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公開番号2024017361
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-02-08
出願番号2022119942
出願日2022-07-27
発明の名称嗅覚受容体の気相刺激方法
出願人花王株式会社
代理人弁理士法人アルガ特許事務所
主分類C12Q 1/06 20060101AFI20240201BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約【課題】スループット性と感度が改善された、気相刺激による嗅覚受容体応答測定方法を提供する。
【解決手段】 容器内に揮発した揮発性物質に対する嗅覚受容体応答を気相で測定する方法であって、以下のa)、b1)又はb2)、c)及びd):
a)容器底部に嗅覚受容体ポリペプチドを発現する細胞を載置する工程、
b1)容器上部の開口部から支持体を容器内に挿入し、前記細胞に接触しないように保持した後、揮発性物質を含む試料を前記支持体に保持させる工程、
b2)容器上部の開口部から揮発性物質を含む支持体を容器内に挿入し、前記細胞に接触しないように保持する工程、
c)前記支持体から揮発する揮発性物質を、前記細胞に暴露させる工程、
d)前記細胞中の嗅覚受容体応答を測定する工程、
を含む、方法。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
容器内に揮発した揮発性物質に対する嗅覚受容体応答を気相で測定する方法であって、以下のa)、b1)又はb2)、c)及びd):
a)容器底部に嗅覚受容体ポリペプチドを発現する細胞を載置する工程、
b1)容器上部の開口部から支持体を容器内に挿入し、前記細胞に接触しないように保持した後、揮発性物質を含む試料を前記支持体に保持させる工程、
b2)容器上部の開口部から揮発性物質を含む支持体を容器内に挿入し、前記細胞に接触しないように保持する工程、
c)前記支持体から揮発する揮発性物質を、前記細胞に暴露させる工程、
d)前記細胞中の嗅覚受容体応答を測定する工程、
を含む、方法。
続きを表示(約 380 文字)【請求項2】
支持体が綿球である、請求項1記載の方法。
【請求項3】
容器が細胞培養用プレートである、請求項1記載の方法。
【請求項4】
細胞培養用プレートがマルチウェルのマイクロプレートである、請求項3記載の方法。
【請求項5】
cAMP量を指標とすることにより嗅覚受容体ポリペプチドの応答が測定される、請求項1~4のいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
揮発性物質を含む試料が体液である、請求項1~5のいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
体液が唾液である、請求項6記載の方法。
【請求項8】
体液が尿である、請求項6記載の方法。
【請求項9】
揮発性物質を含む支持体が洗濯後の綿繊維である、請求項1~5のいずれか1項記載の方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、気相刺激による嗅覚受容体応答の測定方法に関する。
続きを表示(約 2,300 文字)【背景技術】
【0002】
匂い発生源から揮発した物質は気流に乗って鼻腔に届く。鼻の最深部に広がる嗅上皮に到達した揮発性物質は、嗅粘液と呼ばれる粘液に溶解する。嗅粘液に溶け込んだ揮発性物質は嗅神経細胞のもとへと到達する。嗅神経細胞は嗅上皮に分布し、細胞膜に嗅覚受容体(Odorant receptor;OR)を発現している。
【0003】
嗅覚受容体は匂いセンサーとしての役割を持つ、7回膜貫通型Gプロテイン共役型受容体の一種であり、ヒトには約400種類存在する。400種類のうちいくつかの特定の嗅覚受容体は、到達した特定の揮発性物質との結合がトリガーとなり活性化し、嗅神経細胞を興奮させる。こうして最終的に、揮発性物質の化学情報は、「どの組み合わせの嗅覚受容体が活性化したのか(嗅覚受容体コード)」という情報として脳へと伝達され、我々はその物質の匂いの強さや特徴を認識する。
【0004】
上記の匂い知覚プロセスの中で匂いセンサーとして働く嗅覚受容体の活性制御は匂い課題解決に利用される。そのためには標的の匂いが生体内においてどの嗅覚受容体をどの程度活性化するのか正確に予測する必要がある。In vitroで嗅覚受容体活性を調べる手段として、レポータージーンアッセイが使用されることが多い。本方法は、嗅覚受容体を発現させた培養細胞を、あらかじめ標的の匂い物質を溶解した培地に接触させて刺激する。細胞には嗅覚受容体が活性化した場合に、レポータータンパク質としてルシフェラーゼが発現誘導されるように遺伝子導入しておく。発現したレポータータンパク質は基質を加えることで発光するが、その発光度合を測定することにより、標的の匂い物質が当該嗅覚受容体を活性化するのか調べることができる。
【0005】
上述のように現在汎用される嗅覚受容体応答測定法は特定の匂い物質をあらかじめ溶解させた培地を細胞に滴下する液相刺激法である。本方法はスループット性が高いことと濃度調整が容易な利点がある。その一方で、実際我々が嗅いでいる匂いは、多種多様な揮発性物質が混合した気体であり、そこには未同定物質も含まれうる。あらかじめ特定の匂い物質を溶解させる既存の液相刺激法では、これら未同定物質の嗅覚受容体応答を測定することが難しい。さらに匂い物質の揮発性や嗅粘液への溶解性は匂い知覚に影響を及ぼす一方で、液相刺激法ではこれらの要因を考慮することは難しい。加えて、匂いを発生する実試料をそのまま細胞に適用することは細胞傷害を引き起こす場合がある。したがって、従来の液相刺激法では生体内における正確な嗅覚受容体応答を再現するには不十分な面がある。生体内の嗅覚受容体活性度合をより再現するためは、調べたい試料から揮発する匂いそのもの(気体)を使って直接嗅覚受容体を刺激する方法、すなわち嗅覚受容体気相刺激法の構築が合理的である。
【0006】
これまでに気相による嗅覚受容体刺激の報告例は幾つか存在する。例えば、非特許文献1では、蚊の嗅覚受容体発現HEK293細胞をスフェロイド化させ、その細胞に対する匂い気相刺激により嗅覚受容体の応答観察に成功したことが開示されている。また、特許文献1及び非特許文献2では、GloSenser cAMP Assayを用い、プレートリーダー庫内に充満させた匂い物質で気相刺激を行って嗅覚受容体の応答測定に成功したことが開示されている。また、非特許文献3には、96ウェルプレートを封入したサンプリングバッグに匂いを注入することで気相刺激する方法が開示されている。
【0007】
しかしながら、非特許文献1のアプローチは、電極で嗅覚受容体応答を測定するものである。精密な操作が求められ、スループット性は極めて低い。また、特許文献1及び非特許文献2によるアプローチは、1プレートにつき1種類の匂い刺激に制限される。そして、斯かる既報の方法で使用された匂い物質と嗅覚受容体ペアでは、気相刺激法は液相刺激法の1/100~1/1000の感度に留まっている(非特許文献1,2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
国際特許公開第2018/081588号
【非特許文献】
【0009】
Sato, K. & Takeuchi, S. Chemical vapor detection using a reconstituted insect olfactory receptor complex. Angew. Chemie - Int. Ed. 53, 11798-11802 (2014).
Kida, H. et al.Vapor detection and discrimination with a panel of odorant receptors. Nat. Commun. 9, (2018).
福谷洋介.「Vapor stimulation assay による揮発性硫黄化合物応答ヒト嗅覚受容体の同定と実用的な悪臭抑制香料の探索」. 日本味と匂学会 第55回大会 ポスター発表.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、スループット性と感度が改善された、気相刺激による嗅覚受容体応答測定方法を提供することに関する。
【課題を解決するための手段】
(【0011】以降は省略されています)

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