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公開番号
2025178011
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-12-05
出願番号
2024092193,2024083512
出願日
2024-06-06,2024-05-22
発明の名称
ポリビニルアセタール樹脂
出願人
積水化学工業株式会社
代理人
弁理士法人WisePlus
主分類
C08G
4/00 20060101AFI20251128BHJP(有機高分子化合物;その製造または化学的加工;それに基づく組成物)
要約
【課題】機械的強度が高く、密着性に優れるに優れるセラミックグリーンシートを得ることができ、信頼性に優れた積層セラミックコンデンサを作製可能なポリビニルアセタール樹脂、及び、該ポリビニルアセタール樹脂を用いたセラミックグリーンシート用スラリー、セラミックグリーンシート及び積層セラミックコンデンサを提供する。
【解決手段】質量%テトラヒドロフラン溶液を、溶液温度が20℃の条件でB型粘度計を用いて測定した場合の溶液粘度をTHF粘度、5質量%N-メチルピロリドン溶液を、溶液温度が20℃の条件でB型粘度計を用いて測定した場合の溶液粘度をNMP粘度とした場合、NMP粘度/THF粘度が1.05~8.0であり、かつ、赤外分光光度計により測定したIR吸収スペクトルにおいて波数3050~3750cm
-1
の範囲内でのピークを基に計算される水酸基量換算波数幅が所定の範囲内であるポリビニルアセタール樹脂。
【選択図】なし
特許請求の範囲
【請求項1】
4質量%テトラヒドロフラン溶液を、溶液温度が20℃の条件でB型粘度計を用いて測定した場合の溶液粘度をTHF粘度、5質量%N-メチルピロリドン溶液を、溶液温度が20℃の条件でB型粘度計を用いて測定した場合の溶液粘度をNMP粘度とした場合、NMP粘度/THF粘度が1.05~8.0であり、かつ、
赤外分光光度計により測定したIR吸収スペクトルにおいて、波数3050~3750cm
-1
の範囲内におけるピークの最小透過率をX(%)としたとき、[100-(100-X)/2]を満たす透過率a(%)を示す波数のうち、低波数側の波数をA、高波数側の波数をBとした場合、前記A、B及び
1
H-NMRで測定された水酸基量を用い、式(1)で求められる水酸基量換算波数幅が8.31以上である、ポリビニルアセタール樹脂。
水酸基量換算波数幅(cm
-1
/mol%)=[(B-A)/水酸基量] (1)
続きを表示(約 680 文字)
【請求項2】
式(1)で求められる水酸基量換算波数幅が8.45以上である、請求項1記載のポリビニルアセタール樹脂。
【請求項3】
前記A、B並びに
1
H-NMRで測定された水酸基量及びアセチル基量を用い、下記式(2)で求められる水酸基アセチル基量換算波数幅が6.5~18.0である、請求項1記載のポリビニルアセタール樹脂。
水酸基アセチル基量換算波数幅(cm
-1
/mol%/mol%)=[(B-A)/水酸基量/アセチル基量] (2)
【請求項4】
示差屈屈折率検出器を用いたGPC測定における、移動相にTHFを使用して得られるz平均分子量をMz(THF)、移動相にNMPを使用して得られるz平均分子量をMz(NMP)とした場合、Mz(THF)/Mz(NMP)が1.2~1.93である、請求項1又は2記載のポリビニルアセタール樹脂。
【請求項5】
[THF粘度/Mz(NMP)]×10000が0.5~2.9である、請求項4記載のポリビニルアセタール樹脂。
【請求項6】
請求項1又は2に記載のポリビニルアセタール樹脂と、有機溶剤と、セラミック粉末とを含有する、セラミックグリーンシート用スラリー。
【請求項7】
請求項6に記載のセラミックグリーンシート用スラリーを用いてなる、セラミックグリーンシート。
【請求項8】
請求項7に記載のセラミックグリーンシートを用いて得られる、積層セラミックコンデンサ。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリビニルアセタール樹脂、セラミックグリーンシート用スラリー、セラミックグリーンシート及び積層セラミックコンデンサに関する。
続きを表示(約 3,800 文字)
【背景技術】
【0002】
近年、種々の電子機器に搭載される電子部品の小型化、積層化が進んでおり、多層回路基板、積層コイル、積層セラミックコンデンサ等の積層型電子部品が広く使用されている。
なかでも、積層セラミックコンデンサは、一般に次のような工程を経て製造されている。
まず、ポリビニルブチラール樹脂やポリ(メタ)アクリル酸エステル系樹脂等のバインダー樹脂を有機溶剤に溶解した溶液に可塑剤、分散剤等を添加した後、セラミック原料粉末を加え、ビーズミル、ボールミル等の混合装置により均一に混合し、脱泡後に一定粘度を有するセラミックスラリー組成物を得る。このスラリー組成物をドクターブレード、リバースロールコーター等を用いて、離型処理したポリエチレンテレフタレートフィルム、又はSUSプレート等の支持体面に流延して、これを加熱等により、溶剤等の揮発分を溜去させた後、支持体から剥離してセラミックグリーンシートを得る。
次に、得られたセラミックグリーンシート上に、内部電極となる導電ペーストをスクリーン印刷により塗布したものを交互に複数枚積み重ね、加熱圧着して積層体を作製する。その後、積層体中に含まれるバインダー樹脂成分等を熱分解して除去する処理、いわゆる脱脂処理を行い、焼成して得られるセラミック焼結体の端面に外部電極を焼結する工程を経て積層セラミックコンデンサが得られる。
【0003】
例えば、特許文献1には、セラミック・バインダーとして好適なポリビニルアセタール樹脂として、所定の重合度、ビニルエステル単位の含有率、アセタール化度を有し、アセトアルデヒドによりアセタール化された部分とブチルアルデヒドによってアセタール化された部分とのモル比が所定の範囲であるポリビニルアセタール樹脂が記載されている。
また、特許文献2には、所定の重合度、ビニルエステル単位の含有率、アセタール化度を有し、特定の構成単位を有するポリビニルアセタール樹脂が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開2011-236304号公報
国際公開第2012/023517号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一方、近年では、電子機器の多機能化、小型化に伴い、積層セラミックコンデンサは、大容量化小型化が求められており、セラミックグリーンシートにも更なる薄層化が求められている。
しかしながら、特許文献1及び2に記載のポリビニルアセタール樹脂を用いた場合、得られるセラミックグリーンシートの強度が不充分なものとなり、剥離シートから剥がす際に、強度不足による破れ等が発生し、歩留まりが悪化するという問題がある。
また、得られるセラミックグリーンシートの密着性が不充分となり、セラミックグリーンシートを加熱圧着する際に、中心部まで温度が伝わりづらく、各層がしっかりと密着しないことで、デラミネーションが発生するという問題もある。
【0006】
本発明は、機械的強度が高く、密着性に優れるセラミックグリーンシートを得ることができ、信頼性に優れた積層セラミックコンデンサを作製可能なポリビニルアセタール樹脂、及び、該ポリビニルアセタール樹脂を用いたセラミックグリーンシート用スラリー、セラミックグリーンシート及び積層セラミックコンデンサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示1は、4質量%テトラヒドロフラン溶液を、溶液温度が20℃の条件でB型粘度計を用いて測定した場合の溶液粘度をTHF粘度、5質量%N-メチルピロリドン溶液を、溶液温度が20℃の条件でB型粘度計を用いて測定した場合の溶液粘度をNMP粘度とした場合、NMP粘度/THF粘度が1.05~8.0であり、かつ、赤外分光光度計により測定したIR吸収スペクトルにおいて、波数3050~3750cm
-1
の範囲内におけるピークの最小透過率をX(%)としたとき、[100-(100-X)/2]を満たす透過率a(%)を示す波数のうち、低波数側の波数をA、高波数側の波数をBとした場合、前記A、B及び
1
H-NMRで測定された水酸基量を用い、式(1)で求められる水酸基量換算波数幅が8.31以上である、ポリビニルアセタール樹脂である。
水酸基量換算波数幅(cm
-1
/mol%)=[(B-A)/水酸基量] (1)
本開示2は、式(1)で求められる水酸基量換算波数幅が8.45以上である、本開示1記載のポリビニルアセタール樹脂である。
本開示3は、前記A、B並びに
1
H-NMRで測定された水酸基量及びアセチル基量を用い、下記式(2)で求められる水酸基アセチル基量換算波数幅が6.5~18.0である、本開示1記載のポリビニルアセタール樹脂である。
水酸基アセチル基量換算波数幅(cm
-1
/mol%/mol%)=[(B-A)/水酸基量/アセチル基量] (2)
本開示4は、示差屈屈折率検出器を用いたGPC測定における、移動相にTHFを使用して得られるz平均分子量をMz(THF)、移動相にNMPを使用して得られるz平均分子量をMz(NMP)とした場合、Mz(THF)/Mz(NMP)が1.2~1.93である、本開示1~3の何れかに記載のポリビニルアセタール樹脂である。
本開示5は、[THF粘度/Mz(NMP)]×10000が0.5~2.9である、本開示4記載のポリビニルアセタール樹脂である。
本開示6は、本開示1~5の何れかに記載のポリビニルアセタール樹脂と、有機溶剤と、セラミック粉末とを含有する、セラミックグリーンシート用スラリーである。
本開示7は、本開示6に記載のセラミックグリーンシート用スラリーを用いてなる、セラミックグリーンシートである。
本開示8は、本開示7に記載のセラミックグリーンシートを用いて得られる、積層セラミックコンデンサである。
以下に本発明を詳述する。
【0008】
本発明者らは、鋭意検討の結果、溶媒を変更して測定した溶液粘度が所定の関係を満たし、かつ、赤外分光光度計により測定したIR吸収スペクトルにおいて波数3050~3750cm
-1
の範囲内でのピークを基に計算される水酸基量換算波数幅が所定の範囲内であるポリビニルアセタール樹脂は、機械的強度が高く、密着性に優れるセラミックグリーンシートを得ることができ、信頼性に優れた積層セラミックコンデンサを作製できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0009】
本発明のポリビニルアセタール樹脂は、4質量%テトラヒドロフラン溶液を、溶液温度が20℃の条件でB型粘度計を用いて測定した場合の溶液粘度をTHF粘度、5質量%N-メチルピロリドン溶液を、溶液温度が20℃の条件でB型粘度計を用いて測定した場合の溶液粘度をNMP粘度とした場合、NMP粘度/THF粘度が1.05~8.0である。
このようなポリビニルアセタール樹脂を用いることで、機械的強度が高く、密着性に優れるセラミックグリーンシートを得ることができる。
上記NMP粘度/THF粘度は、2.2以上であることが好ましく、3.3以上であることがより好ましい。また、上記NMP粘度/THF粘度は、7.8以下であることが好ましく、5.2以下であることがより好ましい。
本発明において、上記NMP粘度/THF粘度は、ポリビニルアセタール樹脂の分子間相互作用の指標となる。
上記NMP粘度/THF粘度は、溶媒としてテトラヒドロフランを用い、4質量%濃度としたポリビニルアセタール樹脂のテトラヒドロフラン溶液を、溶液温度が20℃の条件でB型粘度計を用いてTHF粘度を測定した後、溶媒としてN-メチルピロリドンを用い、5質量%濃度としたポリビニルアセタール樹脂のN-メチルピロリドン溶液を、溶液温度が20℃の条件でB型粘度計を用いてNMP粘度を測定し、NMP粘度/THF粘度を計算することで算出することができる。
上記B型粘度計としては、例えば、東機産業社製、TVB-10形粘度計を用いることができる。また、粘度測定の際のローターや回転数は、溶液粘度によって適宜調整して測定することが好ましく、例えば、回転数0.3~100rpmの範囲で、SPINDLE No.M1~M4を用いて測定することが好ましい。
【0010】
上記THF粘度は、10以上であることが好ましく、25以上であることがより好ましく、2000以下であることが好ましく、500以下であることがより好ましい。
上記NMP粘度は、10以上であることが好ましく、100以上であることがより好ましく、2000以下であることが好ましく、500以下であることがより好ましい。
(【0011】以降は省略されています)
この特許をJ-PlatPat(特許庁公式サイト)で参照する
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