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公開番号2024009169
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-01-19
出願番号2023197702,2022049136
出願日2023-11-21,2018-03-09
発明の名称アンチセンスオリゴヌクレオチドおよび糖原病Ia型予防または治療用組成物
出願人国立研究開発法人国立成育医療研究センター,国立大学法人広島大学,第一三共株式会社
代理人弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
主分類C12N 15/113 20100101AFI20240112BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約【課題】新規アンチセンスオリゴヌクレオチドおよび糖原病Ia型予防または治療用組成物を提供する。
【解決手段】本願発明では、アンチセンスオリゴヌクレオチドであって、GRCh38/hg38のヒト第17染色体塩基配列における、第42911000番目の塩基、第42911004番目の塩基および第42911005番目の塩基のうちの少なくとも1つの塩基を含む領域のプレmRNAの配列にハイブリダイズし、c.648G>T変異型G6PCのプレmRNAの異常スプライシングを抑制する活性を有する、アンチセンスオリゴヌクレオチドを提供する。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
アンチセンスオリゴヌクレオチドであって、
配列番号4で示されるG6PCの塩基配列の648番目の塩基がGからTに置換されたc.648G>T変異型G6PCのプレmRNAの塩基配列における、648番目の塩基、652番目の塩基および653番目の塩基のうちの少なくとも1つの塩基を含む領域のプレmRNAの配列にハイブリダイズし、c.648G>T変異型G6PCのプレmRNAの異常スプライシングを抑制する活性を有する、アンチセンスオリゴヌクレオチド。
続きを表示(約 820 文字)【請求項2】
上記アンチセンスオリゴヌクレオチドは、配列番号4で示されるG6PCの塩基配列の648番目の塩基がGからTに置換されたc.648G>T変異型G6PCのプレmRNAの塩基配列における、599番目~702番目の塩基の領域にハイブリダイズし、c.648G>T変異型G6PCのプレmRNAの異常スプライシングを抑制する活性を有する、請求項1に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
【請求項3】
7~104塩基からなる、請求項1または2に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
【請求項4】
上記アンチセンスオリゴヌクレオチドは、以下の(a)および(b)のうちから選択される、請求項1~3の何れか一項に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
(a)配列番号14、配列番号17、配列番号20または配列番号23に示される塩基配列を含むアンチセンスオリゴヌクレオチド
(b)配列番号14、配列番号17、配列番号20または配列番号23に示される塩基配列に対して、60%以上の配列同一性を有する塩基配列を含み、かつc.648G>T変異型G6PCのプレmRNAの異常スプライシングを抑制する活性を有するアンチセンスオリゴヌクレオチド。
【請求項5】
上記アンチセンスオリゴヌクレオチドが、少なくとも1つの修飾ヌクレオチドを含む、請求項1~4の何れか一項に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
【請求項6】
上記アンチセンスオリゴヌクレオチドは、少なくとも1つのモルホリノヌクレオチドを含み、14~30塩基からなるモルホリノアンチセンスオリゴヌクレオチド、または少なくとも1つのロックド核酸(LNA)を含み、7~25塩基からなるロックド核酸(LNA)アンチセンスオリゴヌクレオチドである、請求項5に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明はアンチセンスオリゴヌクレオチドおよび糖原病Ia型予防または治療用組成物に関する。
続きを表示(約 2,700 文字)【背景技術】
【0002】
糖原病Ia型は内因性血糖供給経路の最終段階を触媒する酵素「グルコース-6-ホスファターゼ(G6Pase)」の機能低下による先天代謝異常を伴う疾患である。糖原病Ia型の主な治療はデンプン質の頻回食療法であり、アシドーシスに対するクエン酸製剤、高尿酸血症に対する尿酸合成阻害剤等が併用されるが、代謝障害による各種異常所見の是正には遠く及ばず、長期的に病態が進行すると肝癌発生や腎不全に至ることもある。このような肝癌発生例では肝移植、腎不全例には腎移植が選択される(非特許文献1)。
【0003】
日本人糖原病Ia型患者では、その患者の約9割において、該疾患の責任遺伝子であって、G6Paseをコードする遺伝子であるG6PCに、コード領域DNAの648番目の塩基グアニン(G)がチミン(T)に置換した共通変異(c.648G>T)を有することが知られている(非特許文献2)。この変異はアミノ酸置換を起こさず、近傍配列が異所性スプライス受容部位となって、異常スプライシングが起こり、その結果91塩基対短縮した転写産物を生じる(非特許文献3)。近年、スプライシング変異に関し、当該領域の塩基配列に相補的な核酸誘導体「アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)」によって正常な転写を回復させる技術が知られている(非特許文献4)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
Chou JY et al., J Inherit Metab Dis 38: 511-519, 2014.
Akanuma J et al., Am J Med Genet 91: 107-12, 2000.
Kajihara S et al., Am J Hum Genet 57: 549-55, 1995.
Havens MA et al., WIREs RNA 4: 247-66, 2013.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
現在までのところ糖原病Ia型に対する特異的な治療薬は存在しない。本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、新規アンチセンスオリゴヌクレオチドおよび糖原病Ia型予防または治療用組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意検討を行い、糖原病Ia型患者の細胞において、c.648G>T変異型G6PC遺伝子のプレmRNAの配列を標的配列とするアンチセンスオリゴヌクレオチドの添加をすることにより、c.648G>T変異型G6PCのプレmRNAの異常なスプライシングが抑制され、正常な塩基長を有する遺伝子転写産物が生じることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は以下の何れかの一態様を包含する。
<1> アンチセンスオリゴヌクレオチドであって、GRCh38/hg38のヒト第17染色体塩基配列における、第42911000番目の塩基、第42911004番目の塩基および第42911005番目の塩基のうちの少なくとも1つの塩基を含む領域のプレmRNAの配列にハイブリダイズし、c.648G>T変異型G6PCのプレmRNAの異常スプライシングを抑制する活性を有する、アンチセンスオリゴヌクレオチド。
<2> 糖原病Ia型予防または治療用組成物であって、アンチセンスオリゴヌクレオチドを薬効成分として含み、上記アンチセンスオリゴヌクレオチドが、GRCh38/hg38のヒト第17染色体塩基配列における、第42911000番目の塩基、第42911004番目の塩基および第42911005番目の塩基のうちの少なくとも1つの塩基を含む領域のプレmRNAの配列にハイブリダイズし、c.648G>T変異型G6PCのプレmRNAの異常スプライシングを抑制する活性を有する、糖原病Ia型予防または治療用組成物。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、新規なアンチセンスオリゴヌクレオチドおよび該アンチセンスオリゴヌクレオチドを薬効成分として含む、糖原病Ia型予防または治療用組成物を提供する。本発明は、糖原病Ia型の予防または治療に有効である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
c.648G>Tの変異によって生じるG6PCのプレmRNAの異常スプライシング領域を示す図である。
健常コントロール被験者由来(レーン1~3)およびGSD-Iaの患者由来(レーン4~6)のネステッドPCR産物のアガロースゲル電気泳動の結果を示す図である。
ネステッドPCR産物のダイレクトシーケンシングの結果を示す図である。図3の(a)は、レーン1~3における単一のバンド(305bp)の配列を示している。図3の(b)は、レーン5および6における単一のバンド(214bp)およびレーン4におけるより短い方のバンド(214bp)の配列を示している。図3の(c)は、レーン4におけるより長い方のバンド(305bp)の配列を示している。
各種LNA ASO(LNA01~13)添加およびLNA ASO無添加(ブランク)サンプルのネステッドPCR産物のアガロースゲル電気泳動の結果を示す図である。
ネステッドPCR産物のダイレクトシーケンシングの結果を示す図である。図5の(a)は、LNA ASO無添加サンプルにおけるネステッドPCR産物の配列を示している。図5の(b)は、各種LNA ASO添加サンプルにおけるネステッドPCR産物のc.648G>T付近の波形を示している。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
【0010】
〔用語の説明〕
「グルコース-6-ホスファターゼ(G6Pase)」は、糖新生およびグリコーゲン分解の最終ステップにおけるグルコース-6-リン酸(G6P)からグルコースおよびリン酸への加水分解を触媒し、また、グルコース恒常性の維持において重要な酵素タンパク質である。また、「G6PC」は、G6Paseをコードする遺伝子(遺伝子座17q21)である。
(【0011】以降は省略されています)

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