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公開番号2024014838
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-02-01
出願番号2023118598
出願日2023-07-20
発明の名称植物バイオマス糖化酵素組成物
出願人花王株式会社
代理人弁理士法人アルガ特許事務所
主分類C12N 9/42 20060101AFI20240125BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約【課題】植物バイオマスを糖化処理する際の低粘度化に有効な酵素製剤及びその製造法を提供する。
【解決手段】以下の(A)、(B)及び(C)を含む酵素組成物:
(A)セルラーゼ、
(B)ポリガラクツロナーゼ及びペクチンリアーゼを含むホモガラクツロナン分解酵素、
(C)アラビノフラノシダーゼ及びガラクタナーゼから選択される1種以上。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
以下の(A)、(B)及び(C)を含む酵素組成物:
(A)セルラーゼ、
(B)ポリガラクツロナーゼ、及びペクチンリアーゼを含むホモガラクツロナン分解酵素、
(C)アラビノフラノシダーゼ及びガラクタナーゼから選択される1種以上。
続きを表示(約 740 文字)【請求項2】
植物バイオマスを糖化するための、請求項1記載の酵素組成物。
【請求項3】
糖化処理された植物バイオマスの粘度を、セルラーゼのみを用いて糖化処理された場合に比べて低下させるものである、請求項2記載の酵素組成物。
【請求項4】
セルラーゼ活性が、酵素組成物中のタンパク質1mgあたり2.0~3.5Uである、請求項1~3のいずれか1項記載の酵素組成物。
【請求項5】
ポリガラクツロナーゼ活性が、酵素組成物中のタンパク質1mgあたり30U~1200である、請求項1~4のいずれか1項記載の酵素組成物。
【請求項6】
ペクチンリアーゼ活性が、酵素組成物中のタンパク質1mgあたり、1~27Uである、請求項1~5のいずれか1項記載の酵素組成物。
【請求項7】
アラビノフラノシダーゼ活性が、酵素組成物中のタンパク質1mgあたり0.1~50Uである、請求項1~6のいずれか1項記載の酵素組成物。
【請求項8】
ガラクタナーゼ活性が、酵素組成物中のタンパク質1mgあたり3~250Uである、請求項1~7のいずれか1項記載の酵素組成物。
【請求項9】
酵素組成物中の(B)ホモガラクツロナン分解酵素及び(C)アラビノフラノシダーゼ及びガラクタナーゼから選択される1種以上((B)+(C))のタンパク質に含まれる割合が1質量%~50質量%である、請求項1~8のいずれか1項記載の酵素組成物。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1項記載の酵素組成物を植物バイオマスと接触させる工程を含む、植物バイオマスの糖化方法。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、植物バイオマスの糖化酵素組成物に関する。
続きを表示(約 2,400 文字)【背景技術】
【0002】
再生可能資源の植物バイオマス原料から糖や付加価値製品を製造するバイオリファイナリーの技術は持続可能な社会の構築方法として期待されている。バイオマス原料の中でも、デンプンやセルロースを含有する農産廃棄物は分解することで発酵原料として最もよく利用される糖であるグルコースが多く得られることから、これらのバイオマス原料から糖を回収する技術開発が多く実施されてきている。また、植物バイオマス原料中にはデンプンやセルロース以外にも、ヘミセルロースやペクチン、リグニンも含まれていることが知られている。
【0003】
ペクチンは、植物の一次細胞壁や細胞の間隙にある中葉に多く存在し、主にホモガラクツロナン(HG)、ラムノガラクツロナンI(RG-I)及びラムノガラクツロナンII(RG-II)の三つのドメインから構成される複合多糖類である。HGは6位のカルボキシル基の一部がメチルエステル化、2位及び3位の水酸基の一部がアセチル化修飾を受けたD-ガラクツロン酸がα-1,4-結合したポリガラクツロン酸を主とする重合体である。ラムノガラクツロナンI(RG-I)はラムノースとガラクツロン酸の2糖のくり返し構造を主鎖とし、ガラクトース残基が連なったガラクタン側鎖やアラビノース残基が連なったアラビナン側鎖やアラビノース残基とガラクトース残基から構成したアラビノガラクタン側鎖をもつ重合体である。ラムノガラクツロナンII(RG-II)はHGと同じくα-1,4-結合したポリガラクツロン酸を主鎖とし、ガラクツロン酸のO-2位又はO-3位に、L-ラムノース、D-又はL-ガラクトース、L-アラビノース、D-ガラクツロン酸、D-グルクロン酸、D-アピオース、L-フコース、2-O-メチル-L-フコース、2-O-メチル-D-キシロース、アセリン酸(aceric acid,3-O-カルボキシ-5-デオキシ-L-キシロース)、2-ケト-3-デオキシ-D-マンノ-2-オクツロン酸、3-デオキシ-D-リクソ-2-ヘプツロン酸など、約30種類の糖から構成された側鎖が結合した、ペクチンの中で最も複雑な構造を持つドメインである。
【0004】
ペクチンの構成成分にはグルコースは含まれておらず、植物残渣から回収可能なグルコース量には影響しないと考えられるが、ペクチンの高粘性は植物バイオマスを分解して得られる糖液からの糖の回収効率と糖製造プロセスに大きな課題となる。
酵素を用いたペクチン含有植物バイオマスの糖化工程は、デンプンをグルコースに変換するアミラーゼ及びアミログルコシダーゼと、セルロースをグルコースに変換するセルラーゼが必要であるが、これに加えて糖液の粘度を低減させるために、セルラーゼにペクチナーゼを併用することが行われている。例えば、ポリガラクツロナーゼを添加すること(特許文献1)、アラビナンエンド-1、5-α-L-アラビノシダーゼを添加すること(特許文献2)等が知られている。
【0005】
しかしながら、その粘度低減効果は必ずしも十分なものではなく、また、市販されているペクチナーゼ製剤には粘度低減に関わる酵素以外にも多種の酵素が混入しており、結果的に必要量が多くなるため、コストの面で実用的ではない。
したがって、ペクチン含有植物バイオマスの糖化に当たり、低コストで糖液を低粘度化できる酵素製剤が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
特公昭59-37953号公報
国際特許公開第2015/097017号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、植物バイオマスを糖化処理する際の低粘度化に有効な酵素製剤及びその製造法を提供することに関する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、セルラーゼと特定のペクチナーゼを配合した酵素組成物が、ペクチン含有植物バイオマスを糖化する際のスラリーの高粘度化を効果的に抑制できること、また、当該酵素組成物は組換え糸状菌を用いて容易に製造できることを見出した。
【0009】
すなわち、本発明は、以下の1)~8)に係るものである。
1)以下の(A)、(B)及び(C)を含む酵素組成物:
(A)セルラーゼ、
(B)ポリガラクツロナーゼ及びペクチンリアーゼを含むホモガラクツロナン分解酵素、
(C)アラビノフラノシダーゼ及びガラクタナーゼから選択される1種以上。
2)1)の酵素組成物を植物バイオマスと接触させる工程を含む、植物バイオマスの糖化方法。
3)1)の酵素組成物を植物バイオマスと接触させる工程を含む、植物バイオマスからの糖の製造方法。
4)1)の酵素組成物を植物バイオマスと接触させる工程を含む、植物バイオマスからのエタノールの製造方法。
5)(b1)ポリガラクツロナーゼ遺伝子、(b2)ペクチンリアーゼ遺伝子、及び(c)アラビノフラノシダーゼ遺伝子及びガラクタナーゼ遺伝子から選択される1種以上の遺伝子を導入した組換え糸状菌。
6)5)の組換え糸状菌を培養することを含む、1)の酵素組成物の製造方法。
7)1)の酵素組成物を有効成分とする植物バイオマス粘度低下剤。
8)1)の酵素組成物を植物バイオマスと接触させる工程を含む、植物バイオマス粘度低下方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ペクチン質を含む植物バイオマスの糖化処理工程におけるスラリーの高粘度化を抑制し、植物バイオマスの効率的な糖化処理を可能とする糖化酵素組成物を安価に提供することができる。
【発明を実施するための形態】
(【0011】以降は省略されています)

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