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公開番号2024054981
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-04-18
出願番号2022161490
出願日2022-10-06
発明の名称防錆フィルム
出願人株式会社アイセロ
代理人個人,個人
主分類C23F 11/00 20060101AFI20240411BHJP(金属質材料への被覆;金属質材料による材料への被覆;化学的表面処理;金属質材料の拡散処理;真空蒸着,スパッタリング,イオン注入法,または化学蒸着による被覆一般;金属質材料の防食または鉱皮の抑制一般)
要約【課題】回収後の防錆フィルムを有効に活用して、より穏やかな条件下での処理により再生樹脂である防錆フィルム用の再生樹脂組成物を得る。その防錆フィルム用の再生樹脂組成物を使用して新たな防錆フィルムを発泡させることなく製造でき、本来1つの層に含有させることができない防錆剤の組み合わせを1つの層に含有させることができる。そして、より十分な防錆性能を有し、かつ防錆フィルム用の再生樹脂組成物を使用した防錆フィルムを得ること、これらにより使用済等の防錆フィルムの再利用を促進すること。
【解決手段】ポリオレフィン樹脂、アミン及び/又はアンモニア系気化性防錆剤を0.02~0.20重量%、潮解性防錆剤、及び水を0.30重量%以下含有することを特徴とする防錆フィルム用の再生樹脂組成物。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
ポリオレフィン樹脂、アミン及び/又はアンモニア系気化性防錆剤を0.02~0.20重量%、潮解性防錆剤、及び水を0.30重量%以下含有することを特徴とする防錆フィルム用の再生樹脂組成物。
続きを表示(約 710 文字)【請求項2】
アミン及び/又はアンモニア系気化性防錆剤を含有するポリオレフィン樹脂層と、潮解性防錆剤を含有するポリオレフィン樹脂層を積層してなる防錆フィルムを、溶融、混練、必要に応じて乾燥し、ポリオレフィン樹脂、アミン及び/又はアンモニア系気化性防錆剤を0.02~0.20重量%、潮解性防錆剤、及び水を0.30重量%以下含有することを特徴とする防錆フィルム用の再生樹脂組成物の製造方法。
【請求項3】
アミン及び/又はアンモニア系気化性防錆剤を含有するポリオレフィン樹脂層1と、潮解性防錆剤を含有するポリオレフィン樹脂層2を積層してなる防錆フィルムにおいて、前記ポリオレフィン樹脂層2が、防錆フィルム用の再生樹脂組成物由来の、ポリオレフィン樹脂、アミン及び/又はアンモニア系気化性防錆剤を20~220ppm、及び水を400ppm以下含有することを特徴とする防錆フィルム。
【請求項4】
防錆フィルムを12枚重ねて測定したYI値が35.0以下であることを特徴とする請求項3に記載の防錆フィルム。
【請求項5】
アミン及び/又はアンモニア系気化性防錆剤を含有するポリオレフィン樹脂層1と、
潮解性防錆剤を含有するポリオレフィン樹脂層2を積層してなる防錆フィルムの製造方法において、前記ポリオレフィン樹脂層2を、防錆フィルム用の再生樹脂組成物と、ポリオレフィン樹脂と、潮解性防錆剤とを混合し、該再生樹脂組成物由来の、アミン及び/又はアンモニア系気化性防錆剤を20~220ppm、及び水を400ppm以下であるようにすることを特徴とする防錆フィルムの製造方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は防錆フィルムに関する。
続きを表示(約 4,500 文字)【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載のように、平均粒径が20μm以上であるカルボン酸アンモニウム塩を含有する樹脂層を有する樹脂成形体と、亜硝酸金属塩、カルボン酸、ベンゾトリアゾール系化合物、トリルトリアゾール系化合物、及びカルボン酸金属塩の1種以上を含有する基材層を備えた防錆フィルムが知られている。
【0003】
しかし、このような2種以上の防錆剤を使用した公知の防錆フィルムを使用後等に回収して再利用することは知られていない。そして、このような防錆フィルムを回収して防錆フィルム用樹脂として再利用し、任意の防錆剤を添加して使用するには、2種以上の防錆剤の組み合わせのうち、共存すると反応する組み合わせがあり、防錆剤を完全に除去することが必要であった。但し、それには膨大な手間等がかかる。
つまり、例えば2層以上からなる防錆フィルムにおいて、それぞれの層が含有する防錆剤は異なる防錆剤であることが通常であった。そして、特に混合をすると反応してガスを発生させる組み合わせの防錆剤も知られており、このような組み合わせの場合には、防錆フィルムを特に2層以上とせざるを得なかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
国際公開2018/079458号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、回収後のアミン及び/又はアンモニア系気化性防錆剤含有樹脂層と潮解性防錆剤含有樹脂層の2層からなる防錆フィルムを有効に活用して、より穏やかな条件下での処理により再生樹脂である防錆フィルム用の再生樹脂組成物を得ることができる。その防錆フィルム用の再生樹脂組成物を使用して新たな防錆フィルムを発泡させることなく製造でき、本来1つの層に含有させることができない防錆剤の組み合わせを1つの層に含有させることができる。そして、より十分な防錆性能を有し、かつ防錆フィルム用の再生樹脂組成物を使用した防錆フィルムを得ること、これらにより使用済等の防錆フィルムの再利用を促進することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意検討した結果、以下の手段で解決することができることを見出し、本発明をなすに至った。
1.ポリオレフィン樹脂、アミン及び/又はアンモニア系気化性防錆剤を0.02~0.20重量%、潮解性防錆剤、及び水を0.30重量%以下含有することを特徴とする防錆フィルム用の再生樹脂組成物。
2.アミン及び/又はアンモニア系気化性防錆剤を含有するポリオレフィン樹脂層と、潮解性防錆剤を含有するポリオレフィン樹脂層を積層してなる防錆フィルムを、溶融、混練、必要に応じて乾燥し、ポリオレフィン樹脂、アミン及び/又はアンモニア系気化性防錆剤を0.02~0.20重量%、潮解性防錆剤、及び水を0.30重量%以下含有することを特徴とする防錆フィルム用の再生樹脂組成物の製造方法。
3.アミン及び/又はアンモニア系気化性防錆剤を含有するポリオレフィン樹脂層1と、潮解性防錆剤を含有するポリオレフィン樹脂層2を積層してなる防錆フィルムにおいて、前記ポリオレフィン樹脂層2が、防錆フィルム用の再生樹脂組成物由来の、ポリオレフィン樹脂、アミン及び/又はアンモニア系気化性防錆剤を20~220ppm、及び水を400ppm以下含有することを特徴とする防錆フィルム。
4.防錆フィルムを12枚重ねて測定したYI値が35.0以下であることを特徴とする3.に記載の防錆フィルム。
5.アミン及び/又はアンモニア系気化性防錆剤を含有するポリオレフィン樹脂層1と、
潮解性防錆剤を含有するポリオレフィン樹脂層2を積層してなる防錆フィルムの製造方法において、前記ポリオレフィン樹脂層2を、防錆フィルム用の再生樹脂組成物と、ポリオレフィン樹脂と、潮解性防錆剤とを混合し、該再生樹脂組成物由来の、アミン及び/又はアンモニア系気化性防錆剤を20~220ppm、及び水を400ppm以下であるようにすることを特徴とする防錆フィルムの製造方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、アミン及び/又はアンモニア系気化性防錆剤含有樹脂層と潮解性防錆剤含有樹脂層の2層からなる、使用済みの防錆フィルムや防錆袋等を回収して、この回収物を基にして、再生のための処理を行うことにより、アミン及び/又はアンモニア系気化性防錆剤を一定量含有させた状態で、かつ潮解性防錆剤を含有させた状態で防錆フィルム製造用の再生樹脂組成物として再利用できる。以下単に「防錆フィルム用の再生樹脂組成物」という。
この使用済みの上記防錆フィルムや防錆袋等を再生した後の防錆フィルム用の再生樹脂組成物は、アミン及び/又はアンモニア系気化性防錆剤を完全に除去されておらず0.02~0.20重量%含有し、さらに潮解性防錆剤を含有し、水を0.30重量%以下含有する。
このように防錆フィルム用の再生樹脂組成物は、防錆剤を完全に除去しないので、回収した防錆袋等をより厳しい温度や時間等の条件で処理(防錆剤を完全に除去するための厳しい条件での処理)をしなくてもよく、より穏やかな温度や時間等の条件で再生のための処理を行うことができる。よって、回収物から防錆フィルム用組成物を得るために必要なエネルギー等、及び新たな防錆フィルムを得るために必要なエネルギーの量を削減することができる。回収物を処理して防錆剤を完全に除去して再生樹脂を得るよりも、必要なエネルギーを削減できる点において好ましい。
この防錆フィルム用の再生樹脂組成物を用いて製造した、新たな防錆フィルムやそれにより得られた防錆袋は、樹脂層内に共存する気化性防錆剤の含有量が少量なので、潮解性防錆剤と反応せず、その結果、フィルム製膜中に発泡したり、例えば黄変等の着色をしたりすることがない。フィルム製膜中に発泡すると、製膜性が低下したり、出来上がったフィルムの機械物性が低下する。また黄変等の着色が発生すると視認性が低下する。黄変等の着色が発生する原因は、防錆フィルム用の再生樹脂組成物の製造工程における樹脂や潮解性防錆剤の酸化によるものである。
さらに、上記の防錆フィルム用の再生樹脂組成物を用いて製造した、新たな樹脂層と、アミン及び/又はアンモニア系気化性防錆剤を含有する樹脂層を積層して、十分な防錆性を備えた積層された新たな防錆フィルムにすることができる。
つまり、このようなより穏やかな条件での再生方法によっても、本発明の防錆フィルムは、再利用に由来しない材料を使用した防錆フィルムと同じ防錆性能を備えた防錆フィルムとして利用できる。これらから、再生及び再利用に係るコスト、時間や環境負荷を低減でき、使用済等の防錆フィルムの再利用を促進することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
<防錆フィルム用の再生樹脂組成物>
本発明における防錆フィルム用の再生樹脂組成物は、専ら本発明の防錆フィルムの特に樹脂層2を得るために使用される組成物である。また他の防錆フィルムを得るためにも使用することもできる。
防錆フィルム用の再生樹脂組成物は、一旦製造され、使用された防錆フィルムやそれにより得られた防錆袋、製造された防錆フィルムの端材、余剰等の防錆フィルムや製品等の1種以上を回収して、再生処理して得たものである。
そして、この回収前の防錆フィルムは、アミン及び/又はアンモニア系気化性防錆剤を含有する樹脂層と、潮解性防錆剤を含有する樹脂層を積層してなる防錆フィルムである。
この再生方法を下記に記載する。
この本発明の防錆フィルム用の再生樹脂組成物は、ポリオレフィン樹脂を含有し、アミン及び/又はアンモニア系気化性防錆剤の含有量が少なくとも0.02重量%含有されていて良い。含有量を0.02重量%よりも少量にするには、さらに膨大な処理を要し、場合によっては樹脂自体の物性を低下させる可能性がある。回収後の防錆フィルムから再生して得た組成物中のアミン及び/又はアンモニア系気化性防錆剤の含有量が多いほど、再生にかかる処理を穏やかな条件での処理にできる。しかしながら、より多くの防錆フィルム用の再生樹脂組成物を配合して、新たな防錆フィルムを得ようとしたとき、防錆フィルム用の再生樹脂組成物中のアミン及び/又はアンモニア系気化性防錆剤の含有量が多いほど、新たな防錆フィルムの製造のために防錆フィルム用の再生樹脂組成物を多く使用できない。仮に防錆フィルム用の再生樹脂組成物の使用量が多すぎる場合には、新たな防錆フィルムを製造する工程においてアミン及び/又はアンモニア系気化性防錆剤が亜硝酸塩等の潮解性防錆剤と反応してポリオレフィン樹脂層2が発泡する可能性がある。加えて、得られた防錆フィルムに黄変や着色が認められ、視認性が低下する可能性がある。
そのため、新規に製造する防錆フィルムの原料として使用する防錆フィルム用の再生樹脂組成物は、そのアミン及び/又はアンモニア系気化性防錆剤の含有量が、0.20重量%以下が好ましく、0.15重量%以下がより好ましく、0.10重量%以下がさらに好ましい。
【0009】
再生樹脂組成物中の潮解性防錆剤の含有量としては、特に限定されないが、0.28重量%以下が好ましく、0.25重量%以下がより好ましく、0.22重量%以下がさらに好ましい。また、0.05重量%以上が好ましく、0.07重量%以上がより好ましく、0.10重量%以上がさらに好ましい。潮解性防錆剤の含有量が多すぎると、吸湿により水の含有量が増え、防錆フィルム用の再生樹脂組成物を使用して新たな防錆フィルムを得るときに、水が気化して発泡する懸念が高まる。潮解性防錆剤の含有量を0.05重量%より少量にするには、その分厳しい温度や時間等の条件で処理が必要になる。
【0010】
また、防錆フィルム用の再生樹脂組成物は、水の含有量が低いことが好ましい。水は再生樹脂組成物中に含有する潮解性防錆剤の吸湿に由来する。水の含有量としては、0.30重量%以下が好ましく、0.20重量%以下がより好ましく、0.10重量%以下がさらに好ましく、0.05重量%以下が最も好ましい。水が多すぎると、防錆フィルム用の再生樹脂組成物を使用して新たな防錆フィルムを得るときに、水が気化して発泡したり、新たな防錆フィルムが含有する亜硝酸塩等の潮解性防錆剤を潮解させたり、新たな防錆フィルムを製造するために使用できる防錆フィルム用の再生樹脂組成物の量を少なくせざるを得ないことになる。
(【0011】以降は省略されています)

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