原料ガスの導入手段は、この順に配置され、
前記複数の熱フィラメントは、高融点金属又はその合金で製作された断面形状が略長方形の長尺薄板で形成され、各前記長尺薄板は、並行して並べられ、且つ前記長尺薄板の長手方向の辺が前記基板保持台の前記主面に平行になるように配置され、
前記原料ガスの導入手段は、多数の原料ガス噴出孔を備え、前記原料ガス噴出孔の略半数部分は前記複数の長尺薄板の一方の主面に対して傾斜する方向に噴出し、前記原料ガス噴出孔の他の略半数部分は前記複数の長尺薄板の他方の主面に対して傾斜する方向に噴出することを特徴とする。
第2の発明は、第1の発明において、前記複数の長尺薄板の各々は、前記長尺薄板の幅方向が前記基板保持台の前記主面に対して垂直に配置されることを特徴とする。
第3の発明は、第1の発明において、前記複数の長尺薄板の各々は、隣り合う前記長尺薄板同士で前記長尺薄板の幅方向が前記基板保持台の前記主面に対し互いに反対方向に傾斜して配置されることを特徴とする。
第4の発明は、第1の発明から第3のいずれか一つの発明において、前記複数の熱フィラメントの材質はタンタル(Ta)であり、前記熱フィラメントの表面は熱フィラメントCVDにより成膜される炭化タンタル薄膜で被覆されることを特徴とする。
第5の発明は、第1の発明から第4の発明のいずれか一つの発明において、前記炭素含有ガスは、メタン(CH

)、エタン(C



)、プロパン(C



)から選ばれる少なくとも1種を含むガスであることを特徴とする。
第6の発明は、第1の発明から第5の発明のいずれか一つの発明において、前記原料ガスの導入手段は、直径が略0.1mm~1mmの複数のガス噴出孔を備えた箱型容器で形成されることを特徴とする。
第7の発明は、第1の発明から第6の発明のいずれか一つの発明において、前記電源は、交流電力又は直流電力を所要の一定電力に制御して供給することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
上記のように構成された本発明の熱フィラメントCVD装置は、熱フィラメントとして高融点金属又はその合金で製作された断面形状が略長方形の長尺薄板が配置されることにより、熱フィラメントの表面積の増大が図ることが可能となり、更に前記長尺薄板の2つの主面に対して傾斜する方向から前記原料ガスを噴出することにより、熱フィラメント表面と原料ガスの効果的な接触が可能となり、熱電子と該原料ガス分子との衝突・接触・混合を効果的に発生できる、という効果を奏する。
即ち、従来の熱フィラメントCVD装置の課題である熱フィラメントを高温化すること(ダイヤモンド形成条件A)、高温度の熱フィラメントの表面積を増大化すること(ダイヤモンド形成条件B)、及び原料ガスを熱フィラメント表面層近傍に効果的に流入させ、且つ攪拌すること(ダイヤモンド形成条件C)という3つの条件を満たすことが可能である。これにより、ダイヤモンドの合成に必要なCH

ラジカル及び原子状Hの高密度生成及び大面積化が可能である、という効果を奏する。その結果、高速で大面積に、且つ高品質のダイヤモンド合成が可能となり、上記課題を解消可能という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1は、本発明の第1の実施形態に係わる熱フィラメントCVD装置の構成を示す模式的断面図である。
図2は、本発明の第1の実施形態に係わる熱フィラメントCVD装置の構成部材である熱フィラメント電極の構成を示す模式的構成図である。
図3は、本発明の第1の実施形態に係わる熱フィラメントCVD装置の構成部材である原料ガス噴射孔と熱フィラメントの模式的断面図である。
図4は、本発明の第1の実施形態に係わる熱フィラメントCVD装置における原料ガスの熱フィラメントの表面層への流入及び乱流の状況を示す模式的説明図である。
図5は、本発明の第1の実施形態に係わる熱フィラメントCVD装置における熱フィラメントによる原料ガスからのCH

ラジカル及び原子状水素Hの生成を示す原理的模式図である。
図6は、本発明の第1の実施形態に係わる熱フィラメントCVD装置を用いて形成されるダイヤモンドの成長過程を示す原理的模式図である。
図7は、本発明の第2の実施形態に係わる熱フィラメントCVD装置の構成部材である原料ガス噴射孔と熱フィラメントの模式的断面図である。
図8は、本発明の第2の実施形態に係わる熱フィラメントCVD装置における原料ガスの熱フィラメントの表面層への流入及び撹乱の状況を示す模式的説明図である。
【発明を実施するための形態】
(【0011】以降は省略されています)

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