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公開番号2024011102
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-01-25
出願番号2022112824
出願日2022-07-14
発明の名称甲状腺被ばく予防用経口組成物および甲状腺被ばく予防用飲食品
出願人国立大学法人信州大学,国立大学法人 熊本大学,国立大学法人 東京大学,国立大学法人 長崎大学
代理人個人,個人
主分類A61K 31/724 20060101AFI20240118BHJP(医学または獣医学;衛生学)
要約【課題】放射性ヨウ素による甲状腺の内部被ばくを予防又は低減する甲状腺被ばく予防用経口組成物と、これを含む甲状腺被ばく予防用飲食品を提供すること。
【解決手段】シクロデキストリンを含み、
放射性ヨウ素による甲状腺の内部被ばくを予防又は低減する甲状腺被ばく予防用経口組成物、および、この甲状腺被ばく予防用経口組成物を含む甲状腺被ばく予防用飲食品。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
シクロデキストリンを含み、
放射性ヨウ素による甲状腺の内部被ばくを予防又は低減する甲状腺被ばく予防用経口組成物。
続きを表示(約 240 文字)【請求項2】
前記シクロデキストリンが、α-シクロデキストリンを50質量%以上含む請求項1に記載の甲状腺被ばく予防用経口組成物。
【請求項3】
経口または吸入摂取された放射性ヨウ素を、消化器内にてシクロデキストリンで包接することにより、小腸における前記放射性ヨウ素の吸収を抑制する請求項1または2に記載の甲状腺被ばく予防用経口組成物。
【請求項4】
請求項1または2に記載の甲状腺被ばく予防用経口組成物を含む甲状腺被ばく予防用飲食品。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、甲状腺被ばく予防用経口組成物と、これを含む甲状腺被ばく予防用飲食品に関する。
続きを表示(約 2,600 文字)【背景技術】
【0002】
甲状腺は、頸部にある臓器であり、甲状腺ホルモンを生産している。甲状腺ホルモンは、トリヨードチロニンとチロキシンの2種類の化合物の総称であり、トリヨードチロニンは分子中に3個、チロキシンは分子中に4個のヨウ素原子を含む。甲状腺ホルモンは、成長や代謝等に関わり、生命活動の維持に重要なホルモンである。そのため、動物は、甲状腺ホルモンの原料であるヨウ素が不足しないように、甲状腺内に原料であるヨウ素を蓄積している。また、動物が蓄積するヨウ素量には上限があり、ある程度のヨウ素が蓄積されると、過剰なヨウ素は尿として排出される。
【0003】
チョルノービリ原子力発電所での事故後に小児甲状腺がんの患者数が急増したことが知られている。これは、原発事故により環境中に放出された放射性ヨウ素(
131
I)が、野菜や牛乳等の飲食品を通じて体内に取り込まれ、特に成長期である小児は大量の甲状腺ホルモンが生産されるため大人よりも多くの放射性ヨウ素が甲状腺に蓄積したことによる内部被ばくが原因とされている。
また、放射性ヨウ素(
123
I、
125
I、
131
I)は、甲状腺疾患の診断薬や治療薬にも用いられている。ここで、ヨウ素は揮発性であるため、放射性ヨウ素は、投与された患者の呼気、汗、唾液、排泄物を介して体外に排出され、空気中に飛散するため、医師や看護師等の医療従事者、患者の家族等に移行するおそれがある。特に、日常的に放射性ヨウ素が投与された患者と向き合う医療従事者は、放射性ヨウ素による内部被ばくのリスクが継続する。
【0004】
放射性ヨウ素による内部被ばくを低減する方法として、安定ヨード剤(ヨウ化カリウム)の服用が知られている。安定ヨード剤は、放射性ヨウ素に晒される24時間前から晒された直後に服用するものであり、放射性でないヨウ素を事前に甲状腺に蓄積することにより、放射性ヨウ素が甲状腺に蓄積されることを防ぎ、内部被ばくを抑えるものである。
しかし、安定ヨード剤は、放射性ヨウ素に晒される24時間前から晒された直後に服用する必要があり、服用するタイミングがずれると内部被ばくを低減する効果は期待できない。また、ヨウ素は、過剰に摂取しすぎると甲状腺ホルモンの生成能が低下する甲状腺機能障害が起こることが知られており、放射性ヨウ素による被ばくリスクのないタイミングでの安定ヨード剤の服用はデメリットしかない。そのため、安定ヨード剤は、放射性ヨウ素に晒されるリスクが非常に高まった状態で専門家の指示に従って服用するものであって、服用による甲状腺機能障害のリスクがあることから、放射性ヨウ素による被ばくリスクが低いときに、予防的に服用することはできない。
また、継続的に放射性ヨウ素に晒されるリスクのある医療従事者にとっても、微量の放射性ヨウ素に晒されることのリスクより、安定ヨード剤の服用による甲状腺機能障害のリスクの方が大きいため、安定ヨード剤を予防的に服用することはできない。
【0005】
放射性ヨウ素による内部被ばくを抑えるために、放射性ヨウ素に晒されるリスクが低いときに予防的に服用できる薬剤は知られていない。そのため、放射性ヨウ素による被ばくリスクを低減するには、放射性ヨウ素を環境中に放出しないことが最重要対策であり、例えば、特許文献1には、放射性物質捕捉成分を含む放射性物質回収フィルターを用いた、特に気体中の放射性ヨウ素を吸着する方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
特開2012-112769号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、放射性ヨウ素による甲状腺の内部被ばくを予防又は低減する甲状腺被ばく予防用経口組成物と、これを含む甲状腺被ばく予防用飲食品を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための手段は、以下の通りである。
1.シクロデキストリンを含み、
放射性ヨウ素による甲状腺の内部被ばくを予防又は低減する甲状腺被ばく予防用経口組成物。
2.前記シクロデキストリンが、α-シクロデキストリンを50質量%以上含む1.に記載の甲状腺被ばく予防用経口組成物。
3.経口または吸入摂取された放射性ヨウ素を、消化器内にてシクロデキストリンで包接することにより、小腸における前記放射性ヨウ素の吸収を抑制する1.または2.に記載の甲状腺被ばく予防用経口組成物。
4.1.または2.に記載の甲状腺被ばく予防用経口組成物を含む甲状腺被ばく予防用飲食品。
【発明の効果】
【0009】
本発明の甲状腺被ばく予防用経口組成物は、食品でもあるシクロデキストリンを有効成分としており、服用による副作用がないため、放射性ヨウ素による内部被ばくのリスクが低いときでも予防的に服用することができる。
本発明の甲状腺被ばく予防用経口組成物は、放射性ヨウ素を強力に包接し、小腸における放射性ヨウ素の取り込みを阻害するため、放射性ヨウ素に晒された際の甲状腺の内部被ばくを低減することができる。本発明の甲状腺被ばく予防用経口組成物は、排便を促す作用を有しており、放射性ヨウ素が体内に留まる時間を短くすることができるため、甲状腺のみならず人体全体への内部被ばくを低減することができる。
【0010】
本発明の甲状腺の内部被ばく予防用飲食品は、飲料、食品、サプリメント等の形態として、放射性ヨウ素による内部被ばくのリスクが低いときでも予防的に摂取することができる。本発明の甲状腺の内部被ばく予防用飲食品は、様々な飲食品とすることができるため、ゼリー等のお菓子やジュース等の飲料とすることにより、薬の服用が困難である乳児や幼児等の小児であっても容易に摂取することができ、放射性ヨウ素による甲状腺がんの発症リスクが特に高い小児における甲状腺がんのリスクを大幅に低減することができる。
【図面の簡単な説明】
(【0011】以降は省略されています)

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